自己破産とは?手続きの流れと生活への影響をわかりやすく解説

債務整理の基礎知識

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています

・「自己破産をすると、財産も仕事も全部なくなる」
・「借金の額が小さいと、申し立てても相手にされない」

こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?

しかし、破産法34条3項1号により99万円までの金銭は破産財団に含まれず、生活に欠かせない家財道具も対象外です。資格・職業の制限も免責許可の決定が確定すれば復権する一時的なもので、千葉地方裁判所も「借金の額だけで決まるわけではありません」と説明しています。

とはいえ、税金・養育費・罰金などは免責されず、保証人の義務も残るのも事実です。

本記事では、破産手続と免責の仕組み、免責されない借金、残せる財産の範囲、費用の目安、免責が認められないことがある事情について紹介します。

現在すでに返済のめどが立たない人はもちろんのこと、借金の額はそこまで大きくないという人も、自己破産の実際についてしっかりと理解しておきましょう。

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😟
相談者

自己破産って、もう後がない人が選ぶ最後の手段ですよね。財産も仕事も、全部なくなってしまうんでしょうか。

👩
あかり

「全部なくなる」というイメージが、実際より大きく広がっている部分があります。破産法は、手元に残せる財産の範囲も、制限が終わるタイミングも条文で決めているんですよ。

🤔
相談者

借金の額がそこまで大きくないんです。私くらいの金額で申し立てても、相手にされないんじゃないかと…。

👩
あかり

そこは裁判所がはっきり書いています。「借金の額だけで決まるわけではありません」と。見られるのは、収入や財産で返していけるかどうかです。

😥
相談者

…もし免責が認められなかったら、と考えると足がすくみます。

👩
あかり

不安ですよね。認められない事情(免責不許可事由)は条文で11個に限定されていて、しかも「それでも許可できる」という規定まで用意されています。中身を一緒に見ていきましょう。

🔎 30秒でわかる結論

  • 自己破産は、裁判所に申し立てて免責許可の決定を受け、借金の支払義務を免れる手続きです(破産法253条1項)。
  • ただし免責されない借金があります。税金・社会保険料、養育費、故意や重過失で人を傷つけた損害賠償、罰金などは残ります(同項各号)。
  • 99万円までの金銭は法律上、破産財団に含まれません(破産法34条3項1号)。「20万円を超える財産は処分」といった線引きは条文ではなく各裁判所の運用なので、裁判所や事案によって変わります。
  • 資格・職業の制限は手続き中の一時的なもので、免責許可の決定が確定すれば復権します(破産法255条1項1号)。選挙権はなくなりません。
  • 費用がないから申し立てられない、とは限りません。法テラスの立替制度は無利息で分割返済できます。

📖 この記事でわかること

  • 自己破産で「なくなる借金」と「残る借金」の線引き(条文ベース)
  • 手元に残せる財産の範囲と、よく誤解されている「20万円」の正体
  • 同時廃止と管財事件のちがい、そして費用の目安(裁判所・法テラスの公表額)
  • 免責が認められないことがある11の事情と、それでも許可される仕組み
  • 信用情報・官報・職業制限が「いつまで」続くのか
  • 自己破産が向いていない人(他の方法を検討したほうがいい場合)

自己破産とは?「破産手続」と「免責」の2階建て

🤔
相談者

そもそも自己破産って、何がどうなる手続きなんですか?

👩
あかり

「財産を清算する手続き」と「支払義務を免れる決定」の2つが組み合わさっています。後者が免責です。

自己破産はひとつの手続きのように語られがちですが、中身は2階建てです。1階が破産手続で、手元の財産を換価して債権者に配当する部分。2階が免責で、残った借金の支払義務から解放される部分です。

破産法253条1項は、「免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる」と定めています。多くの人が「自己破産」と呼んでイメージしているのは、この免責のほうです。

💡 ポイント

免責許可の決定は、確定しなければ効力を生じません(破産法252条7項)。決定が出た瞬間ではなく、不服申立ての期間が過ぎて確定した時点が区切りになります。

① 見られるのは「金額」ではなく「支払えるかどうか」

「自分の借金額では申し立てても相手にされないのでは」という不安は、とても多い誤解です。千葉地方裁判所は、破産・免責手続のよくある質問のなかで次のように説明しています。

破産手続を開始するかどうかは、申立人がその収入や財産によって借金を返済することができるかどうかで判断されます。借金の額だけで決まるわけではありません。

出典:千葉地方裁判所「破産・免責手続について-よくあるご質問-」(2026年8月時点)

判断の軸は「支払不能かどうか」です。収入が少ない人ほど、少額でも支払不能になり得ます。逆に収入が多ければ、額が大きくても他の方法が選べることがあります。

② 実際にどれくらいの人が使っているのか

最高裁判所事務総局がまとめた令和7年(2025年)司法統計年報 民事・行政編によると、全国の地方裁判所が受け付けた破産事件の新受件数は92,059件。うち自然人(個人)が83,255件で、そのうち自己破産(債務者本人による申立て)は83,100件でした。

出典:裁判所「司法統計年報」(令和7年 民事・行政編/2026年8月時点)

年間8万件以上の申立てがある制度です。「自分だけが特別に落ちぶれた」という感覚は、数字の上では当てはまりません。

✅ このセクションのまとめ

自己破産は「破産手続+免責」の2階建て。開始の判断は借金の額ではなく支払不能かどうかで、年間8万件以上が申し立てられている制度です。

万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。

免責されない借金がある(非免責債権)

😟
相談者

自己破産すれば、支払いは全部ゼロになるんですよね?

👩
あかり

ここは正直にお伝えします。残るものがあります。とくに税金と養育費は、免責の対象外です。

破産法253条1項は、免責の効力から外れる請求権を「ただし書」で列挙しています。以下は条文の要旨です(実際の条文には、さらに細かい除外規定が括弧書きで付いています)。

条文の号 免責されない請求権 身近な例
1号租税等の請求権所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料など
2号破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権積極的に他人を害する意図での加害
3号故意または重大な過失により人の生命・身体を害した不法行為の損害賠償請求権重過失による人身事故
4号夫婦の協力扶助義務・婚姻費用の分担義務・子の監護に関する義務・扶養義務、およびこれらに類する契約に基づく義務に係る請求権養育費・婚姻費用
5号雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権および預り金の返還請求権従業員に払っていない給料
6号知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(その相手方が破産手続開始の決定を知っていた場合を除く)申告しなかった借入先
7号罰金等の請求権罰金・科料・過料

出典:e-Gov法令検索「破産法」253条1項(2026年8月時点)

💡 ここ、勘違いされがち

6号に注意してください。「この人にだけは迷惑をかけたくない」と親族や勤務先からの借入れを名簿から外すと、その借金だけ免責されずに残ります。黙っているほうが不利になる仕組みです。

保証人には免責の効力が及ばない

見落とされやすいのが、破産法253条2項です。条文は「免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利…に影響を及ぼさない」と定めています。

つまり、あなたが免責を受けても、保証人・連帯保証人の支払義務はそのまま残り、債権者は保証人に請求できます。親や配偶者に保証人になってもらっている借金がある場合、ここは方法を選ぶ前に必ず確認すべき点です。

✅ このセクションのまとめ

税金・養育費・罰金などは免責されません。また保証人の義務は残ります。「全部ゼロ」ではないことを前提に方法を選ぶ必要があります。

返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。

手元に残せる財産と、よく聞く「20万円」の正体

😥
相談者

「20万円以上の財産は全部取られる」と書いてあるのを見ました。生活道具まで持っていかれるんでしょうか。

👩
あかり

その「20万円」は法律の条文ではありません。裁判所ごとの運用の目安として広まった数字です。条文で決まっているのは、別のところです。

破産法34条3項は、次の財産は破産財団に属しない=債権者への配当に回さなくてよい、と定めています。

条文 内容
34条3項1号「民事執行法第百三十一条第三号に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭」=99万円までの金銭
34条3項2号差し押さえることができない財産(生活に欠かせない家財道具など)
34条4項裁判所は、生活の状況・財産の種類や額・収入の見込みなどを考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる(自由財産の拡張)

出典:e-Gov法令検索「破産法」34条(2026年8月時点)

💡 ここ、勘違いされがち

「20万円」という基準は破産法の条文には出てきません。破産管財人を選任するかどうか、どの財産を換価するかの判断は、各裁判所の運用として定められています。したがって申し立てる裁判所や事案によって扱いが変わり得る数字です。ネット上の「20万円ルール」を全国一律の法律だと思い込まないでください。

持ち家がある場合は、原則として換価(売却)の対象になります。家を手放したくない場合は、自己破産ではなく個人再生の住宅ローン特則を検討することになります。財産ごとの詳しい扱いは 自己破産で持ち家・車はどうなる?残せる財産(自由財産)の範囲 で解説しています。

換価の対象になりそうな財産がある方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。

「管財人がつくかどうか」で費用も期間も変わる

🤔
相談者

同じ自己破産なのに、費用が何十万も違うと聞きました。どうしてですか?

👩
あかり

破産管財人が選任されるかどうかで分かれます。選任されると、その方への費用を申立人が負担することになるためです。

千葉地方裁判所は、費用が変わる理由を次のように説明しています。

破産手続は,①申立人が一定以上の財産を持っているか,②財産の状況について調査の必要があるか,③債務を負った原因について調査の必要があるか,などによって,次の二つの手続に分かれます。申立人に①~③のような事情がある場合,裁判所が破産管財人を選任して手続を進めるため,そのための費用を申立人が負担する必要があります。しかし,申立人に①~③のような事情がない場合は,破産管財人を選任しないで手続を進めます。

出典:千葉地方裁判所「破産・免責手続について-よくあるご質問-」Q5(2026年8月時点)

管財人を選任しないで進める類型が、一般に同時廃止と呼ばれています。管財人が選任される類型は管財事件です。どちらになるかは、借金の額ではなく「財産があるか」「調査が必要か」で決まります。

💡 ポイント

管財事件になると、郵便物が破産管財人に転送されたり、裁判所の許可なく転居できなくなるといった制約が加わります。手続きにかかる時間も長くなります。「自己破産は◯か月で終わる」と一律には言えず、どちらの類型になるかと裁判所の運用によって変わります。

費用の目安(裁判所に納める実費と、法テラスの立替)

😟
相談者

お金がないから破産したいのに、その手続きにお金がかかるって…矛盾していませんか。

👩
あかり

その矛盾のために、公的な立替制度があります。まず「いくらかかるか」を公表された数字で見てから、立替の話をしますね。

① 裁判所に納める費用(東京地方裁判所の例)

裁判所に納める実費は公表されています。東京地方裁判所民事第20部の「破産事件の手続費用一覧(令和8年1月1日現在)」では、次のとおりです。

項目 金額
申立手数料(個人の自己破産および免責)1,500円
予納金(同時廃止)13,046円
予納金(個人の管財事件)最低20万円、および個人1件につき20,397円
予納郵券4,950円

出典:東京地方裁判所民事第20部「破産事件の手続費用一覧(令和8年1月1日現在)」(2026年8月時点)

これは東京地裁の額です。金額や運用は裁判所によって異なるため、申し立てる裁判所の公表資料を確認してください。

② 弁護士・司法書士への費用(法テラスの立替基準)

弁護士・司法書士の費用に公的な一律料金表はありません(事務所ごとに決まります)。ただし、法テラス(日本司法支援センター)の立替制度には公表された基準があり、これが現実的な目安になります。

債権者数 着手金 実費 合計
1〜10社132,000円23,000円155,000円
11〜20社154,000円23,000円177,000円
21社以上187,000円23,000円210,000円

出典:法テラス「自己破産 費用の目安」(2026年8月時点)

法テラス自身が「実際の費用は、事件の内容等により審査によって決まります。必ずこの金額になるとは限りませんのでご注意ください」と注記しています。あくまで立替基準の目安であって、どこに頼んでもこの金額になるという意味ではありません。なお自己破産事件については、法テラスは「原則として報酬金は発生しませんが、過払金を回収できた場合、報酬金が発生します」としています。

💡 見落とされがちな注意点

法テラスは立替えできない費用について、「生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とはなりません」と明記しています。つまり裁判所に納める予納金は、原則として自分で用意する必要があります。管財事件になりそうな場合は、ここが実際のハードルになります。

③ 立替制度が使える条件と、返済のしかた

法テラスの立替制度は、立て替えた費用を分割で法テラスに返済していく仕組みです。利用できるのは次の3つを満たす人です。

  • 収入や資産が一定基準以下であること
  • 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  • 民事法律扶助の趣旨に適すること

審査では「援助開始決定の有無や、弁護士や司法書士に支払う着手金や実費の金額、立替金の支払い方法や月額を決定します」とされており、月々の返済額も審査で決まります。申込みから決定までは通常2週間程度とされています。

そして、いま生活が最も苦しい人にとって重要なのが次の記載です。

生活保護を受給している場合でも、法テラスの立替制度はご利用いただけます。生活保護を受給中の間は、返済は猶予されます。また、事件が全て終了した後も生活保護を受給されている場合は、返済の免除の申請ができます。

出典:法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」(2026年8月時点)

ただし免除は自動ではありません。法テラスは弁護士・司法書士向けのQ&Aで、援助開始時に生活保護を受給していれば必ず免除になるのかという問いに対し、「免除の可否は、被援助者のすべての援助事件が終結後、被援助者が免除申請をした時点での被援助者の状況や事件の結果得た利益等をあわせて審査します」と回答しています。

✅ このセクションのまとめ

「お金がないから手続きできない」は、必ずしも正しくありません。弁護士・司法書士費用は無利息で立て替えて分割にできます。ただし裁判所の予納金は原則として立替対象外です。債務整理の費用が払えない…分割・後払いや法テラスの立替制度 もあわせてご覧ください。

そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。

免責が認められないことがある(免責不許可事由)

😥
相談者

実は、借金が膨らんだ原因にギャンブルが含まれています。もう無理ですよね…。

👩
あかり

たしかに条文には挙がっています。ただ、それで終わりではありません。破産法には「それでも許可できる」という項があるんです。

破産法252条1項は、裁判所は次の事由のいずれにも該当しない場合には免責許可の決定をするという書き方をしています。つまり、以下が免責不許可事由です(要約)。

  • 1号:債権者を害する目的での財産の隠匿・損壊・不利益な処分など
  • 2号:破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、または信用取引で商品を買い入れて著しく不利益な条件で処分したこと
  • 3号:特定の債権者にだけ返済するなど、義務にない担保供与や債務消滅行為(いわゆる偏頗弁済)
  • 4号:浪費または賭博その他の射幸行為によって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担したこと
  • 5号:申立て前1年以内に、支払不能を知りながら詐術を用いて信用取引で財産を取得したこと
  • 6号:帳簿・書類等の隠滅、偽造、変造
  • 7号:虚偽の債権者名簿の提出
  • 8号:裁判所の調査で説明を拒み、または虚偽の説明をしたこと
  • 9号:不正の手段による破産管財人等の職務妨害
  • 10号:前回の免責許可決定の確定などから7年以内の免責許可の申立て
  • 11号:破産法に定める義務への違反

出典:e-Gov法令検索「破産法」252条1項(2026年8月時点)

そのうえで、破産法252条2項は次のように定めています。

前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

これが裁量免責と呼ばれる規定です。事由に当たれば即アウト、という条文にはなっていません。ただし、どう判断されるかは事案ごとです。「必ず免責される」とは誰にも言えませんので、心当たりがある場合ほど、隠さずに専門家へ事情を伝えることが結果的に近道になります。

💡 依頼を決めた「あと」の行動にも注意

3号(特定の債権者だけへの返済)や5号(支払不能を知りながらの借入れ)は、相談したあとにやってしまいがちな行動です。詳しくは 債務整理でやってはいけないこと|依頼前後のNG行動 にまとめています。

免責不許可事由に心当たりがある場合ほど、隠さず早めに専門家へ相談してください。

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生活への影響(デメリットと、それが「いつまで」続くか)

😟
相談者

いいことばかりではないですよね。正直なところを教えてください。

👩
あかり

はい。「何が起きるか」だけでなく「いつまで続くか」までセットで見ていきましょう。終わりが見えると、判断しやすくなります。

① 信用情報に記録が残る(いわゆる「ブラックリスト」)

まず前提として、CIC(指定信用情報機関)は公式のよくある質問で次のように述べています。

当社が保有する信用情報に、ブラックリストという名のリストはありません。保有しているのは、客観的な取引事実を表す信用情報になります。

出典:CIC「支払いが遅れると、ブラックリストとしてCICに登録されるのですか?」(2026年8月時点)

「リストに載る」のではなく「取引の事実が記録される」というのが正確な理解です。そのうえで、記録が残る期間は機関ごとに公表されています。

信用情報機関 公表されている保有期間
CIC(主にクレジット会社・信販)クレジット情報は契約中および契約終了から5年間。破産の場合は「免責許可決定が確認できた会員会社によるコメントが登録された報告日」が起算点。官報情報は平成21年4月1日より収集・保有を中止しており現在は保有していない
JICC(主に消費者金融)2019年10月1日以降の契約は、契約内容・返済状況・取引事実(債務整理や破産申立等)とも「契約継続中および契約終了後5年以内」
KSC(全国銀行協会・銀行系)取引情報は契約終了日から5年を超えない期間。官報情報(破産手続開始決定など)は当該決定日から7年を超えない期間

出典:CIC「自己破産の登録は何年間ですか?」/JICC「登録情報と登録期間」/全国銀行協会「全国銀行個人信用情報センターの概要」(2026年8月時点)

💡 ここ、勘違いされがち

記録が消えることと、審査に通ることは別の話です。CICは審査について「各クレジット会社では、独自の審査基準に基づいて審査を行っております」としており、「◯年経てば必ずカードを作れる」と保証する公的な仕組みはありません。自分の記録は開示請求で確認できます(信用情報の開示請求のやり方)。

② 官報に掲載される

破産手続開始の決定や免責許可の決定は、官報(国が発行する公告紙)に住所・氏名とともに掲載されます。一方で、戸籍や住民票に記載されることはありません。上の表のとおり、KSC(銀行系)はこの官報情報を決定日から7年を超えない期間保有します。

家族や勤務先に知られるかどうかについては 債務整理は家族・会社にばれる?ばれる原因とばれにくくする方法 で、原因ごとに整理しています。

③ 資格・職業の制限は「手続き中」のもの

手続きの間、一部の資格・職業に就けなくなる制限があります。よく挙げられるのは、弁護士・司法書士・税理士などの士業、警備員、生命保険募集人などです。ここで大切なのは、この制限が一時的なものだという点です。

破産法255条1項は、次の場合に復権すると定めています。

  • 1号:免責許可の決定が確定したとき
  • 2号:破産法218条1項の規定による破産手続廃止の決定が確定したとき
  • 3号:再生計画認可の決定が確定したとき
  • 4号:破産手続開始の決定後、破産法265条の罪について有罪の確定判決を受けることなく10年を経過したとき

出典:e-Gov法令検索「破産法」255条(2026年8月時点)

免責許可の決定が確定すれば復権します。同条2項は「前項の規定による復権の効果は、人の資格に関する法令の定めるところによる」としており、資格の回復は各資格の法令に従います。なお、選挙権や被選挙権を失うことはありません。

④ 保証人に請求が行く

前述のとおり、免責の効力は保証人に及びません(破産法253条2項)。千葉地方裁判所も、免責が許可された場合に保証人へ影響があるかという質問に対し、「免責の効果は保証人には及ばないので,保証人の支払義務はなくなりません。」と回答しています。

出典:千葉地方裁判所「破産・免責手続について-よくあるご質問-」Q22(2026年8月時点)

⑤ 手続き中の制約と、財産の処分

管財事件になった場合は、郵便物が破産管財人に転送され、裁判所の許可なく転居できないといった制約が加わります。また、手続き中は新たな借入れやクレジットカードの利用ができなくなります。財産は前述の自由財産の範囲を超える部分が換価の対象です。

✅ このセクションのまとめ

影響はどれも「期限つき」です。信用情報は5年(銀行系の官報情報は7年を超えない期間)、資格制限は免責許可決定の確定で復権。ただし保証人の義務だけは残ります。

それでも、いつ終わるかわからないまま抱え込むより、今の状況を確認するほうが、次に何をすべきかが見えてきます。

万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。

手続きの流れ

🚶 申立てから免責確定まで

  1. 弁護士・司法書士に相談し、依頼する
  2. 受任通知の送付(貸金業者からの直接の取立てが止まります)
  3. 債権調査・申立書類の作成(借入先の一覧、家計の状況、財産の資料など)
  4. 裁判所へ申立て(申立手数料・予納金を納付)
  5. 裁判所の審理。管財事件なら破産管財人による調査と債権者集会
  6. 免責許可の決定 → 確定して効力が生じる(破産法252条7項)

ステップ2の受任通知には、法律上の裏づけがあります。貸金業法21条1項9号は、弁護士等に手続きを委託した旨の書面による通知を受けた後、貸金業者が正当な理由なく、①債務者等に電話をかけ、電報を送達し、ファクシミリ装置を用いて送信し、または訪問する方法で弁済を要求すること、②これらの方法により直接要求しないよう求められたにもかかわらず、さらにこれらの方法で要求すること、を禁止しています。「取立てが止まる」のは、この規定によるものです。

出典:e-Gov法令検索「貸金業法」21条1項9号(2026年8月時点)

向いている人・向いていない人

検討する価値がある状況 他の方法を先に考えたい状況
収入や財産では、どう組み替えても返済しきれない 持ち家を残したい(→個人再生の住宅ローン特則)
利息をカットしても月々の返済が成り立たない 借金の主な中身が税金・国民健康保険料(免責されません)
残せる財産がほとんどなく、収入も不安定 親族が保証人になっている(保証人へ請求が行きます)
督促や差押えが始まっており、生活が回らない 手続き中に就けない資格で働いている(時期の調整が要ります)

4つの方法の比較は 債務整理とは?4つの方法と選び方 に、金額別の考え方は 借金200万・300万・500万が返せない…金額別に見る現実的な選択肢 にまとめています。

「他の方法を先に考えたい状況」に当てはまる場合も、どの手続きが向いているかは無料相談で具体的に確認するのが最短です。

返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。

そのまま放置すると、何が起きるのか

「怖いから動かない」を選んだ場合に何が進むのかも、事実として確認しておきます。脅すためではなく、比べて判断するためです。

  • 遅延損害金が積み上がる:利息制限法7条1項は、営業的な貸付けの遅延損害金について年2割(20%)を超える部分を無効としています。裏を返せば、その範囲内で加算され続けます。
  • 一括請求と裁判手続きへ:支払督促や訴訟が起こされます。支払督促は受け取ってから2週間以内に督促異議を出せるなど、期限のある手続きです(督促状・裁判所からの通知が届いたら?)。
  • 給与の差押え:民事執行法152条1項により、給与は原則として4分の3が差押禁止です。ただし、その4分の3にあたる額が政令で定める額を超えるときは、差押えが禁止されるのは政令で定める額までとなり、毎月払いの場合その額は33万円です(民事執行法施行令2条1項1号)。つまり手取りの4分の3が33万円を超える場合、33万円を超える部分は差押えの対象になります。

出典:e-Gov法令検索「利息制限法」7条/同「民事執行法」152条/同「民事執行法施行令」2条(2026年8月時点)

💡 いま、気持ちが限界に近い方へ

借金の悩みで眠れない、消えてしまいたいと感じることがあるときは、お金の手続きより先に、話を聞いてくれる公的な窓口があります。よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・無料)、#いのちSOS 0120-061-338(24時間365日・無料)、こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556。(厚生労働省「まもろうよ こころ」)。借金は法律の手続きで整理できます。まずはあなたの安全が先です。

よくある質問

🤔
相談者

最後に、みんなが気になりそうなことをまとめて聞いてもいいですか?

👩
あかり

もちろんです。よく聞かれるものから順にお答えしますね。

Q. 財産はすべて処分されてしまいますか?

いいえ。破産法34条3項1号により99万円までの金銭は破産財団に属さず、同項2号により差押えが禁止されている財産(生活に欠かせない家財道具など)も対象外です。さらに同条4項により、裁判所が生活の状況などを考慮して残せる範囲を拡張することもあります。ただし、どの財産をどう扱うかの具体的な運用は裁判所によって異なります。

Q. 手続きにはどれくらいの期間がかかりますか?

期間を全国一律に定めた公的な基準はありません。管財人が選任されるかどうか(同時廃止か管財事件か)と、申し立てる裁判所の運用によって変わります。管財事件は、財産や債務を負った原因の調査を伴うぶん長くなります。

Q. ギャンブルが原因でも申し立てられますか?

浪費や賭博などの射幸行為によって著しく財産を減少させたことは、破産法252条1項4号の免責不許可事由に挙げられています。ただし同条2項に裁量免責の規定があり、裁判所は一切の事情を考慮して免責を許可することができます。結果は事案ごとに判断されるため、あらかじめ「大丈夫」とも「無理」とも言えません。隠さず相談することが前提になります。

Q. 会社をクビになりますか?

破産したことを理由とする解雇を認める法律の規定はありません。ただし、手続き中に就けない資格・職業がある点は別問題です。該当する職種で働いている場合は、時期の調整も含めて事前に相談してください。

Q. 過去に自己破産したことがあります。もう一度できますか?

破産法252条1項10号は、前回の免責許可決定の確定などから7年以内の免責許可の申立てを免責不許可事由としています。7年を超えていれば、この号には当たりません。7年以内でも、同条2項の裁量免責の余地は残ります。

Q. 司法書士に頼んでも同じですか?

破産事件について、司法書士は裁判所に提出する書類の作成を行うことはできますが、弁護士のように代理人として手続きを進めることはできません。任意整理では、司法書士法3条1項7号と裁判所法33条1項1号により「140万円」という上限が定められており、最高裁判所平成28年6月27日判決は、この額を個別の債権の価額で判断するとしています。どちらに依頼するかは、事案の内容で変わります。

出典:最高裁判所 平成28年6月27日判決(民集70巻5号1306頁)(2026年8月時点)

✅ まとめ

自己破産は、支払不能になった人が生活を立て直すために法律が用意した手続きです。免責されない借金があり、保証人の義務も残りますが、残せる財産の範囲も、制限が終わるタイミングも条文で定められています。「全部なくなる/人生が終わる」というイメージと、実際の制度はかなり違います。

👩
あかり

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本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年8月時点)

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