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・「裁判に負けたら、残りを一括で払うしかない。分割はもう無理」
・「判決が出てしまった以上、いまさら相談しても遅い」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、裁判の手続きの中にも、分割払いにつながる仕組みがあります。簡易裁判所では、被告が争わない場合に5年を超えない範囲で分割払いを定めた「和解に代わる決定」ができ(民事訴訟法275条の2)、少額訴訟では判決で分割払いが定められることもあります(同法375条)。判決が出たあとでも、個人再生や自己破産の手続きが開始されれば、強制執行は中止・失効します。
とはいえ、判決が確定すれば、給料や預金の差し押さえを申し立てられる状態になるのも事実です。判決で確定した借金の時効は10年で(民法169条1項)、その間に差し押さえなどがあれば数え直しになります。
本記事では、判決が出たけど払えないときに、分割の道がどこに残り、差し押さえまでに何ができるのかについて紹介します。
現在すでに判決が出た人はもちろんのこと、訴状が届いて「どうせ負ける」と思っている人も、判決の前と後で使える手の違いをしっかりと理解しておきましょう。

カード会社に訴えられて、判決が出てしまいました。全額なんて払えません。もう終わりですか。

終わりではありません。判決が出たあとでも、個人再生や自己破産の手続きが開始されれば、差し押さえは中止・失効します(使えるかは収入や借金の額で変わります)。ただ、残り時間は短いので、今日から動いてください。

判決のあとで、分割にしてもらうことはできないんですか。

相手が応じれば、話し合いで分割にすることはあります。ただ、判決が出たあとは、応じるかどうかは相手の判断で、相手は判決にもとづいて差し押さえに進むこともできます。判決の前のほうが、分割の道は多いんです。

まだ訴状が届いただけの人なら、どうすればいいんですか。

答弁書を出すことです。東京簡易裁判所の答弁書の書式には「分割払いを希望します」という欄があります。順番にお伝えします。
🔎 30秒でわかる結論
- ★判決が出ても、終わりではない。個人再生(民事再生法39条1項)・自己破産(破産法42条・249条)の手続きが開始されれば、強制執行は中止・失効する(使えるかは収入・借金の額などで変わる)
- ★判決のあとの分割は、相手との話し合い次第。応じる義務はないので、分割を前提に放置しない
- ★判決の前なら、分割の道が多い。答弁書で「分割払いを希望します」と書ける(東京簡裁の書式)。簡易裁判所は5年を超えない範囲で分割を定めた「和解に代わる決定」ができる(民事訴訟法275条の2)
- ★少額訴訟(60万円以下)では、判決で3年を超えない範囲の分割払い・支払猶予が定められることがある(民事訴訟法375条1項)
- ★判決は、控訴しなければ受け取ってから2週間で確定する(民事訴訟法285条・116条1項。少額訴訟は異議のみ)。仮執行の宣言が付いていれば、確定前でも差し押さえの申立てができる(民事執行法22条2号)
- ★放置は待つ手にならない。判決で確定した権利の時効は10年(民法169条1項)。差し押さえなどがあれば数え直し(民法148条)
📖 この記事でわかること
- 判決が出たあと、いつ何が起きるのか(順番の一覧)
- 判決のあとでも、分割払いにしてもらえるのか
- まだ判決前なら:答弁書で分割を希望する方法と「和解に代わる決定」
- 少額訴訟の訴状が届いたときの、分割払いの判決
- 判決のあとでも、差し押さえを止められる方法
- 払えないまま放置すると、最後はどうなるのか
- 今の状況ごとに、最短でやること
判決が出たあと、いつ何が起きるのか

判決が出たら、すぐに給料を差し押さえられるんですか。

判決に「仮執行の宣言」が付いていれば、確定を待たずに差し押さえの申立てができます。付いていなくても、受け取ってから2週間で控訴の期限が過ぎれば確定します。
強制執行(差し押さえ)は「債務名義」にもとづいて行われます。民事執行法22条は、債務名義として「確定判決」(1号)と「仮執行の宣言を付した判決」(2号)を挙げています。お金の支払いを命じる判決には、裁判所が仮執行の宣言を付けることができます(民事訴訟法259条1項)。少額訴訟では、請求を認める判決には職権で仮執行の宣言を付けなければならないと定められています(民事訴訟法376条1項)。
| 段階 | 起きること | 法令の根拠 |
|---|---|---|
| ① 判決を受け取る | 判決書(または判決の内容を記録した調書)が送達される | 民事訴訟法255条1項 |
| ② 控訴の期限 | 受け取った日から2週間のうちに控訴しないと、判決が確定する。少額訴訟は控訴できず、2週間のうちに異議を出せるだけ | 民事訴訟法285条・116条1項・377条・378条1項 |
| ③ 差し押さえの申立て | 確定判決、または仮執行の宣言が付いた判決があれば、債権者は差し押さえを申し立てられる | 民事執行法22条1号・2号 |
| ④ 差押命令 | 本人と勤務先・銀行の言い分を聞かずに出され、本人と勤務先(銀行)に送られる | 民事執行法145条2項・3項 |
| ⑤ 取立て | 給料は本人に差押命令が届いてから4週間、預金は1週間で取立てができる | 民事執行法155条1項・2項 |
※仮執行の宣言が付いているかどうかは、判決の「主文」に書かれています(民事訴訟法259条4項)。
出典:e-Gov 民事訴訟法(2026年10月時点)
💡 控訴すれば時間が稼げる、ではない
控訴は、判決の内容に不服があるときの手続きです。借りたこと自体に争いがなく、ただ払えないという場合、控訴しても分割の約束が得られるわけではありません。払えないことへの手当ては、控訴ではなく、債務整理の手続きで考えるのが現実的です。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
判決のあとでも、分割払いにしてもらえるのか

判決で決まった金額を、分割で払わせてもらうことはできますか。

相手との話し合いで決まります。判決のあとに分割に応じる義務は、法律上ありません。だから「分割にしてもらえるはず」を前提に待つのは危ないんです。
判決は、債権者が強制執行をできる根拠になる書類です。判決が出たあとに分割払いの約束をするかどうかは、債権者の判断になります。本人が電話で分割を頼んでも、応じてもらえるとは限らず、その間にも差し押さえの申立ては進められます。
一方、弁護士・司法書士が間に入って任意整理として話し合う方法もあります。法テラスは任意整理を「裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続」と説明しています。ただし任意整理は話し合いなので、すでに出ている判決にもとづく差し押さえを止める法律上の効力はありません。差し押さえが迫っているときは、次の章以降の手続きも合わせて考えます。
✅ このセクションのまとめ
判決後の分割は「相手が応じれば」の話です。応じてもらえなかったときに、強制執行を止める手続き(個人再生・自己破産)まで含めて選べる状態で相談するのが近道です。
判決が出て一括では払えないという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
まだ判決前なら:答弁書で分割を希望する方法と「和解に代わる決定」

訴状が届いたばかりです。借りたのは本当なので、争うことはないんですが……。

争わなくても、答弁書は出してください。「分割なら払える」と伝える場になります。出さずに欠席すると、相手の言い分どおりの判決になりやすいんです。
① 答弁書に「分割払いを希望します」と書ける
東京簡易裁判所の答弁書の書式には、「□ 話し合いによる解決(和解)を希望します。」「□ 分割払いを希望します。」というチェック欄があります。裁判所は、訴訟の途中の和解について「判決以外にも、訴訟の途中で裁判所で話合いをして、相手方との間で分割払の約束をするなど、和解の方法により解決することもできます。」と説明しています(裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」)。
反対に、何もしないとどうなるかについて、同じQ&Aは「被告が決められた最初の期日に出頭せず、答弁書等において原告の請求を争う意図を明らかにしていない限り、原告の請求どおりの判決が出ることがありますので、御注意ください。」としています。
② 簡易裁判所の「和解に代わる決定」=5年以内の分割払い
民事訴訟法275条の2第1項は、お金の支払いを求める訴えで、「被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合において、被告の資力その他の事情を考慮して相当であると認めるときは、原告の意見を聴いて、」異議の期間(決定の告知から2週間)が過ぎた時から5年を超えない範囲内で、支払いの時期や分割払いを定めた決定ができると定めています。この決定は、告知を受けた日から2週間のうちに異議がなければ「裁判上の和解と同一の効力を有する。」(同条5項)とされています。
💡 決定は約束されたものではない
「和解に代わる決定」が出るかどうかは、裁判所が事情を見て判断します。原告の意見も聴かれ、出ると決まっているものではありません。決定が出ても、原告か被告が2週間のうちに異議を出せば効力を失います(同条3項・4項)。答弁書を出し、期日に出席して、払える金額と理由を示すことが、この道につながります。
| 答弁書を出さず欠席 | 答弁書で分割を希望 | |
|---|---|---|
| 裁判所の扱い | 原告の請求どおりの判決が出ることがある | 和解の話し合い・和解に代わる決定の可能性がある |
| 裁判所の手続きの中での分割 | 残らない(判決後の分割は相手との話し合い次第) | 和解・決定で分割の定めが付くことがある |
| 差し押さえ | 判決が確定(または仮執行の宣言)すれば申立てができる | 和解や和解に代わる決定も確定判決と同じ効力があり、約束どおり払えなくなれば差し押さえの申立てができる |
出典:裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」/東京簡易裁判所 答弁書の書式/e-Gov 民事訴訟法275条の2
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
少額訴訟の訴状が届いたときの、分割払いの判決

届いた書類に「少額訴訟」と書いてあります。普通の裁判と違うんですか。

60万円以下のお金の請求を、原則1回の審理で終える手続きです。判決で分割払いが定められることもあります。ただ、控訴ができないなど、普通の裁判と違うところがあります。
裁判所は少額訴訟を「民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争解決を図る手続です。」と説明しています(民事訴訟法368条1項)。
| 項目 | 少額訴訟の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 分割払いの判決 | 判決の言渡しの日から3年を超えない範囲で、分割払いや支払猶予、訴え提起後の遅延損害金の免除が定められることがある | 民事訴訟法375条1項 |
| 分割の定めへの不服 | 分割払い・支払猶予などの定めには、不服を申し立てられない | 民事訴訟法375条3項 |
| 判決への不服 | 控訴はできず、判決を受け取ってから2週間のうちに同じ裁判所へ異議を申し立てるだけ | 民事訴訟法377条・378条1項 |
| 通常の訴訟への移行 | 被告は、最初の期日で弁論をするまでなら、通常の手続きへの移行を求められる(その期日が終わったあとは不可) | 民事訴訟法373条1項 |
| 仮執行の宣言 | 請求を認める判決には、職権で仮執行の宣言が付く | 民事訴訟法376条1項 |
出典:裁判所「少額訴訟」(2026年10月時点)
裁判所の説明でも、「判決言渡しの日から3年を超えない範囲内において、支払猶予や分割払いの判決がされることがあり、又これと併せて訴え提起後の遅延損害金免除の判決がされることがあります。」とされています。あくまで「されることがある」で、裁判所が被告の資力などを見て決めます(民事訴訟法375条1項)。
💡 ここ、勘違いされがち
少額訴訟でも、答弁書を出さずに欠席すると不利になります。裁判所(「簡易裁判所の民事事件Q&A」)は「あなたが答弁書を提出しないまま、決められた裁判の期日に出席しない場合には、原告の言い分どおりの少額訴訟判決が出ることがありますので、御注意ください。」としています。分割払いの判決は、払える額と事情を伝えた人のための仕組みです。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
判決のあとでも、差し押さえを止められる方法

もう判決が確定しています。それでも止める方法はありますか。

あります。個人再生と自己破産は、判決にもとづく強制執行についても、中止や失効を条文で定めています。
| 手続き | 強制執行への効果 | 条文 |
|---|---|---|
| 個人再生 | 再生手続開始の決定で、すでにされている強制執行は中止し、新たな申立てもできない | 民事再生法39条1項 |
| 自己破産 | 破産手続開始の決定で、強制執行はできなくなり、すでにされているものは効力を失う。同時廃止の場合は、免責許可の申立てがあれば免責の裁判の確定まで中止し、免責許可の決定の確定で効力を失う | 破産法42条1項・2項/249条1項 |
| 任意整理 | 話し合いの手続きで、強制執行を止める法律上の効力はない | (法テラスの説明=私的な話合いの手続) |
※どの手続きが使えるかは、収入・借金の額・財産などで変わります。手続きの開始には裁判所の決定が必要です。
出典:e-Gov 破産法(2026年10月時点)
民事再生法39条1項は、再生手続開始の決定があったときは「再生債務者の財産に対して既にされている再生債権に基づく強制執行等の手続」は中止すると定めています。破産法42条2項は、すでにされている強制執行は「破産財団に対してはその効力を失う。」と定めています。判決が出ていることは、これらの手続きを使えない理由にはなりません。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
不安潰し:債務整理のデメリットと、それでも今動いたほうがよい理由

自己破産や個人再生なんて、そこまでしたくありません。

デメリットはあります。先にお伝えします。ただ、判決が出ている状態で何もしなければ、差し押さえが勤務先や銀行に届くおそれがあります。比べるべきなのは、そこです。
| 手続き | 主なデメリット | 公表されている内容 |
|---|---|---|
| 共通 | 信用情報に記録される | CICはクレジット情報の保有期間を「契約期間中および契約終了後5年間」と公表 |
| 任意整理 | 借金をなくす手続きではなく、話し合った条件で払い続ける。判決にもとづく差し押さえを止める法律上の効力はない | 法テラスは「当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続」と説明 |
| 個人再生・自己破産 | 裁判所の手続きで、官報に載る。自己破産は一定の財産を処分する | 破産法10条1項・民事再生法10条1項「この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。」 |
出典:CIC「CICが保有する信用情報」/法テラス「任意整理とは何ですか。」/e-Gov 破産法
CICは「信用情報には、お支払いが遅れた場合に、その内容が事実として反映されます。」と説明しています。裁判で訴えられるまで支払いが遅れている時点で、遅れた事実はすでに反映されています。手続きをしなければ記録が付かない、というわけではありません。違うのは、差し押さえが勤務先や銀行に届くのを待つか、手続きを始めて止めにいくかです。止める効果は裁判所の開始決定から(申立て直後は別に中止命令を申し立てる=民事再生法26条1項・破産法24条1項)なので、給料4週間・預金1週間という取立ての時期との競争になります。
✅ このセクションのまとめ
デメリットはあります。それでも、判決のあとに残された時間は数週間単位です。相談だけなら無料の窓口があり、依頼するかどうかは話を聞いてから決められます。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
払えないまま放置すると、最後はどうなるのか

払えないまま何年かたてば、時効になりませんか。

待つ手にはなりません。判決で確定した借金の時効は10年で、その間、差し押さえはいつでも申し立てられます。差し押さえなどがあれば、時効はそこから数え直しになります。
民法169条1項は「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。」と定めています。和解(民事訴訟法267条1項)や和解に代わる決定(同法275条の2第5項)も「確定判決と同一の効力を有するもの」にあたります。
💡 ポイント
放置している間も、遅延損害金は付き続けます。転職や引っ越しをしても、条件を満たせば、債権者は裁判所を通じて銀行などから預金口座の情報を取得できます(民事執行法207条1項)。放置は、相手の手続きが進むのを待つことです。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
ケース別:今の状況から最短で動く順番

自分の場合は、何から手を付ければいいですか。

判決の前か後かで決まります。届いた書類の名前と日付を見てください。
| 今の状況 | まずやること | その次 |
|---|---|---|
| 訴状が届いた(通常の訴訟) | 答弁書の提出期限と第1回の期日を確認する | 答弁書で分割払いの希望を伝える。期日に出る。並行して無料相談 |
| 少額訴訟の訴状が届いた | 答弁書を出す。払える月額と事情を書く | 分割払いの判決は裁判所の判断。期日の前に無料相談で見通しを聞く |
| 判決を受け取った(2週間以内) | 主文に仮執行の宣言があるかを確認する | すぐに弁護士・司法書士に相談し、個人再生・自己破産を含めて選ぶ |
| 判決が確定した・差押命令が届いた | 差押命令が本人に届いた日を確認する(給料4週間・預金1週間) | 個人再生・自己破産で中止・失効できるかを、すぐに相談する |
※期限の日付は、届いた書類に書かれています。
訴状や判決が手元にあるという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
よくある質問

細かいところも聞いていいですか。

もちろんです。よく聞かれるところからお答えします。
Q. 裁判に負けたけど払えません。分割にしてもらえますか?
A. 判決のあとに分割に応じるかどうかは、債権者の判断です。応じる義務はありません。判決の前なら、答弁書で分割払いを希望したり、簡易裁判所の「和解に代わる決定」(民事訴訟法275条の2=異議の期間が過ぎた時から5年を超えない範囲)が出たりする道があります。判決のあとで分割が難しい場合は、個人再生・自己破産で強制執行を止める方法を検討します。
Q. 判決が出てから、いつ差し押さえられますか?
A. 判決に仮執行の宣言が付いていれば、確定を待たずに差し押さえの申立てができます(民事執行法22条2号)。付いていない場合も、判決を受け取ってから2週間のうちに控訴がなければ確定し(民事訴訟法285条・116条1項)、申立てができるようになります。
Q. 少額訴訟の訴状が届いたら、どうすればいいですか?
A. 答弁書を出して、期日に出席してください。少額訴訟では、判決の言渡しの日から3年を超えない範囲で分割払いや支払猶予が定められることがあります(民事訴訟法375条1項)。被告は、最初の期日で弁論をするまでなら、通常の訴訟への移行を求めることもできます(その期日が終わったあとは不可=民事訴訟法373条1項)。
Q. 楽天カードなどのカード会社に訴えられても、分割の話し合いはできますか?
A. 訴訟の途中でも、相手が応じれば和解で分割払いの約束をすることがあります。裁判所は「和解を希望される方は、裁判所に申し出てください。」としています。応じるかどうかは相手の判断なので、答弁書には払える月額と理由を具体的に書くことが大切です。
Q. 判決のあと、時効で消えることはありますか?
A. 当てにはできません。判決の確定の時にすでに支払期限が来ていた分の時効は10年です(民法169条1項。分割払いでまだ期限が来ていない分などは別=同条2項)。その間に差し押さえなどの手続きがとられれば、時効の完成が猶予され、手続きが終わった時から新たに数え直しになります(民法148条)。返済の約束や一部の支払い(承認)でも、そこから数え直しになります(民法152条1項)。
Q. 弁護士に頼めば、判決にもとづく差し押さえは止まりますか?
A. 依頼しただけで差し押さえが止まる条文はありません。債権者から支払いの猶予を承諾する旨の文書をもらって裁判所に出せば、強制執行は停止されます(民事執行法39条1項8号・3項=2回まで、通じて6か月まで)が、承諾するかは債権者次第です。債務者の側から強制執行を止めにいく主な手続きは、個人再生(民事再生法39条1項)と自己破産(破産法42条・249条)です(効果は裁判所の開始決定などから)。どちらが使えるかは収入や借金の額で変わるので、無料相談で確かめてください。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
まとめ
裁判に負けた・判決が出たけど払えないときに押さえておくことは、次のとおりです。
🔎 30秒でわかる結論
- 判決のあとの分割は、相手との話し合い次第。応じる義務はない
- 判決の前なら、答弁書で分割払いを希望できる。簡易裁判所は5年を超えない範囲で分割を定めた「和解に代わる決定」ができる(民事訴訟法275条の2)
- 少額訴訟では、判決の言渡しの日から3年を超えない範囲で分割払い・支払猶予が定められることがある(民事訴訟法375条1項)
- 判決は、控訴しなければ受け取ってから2週間で確定する。仮執行の宣言が付いていれば確定前でも差し押さえの申立てができる
- 判決が出ていても、個人再生・自己破産の手続きが開始されれば強制執行は中止・失効する
- 判決で確定した権利の時効は10年(民法169条1項)。差し押さえや返済の約束があれば数え直しになり、待つ手にはならない
いま動くほど、選べる手は多く残ります。判決の前なら和解の道があり、判決のあとでも強制執行を止める手続きがあります。書類が手元に届いた今が、いちばん時間の残っている時点です。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov 民事訴訟法 116条1項(判決の確定時期)・255条1項(判決書等の送達)・267条1項(和解の調書は確定判決と同一の効力)・259条1項・4項(仮執行の宣言)・275条の2第1項・3項・5項(和解に代わる決定)・285条(控訴期間)・368条1項(少額訴訟の要件)・373条1項(通常の手続への移行)・375条1項・3項(判決による支払の猶予)・376条1項(少額訴訟の仮執行の宣言)・377条(控訴の禁止)・378条1項(異議) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
- e-Gov 民事執行法 22条1号・2号(債務名義)・39条1項8号(弁済の猶予を承諾した文書による強制執行の停止)・145条2項・3項(差押命令)・155条1項・2項(取立て)・207条1項(預貯金債権等に係る情報の取得) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
- e-Gov 民事再生法 10条1項(公告は官報)・26条1項(中止命令)・39条1項(再生手続開始による強制執行等の中止) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- e-Gov 破産法 10条1項(公告は官報)・24条1項(中止命令)・42条1項・2項(強制執行の禁止・失効)・249条1項・2項(免責許可の申立て後の強制執行の中止・免責確定で失効) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- e-Gov 民法 148条(強制執行等による時効の完成猶予及び更新)・152条1項(承認による時効の更新)・169条1項・2項(判決で確定した権利の消滅時効=十年) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 裁判所「少額訴訟」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_02/index.html
- 裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html
- 東京簡易裁判所 答弁書の書式(「話し合いによる解決(和解)を希望します。」「分割払いを希望します。」) https://www.courts.go.jp/tokyo-s/vc-files/tokyo-s/file/1toubennsho.pdf
- 法テラス よくある相談「任意整理とは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-001.html
- CIC「支払いが遅れると、ブラックリストとしてCICに登録されるのですか?」 https://www.cic.co.jp/faq/detail/cre/cre01/002582.html
- CIC「CICが保有する信用情報」(保有期間=契約期間中および契約終了後5年間) https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年10月時点)
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