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・「自己破産したら、何年も引っ越しができなくなる」
・「自己破産した人は、もう部屋を借りられない」
こんな話を聞いて、引っ越しの予定があるために自己破産に踏み切れずにいる人も多いのではないでしょうか?
しかし、破産者は、破産手続が終わるまで、引っ越しに裁判所の許可が要ります(破産法37条1項・大阪地裁)。松江地裁は、これを破産管財人が選ばれる「管財事件」の話として案内しています。管財人を選ばない同時廃止について、松江地裁は「住居制限や郵便配達上の制限はありません。」と明記しています。管財事件でも、引っ越しが禁止されるのではなく、裁判所の許可を受ければ引っ越せます。
とはいえ、手続き中に住所が変わったら届け出るよう求める裁判所があり、届け出ずにいると大事な書類を受け取れないまま不利益を受けかねないのも事実です。
本記事では、自己破産の手続き中に引っ越しができるか、裁判所の許可が要る場合と届出、郵便物の扱い、個人再生中の引っ越し、官報の住所、破産後の賃貸審査と引っ越し費用について紹介します。
引っ越しの予定があって自己破産を迷っている人はもちろんのこと、「破産した後に部屋を借りられるか」が不安な人も、引っ越しの日を決める前にしっかりと確認しておきましょう。

来年の春に、家賃の安い部屋へ引っ越すつもりです。自己破産したら、引っ越しはできなくなりますか。

できなくなるわけではありません。破産手続が終わるまでは裁判所の許可が要りますが、松江地裁は、これを破産管財人が選ばれる「管財事件」の話として案内しています。管財人が選ばれない同時廃止なら、松江地裁は住居制限はないと案内しています。

じゃあ、黙って引っ越しても大丈夫そうですね。

そこは注意してください。同時廃止でも、手続き中に住所が変わったら裁判所に届け出るよう求めている裁判所があります。届け出ないと、裁判所の書類が古い住所に送られたままになり、受け取っていなくても受け取ったのと同じ効果が生じると案内している裁判所もあります。引っ越しの時期は、依頼する弁護士と先に決めておきましょう。
🔎 30秒でわかる結論
- ★引っ越しに裁判所の許可が要るのは、管財事件の手続き中(破産法37条1項・松江地裁)。大阪地裁も、破産手続が終わるまで許可なく転居できないと案内
- ★同時廃止は「住居制限や郵便配達上の制限はありません。」(松江地裁)。管財事件でも禁止ではなく、許可を受ければ引っ越せる
- ★住所が変わったら届け出る。新潟地裁などは、破産申立から免責決定確定までの間に住所が変わったら住民票を添えて届け出るよう求め、送達場所は自動では変わらないとしている
- ★個人再生には、引っ越しの許可を求める定めがない(民事再生法に破産法37条にあたる規定がない)
- ★破産後の部屋探しで影響しうるものの一つが信用情報(CIC・JICCは契約終了後5年、銀行系のKSCは官報情報を7年)。官報の記事そのものはCICに登録されないが、免責で契約が終わったことは登録される
📖 この記事でわかること
- 自己破産の手続き中に引っ越しはできる?
- 管財事件で引っ越すときは、裁判所の許可を受ける
- 住所が変わったら届け出る・郵便物はどうなる?
- 個人再生の手続き中・返済中の引っ越し
- 引っ越しても官報の住所は変わる?
- 自己破産の後に部屋を借りられる?審査と保証会社
- 引っ越し費用は残せる?
- 債務整理のデメリットと、それでも今動く理由
- 今の状況ごとに、最短でやること
自己破産の手続き中に引っ越しはできる?

「自己破産したら引っ越しできない」と聞いたんですが、本当ですか。

半分だけ本当です。引っ越しに裁判所の許可が要るのは「破産者」、つまり破産手続が始まってから終わるまでの人です。手続きの進め方によって、その期間があるかどうかが変わります。
破産法37条1項は、「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。」と定めています。同条2項は、許可の申立てを退ける決定に対して、破産者は「即時抗告をすることができる。」としています。
自己破産には、破産管財人(財産を調べてお金に換える人)が選ばれる管財事件と、選ばれずに開始の決定と同時に手続きを終える同時廃止があります。
📄 松江地裁「破産・免責手続のあらまし」
「同時廃止事件は、破産手続開始決定と同時に、破産手続を終了させる手続ですから、下記5で説明する住居制限や郵便配達上の制限はありません。」
「また、破産者は破産手続が終了するまで裁判所の許可を受けずに転居することができず、破産者宛の郵便物を破産管財人が開封して中身を確認することがあります。」
大阪地裁の倒産部のQ&Aも、破産手続を利用することの不利益の説明で「さらに,債務者は,破産手続が終わるまでの間,裁判所の許可を受けずに転居することができません。」と書いています。
| 同時廃止 | 管財事件 | |
|---|---|---|
| 引っ越しの許可 | 要らない(松江地裁) | 破産手続が終わるまでは、裁判所の許可が要る(破産法37条1項・松江地裁・大阪地裁) |
| 郵便物 | 制限なし(松江地裁) | 破産管財人に届き、開いて見られることがある(破産法81条1項・82条1項) |
| 住所が変わったときの届出 | 求める裁判所がある(新潟地裁など) | 求める裁判所がある(許可とは別に、変わった住所を届け出る) |
※管財事件になるか同時廃止になるかは裁判所が決めます。財産の額などで決まり、目安は裁判所ごとに違います。
✅ このセクションのまとめ
引っ越しに裁判所の許可が要るのは、管財事件で破産手続が続いている間です(破産法37条1項・松江地裁)。同時廃止なら住む場所の制限はありません(松江地裁)。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
管財事件で引っ越すときは、裁判所の許可を受ける

管財事件になったら、転勤や家族の事情があっても引っ越せないんですか。

裁判所の許可を受ければ引っ越せます。許可するかどうかは裁判所が判断しますが、条文は「許可を得なければ」離れられない、という書き方で、引っ越し自体を禁じてはいません。先に許可の申立てをするのがルールです。
破産法37条1項のとおり、許可は破産者の「申立てにより」出されます。転勤、家族の介護、家賃を下げるための住み替えなど、引っ越す理由と時期が決まったら、依頼している弁護士を通じて早めに申し立ててください。
破産者の義務に反した場合について、松江地裁は「破産管財人に協力しない破産者は、免責を許可されなかったり、刑罰を受けることがあります。」と書き、大阪地裁も「これらの義務に反した場合には,免責が許可されなかったり[Q8参照]刑罰を受けたりすることがあります。」と案内しています。免責(借金の支払義務をなくすこと)は、自己破産でいちばん大事な結果です。黙って引っ越して、それを危うくする理由はありません。
💡 遠くへの引っ越しは要注意
高松地裁の案内(2016年の資料)は、「破産免責手続中に住所を変更する場合には,事前に連絡し(裁判所への出頭が困難になるような転居は控えてください。),移動後は直ちに住民票を添付して住所変更届を提出してください。」としています。遠くへの引っ越しは、裁判所に出向く日程にも響きます。時期は弁護士と相談して決めましょう。
✅ このセクションのまとめ
管財事件でも、引っ越しは禁止ではなく許可制です。理由と時期が決まったら、弁護士を通じて先に申し立ててください。黙って引っ越すと、免責に響くおそれがあります(松江地裁・大阪地裁)。
引っ越しの予定があって自己破産の時期に迷っているという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
住所が変わったら届け出る・郵便物はどうなる?

同時廃止になったら、届出もいらないんですか。

届け出てください。許可が要らないことと、住所の変更を知らせることは別の話です。新潟地裁などは届け出るよう求めていて、申し立ててから免責が確定するまでは、裁判所から大事な書類が届きます。申立先の裁判所の運用は弁護士に確認してください。
📄 新潟地裁「自己破産申立について(説明と書き方)」(令和3年2月改訂)
「破産申立から免責決定確定までの間に住所が変更になった場合は,必ず速やかに住民票を添付して裁判所に住所変更の届出をして下さい。 なお「送達場所」は自動的には変わりません。送達場所も変更したい場合は住所変更の届出とあわせて送達場所変更の届出もする必要があります。 送達場所が旧住所のままだと、旧住所に郵便物を送ることになりますし、そのためあなたが受け取ることができなかった場合でも、受けとったのと同じ効果が発生しますのでご注意下さい。」
管財事件では、郵便物の扱いも変わります。破産法81条1項は、裁判所が「破産者にあてた郵便物」などを「破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。」と定め、82条1項は「破産管財人は、破産者にあてた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。」としています。
ただし、82条2項により、破産者は管財人に対して、郵便物の閲覧や、「破産財団に関しないもの」の交付を求めることができます。また81条3項は、「破産手続が終了したときは、裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。」と定めています。郵便物が管財人に届くのは、手続きが続いている間だけです。
✅ このセクションのまとめ
新潟地裁などは、手続き中に住所が変わったら住民票を添えて届け出るよう求めています。送達場所は自動では変わりません(新潟地裁)。管財事件では、手続きが終わるまで郵便物が管財人に届くことがあります(破産法81条・82条)。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
個人再生の手続き中・返済中の引っ越し

個人再生を考えています。手続き中や返済中に引っ越すのは大丈夫ですか。

個人再生には、引っ越しに裁判所の許可を求める定めはありません。ただ、手続き中は裁判所や弁護士との連絡が欠かせないので、引っ越すなら先に弁護士に伝えてください。
民事再生法には、破産法37条のように住む場所を制限する規定がありません。郵便物を管財人に届けさせる規定(民事再生法73条1項・74条1項)はありますが、対象は「管財人」が選ばれた場合です。個人再生では、管財人は選ばれません(管財人による管理を命ずる処分は、法人の再生債務者に限られます=民事再生法64条1項)。
東京地裁民事第20部の「よくある質問」は、個人再生について「認可決定が確定したところで事件が終結するので、民事再生手続と異なり、弁済について裁判所の監督はありません。」と説明しています。再生計画にもとづく返済中の引っ越しで、裁判所の許可を求める定めはありません。返済先や振込の手続きに影響しないよう、引っ越したら債権者への連絡が要るかどうかを弁護士に確認してください。
| 自己破産(管財事件) | 自己破産(同時廃止) | 個人再生 | |
|---|---|---|---|
| 引っ越しの許可 | 要る(手続きが終わるまで) | 要らない | 定めなし |
| 住所が変わったときの届出 | 求める裁判所がある | 求める裁判所がある(新潟地裁は免責決定確定まで) | 手続き中は弁護士・裁判所へ連絡 |
| 郵便物が管財人に届く | ことがある | ない | ない(管財人は法人の場合のみ=民事再生法64条1項) |
✅ このセクションのまとめ
個人再生には、引っ越しの許可を求める定めがありません。手続き中は連絡が欠かせないので、引っ越すなら先に弁護士へ伝えましょう。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
引っ越しても官報の住所は変わる?

官報に住所が載ると聞きました。引っ越せば、ばれにくくなりますか。

引っ越しても、ばれにくくなるわけではありません。官報には、掲載された時点の氏名・住所が載ります。後から引っ越したことを理由に、載った記事を直す定めは見当たりません。
破産法10条1項は、「この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。」と定めています。千葉地裁のQ&A(2019年版)は、「破産した人の氏名や住所は,官報に掲載されます。」と書いています。
東京地裁民事第20部の「よくある質問」は、「直近90日間の官報情報(本誌、号外、政府調達等)は、国立印刷局のインターネット版官報で閲覧することができます。」と案内しています。官報はインターネットでも読めるので、住所が載った事実は、引っ越しでは消せません。
また、CICは「官報に掲載される自己破産の情報はCICに登録されません。」と説明しています。官報の記事が、そのまま部屋探しの審査に使われる信用情報になるわけではありません。
✅ このセクションのまとめ
官報には掲載された時点の氏名・住所が載り、引っ越しを理由に直す定めは見当たりません。官報の記事そのものはCICには登録されません(CIC)。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
自己破産の後に部屋を借りられる?審査と保証会社

破産した後、部屋を借りようとしても審査で落とされませんか。

審査に通るかどうかは会社によって違い、落ちることもあります。ただ、自己破産をした人が部屋を借りることを禁じる法律はありません。気をつけたいのは、信用情報が審査に使われる場合です。
CICは、自己破産をした場合について「自己破産により免責許可決定が確定した場合、登録元であるクレジット会社等が免責許可決定の事実を確認のうえ、契約が免責により終了した日を契約終了日としてCICに登録します。この情報は、契約終了日から5年間保有されます。」と説明しています。
| 信用情報機関 | 登録される期間(公式サイトより) |
|---|---|
| CIC | クレジット情報は「契約期間中および契約終了後5年間」 |
| JICC | 破産申立・債務整理などの取引事実は、2019年10月1日以降の契約で「契約継続中及び契約終了後5年以内」 |
| KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 官報情報は「登録期間を10年間から7年間に短縮しております」(2022年11月4日) |
CICは、会員会社の例として「保証会社」も挙げています。ただし、家賃の保証会社がどこまで信用情報を見るかを示した公的な資料は見当たりません。国土交通省の家賃債務保証業者の登録制度のページにも、審査で信用情報を見るかどうかの記載はありません。保証会社によって審査は違う、と考えておくのが安全です。
信用情報はCIC・JICCで契約終了後5年、KSCの官報情報で7年登録され、保証会社の審査がどう影響するかも前もってはわかりません。そのため、引っ越しの時期と自己破産の時期をどう組むかは、申し立てる前に弁護士と相談しておくのがいちばん確実です。
✅ このセクションのまとめ
自己破産をした人の部屋探しを禁じる法律はありません。影響しうるのは信用情報(CIC・JICCは契約終了後5年、KSCの官報情報は7年)で、保証会社の審査は会社によって違います。
自己破産の後に部屋を借りられるかが不安という方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
引っ越し費用は残せる?

引っ越し代を貯めているんですが、自己破産したら取られてしまいますか。

99万円までの現金は、自己破産しても残せます。ただ、預金や敷金は現金とは別に扱われるので、引っ越し代をどう確保するかは弁護士と相談して決めましょう。
破産法34条3項1号は、民事執行法131条3号に定める額に「二分の三を乗じた額の金銭」は破産財団に属しないとしています。民事執行法施行令1条でこの額は66万円なので、99万円です。さらに34条4項により、裁判所は破産者の生活の状況などを考えて、「破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。」とされています。
一方で、松江地裁は換価(お金に換えること)の対象になる財産の例として、「賃貸借契約の敷金(保証金)」を挙げています。ただし同じ資料の申立書の記入要領は、申告する敷金を「現在居住している住宅以外で、敷金返還請求権が発生しているもの」としています。今住んでいる部屋の敷金の扱いは、申立先の裁判所の運用を弁護士に確認してください。
生活保護を受けている人の転居については、厚生労働省が公表している生活保護の実施要領(2026年4月1日施行分・未定稿)に定めがあります。荷造費・運搬費は、転居が「真にやむを得ないとき」に、福祉事務所が事前に承認した必要最小限度の額を認めることができるとされています。敷金等は、福祉事務所の指導による家賃の安い住居への転居など、定められた場合にあたるときに限って、上限の範囲内で認められます。どちらも、引っ越す前に福祉事務所へ相談することが前提です。
✅ このセクションのまとめ
99万円までの現金は残せます(破産法34条3項1号)。敷金は換価の対象になる財産の例とされているので(松江地裁。今住んでいる部屋の敷金は、同地裁の記入要領では申告の対象外)、引っ越し代の確保は申し立てる前に弁護士と決めておきましょう。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
債務整理のデメリットと、それでも今動く理由

引っ越しのことはわかりました。債務整理そのもののデメリットも知っておきたいです。

先にお伝えしますね。デメリットはあります。そのうえで、引っ越しの予定を理由に先延ばしにすると、そのあいだも利息や遅延損害金がかさんでいきます。
| デメリット | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 自己破産では財産を失う | 「生活に必要な家財道具等の一定の財産以外は、失うことになる。(ただし、99万円以下の現金は手元に残せる。)」 | 法テラス |
| 管財事件では引っ越しに許可が要る | 破産手続が終わるまでは、裁判所の許可を受けずに転居できない | 破産法37条1項・松江地裁 |
| 任意整理には相手の了解と原資が要る | 「債権者の了解と支払原資が必要になる。」 | 法テラス |
| 借入れ・カードが作りにくくなる(任意整理の例) | 「信用情報を取り扱う機関に登録されることにより、数年間は、借入れやクレジットカードの作成が難しくなる。」(任意整理) | 法テラス |
一方で、法テラスは「自己破産をしたからといって、選挙権がなくなる、戸籍や住民票に記載される、銀行の普通預金口座も使用できなくなる、ということはありません。」と書いています。引っ越して住民票を移しても、そこに自己破産のことが書かれることはありません。
引っ越しが落ち着いてから考えよう、と先延ばしにするあいだにも、延滞が続けば裁判を起こされ、給料や口座を差し押さえられることがあります。引っ越しの予定があるなら、なおさら早く相談して、手続きと引っ越しの順番を組み立てるのが近道です。
✅ このセクションのまとめ
債務整理にはデメリットがありますが、引っ越しを理由に先延ばしにするのは得策ではありません。予定があるなら、早めに相談して順番を決めるのがいちばんの近道です。
引っ越しの予定があって債務整理を先延ばしにしているという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
今の状況ごとに、最短でやること
| 今の状況 | 最短でやること |
|---|---|
| 引っ越しの予定があり、自己破産を考えている | 引っ越しの時期と理由を伝えて相談。申し立てる時期と引っ越しの順番を決める |
| 管財事件の手続き中に引っ越したい | 引っ越す前に、弁護士を通じて裁判所に許可を申し立てる(破産法37条1項) |
| 同時廃止で、免責の決定を待っている | 引っ越したら住民票を添えて住所変更を届け出る。送達場所の変更も忘れない |
| 個人再生の手続き中・返済中 | 引っ越す前に弁護士へ伝える |
| 自己破産の後に部屋を借りたい | 信用情報の登録期間(CIC・JICCは5年、KSCの官報情報は7年)を踏まえて、保証会社の審査の違いを相談する |
| すでに延滞していて、督促が来ている | 引っ越しより先に、今すぐ相談して借金の整理を始める |
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
よくある質問
Q. 自己破産したら、引っ越しはできなくなりますか。
A. できなくなるわけではありません。裁判所の許可が要るのは、管財事件で破産手続が続いている間です(破産法37条1項・松江地裁)。同時廃止なら住む場所の制限はなく(松江地裁)、管財事件でも許可を受ければ引っ越せます。
Q. 自己破産を申し立てた後に引っ越したら、どうすればいいですか。
A. 住民票を添えて、裁判所に住所変更を届け出てください。新潟地裁は、破産申立から免責決定確定までの間に住所が変わったら届け出るよう求め、送達場所は自動では変わらないとしています。管財事件なら、引っ越す前に許可の申立てが必要です。
Q. 許可を受けずに引っ越すとどうなりますか。
A. 松江地裁・大阪地裁は、破産者の義務に反した場合には、免責が許可されなかったり刑罰を受けたりすることがあると案内しています。許可は破産者の申立てが必要なので、弁護士を通じて、引っ越す前に申し立ててください。
Q. 個人再生の手続き中に引っ越しても大丈夫ですか。
A. 民事再生法には、引っ越しに裁判所の許可を求める定めはありません。ただし、手続き中は裁判所や弁護士との連絡が欠かせないので、引っ越す前に弁護士へ伝えてください。
Q. 自己破産の後、賃貸の審査に通りますか。
A. 通るかどうかは会社によって違い、落ちることもあります。自己破産をした人が部屋を借りることを禁じる法律はありません。信用情報の登録期間は、CIC・JICCが契約終了後5年、銀行系のKSCは官報情報が7年で、保証会社の審査は会社によって違います。家賃保証会社が信用情報をどこまで見るかを示した公的な資料は見当たりません。
Q. 引っ越せば、官報で自己破産を知られにくくなりますか。
A. 知られにくくなるわけではありません。破産した人の氏名や住所は官報に載ります(千葉地裁Q&A・2019年版)。載った記事を、後から引っ越したことを理由に直す定めは見当たりません。なお、官報の記事そのものはCICには登録されません(CIC)。
まとめ
自己破産・個人再生と引っ越しについて押さえておくことは、次のとおりです。
🔎 30秒でわかる結論
- 引っ越しに裁判所の許可が要るのは、管財事件の手続き中(破産法37条1項・松江地裁)。禁止ではなく、許可を受ければ引っ越せる
- 同時廃止は「住居制限や郵便配達上の制限はありません。」(松江地裁)
- 住所が変わったら、住民票を添えて届け出るよう求める裁判所がある。送達場所は自動では変わらない(新潟地裁)
- 個人再生には、引っ越しの許可を求める定めがない
- 破産後の部屋探しで影響しうるものの一つが信用情報(CIC・JICCは5年、KSCの官報情報は7年)
引っ越しの予定日と理由、借入先の一覧を持って相談すれば、手続きの種類と申し立てる時期、引っ越しの順番を弁護士と一緒に決められます。引っ越しの日を決める前に、まず相談してください。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov 破産法(平成十六年法律第七十五号)10条1項(公告の方法)・34条3項1号・4項(破産財団の範囲)・37条(破産者の居住に係る制限)・81条(郵便物等の管理)・82条 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- e-Gov 民事執行法施行令 1条(差押えが禁止される金銭の額) https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000230
- e-Gov 民事再生法 64条1項(管理命令)・73条1項・74条1項(郵便物等の管理) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- 松江地方裁判所「破産・免責手続のあらまし」「破産申立書(個人用)等の記入要領」 https://www.courts.go.jp/matsue/vc-files/matsue/2023/20240115_hasanzikensyosiki/1_hasantetudukinoaramashi_moushitateshokinyuuyouryou.pdf
- 大阪地方裁判所 第6民事部(倒産部)Q&A https://www.courts.go.jp/osaka/saiban/minjibu6/index.html
- 新潟地方裁判所「自己破産申立について(説明と書き方)」(令和3年2月改訂) https://www.courts.go.jp/niigata/vc-files/niigata/file/30205001.pdf
- 高松地方裁判所 自己破産申立ての添付書類の案内(2016年) https://www.courts.go.jp/takamatsu/vc-files/takamatsu/file/20160127.pdf
- 千葉地方裁判所「破産・免責手続について よくあるご質問」(2019年) https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/file/03mousitateninnitaisurusetumeisho.pdf
- 東京地方裁判所 民事第20部「よくある質問」 https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html
- CIC「信用情報の内容と保有期間」 https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
- CIC よくあるご質問「自己破産をするとCICに登録されますか?」 https://www.cic.co.jp/faq/detail/1103.html
- CIC「CICについて」(会員会社の例) https://www.cic.co.jp/guide/cic/
- JICC「信用情報の登録内容と登録期間」 https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration
- 全国銀行個人信用情報センター「一部情報の登録終了および登録期間の短縮について」(2022年11月4日) https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/info/18379/
- 国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr7_000024.html
- 厚生労働省「生活保護実施要領等」(2026(令和8)年4月1日施行・未定稿) https://www.mhlw.go.jp/content/001677054.pdf
- 法テラス よくある相談「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-002.html
- 法テラス よくある相談「任意整理のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-002.html
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年10月時点)
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