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・「お金がないから自己破産を考えているのに、その費用が数十万円もかかると聞いた」
・「費用を用意できないなら、自己破産もできないということだろうか」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、財産がほとんど残っていない場合(同時廃止事件)に裁判所へ納めるお金は、合計で2万円ほどです。東京地方裁判所民事第20部の「破産事件の手続費用一覧」(令和8年1月1日現在)では、個人の自己破産及び免責の申立手数料が1,500円、同時廃止事件の予納金基準額が13,046円、予納郵券が4950円とされています。
とはいえ、破産管財人が選任される「管財事件」になると、予納金は最低20万円になり、しかもこの予納金は法テラスの立替えの対象外になるのも事実です(法テラスは「また、生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とはなりません。」と明示しています)。
本記事では、自己破産の費用が何と何に分かれていて、それぞれいくら・いつ払うのかと、用意できないときにどの順番で手を打つのかについて紹介します。
すでに申立てを決めている人はもちろんのこと、「費用が作れないから動けない」という人も、どの費用が立替えの対象で、どの費用がそうでないのかをしっかりと理解しておきましょう。

自己破産をしたいのですが、費用が用意できません。いくら必要なんでしょうか。

費用は3つに分かれています。裁判所に納めるお金、管財人のための予納金、弁護士などへの費用です。全部が数十万円というわけではありません。

管財人という言葉が出てくると、急に高くなると聞きました。

そこが分かれ目です。管財事件になると予納金は最低20万円です。ただ、どちらになるかは財産の状況で決まります。

弁護士に頼むお金もありません。自分で申し立てたほうが安いですよね。

そこは逆になることがあります。東京地裁の費用一覧では、本人で申し立てる管財事件の予納金は自然人でも50万円からと決められています。
🔎 30秒でわかる結論
- ★自己破産の費用は3つに分かれる=①裁判所に納めるお金(申立手数料・予納郵券)②予納金(管財事件になった場合の破産管財人の費用)③弁護士・司法書士に払うお金
- ★同時廃止事件なら、裁判所に納めるお金は2万円ほど=申立手数料1,500円+予納金13,046円+予納郵券4950円(東京地裁民事第20部・令和8年1月1日現在)
- ★管財事件になると予納金は最低20万円(個人管財事件=最低20万円及び個人1件につき20,397円/東京地裁)
- ★本人で申し立てる管財事件は、かえって予納金が高い=負債総額5,000万円未満でも自然人50万円(東京地裁の「債権者破産申立事件及び本人申立事件」の表)。代理人を付けるかどうかで納める額そのものが変わる
- ★弁護士費用は法テラスが立替える(自己破産の目安=債権者1〜10社で155,000円=着手金132,000円+実費23,000円。原則として報酬金は発生しない)
- ★ただし予納金は立替えの対象外=法テラス「また、生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とはなりません。」
- 生活保護を受給していれば、受給中は返済が猶予され、事件終了後も受給していれば免除の申請ができる(法テラス)
📖 この記事でわかること
- 自己破産の費用が分かれている「3つの財布」
- 裁判所に納めるお金はいくらか(公表されている実額)
- 同時廃止事件と管財事件の分かれ目(何があると管財になるのか)
- 自分で申し立てたほうが安い、が成り立たない場合
- それぞれ「いつ」払うのか
- 費用が用意できないときに打つ手の順番(法テラスの立替えと、その対象外)
- 費用を理由に先延ばしすると何が起きるか
自己破産の費用が分かれている「3つの財布」

ネットで見る金額がバラバラで、何を信じればいいのか分かりません。

3つを混ぜて書いているからです。分けて見ると、公表されている金額と事案で変わる金額がはっきりします。
自己破産で出ていくお金は、次の3つに分かれます。①は必ずかかり、②は管財事件になった場合だけ、③は依頼するかどうかで変わります。
| どこに払うか | 中身 | 金額が決まる仕組み |
|---|---|---|
| ① 裁判所(申立ての費用) | 申立手数料(収入印紙)・予納郵券(郵便切手) | 裁判所が公表している固定額 |
| ② 裁判所(予納金) | 官報公告の費用や破産管財人の報酬に充てられるお金 | 同時廃止事件か管財事件か、また代理人を付けるかで額が変わる |
| ③ 弁護士・司法書士 | 着手金・実費(報酬金は事案による) | 依頼先との契約による。法テラスの立替制度を使える場合がある |
※②が「管財人費用」と呼ばれることがあります。破産管財人へ直接支払うのではなく、裁判所に予納したお金から支払われます。
破産法22条1項は「破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。」と定めています。予納金は申立てのときに納めるお金で、「あとで払う」「分割で裁判所に払う」ものとしては定められていません。
💡 ここ、勘違いされがち
「自己破産にかかる費用はいくら」という1つの答えはありません。同じ自己破産でも、②が1万3千円ほどで済む人と、20万円以上必要な人がいます。そしてその分かれ目は借金の額ではなく、財産の状況です。次の章で、公表されている実額と分かれ目を見ます。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
裁判所に納めるお金はいくらか(公表されている実額)

裁判所に払うお金は、どこで確認できるんですか。

各地の裁判所が一覧で公表しています。ここでは件数がいちばん多い東京地裁の表でご説明します。地裁によって額は変わります。
東京地方裁判所民事第20部が公表している「破産事件の手続費用一覧」(令和8年1月1日現在)は次のとおりです。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 申立手数料(貼付印紙額) | 個人自己破産及び免責申立て 1,500円 | 収入印紙で納付。法人自己破産は1,000円、債権者破産申立ては20,000円 |
| 予納金(同時廃止事件) | 13,046円 | 中目黒庁舎において「現金」納付する場合は「14,000円」 |
| 予納金(個人管財事件・自己破産申立て) | 最低20万円 及び 個人1件につき20,397円 | 中目黒庁舎において「現金」納付する場合は「21,000円」 |
| 予納郵券(自己破産申立て) | 4950円 | 内訳は500円×4枚、180円×1枚、110円×22枚、50円×4枚、10円×15枚 |
出典:東京地裁民事第20部「破産事件の手続費用一覧」(令和8年1月1日現在)(2026年9月時点)
💡 ポイント
同時廃止事件なら、裁判所に納めるお金の合計は1,500円+13,046円+4,950円=19,496円です(東京地裁の場合)。法テラスも同時廃止事件について「債権者に配当できる資産がなく、免責不許可事由も存在しないなど、破産管財人の選任が必要ない場合(同時廃止事件)は、裁判所に納める実費や申立てまでにかかる実費として3万円弱程度が必要です。」と説明しています。
管財事件については、法テラスは「破産管財人の選任が必要な場合(管財事件)は、資産の額に応じて、裁判所に数十万円~数百万円の予納金を納める必要があります。」と説明しています。東京地裁の表でいえば、個人管財事件の下限が最低20万円です。
💡 ここ、勘違いされがち
予納金の額は裁判所ごとに違います。ここに挙げたのは東京地裁の額なので、申立てをする裁判所の公表値を必ず確認してください。また東京地裁の一覧にも「※予納金額は、事案に応じて変更される場合があります。」と注記があります。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
同時廃止事件と管財事件の分かれ目(何があると管財になるのか)

自分がどちらになるのか、先に分かりますか。

目安は公表されています。ただし最終的に決めるのは裁判所です。裁判所の専決事項と明記されています。
東京地裁民事第20部は、破産手続について次のように説明しています。「破産法では、破産管財人が選任される「管財事件」として手続を進めるのが原則とされています。ただし、債務者の財産が極めて少なく、財産を換価してもその中から破産手続の費用も支出できないと確実に認められる場合には、破産管財人を選任せずに破産手続を終了することもあります。これを「同時廃止事件」といいます。管財事件となるか同時廃止事件となるかは、裁判所の専決事項です。」
そして管財事件として取り扱われる場合の例として、同部は次の7つを挙げています。
| 管財事件として取り扱われる場合の例(東京地裁民事第20部) |
|---|
| ① 債務者に、33万円以上の現金がある場合 |
| ② 債務者に、20万円以上の換価対象資産がある場合(預貯金、保険の解約返戻金、未払報酬・賃金など) |
| ③ 債務者が所有する不動産の被担保債権額が不動産処分価格の1.5倍未満の場合 |
| ④ 債務者の資産調査が必要な場合 |
| ⑤ 債務者が法人の場合 |
| ⑥ 債務者が法人の代表者又は個人事業者の場合 |
| ⑦ 債務者の免責調査を経ることが相当な場合 |
出典:東京地裁民事第20部「よくある質問」(2026年9月時点)
この建て付けは条文にも現れています。破産法216条1項は「裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。」と定め、同条2項で「前項の規定は、破産手続の費用を支弁するのに足りる金額の予納があった場合には、適用しない。」としています。財産が無いから安く終わるという順番です。
💡 ここ、勘違いされがち
「少額管財」という言葉は、東京地裁の公式文書には出てきません。実務でそう呼ばれている運用は、上の表の「個人管財事件 最低20万円」に対応します。検索で「少額管財20万円」と出てくるのは、この額を指しているものです。
✅ このセクションのまとめ
管財になるかどうかは財産の状況で決まり、決めるのは裁判所です。現金33万円・資産20万円が目安の線として公表されています。自分がどちらの見込みかは、資料をそろえて相談すれば早い段階で見当がつきます。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
「自分で申し立てたほうが安い」が成り立たない場合

弁護士費用を節約するために、自分で申し立てるのはどうでしょうか。

予納金の額そのものが変わります。東京地裁の表では、本人で申し立てる管財事件は自然人でも50万円からです。
東京地裁の「破産事件の手続費用一覧」には、「③ 管財事件(債権者破産申立事件及び本人申立事件)」という区分があり、負債総額に応じた予納金の表が載っています。自然人(個人)の場合は次のとおりです。
💡 2つの軸を混ぜないために
この表は「同時廃止か管財か」を分ける基準ではありません。分かれ目は前章のとおり財産の状況で、決めるのは裁判所です。この表はすでに管財事件になった場合に、本人申立て(や債権者による申立て)でいくら予納するかを負債総額で決める算定表=別の軸の仕組みです。
| 負債総額 | 自然人の予納金 | 法人の予納金 |
|---|---|---|
| 5000万未満 | 50万円 | 70万円 |
| 5000万 ~ 1億未満 | 80万円 | 100万円 |
| 1億 ~ 5億未満 | 150万円 | 200万円 |
| 5億 ~ 10億未満 | 250万円 | 300万円 |
出典:東京地裁民事第20部「破産事件の手続費用一覧」(令和8年1月1日現在)③の表(2026年9月時点)
この表の額には、さらに加算があります。一覧には「本人申立事件は、加えて、法人1件につき16,264円(中目黒庁舎において、現金納付する場合は「17,000円」)、個人1件につき20,397円 (中目黒庁舎において、現金納付する場合は「21,000円」)が必要です。」と書かれているため、本人申立ての管財事件(自然人・負債総額5,000万円未満)の下限は50万円+20,397円になります。
一方、代理人が付いた自己破産申立ての個人管財事件は最低20万円及び個人1件につき20,397円です。つまり管財事件になる見込みの人は、本人で申し立てると予納金だけで30万円前後の差が出る構造になっています(東京地裁の場合)。
💡 ポイント
裁判所自身も、手続きを専門家に相談することを勧めています。東京地裁は個人再生について「個人再生手続は債権者一覧表や再生計画案が作成できないと手続が進められず、最終的には手続が廃止により終了することになります。個人再生手続を選択することも含め、弁護士等の専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。」と案内しています。書類の作成でつまずくと手続そのものが終わってしまう、という点は破産でも同じです。
✅ このセクションのまとめ
同時廃止で終わる見込みなら、費用の差は弁護士費用の分だけです。しかし管財になる見込みなら、本人申立てのほうが予納金で高くつくことがあります。どちらの見込みかを先に見立てることが、費用を決める最初の分岐です。
管財になるかどうかが自分で判断できないという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
それぞれ「いつ」払うのか

お金は、どの段階でまとめて必要になるんでしょうか。

裁判所のお金は申立てのときです。弁護士などの費用は依頼のときですが、そこは立替えと分割の話ができます。
| 費用 | いつ払うか | 分割できるか |
|---|---|---|
| 申立手数料・予納郵券 | 申立てのとき(収入印紙・郵便切手を申立書に付けて提出) | 少額のため実務上は一括 |
| 予納金 | 申立てのときに裁判所へ納める(破産法22条1項=「破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。」) | 法テラスの立替えの対象外(生活保護受給者を除く)。裁判所ごとに納付方法の取扱いがあるため、申立てをする裁判所に確認する |
| 弁護士・司法書士の着手金・実費 | 依頼のとき(契約内容による) | 法テラスの立替えを使えば、法テラスへの分割返済になる |
※予納金を分割で納めることができるかどうかは裁判所の運用によります。公表されている一覧には分割の定めは書かれていません。
法テラスの立替制度は、公式に「借金や離婚などの問題の解決のために、調停、訴訟などの裁判手続きや相手方との示談交渉、裁判所に提出する書類の作成を弁護士や司法書士に依頼をした場合の費用(着手金・実費など)を法テラスが立て替え、分割で法テラスに返済していただく制度です。」と説明されています。審査では「援助開始決定の有無や、弁護士や司法書士に支払う着手金や実費の金額、立替金の支払い方法や月額を決定します。」とされており、毎月いくら返すかは審査で決まる仕組みです。
💡 ポイント
審査の期間について法テラスは、通常は申込みから決定まで2週間程度かかると説明しています(提出書類の不備やお盆・年末年始はさらにかかる場合があるとの注記あり)。費用の話は、動き出す前に決まるということです。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
費用が用意できないときに打つ手の順番

どれも払えないときは、もう手がないということですか。

順番があります。先に立替えが使えるかを確認し、次に予納金だけは別に考える。この2段です。
① 弁護士・司法書士の費用=法テラスの立替えを確認する
法テラスの立替制度を使える条件は、公式に次の3つとされています。「1 収入や資産が一定基準以下であること 2 勝訴の見込みがないとはいえないこと 3 民事法律扶助の趣旨に適すること」。収入が少ないほど条件は満たしやすくなります。
自己破産の立替額の目安は、法テラスが債権者数ごとに公表しています。
| 債権者数 | 着手金 | 実費 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1~10社 | 132,000円 | 23,000円 | 155,000円 |
| 11~20社 | 154,000円 | 23,000円 | 177,000円 |
| 21社以上 | 187,000円 | 23,000円 | 210,000円 |
出典:法テラス「自己破産 費用の目安」(2026年9月時点)
この目安には「※実際の費用は、事件の内容等により審査によって決まります。必ずこの金額になるとは限りませんのでご注意ください。また、事件の困難度等に応じて着手金が増減する場合があります。」という注記が付いています。また自己破産については「原則として報酬金は発生しませんが、過払金を回収できた場合、報酬金が発生します。」とされています。
② 予納金=立替えの対象外なので、別に考える
💡 ここ、勘違いされがち
ここがいちばん誤解されている点です。法テラスは「また、生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とはなりません。」と明示しています。つまり管財事件になる見込みの人は、最低20万円の予納金を自分で用意する必要があります(東京地裁の場合)。「なお、民事再生事件の予納金については、生活保護の受給の有無にかかわらず、立替えの対象とはなりません。」とも書かれています。
生活保護を受給している場合は取扱いが変わります。法テラスは「生活保護を受給している場合でも、法テラスの立替制度はご利用いただけます。生活保護を受給中の間は、返済は猶予されます。また、事件が全て終了した後も生活保護を受給されている場合は、返済の免除の申請ができます。」と説明しています。
費用の見通しが立ちやすい人
- 同時廃止で終わる見込み(現金33万円未満・換価対象資産20万円未満が目安)
- 収入や資産が法テラスの基準以下に収まる
- 生活保護を受給している(予納金も立替えの対象・返済は猶予)
予納金の準備を先に考える必要がある人
- 不動産・車・保険の解約返戻金などの資産がある
- 個人事業主・法人の代表者だった(管財事件の例に挙げられている)
- 免責調査が必要と判断されうる事情がある
どちらに当たるかは、資産の状況が分かれば早い段階で見当がつきます。「費用が作れないから相談できない」ではなく、いくら必要かを確定させるために相談するのが順番です。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
費用を理由に先延ばしすると、何が起きるか

お金を貯めてから相談したほうがいいでしょうか。

そこはおすすめできません。待っている間に遅延損害金が増え、裁判の手続きが進みます。費用より先に、増える側が動きます。
先延ばしの間に進むことを、事実で並べます。
| 先延ばしの間に進むこと | 根拠 |
|---|---|
| 遅延損害金が付き続ける(営業的金銭消費貸借の賠償額の予定は年2割が上限) | 利息制限法7条1項 |
| 債権者が支払督促を申し立て、放置すれば2週間ずつ2段階で確定する | 民事訴訟法382条・391条1項・393条・396条 |
| 確定後は給与や預金の差押えが申し立てられる(給与は原則4分の3が守られる。政令額は毎月払い33万円) | 民事執行法152条1項/同法施行令2条1項1号 |
| 確定判決等で確定した権利の時効期間は10年になる | 民法169条1項 |
※「待てば時効で消える」という見込みは、裁判の手続きが入ると崩れます。
一方で、手続きをした場合の不利な点も先に挙げます。自己破産では財産の処分、一定の資格・職業の制限、官報への掲載があります。信用情報については、CICがクレジット情報の保有期間を「契約期間中および契約終了後5年間」と公表しています。また免責の決定は保証人その他共に債務を負担する者に対して有する権利に影響を及ぼさないとされています(破産法253条2項)。
💡 ポイント
手元に残せる財産の範囲も条文で決まっています。破産法34条3項1号は自由財産として「民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百三十一条第三号に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭」を挙げており、民事執行法施行令1条がその額を66万円と定めているため、99万円までの現金が手元に残る計算になります。さらに破産法34条4項により、裁判所は破産財団に属しない財産の範囲を拡張できます。
✅ このセクションのまとめ
費用を貯める時間は、相手が手続きを進める時間でもあります。同時廃止の見込みなら裁判所に納めるお金は2万円ほど、弁護士費用は立替えと分割の話ができます。いくら必要かを先に確定させるほうが、結果として安く済みます。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
よくある質問

もう少し細かいところを聞いてもいいですか。

どうぞ。費用のことでよく聞かれる点を並べます。
Q. 自己破産の費用は総額でいくらになりますか?
A. 公表されている固定額と、事案で変わる額に分かれます。東京地裁の場合、同時廃止事件なら裁判所に納めるお金は申立手数料1,500円+予納金13,046円+予納郵券4,950円=19,496円です。管財事件になると予納金が最低20万円加わります。弁護士費用は依頼先との契約で決まりますが、法テラスの立替えを使う場合の目安は債権者1〜10社で155,000円です。「総額◯円」と一つの数字で言えないのは、管財になるかどうかで20万円以上動くからです。
Q. 管財人費用と予納金は違うものですか?
A. 実際には同じお金を指していることが多いです。破産管財人の報酬は、申立人が裁判所に納めた予納金から支払われます。破産管財人に直接支払うのではなく、裁判所に予納するという形をとります(破産法22条1項)。そのため「管財人費用20万円」と「管財事件の予納金20万円」は、同じものの別の呼び方です。
Q. 少額管財なら20万円で済むと聞きました。本当ですか?
A. 「少額管財」という言葉は東京地裁の公式文書には使われていません。実務でそう呼ばれている運用に対応するのは、東京地裁の費用一覧にある「個人管財事件 最低20万円 及び 個人1件につき20,397円」です。「最低」と書かれているとおり、これは下限であり、一覧にも「※予納金額は、事案に応じて変更される場合があります。」という注記が付いています。
Q. 費用を分割で払いながら手続きを進められますか?
A. 弁護士・司法書士に払う費用については、法テラスの立替えを使えば法テラスへの分割返済になります。審査で「立替金の支払い方法や月額を決定します。」とされています。一方、裁判所に納める予納金は申立てのときに納めるお金で、公表されている費用一覧に分割の定めは書かれていません。予納金の納付方法は裁判所ごとの取扱いがあるため、申立てをする裁判所で確認してください。
Q. 生活保護を受けていても自己破産できますか?費用はどうなりますか?
A. 法テラスは「生活保護を受給している場合でも、法テラスの立替制度はご利用いただけます。」と明示しています。「生活保護を受給中の間は、返済は猶予されます。」「事件が全て終了した後も生活保護を受給されている場合は、返済の免除の申請ができます。」とも書かれています。また、予納金が立替えの対象外とされているのは「生活保護を受給している方を除き」なので、生活保護を受給している場合は予納金も立替えの対象になります。
Q. 2回目の自己破産でも費用は同じですか?
A. 裁判所に納める費用の一覧は、回数で分けられていません。ただし免責の要件に前回からの年数の定めがあります。破産法252条1項10号は、免責許可の決定が確定した日などから「七年以内に免責許可の申立てがあったこと。」を免責不許可事由として挙げています。対象には給与所得者等再生における再生計画の遂行も含まれるため、「前回が個人再生だった」場合も年数の確認が必要です。なお同条2項には裁量免責の定めがあります。
Q. 申立てを自分でやれば、費用はいちばん安くなりますか?
A. 同時廃止で終わる見込みなら、弁護士費用の分だけ安くなります。しかし管財事件になる見込みの場合は逆です。東京地裁の費用一覧では、「③ 管財事件(債権者破産申立事件及び本人申立事件)」の予納金は負債総額5,000万円未満でも自然人で50万円とされており、代理人が付いた自己破産申立ての個人管財事件(最低20万円)より高くなります。
Q. 費用の相談だけしてもいいのですか?
A. はい。費用の見通しを聞くだけの相談もできます。公的な窓口は無料で、法テラスの無料法律相談や、金融庁・日本貸金業協会などの多重債務相談窓口があります。依頼するかどうかは、金額と見通しを聞いてから決められます。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
まとめ
自己破産の費用は、次のように整理できます。
🔎 30秒でわかる結論
- 費用は①裁判所に納めるお金 ②予納金 ③弁護士・司法書士の費用の3つに分かれる
- 同時廃止事件なら①+②は19,496円(申立手数料1,500円+予納金13,046円+予納郵券4,950円/東京地裁・令和8年1月1日現在)
- 管財事件になると予納金は最低20万円。分かれ目は借金の額ではなく財産の状況(現金33万円以上・換価対象資産20万円以上が管財の例)で、決めるのは裁判所
- 本人で申し立てる管財事件は自然人でも50万円から=代理人を付けるかで納める額そのものが変わる
- ③は法テラスの立替え+分割返済が使える(自己破産の目安=1〜10社155,000円・原則として報酬金は発生しない)
- ただし予納金は立替えの対象外(生活保護を受給している方を除く)
- 先延ばしの間も遅延損害金(年2割が上限)は増え、裁判の手続きは進む
「費用が作れないから相談できない」は、順番が逆です。いくら必要かは、財産の状況が分かれば見立てがつきます。金額を確定させるために相談すると考えてください。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- 東京地方裁判所民事第20部「破産事件の手続費用一覧」(令和8年1月1日現在)=申立手数料1,500円/同時廃止事件の予納金13,046円/個人管財事件 最低20万円及び個人1件につき20,397円/予納郵券4,950円/③管財事件(債権者破産申立事件及び本人申立事件)の負債総額別の予納金表 https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/min20_hasanq4_hasantetudukihiyouitiran_R080101.pdf
- 東京地方裁判所民事第20部「よくある質問」=同時廃止事件と管財事件の定義・「管財事件となるか同時廃止事件となるかは、裁判所の専決事項です。」・管財事件として取り扱われる場合の例①〜⑦・個人再生の申立費用(申立手数料1万円・官報公告費用15,120円)・「弁護士等の専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。」 https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html
- 法テラス「自己破産する場合、どの程度の費用がかかりますか。」=同時廃止事件は「裁判所に納める実費や申立てまでにかかる実費として3万円弱程度」/管財事件は「資産の額に応じて、裁判所に数十万円~数百万円の予納金」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-006.html
- 法テラス「自己破産 費用の目安」=債権者1〜10社155,000円/11〜20社177,000円/21社以上210,000円・「原則として報酬金は発生しませんが、過払金を回収できた場合、報酬金が発生します。」 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/jikohasanhiyo.html
- 法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」=立替制度の定義・利用の3条件・審査で「立替金の支払い方法や月額を決定します。」・「通常申込みから決定まで2週間程度かかります。」・「また、生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とはなりません。」・「なお、民事再生事件の予納金については、生活保護の受給の有無にかかわらず、立替えの対象とはなりません。」・生活保護受給中の返済猶予と免除の申請 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/tatekaeqa.html
- e-Gov 破産法(平成十六年法律第七十五号)22条1項(費用の予納)/34条3項1号・4項(自由財産)/216条1項・2項(費用不足による同時廃止)/252条1項10号・2項(免責不許可事由と裁量免責)/253条2項(免責は保証人に影響しない) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- e-Gov 民事執行法 152条1項(給与等の4分の3の差押禁止) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
- e-Gov 民事執行法施行令 1条(131条3号の額=66万円)・2条1項1号(毎月払い33万円) https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000230
- e-Gov 利息制限法 7条1項(営業的金銭消費貸借の賠償額の予定=年二割超は無効) https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100
- e-Gov 民事訴訟法 382条・391条1項・393条・396条(支払督促と仮執行の宣言) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
- e-Gov 民法 169条1項(確定判決等で確定した権利の時効期間=十年) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- CIC「CICが保有する信用情報」(クレジット情報の保有期間=契約期間中および契約終了後5年間) https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
- 金融庁「多重債務についての相談窓口」 https://www.fsa.go.jp/soudan/index.html
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年9月時点)
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