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・「退職金があると、個人再生で返す額が跳ね上がるらしい」
・「退職金の証明書を会社に頼めないから、個人再生は無理かもしれない」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、個人再生には、退職金を手放したり、前もって受け取ったりする手続きはありません。退職金が関係するのは、返す総額の下限の一つである「清算価値」の計算です。千葉地方裁判所の書式では、清算価値に入れるのは退職金の見込額の「8分の1」(退職したのにまだ受け取っていない場合は「4分の1」)です。退職金の8分の1を含めた財産の合計(清算価値)が、法律で決まった最低限の返済額以下なら、返す額は変わりません(小規模個人再生の場合。給与所得者等再生では可処分所得の2年分とも比べます)。
とはいえ、退職金の見込額が大きい人は、清算価値が最低限の額を上回る分だけ返す総額が増え、月々の返済が重くなるのも事実です。
本記事では、個人再生で退職金がどう扱われるのか、清算価値に入る額(8分の1・4分の1)と計算例、退職金の証明書が取れないときの方法、任意整理なら退職金に影響するかについて紹介します。
個人再生をすすめられた人はもちろんのこと、「退職金があるから債務整理は損」と思い込んでいる人も、手続きを決める前にしっかりと確認しておきましょう。

個人再生をすると、将来の退職金はどうなるんですか。取り上げられたりしませんか。

個人再生の手続きの中で、退職金を取り上げてお金に換えることはありません。個人再生は財産を手放さずに、減った借金を原則3年で返す手続きです。ただ、退職金の見込額の一部が「最低でも返す額」の計算に入ることがあります。

その「一部」で、返す額はどれくらい増えるんですか。

増えるかは条件しだいです。千葉地方裁判所の書式では、まだ辞めていない人は見込額の8分の1を計算に入れます。ほかの財産と合わせた額が、法律で決まった最低限の額以下なら、小規模個人再生では返す額は増えません。計算の仕組みを見てみましょう。

証明書を会社に頼むのも気が重くて……。

会社の証明書がなくても、退職金の規定と弁護士が作る計算書で代わりにできると書いている裁判所の書式があります。それも説明しますね。
🔎 30秒でわかる結論
- ★個人再生で退職金を手放す手続きはない。影響するのは、返す総額の下限の一つ「清算価値」の計算
- ★千葉地裁の書式では、清算価値に入れるのは退職金見込額の8分の1(退職したのにまだ受け取っていない場合は4分の1)。令和6年3月1日版の書式は、確定拠出年金や中小企業退職金共済など、差押えが禁止されているものは清算価値に入れなくてよいとしている
- ★返す総額は、法律の最低弁済額(民事再生法231条2項)と清算価値などのうち、大きいほうが基準。退職金の8分の1を含めた清算価値の合計が最低弁済額以下なら、返す額は変わらない(小規模個人再生の場合。給与所得者等再生では可処分所得の2年分とも比べます)
- ★会社の証明書がなくても、退職金規定と弁護士が作る退職金計算書で足りるとする書式がある(千葉地裁(令和6年3月1日版))。退職金が出ない会社の就業規則などは、職務歴5年未満なら添付不要
- ★任意整理は、裁判所を使わない話し合い(法テラス)。裁判所の手続きのように退職金を一定割合で計算に入れるルールはなく、返す額は借入先との合意で決まる
📖 この記事でわかること
- 個人再生で退職金が影響する仕組み(清算価値)
- 清算価値に入る退職金の額(8分の1・4分の1)
- 計算例:退職金があると返す額はいくら増える?
- 退職金の証明書がないとき・会社に頼めないとき
- 任意整理なら退職金に影響する?
- 個人再生のデメリットと、それでも今動く理由
- 今の状況ごとに、最短でやること
個人再生で退職金が影響する仕組み(清算価値)

財産を手放さない手続きなのに、どうして退職金が関係するんですか。

「自己破産した場合より、債権者が損をしてはいけない」というルールがあるからです。このとき比べる額を「清算価値」といいます。
裁判所は、個人再生について次のように説明しています。
📄 裁判所「個人再生」
「再生計画の内容は、原則として3年間で債務の一定割合を分割して返済するもので、その返済総額が、債務者が自分の財産を処分して返済に当てる場合の額(清算価値)を上回らなければなりません。」
条文では、民事再生法174条2項4号が「再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。」を、再生計画を認めない事由にしています。給与所得者等再生でも、241条2項2号に「再生計画が再生債権者の一般の利益に反するとき。」が置かれています。まだ受け取っていない退職金も、勤め先に対する権利として財産に数えられるため、清算価値の計算に入ることがあります。
東京地方裁判所の倒産部も、再生計画案の作り方について「再生債務者の資産等に照らし、法定の最低弁済額、清算価値、(可処分所得)を確認し、弁済額と弁済期間を定めて」と説明しています。大阪地方裁判所も、返す額は「保有している資産(現金,預貯金,保険の解約返戻金,不動産など)の評価額の合計によって変わります。」としています。
✅ このセクションのまとめ
個人再生で退職金が関係するのは、返す総額の下限の一つ「清算価値」の計算です。退職金そのものを手放す手続きはありません。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
清算価値に入る退職金の額(8分の1・4分の1)

退職金の見込額が全部、清算価値に入るんですか。

全部ではありません。千葉地方裁判所の書式では、まだ辞めていない人は8分の1です。
千葉地方裁判所の小規模個人再生の申立書(財産目録)は、「退職金請求権・退職慰労金」の欄について次のように書くよう求めています。
📄 千葉地方裁判所 小規模個人再生 再生手続開始申立書(財産目録の注意書き)
「退職金見込額の8分の1(退職後に退職金を未だ受領していない場合は4分の1)相当額を記載してください。」「雇用契約に基づく退職金請求権だけではなく、役員退職金も含みます。」「清算価値チェックシートの財産額欄には、下記見込額を記載してください。」
ここでいう見込額は、書式の欄の言葉でいえば「申立日現在において自己都合により退職した場合の総支給額(見込額)」です。定年まで勤めた場合の額ではなく、今、自分の都合で辞めたらいくら出るかが出発点になります。
さらに同じ書式(令和6年3月1日版)は、「確定拠出年金、確定給付企業年金、中小企業退職金共済、小規模企業共済、社会福祉施設職員等退職金手当共済など、差押が禁止されているものについては、清算価値に計上する必要はありません」としています(ただし欄には記載し、種類を明らかにするよう求めています)。
| 退職金の状況 | 千葉地裁の書式で清算価値に入れる額 |
|---|---|
| 会社に勤めている(まだ辞めていない) | 自己都合で今辞めた場合の見込額の8分の1 |
| 退職したが、退職金をまだ受け取っていない | 見込額の4分の1 |
| 確定拠出年金・確定給付企業年金・中退共・小規模企業共済など、差押えが禁止されているもの | 清算価値に入れなくてよい(欄には書く)。令和6年3月1日版の書式の記載 |
| すでに受け取った | 8分の1・4分の1の対象ではなくなる。受け取ったお金は「過去2年間に受領・処分した財産」の欄に、受領時期・額・使い道を書く。残っていれば手元の現金・預金として財産に数える |
出典:千葉地方裁判所 小規模個人再生 再生手続開始申立書(令和6年3月1日版PDF・財産目録)(2026年10月時点)
札幌地方裁判所の小規模個人再生の財産目録(Excelの書式)にも、退職金の欄に「申立時点での支給見込額」と並んで「□8分の1額」のチェック欄があります。
💡 「8分の1」は全国共通の決まりではない
「8分の1」「4分の1」は、千葉地裁が公表している書式の書き分けです。法律の条文に「8分の1」と書かれているわけではなく、扱いは裁判所によって違うことがあります。書式は改訂されることがあるので、申し立てる前に最新の書式を弁護士に確認してもらいましょう。なお、法律では退職金の4分の3は差押えが禁止されています(民事執行法152条2項)。
✅ このセクションのまとめ
千葉地裁の書式では、清算価値に入れるのは、まだ辞めていない人なら見込額の8分の1、辞めて未受領なら4分の1。令和6年3月1日版の書式では、差押禁止の年金・共済は入れなくてよいとされています。
自分の退職金がどの割合で計算されるかは、少しでも早めに弁護士などの専門家に確認してください。
計算例:退職金があると返す額はいくら増える?

結局、私の場合は返す額が増えるんでしょうか。

増える人と、増えない人がいます。法律の最低弁済額と清算価値の大きいほうで比べると、だいたいの目安が出せますよ。
小規模個人再生では、返す総額の下限が民事再生法231条2項で決まっています。借金の総額(住宅ローンなどを除く)が3,000万円以下なら、「基準債権の総額の五分の一又は百万円のいずれか多い額」(総額が100万円を下回るときは総額、5分の1が300万円を超えるときは300万円)を下回ると認められません(231条2項4号)。これと清算価値を比べて、大きいほうが返す総額の基準になります。
| 借金の総額 | 最低弁済額(231条2項4号) | 今辞めたら出る退職金 | 8分の1(千葉地裁の割合) | 返す総額の基準 |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 100万円 | 400万円 | 50万円 | 100万円(最低弁済額のほうが大きい=退職金で増えない) |
| 500万円 | 100万円 | 1,200万円 | 150万円 | 150万円(清算価値のほうが大きい) |
| 300万円 | 100万円 | 2,000万円 | 250万円 | 250万円(清算価値のほうが大きい) |
※ほかに財産がない場合の、仕組みを示すための計算例です。実際の清算価値には、預貯金・保険の解約返戻金・車など、ほかの財産も合計して入ります。給与所得者等再生では可処分所得の2年分(241条2項7号)も比べます。
出典:e-Gov 民事再生法231条2項4号/千葉地方裁判所 小規模個人再生 再生手続開始申立書(2026年10月時点)
この例(千葉地裁の割合で、ほかに財産がない場合)でいえば、借金500万円・退職金の見込額400万円の人は、退職金があっても返す総額は100万円のままです。同じ借金500万円で見込額が1,200万円の人は150万円になり、原則の3年(36回)で割ると、月々およそ4万2千円です。退職金があるだけで個人再生ができなくなるわけではなく、月々の額に影響するかどうかの問題です。
✅ このセクションのまとめ
返す総額は、最低弁済額と清算価値(給与所得者等再生ではさらに可処分所得の2年分)のうち大きいほうが基準。退職金の8分の1とほかの財産を合わせた清算価値が最低弁済額以下なら、返す額は増えません。
退職金で返す額が増えるか知りたいという方は、借金の総額と退職金の目安を持って、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
退職金の証明書がないとき・会社に頼めないとき

会社に退職金の証明書を頼んだら、理由を聞かれそうで……。ほかの方法はありますか。

あります。退職金の規定(退職金支給規程)をもとに、弁護士が計算書を作る方法を書式に書いている裁判所があります。
千葉地方裁判所の小規模個人再生の申立書(令和6年3月1日版)は、退職金の資料について次のように書いています。
| 場合 | 千葉地裁の書式の原文 |
|---|---|
| 退職金が出る | 「退職金の見込額を明らかにするため、使用者作成の退職金証明書又は退職金規定及び申立人代理人作成の退職金計算書を提出してください。」 |
| 退職金が出ない | 「退職金が支給されない場合は、その事実を明らかにする資料(就業規則等)を提出してください。ただし、職務歴5年未満の場合は、同資料の添付は不要です。」 |
出典:千葉地方裁判所 小規模個人再生 再生手続開始申立書(令和6年3月1日版PDF・財産目録)(2026年10月時点)
つまり、会社が作る証明書のほかに、「退職金規定」と「代理人(弁護士)が作る計算書」の組み合わせでもよいという書き方です。札幌地方裁判所の添付書類の一覧も、退職金の資料として「退職金(見込)額証明書」「退職金額計算書(退職金額の算出根拠を説明した文書)」「就業規則」を挙げています。
なお、千葉地裁の書式ページで現在配られているWord版の書式は、退職金の資料を「使用者又は申立人代理人作成の退職金計算書」としていて、「退職金規定」の文言や、差押禁止の年金・共済を清算価値に入れなくてよいとする記載はありません。書式は改訂されることがあり、どの資料で足りるかは申し立てる裁判所と事案によります。会社に証明書を頼む前に、規定の写しと弁護士の計算書で足りるかを弁護士に確かめておくと、進め方を選べます。ただし、勤め先から借入れ(社内貸付)がある場合は、勤め先も債権者になるので、手続きの中で知られる可能性があります。
✅ このセクションのまとめ
会社の証明書がなくても、退職金規定と弁護士の計算書で足りるとする書式があります(千葉地裁(令和6年3月1日版))。退職金が出ない会社なら就業規則などを出し、その資料は職務歴5年未満なら不要とされています。
退職金の証明書を会社に頼みにくいという方は、どの資料で足りるかを、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
任意整理なら退職金に影響する?

任意整理なら、退職金のことは気にしなくていいんですか。

裁判所の手続きのように、退職金を一定の割合で返す額に入れるルールはありません。ただ、返す額は借入先との話し合いで決まります。自己破産と違い、支払いを続けていく手続きです。
法テラスは、任意整理を「裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続です。」と説明しています。そして「自己破産などと異なり、支払をしていくことが必要な債務整理手続ですので、そのための原資の確保や家計管理が必要です。」とも書いています。
任意整理は裁判所の手続きではないので、退職金を財産目録に書いたり、清算価値として返す額に上乗せしたりする法律上の仕組みはありません。ただ、返す額は借入先との合意で決まるため、退職金の扱いも話し合いしだいです。また、個人再生のように法律の基準で借金を大きく減らす手続きではありません。退職金を守りたい人ほど、「任意整理で返しきれるか」「個人再生で返す額がいくらになるか」を比べて選ぶのが大事です。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
自己破産・個人再生・任意整理で、退職金の扱いを比べると
| 手続き | 退職金の扱い | 返す額への影響 |
|---|---|---|
| 自己破産 | 見込額の一部(千葉地裁の書式では8分の1・4分の1)を財産として書く | 額によっては、お金に換える対象として扱われることがある |
| 個人再生 | 手放す手続きはない。見込額の一部を清算価値に入れる | 清算価値が最低弁済額より大きければ、返す総額が増える |
| 任意整理 | 裁判所に財産を書いて出す手続きはない | 法律で決まった計算はない。返す額は借入先との合意で決まる |
自己破産の場合の扱いは、自己破産したら退職金はどうなる?でくわしく説明しています。
個人再生のデメリットと、それでも今動く理由

退職金のほかに、個人再生で困ることはありますか。

あります。先に全部お伝えしますね。
| デメリット | 事実(出典) |
|---|---|
| 借金がすべてなくなるわけではない | 「自己破産と異なり、債務が全て支払わなくて良くなるわけではない。」(法テラス) |
| 官報に載る | 「官報に、住所や氏名等が記載される。」(法テラス) |
| 借入れやカードが一定期間難しくなる | 「信用情報を取り扱う機関に登録されることにより、数年間は、借入れやクレジットカードの作成が難しくなる。」(法テラス)。CICはクレジット情報を「契約期間中および契約終了後5年間」保有するとしている(一般的なクレジット情報の保有期間。機関によって異なる) |
| 財産が多いと返す額が増える | 返済総額は清算価値を上回る必要がある(裁判所「個人再生」)。最低弁済額は民事再生法231条2項4号 |
※出典は各行に記載(法テラス・裁判所・CIC・e-Gov)。
出典:法テラス よくある相談「個人再生のメリット・デメリットは何ですか。」(2026年10月時点)
一方で、法テラスは個人再生のメリットとして「自己破産のように、財産を失うことがない。」を挙げています。返せない借金をそのままにしていれば、遅れた分の損害金がふくらみ、裁判を起こされて給料や預金を差し押さえられるおそれがあります。給料が差し押さえられれば、勤め先に裁判所から書類が届きます。退職金や会社のことが心配なら、差し押さえの前に動くのが得策です。
退職金があるから個人再生は損だと迷っているという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
今の状況ごとに、最短でやること

私の場合は、何からすればいいですか。

退職金の見込みと、借金の総額で分けて考えましょう。
| 今の状況 | 最短でやること |
|---|---|
| 勤続が短い・退職金の制度がない | 退職金はほとんど影響しない。退職金が出ない場合の資料は、職務歴5年未満なら不要とする書式がある。借入先の一覧を持って相談へ |
| 退職金の見込みがあるが、額が分からない | 就業規則・退職金規定を確認して、今辞めたらいくら出るかの目安をつけて相談へ。会社に頼む前に、規定の写しで足りるか確認 |
| 退職金が確定拠出年金や中退共などで積み立てられている | 加入している制度の資料を持って相談へ。差押えが禁止されているものは清算価値に入れなくてよいとする書式がある |
| 退職金の8分の1とほかの財産の合計が、最低弁済額より大きくなりそう | 個人再生で返す額と、任意整理で返す額を比べて選ぶ。どちらが月々軽いかを相談で試算してもらう |
| 退職したが、退職金をまだ受け取っていない | 受け取る前に(受け取ったなら使う前に)、すぐ相談へ。千葉地裁の書式では見込額の4分の1を清算価値に入れる |
退職金を守りながら借金を減らせる方法を知りたいという方は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
よくある質問
Q. 個人再生をすると、退職金を先に受け取って返済に回さないといけませんか。
A. いいえ。個人再生に、退職金を前もって受け取らせる手続きはありません。退職金の見込額の一部が、清算価値として返す総額の計算に入ることがあるだけです。
Q. 退職金の4分の1と8分の1は、どちらが適用されますか。
A. 千葉地裁の書式では、まだ辞めていない人は見込額の8分の1、退職後にまだ受け取っていない人は4分の1です。全国共通の決まりではないので、申し立てる裁判所の扱いを弁護士に確認してください。
Q. 退職金見込額証明書がないと、個人再生はできませんか。
A. できないわけではありません。千葉地裁の書式(令和6年3月1日版)は、会社が作る証明書のほかに、「退職金規定及び申立人代理人作成の退職金計算書」でもよいとしています。退職金が出ない会社なら就業規則などを出し、その資料は職務歴5年未満なら添付不要とされています。
Q. 任意整理だと、退職金の証明書は必要ですか。
A. 裁判所には出しません。任意整理は裁判所を使わない話し合いの手続きで、裁判所に財産目録を出す手続きではありません。借入先との話し合いで資料を求められるかは、依頼する専門家に確認してください。
Q. 個人再生をしたら、会社を辞めないといけませんか。
A. 辞める必要はありません。小規模個人再生の認可の条件の一つは、将来も継続的に、または反復して収入を得る見込みがあることです(民事再生法231条2項1号)。給与所得者等再生はさらに、給与などの定期的な収入で、変動の幅が小さいと見込まれることが求められます(241条2項4号)。会社を辞めると収入の見込みが変わるので、辞める予定があるなら先に弁護士に伝えてください。
Q. 個人再生の返済中に退職金を受け取ったら、どうなりますか。
A. 認可された後に受け取った退職金を、追加で返済に回すよう義務づける条文は、民事再生法には見当たりません。認可の前に受け取った場合は財産として申告が必要です。退職する予定がある人は、申し立てる前に弁護士に伝えてください。
まとめ
個人再生と退職金について押さえておくことは、次のとおりです。
🔎 30秒でわかる結論
- 個人再生で退職金を手放す手続きはない。関係するのは返す総額の下限の一つ「清算価値」の計算(民事再生法174条2項4号・241条2項2号)
- 千葉地裁の書式では、清算価値に入れるのは見込額の8分の1(退職後未受領なら4分の1)。令和6年3月1日版の書式では、差押禁止の年金・共済は入れなくてよい
- 返す総額は最低弁済額(231条2項)と清算価値などの大きいほう。退職金の8分の1を含む清算価値の合計が最低弁済額以下なら、返す額は変わらない(小規模個人再生の場合)
- 会社の証明書がなくても、退職金規定+弁護士の計算書で足りるとする書式がある(千葉地裁(令和6年3月1日版))
- 任意整理は裁判所を使わない話し合いで、退職金を一定割合で計算に入れるルールはない(返す額は借入先との合意で決まる)
就業規則・退職金規定と、借入先の一覧を持って相談すれば、退職金で返す額が増えるか、個人再生と任意整理のどちらが軽いかを弁護士と一緒に試算できます。「退職金があるから無理」と決める前に、まず相談してください。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)174条2項4号・231条2項1号・4号・241条2項2号・4号・5号・7号 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- e-Gov 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)152条2項 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
- 裁判所「個人再生」(清算価値) https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_18/index.html
- 千葉地方裁判所 小規模個人再生 再生手続開始申立書(令和6年3月1日版PDF・財産目録「退職金請求権・退職慰労金」「過去2年間に受領・処分した財産」) https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/2024/minji/saisei/02_2_20240426.pdf
- 千葉地方裁判所 個人再生の書式ページ(現行のWord版) https://www.courts.go.jp/chiba/saiban/kojinsaisei/index.html
- 札幌地方裁判所 小規模個人再生 添付書類一覧(退職金) https://www.courts.go.jp/sapporo/vc-files/sapporo/file/hasan_saisei/saisei_syoshiki/sai_i/R6.1_tenpusyoruiichiran_syoukibo.xlsx
- 札幌地方裁判所 小規模個人再生 債権者一覧表・財産目録(退職金「□8分の1額」) https://www.courts.go.jp/sapporo/vc-files/sapporo/file/hasan_saisei/saisei_syoshiki/sai_i/R6.1_saikensyaichiranhyoutou__syoukibo_fukusuusheet.xlsx
- 東京地方裁判所 民事第20部(倒産部)「よくある質問」(再生計画案の作成) https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html
- 大阪地方裁判所 第6民事部(倒産部)Q&A https://www.courts.go.jp/osaka/saiban/minjibu6/index.html
- 法テラス よくある相談「任意整理とは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-001.html
- 法テラス よくある相談「個人再生のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-003.html
- CIC「CICが保有する信用情報」(保有期間) https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年10月時点)
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