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・「無視し続けたら、そのうち家まで取り立てが来るのではないか」
・「裁判になったら、それだけでもう人生が終わってしまうのではないか」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、裁判所は支払督促について「債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ…」と説明しており、期限内に督促異議を出せば通常の訴訟手続に移り、話し合いの余地が生まれます。訴状が届いた場合も、答弁書を出しておけば扱いが変わります。
とはいえ、支払督促を2週間放置すると仮執行宣言が付き強制執行の申立てができる状態になることや、訴状に何も出さず欠席すると不利な内容の判決が言い渡される可能性があることも事実です。
本記事では、公的機関の説明と法律の条文だけを使って、届いた書類の種類ごとに「いつまでに、何をするのか」を整理します。
現在すでに裁判所や業者からの通知を開けられずにいる人はもちろんのこと、督促状や電話が続いているという人も、届いた書類ごとの対応についてしっかりと理解しておきましょう。

裁判所から封筒が来ました。もう終わりですよね…。

落ち着いてください。裁判所からの書類が来た=すぐに財産を持っていかれる、という意味ではありません。まず、何という名前の書類かを確認しましょう。「支払督促」「訴状」「催告書」では、やることも期限もまったく違います。

もし放っておいたら、どうなるんですか?

裁判所は支払督促について、「債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ…債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます」と説明しています。逆にいえば、2週間以内に動けば、話し合いの場に戻せるということです。

でも、払うお金がないから逃げていたんです。今さら出ていっても怒られるだけでは…。

裁判所は「払えるかどうか」を叱る場所ではありません。それに、異議を出すと通常の裁判に移り、そこで話し合い(和解)ができる場合があります。何も出さずに欠席するほうが、結果としては不利になりやすいんです。
🔎 30秒でわかる結論
- 裁判所からの「支払督促」は、受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てないと、債権者の申立てにより仮執行宣言が付き、強制執行の申立てができる状態になります(裁判所)。
- 督促異議を申し立てると、請求額に応じて簡易裁判所または地方裁判所の民事訴訟の手続に移行します(裁判所/民事訴訟法395条)。「異議=争うこと」だけでなく、話し合いの土俵に戻す手続きでもあります。
- 「訴状」が届いた場合、裁判所は「被告が欠席した場合には、被告が答弁書等において原告の請求を争う意図を明らかにしていない限り、不利な内容の判決が言い渡される可能性があります」と説明しています。答弁書を出さない・出頭しないは、最も不利な選択です。
- 業者からの督促については、貸金業法21条1項が取立て行為を規制しています。同項9号は、弁護士・司法書士に債務の処理を委託し、その旨の書面による通知があった場合において、正当な理由なく債務者に直接支払いを要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらず、さらに要求することを禁じています。
- 給与を差し押さえられても、原則として給付の4分の3(政令で定める額を超えるときはその額)は差し押さえられません。毎月払いの場合の政令の額は33万円です(民事執行法152条・同法施行令2条)。
- ★あわてて一部だけ払う・支払う約束をする前に確認を。民法152条1項は「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」と定めています。古い借金の場合、その一手が状況を変えてしまうことがあります。
📖 この記事でわかること
- 届いた書類の名前で、やることと期限が変わる(見分け方)
- 「支払督促」が届いたとき──2週間という期限の意味
- 「訴状」が届いたとき──答弁書を出さないとどうなるか
- 業者からの督促状・電話が続いているとき(貸金業法の取立て規制)
- 放置すると実際に何が起きるか(差押えで残るお金の範囲)
- 払う前に確認したいこと(時効と「承認」)
- 公的な相談窓口と、費用が不安なときの制度
- お金が無くて払えない場合、督促異議に何を書けばいいのか(分割払いの希望額を書く欄がある)
- 2週間を過ぎてしまった/仮執行宣言が付いた後にできること(請求異議の訴え・訴訟上の救助)
まず、届いた書類の名前を確認する

封筒に「裁判所」と書いてあるだけで、何の書類かよく見ていませんでした…。

そこがいちばん大事です。差出人が裁判所なのか、業者なのか。そして書類の名前は何か。この2つで、次にやることが決まります。
借金に関して届く書類は、大きく3つに分かれます。名前が違えば、期限も、やるべきことも違います。まずは表で確認してください。
| 届いた書類 | 差出人 | 期限 | まずやること |
|---|---|---|---|
| 支払督促 | 簡易裁判所の裁判所書記官(民事訴訟法382条) | 受け取ってから2週間以内 | 督促異議の申立て(支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所へ/民事訴訟法386条2項) |
| 訴状・期日呼出状 | 裁判所 | 指定された答弁書の提出期限と第1回期日 | 答弁書を出す。分割を希望する場合もその旨を書く |
| 催告書・督促状 | 貸金業者・債権回収会社など(裁判所ではない) | 法律上の不変期間(裁判所でも延ばせない絶対の期限)はない | 支払いの意思表示をする前に、内容と時期を確認する |
※書類の名称は事案により異なります。差出人が裁判所かどうかを必ず確認してください。
⚠ 「裁判所からの通知」をかたる偽物にも注意
「裁判所」を名乗る偽の通知が届く事例もあります。身に覚えのない請求や、指定された口座への振込を急がせる文面には注意してください。不安なときは、書類に書かれた連絡先ではなく、自分で調べた裁判所の代表番号や消費生活センター(消費者ホットライン188)に確認してください。また、借入先が登録された貸金業者かどうかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で確認できます。書類の種類が分かったら、次はいちばん期限の短い「支払督促」から具体的に確認していきます。そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
「支払督促」が届いたとき──2週間という期限の意味

「支払督促」って、判決みたいなものですか?

いいえ。支払督促は書類審査だけで出される手続きで、裁判官が双方の言い分を聞いて出した判決ではありません。だからこそ、あなたが異議を出せば通常の裁判に移る仕組みになっています。
裁判所は支払督促について、次のように説明しています。
📄 裁判所の説明(そのまま引用)
「金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、支払督促を発する手続であり、債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます」(裁判所「支払督促」)
条文でも同じ構造になっています。民事訴訟法391条1項は「債務者が電子支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより…仮執行の宣言をしなければならない」と定め、(条文の「電子支払督促」は、民事裁判手続のデジタル化にともなう現行法の表記です。手元に届いた支払督促のことだと考えてください)同法393条は、仮執行宣言が付いた支払督促については「送達を受けた日から二週間の不変期間を経過したときは、債務者は…督促異議の申立てをすることができない」としています。期限は2回あり、どちらも2週間だと考えてください。
督促異議を出すと、どうなるのか
ここが誤解されやすいところです。異議を出すと、争いが激化するようなイメージを持つ人がいますが、実際には手続きが「書類審査だけの世界」から「話ができる世界」に移ります。裁判所は支払督促の特徴として「債務者が支払督促に対し異議を申し立てると、請求額に応じ、地方裁判所又は簡易裁判所の民事訴訟の手続に移行します」と説明しています。民事訴訟法395条も、適法な督促異議があったときは「支払督促の申立ての時に…訴えの提起があったものとみなす」と定めています。
そして裁判所は、民事訴訟について「訴訟の途中で話合いにより解決することもできます(これを「和解」といいます。)」と説明しています。つまり、異議を出すことは「払わないと言い張ること」ではなく、支払いの方法について話す場に戻すことでもあるのです。
✅ このセクションのまとめ
支払督促を受け取ったら、まず日付を確認してください。受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てれば、通常の訴訟手続に移ります。異議を出さずに期間が過ぎると、仮執行宣言が付き、強制執行の申立てができる状態になります。万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
「訴状」が届いたとき──答弁書を出さないとどうなるか

平日に裁判所へ行くのは難しいです。行かなかったらどうなりますか?

何も出さずに欠席するのが、いちばん不利です。裁判所自身がそう説明しています。逆に、答弁書を出しておけば、扱いが変わる場合があります。
裁判所は民事訴訟の手続の流れについて、次のように説明しています。
📄 裁判所の説明(そのまま引用)
「口頭弁論は、公開の法廷において開かれます。原告(訴えた人)・被告(訴えられた人)又はその訴訟代理人が出頭した上…主張を述べ、主張を裏付けるために証拠を提出することが要求されます。被告が欠席した場合には、被告が答弁書等において原告の請求を争う意図を明らかにしていない限り、不利な内容の判決が言い渡される可能性があります」(裁判所「民事訴訟」)
条文の裏づけもあります。民事訴訟法159条1項は「当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす」と定め、同条3項でこれを「当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する」としています。黙っていることが、認めたことと同じ扱いになりうる、ということです。
一方で、民事訴訟法158条は、最初にすべき口頭弁論の期日に出頭しなかった場合でも、裁判所はその人が提出した訴状や答弁書に書いた事項を「陳述したものとみなす」ことができると定めています。つまり、答弁書を出しておくことには意味があります。
💡 「争うことがない」と自分で決めてしまう前に
「借りたことは事実だから、争うことなんてない」と考えて何も出さない人がいます。ですが、金額や利息の計算、すでに払った分の扱い、そしていつの借金なのかなど、確認したほうがよい点が残っている場合があります。争う点がないと自分で判断してしまう前に、書類一式を持って専門家に見てもらう選択肢があります。裁判所からの書類ではなく、業者からの督促状や電話が続いている場合は、対応の考え方が変わります。次に確認しましょう。
業者からの督促状・電話が続いているとき

毎日のように電話が来ます。会社にかかってこないか、それが一番怖いです。

取立ての方法は、貸金業法21条1項で細かく規制されています。「何をされても仕方ない」ということはありません。
貸金業法21条1項は、貸金業を営む者などが債権の取立てをするにあたり、「人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない」として、具体的な禁止行為を並べています。生活に直結するものを抜き出します。
| 条文 | 禁止されている行為(要旨) |
|---|---|
| 21条1項1号 | 正当な理由がないのに、内閣府令で定める時間帯(午後9時から午前8時まで/貸金業法施行規則19条1項)に、電話・ファクシミリ送信・居宅の訪問をすること |
| 21条1項3号 | 正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話・電報・ファクシミリ送信をし、またはその場所を訪問すること |
| 21条1項4号 | 訪問した場所で、退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、退去しないこと |
| 21条1項5号 | 貼り紙・立看板その他何らの方法をもってするを問わず、借入れに関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること |
| 21条1項7号 | 債務者等以外の者に対し、債務者等に代わって債務を弁済することを要求すること |
| 21条1項9号 | 債務の処理を弁護士・司法書士等に委託し、その旨の書面による通知があった場合において、正当な理由がないのに直接支払いを要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらず、さらに要求すること |
出典:e-Gov法令検索「貸金業法」「貸金業法施行規則」(2026年8月時点)
💡 家族に知られたくない人へ
書面での催告についても決まりがあります。貸金業法施行規則19条2項は、支払を催告するために書面等を送るときは「当該書面に封をする方法…その他の債務者の借入れに関する事実が債務者等以外の者に明らかにならない方法により行わなければならない」と定めています。家族に中身を見られる形での督促は、法令上想定されていません。
⚠ 相手が登録業者かどうかを確認する
ここで挙げたのは貸金業を営む者などに対する規制です。取立てを行う相手が登録された貸金業者かどうかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で確認できます。金融庁は、貸金業を行うには登録が必要であるとしたうえで、「借り入れを行おうとする業者が登録業者であるかどうか『登録貸金業者情報検索サービス』を利用するか、財務局又は都道府県へ最新情報を確認しましょう」と案内しています。返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
放置すると、実際に何が起きるのか
ここは脅すためではなく、事実として整理しておきます。見通しが立たないことが、いちばん人を動けなくするからです。
① 仮執行宣言が付き、強制執行の申立てができる状態になる
支払督促に督促異議を出さないまま2週間が過ぎると、裁判所書記官は債権者の申立てにより仮執行の宣言をしなければならないとされています(民事訴訟法391条1項)。裁判所も「債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます」と説明しています。
② 給与や預金が差押えの対象になりうる
ただし、給与の全額を持っていかれるわけではありません。民事執行法152条1項は、給料・賃金・俸給・退職年金・賞与などの債権について「その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない」と定めています。この「政令で定める額」は、民事執行法施行令2条1項1号により支払期が毎月と定められている場合は33万円です。退職手当についても、給付の4分の3に相当する部分は差し押さえてはならないとされています(同条2項)。
| ケース | 差し押さえられない部分(民事執行法152条1項・施行令2条1項1号) |
|---|---|
| 手取りが月20万円 | 4分の3にあたる15万円は差押えが禁止される(残りが対象になりうる) |
| 手取りが月48万円 | 4分の3は36万円だが、政令の額33万円を超えるため、33万円に相当する部分が禁止される |
※あくまで条文と政令の額から導いた考え方の説明です。実際の手続や計算は事案により異なります。
③ 時効の考え方が変わる
見落とされがちですが、重要な点です。民法147条1項は、裁判上の請求や支払督促があった場合、その事由が終了するまでの間は時効が完成しないと定め、同条2項は、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効はその事由が終了した時から新たにその進行を始めるとしています。さらに民法169条1項は「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする」と定めています。つまり、放置して確定させてしまうと、その後は長い期間、追及されうる状態になります。
✅ このセクションのまとめ
放置は「先送り」ではなく、選択肢が減っていくことを意味します。逆にいえば、期限内に動けば、話し合いの土俵に戻す手続きが法律上用意されている、ということでもあります。長期間放置してしまったという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
あわてて払う前に、確認しておきたいこと

とりあえず少しでも払えば、許してもらえますか?

その気持ちはとてもよくわかります。ただ、古い借金の場合、その一部の支払いが状況を変えてしまうことがあります。払う前に一度だけ確認してほしいことがあります。
民法166条1項は、債権は「①債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」「②権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」に時効によって消滅すると定めています。また民法145条は、時効は当事者が援用(=時効になったことを相手に主張すること)しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができないとしています。期間が過ぎれば自動的に消える、というものではありません。
⚠ 一部だけ払う・支払いを約束する、の前に
民法152条1項は「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」と定めています。一部を支払う、支払う約束をする、といった行為が「承認」にあたると評価されると、それまで進んでいた期間が振り出しに戻ることになります。長く連絡が途絶えていた借金について、急に請求や督促が来た場合は、その場で入金や支払いの約束をする前に、契約日や最後の取引がいつだったかを確認してください。
なお、2020年4月1日に改正民法が施行される前に発生した借金については、当時のルールが適用される場合があり、期間の数え方が異なることがあります。自分のケースが何年なのか、そもそも時効の対象になるのかは、契約の時期・最後の返済日・その後のやり取りによって変わります。本記事の情報だけで自己判断せず、書類を持って専門家に確認してください。
📞 気持ちが追い詰められているときは
眠れない、食欲がない、消えてしまいたい——そんな状態が続いているときは、借金の手続きより先に、話を聞いてもらえる場所があります。よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・無料)、#いのちSOS 0120-061-338(24時間365日・無料)、こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556。お金の問題は必ず手続きがあります。あなたが悪いのではなく、情報が足りていないだけのことも多いのです。
📞 公的な相談窓口・費用の制度
借金そのものについての公的な相談先もあります。日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター(0570-051-051/9:00〜17:00、土・日・祝休日・年末年始休業日を除く)、また法テラス・サポートダイヤル(0570-078374/平日9時〜21時、土曜9時〜17時)では、適切な法制度や関係機関の紹介を受けられます(個別の法律相談や法的判断は行いません)。費用が心配な場合は、法テラスの民事法律扶助(立て替えたお金を無利息で分割返済)があります。また裁判所は、訴訟費用の支払を猶予する「訴訟上の救助」という制度も案内しています。
すぐ動いたほうがいい人/落ち着いて確認すればいい人
できるだけ早く動いたほうがいい人
- 裁判所から支払督促や訴状が届いている(期限が決まっている)
- 仮執行宣言が付いた支払督促が届いている(さらに2週間の不変期間がある)
- 給与の差押えを予告する書面が届いている
- 複数の業者から同時に督促が来ていて、状況を自分で把握できていない
まず落ち着いて確認したほうがいい人
- 届いたのが業者の催告書・督促状で、裁判所からではない
- 最後の返済から長い期間が空いている(払う前に時期の確認が必要)
- 身に覚えのない請求や、差出人が確認できない書類
- 相手が登録貸金業者かどうかを確認できていない
どちらに当てはまるか自分で判断がつかない場合も、書類の写真を手元に、今すぐ無料・匿名で確認するのが最短です。強制執行の申立てができる状態になる前に、まずは無料相談で現状を話してみてください。
お金が無くて払えない場合、督促異議に何を書けばいいのか

支払督促が届きましたが、払えるお金がありません。異議を出しても、払えないことは変わりません。

異議申立書には「分割払いの話合いを希望する」と書く欄があります。払えないことを伝える場所が、最初から用意されています。
「異議を出す」と聞くと、身に覚えのない請求を否認する手続きのように思えます。しかし実際の書式は、「払えないので分割にしてほしい」という申し出も書けるように作られています。
① 用紙は探さなくてよい(支払督促に同封されている)
裁判所は、支払督促を受けた場合の対応について「異議を申し立てる場合には、支払督促に同封されている「異議申立書」という書面に所定の事項を書いて、支払督促を出した簡易裁判所に郵送するか、直接持参するかしてください。令和8年5月21日以降に申し立てられた支払督促に対しては、mints(民事裁判書類電子提出システム)を利用して異議申立書をオンライン提出することもできます。」と案内しています。
💡 ポイント
提出先は「支払督促を出した簡易裁判所」です。自分の住所地の裁判所ではありません。届いた書類に書かれている裁判所名をそのまま宛先にしてください。東京簡易裁判所(墨田庁舎)の記載例には「※ FAX 提出では受付できません。裁判所への持参又は郵送による方法で提出してください。」という注記もあります。
② 「言い分」欄は空欄でも出せる。分割を希望するなら金額を書く
東京簡易裁判所(墨田庁舎)が公開している記載例(旧法適用事件用)には、次のように書かれています。
| 「督促異議申立書」の書き方(東京簡易裁判所・墨田庁舎の記載例より) |
|---|
| ◎『言い分』欄(左下の点線で囲まれた四角い枠の中)の記入方法(空欄での提出も可能です。) |
| ・「分割払いの話合い」を希望する場合は,1の□にチェックし,あなたが支払いを考えている金額を書いてください。 |
| ・それ以外の言い分がある場合は,2の□にチェックし,その言い分を書いてください |
| ◎ 使用する印鑑 ・認印でも差し支えありませんが,スタンプ式のインキ浸透印(いわゆる「シャチハタ印」など)は避けてください。 |
出典:東京簡易裁判所(墨田庁舎)「督促異議申立書」の書き方(記載例)(2026年9月時点)
💡 ここ、勘違いされがち
ただし「出しただけ」で放置してはいけません。法務省は「ただし,債務者(被告)において「督促異議申立書」に何ら反論を記載せず,かつ,最初の期日に出頭しないときは,債権者(原告)の主張を認めたものとみなされ,裁判所は,債権者(原告)の主張どおりの判決をすることができることになるので注意が必要です。」と注意しています。空欄で出せるのは「異議を出す時点」の話で、そのあとの期日には出る必要があります。
③ 異議を出すと、どこへ移るのか
裁判所は「②債務者が支払督促に対し異議を申し立てると、請求額に応じ、地方裁判所又は簡易裁判所の民事訴訟の手続に移行します。」と説明しています。訴訟一般の管轄の基準として、裁判所は「訴訟は、紛争の対象となっている金額が、140万円以下の場合には簡易裁判所に、140万円を超える場合には地方裁判所に起こします。」としています。
移行にあたっての追加費用について、千葉簡易裁判所の手続リーフレットは「督促異議の申立てによって,訴訟手続移行の効果が生じたときには,原告(債権者)に手数料の納付義務が生じます。(原則:支払督促申立手数料の額と同額の収入印紙及び6000円分の郵便切手)」と記載しています。追加の印紙・切手の納付義務は債権者側だということです。
💡 ポイント
裁判所の「手数料」のページで手数料額早見表が案内されているのは、訴えの提起・支払督促の申立て・借地非訟事件の申立て・民事調停の申立て・労働審判手続の申立て・控訴の提起及び上告の提起で、督促異議の申立てはこの一覧に入っていません。ただし督促異議そのものの手数料について明記した記載は見つからなかったため、金額の確認は届いた書類の裁判所(支払督促係)に問い合わせるのが確実です。
④ 移行した訴訟の中で、分割の話し合いができる
裁判所は「なお、訴訟の途中でも、相手方が話合いに応ずれば、裁判所で話合いをして紛争を解決することもできます。これを和解といいます。和解を希望される方は、裁判所に申し出てください。」と案内しています。そして「和解調書の効力は、確定した判決と同じです。」と説明されています。
返済方法の話し合いを裁判所に仲介してもらう手続きもあります。裁判所は特定調停について「特定調停は、個人・法人を問わず、このままでは返済を続けていくことが難しい方が、債権者と返済方法などについて話し合って、生活や事業の建て直しを図るための手続として、民事調停の特例として定められたものです。」と説明し、申立ての際には「また、毎月、どれくらいの額なら支払えるのか、期限をどのくらい猶予してもらいたいのかも示してください。」としています。
✅ このセクションのまとめ
「払えない」は、異議申立書に書ける内容です。用紙は同封されており、提出先は支払督促を出した簡易裁判所、分割を希望するなら自分が払える金額を書く欄があります。異議を出すと訴訟に移り、その中で和解(分割の合意)ができます。放置だけが、話し合いの機会を失う選択です。
毎月いくらなら払えるのかを自分で組み立てられないという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
2週間を過ぎてしまった/仮執行宣言が付いた後にできること

気づいたら2週間が過ぎていました。もう何もできませんか。

異議を出せる機会は2回あります。そして、確定してしまった後にも「請求異議の訴え」という制度が残っています。
法務省は、督促異議の機会について次のように整理しています。
| 段階 | できること(法務省の説明) |
|---|---|
| 最初の支払督促の送達を受けた日から2週間以内 | 「このときに,「督促異議の申立て」をすれば,その異議が正しいかどうかにかかわらず,「支払督促」は直ちに効力を失います。」 |
| 仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間以内 | 「債務者は,「仮執行の宣言を付した支払督促」の送達を受けた日から2週間以内に「督促異議の申立て」をするとともに,「強制執行停止の申立て」をする必要があります。」 |
| 支払督促が確定した後 | 「債務者は,「請求異議の訴え」(民事執行法第35条第1項)を提起するとともに,「強制執行停止の申立て」をする必要があります。」 |
出典:法務省「督促手続・少額訴訟Q&A」(2026年9月時点)
裁判所の説明でも、仮執行宣言後の段階について「⑥債務者は仮執行宣言付支払督促を受け取ってから2週間以内に、督促異議の申立てをすることができます。」「※債務者から督促異議の申立てがなかった場合、仮執行宣言付支払督促は確定します。」と記載されています。
💡 ここ、勘違いされがち
ここは自分だけで進めるのが難しい段階です。確定後の「請求異議の訴え」と「強制執行停止の申立て」は、2つを同時に行う必要があると法務省が説明しています。強制執行が始まる前に手を打つ必要があるため、期限を過ぎたと気づいた時点で相談したほうが早いのが実際です。
★お金がなくても手続きできる制度がある
裁判の費用が払えないときのために、裁判所には訴訟上の救助という制度があります。裁判所は「訴訟費用を支払う資力の乏しい者でも、裁判を受ける権利を保障するため、訴訟費用の支払を猶予する制度です。ただし、猶予が認められるのは、申立ての内容等から裁判に勝つ見込みがないとは言えないときに限られます。」と説明しています。
弁護士・司法書士に頼む費用については、法テラスの立替制度があります。訴えられた側も対象です。法テラスの「立替制度に関するよくあるご質問」には「訴えられたため立替制度を利用したいのですが、管轄の裁判所が遠方です。どうしたら良いでしょうか?」という設問が置かれており、回答には「法テラスの立替制度にお申し込みをいただき、援助が認められた場合には、管轄の裁判所近くの弁護士に事件を依頼できる制度があります。」と書かれています。
利用の条件は「1 収入や資産が一定基準以下であること 2 勝訴の見込みがないとはいえないこと 3 民事法律扶助の趣旨に適すること」の3つです。裁判所も立替制度について「資力に乏しい方が問題解決のために弁護士等への依頼を必要とする場合に、資力や勝訴(問題解決)の見込みなどを審査の上、弁護士費用等の立替えを行います。」と説明しています。
| お金がないときに使える制度 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 訴訟上の救助 | 訴訟費用の支払を猶予する。勝つ見込みがないとは言えないときに限られる | 裁判所「民事事件Q&A」 |
| 民事法律扶助(法テラスの立替え) | 弁護士・司法書士への着手金・実費を立替え、分割で返済。訴えられた側も対象 | 法テラス/裁判所「民事事件Q&A」 |
| 特定調停 | 返済方法を裁判所で話し合う。申立ての際に毎月払える額と猶予してほしい期限を示す | 裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」 |
※いずれも審査や相手方の応諾が前提になるため、結果を保証するものではありません。
✅ このセクションのまとめ
期限を過ぎても、打てる手はまだあります。異議の機会は2回あり、確定後も請求異議の訴えと強制執行停止の申立てという道が残ります。費用がないときのために訴訟上の救助と法テラスの立替えがあります。ただし、どれも「気づいた時点で動く」ことが前提です。
すでに期限を過ぎているという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
よくある質問

聞きにくいことばかりですが…。

よく聞かれることをまとめました。ひとつずつ見ていきましょう。
Q. 督促異議を出すと、相手を怒らせて不利になりませんか?
A. 督促異議の申立ては、民事訴訟法386条2項で認められた手続きです。異議が申し立てられると、請求額に応じて簡易裁判所または地方裁判所の民事訴訟の手続に移行します(裁判所)。そして裁判所は、訴訟について「訴訟の途中で話合いにより解決することもできます(これを「和解」といいます。)」と説明しています。手続きを使うこと自体が不利益に扱われる、という制度にはなっていません。
Q. 支払督促は、裁判官が「払え」と判断したものですか?
A. いいえ。民事訴訟法382条により、支払督促は裁判所書記官が債権者の申立てにより発するものです。裁判所も特徴として「書類審査のみなので、訴訟の場合のように審理のために裁判所に来る必要はありません」と説明しています。双方の言い分を法廷で聞いたうえでの判断ではない、という点が訴訟との違いです。
Q. 会社に取立ての電話がかかってきたら、どうすればいいですか?
A. 貸金業法21条1項3号は、正当な理由がないのに債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけたり訪問したりすることを禁止しています。また同項5号は、貼り紙・立看板その他の方法を問わず、借入れに関する事実を債務者等以外の者に明らかにすることを禁止しています。実際に起きている場合は、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター(0570-051-051)などの窓口があります。
Q. 家族に代わりに払ってほしいと言われました。払う義務はありますか?
A. 保証人・連帯保証人になっている場合を除き、家族だからという理由だけで支払義務が生じるわけではありません。むしろ貸金業法21条1項7号は、債務者等以外の者に対し、債務者等に代わって債務を弁済することを要求することを禁止しています。個別の事情によって結論は変わりますので、請求書類を持って専門家に確認してください。
Q. 差押えをされたら、生活費まで全部なくなってしまいますか?
A. 給与については、民事執行法152条1項により、原則として給付の4分の3に相当する部分は差し押さえてはならないとされています。その額が政令で定める額を超えるときは政令の額に相当する部分が対象で、毎月払いの場合の政令の額は33万円です(民事執行法施行令2条1項1号)。ただし、預金など他の財産の扱いは別に考える必要があります。
Q. もう何年も放置しています。今から相談しても遅いですか?
A. 遅いかどうかは、書類の種類と日付によって変わります。仮執行宣言が付いた支払督促でも、送達を受けた日から2週間の不変期間内であれば督促異議を申し立てられます(民事訴訟法393条)。また、期間が長く空いている場合は、時効の観点から確認すべき点があります。ただし、その確認の前に一部でも支払うと、民法152条1項の「承認」として時効が更新されると評価される可能性があります。まず確認、が順番です。
まとめ
封筒を開けるのは怖いことです。ですが、この記事で見てきたとおり、法律は「動いた人」に手続きを用意しています。支払督促には受け取ってから2週間という期限があり、督促異議を出せば通常の訴訟に移って話し合いの余地が生まれます。訴状が届いたときも、答弁書を出しておくことに意味があります。給与を差し押さえられても4分の3(政令の額の範囲)は残ります。そして、あわてて一部を払う前に、時期の確認が必要な場合があります。借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。

まずは、封筒を開けて書類の名前と日付だけを確認してください。そこまでできれば、次にやることは決まります。一人で抱え込まなくて大丈夫です。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- 裁判所「支払督促」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_22/index.html
- 裁判所「民事訴訟」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_20/index.html
- e-Gov法令検索「民事訴訟法」(158条=訴状等の陳述の擬制/159条=自白の擬制/382条=支払督促の要件/386条=支払督促の発付等/391条=仮執行の宣言/393条=仮執行の宣言後の督促異議/395条=督促異議の申立てによる訴訟への移行) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
- e-Gov法令検索「民法」(145条=時効の援用/147条=裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新/152条=承認による時効の更新/166条=債権等の消滅時効/169条=判決で確定した権利の消滅時効) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- e-Gov法令検索「民事執行法」(152条=差押禁止債権) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
- e-Gov法令検索「民事執行法施行令」(2条1項1号=毎月払いの場合は33万円) https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000230
- e-Gov法令検索「貸金業法」(21条1項=取立て行為の規制) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032
- e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」(19条1項=午後9時から午前8時まで/19条2項=催告書面は第三者に明らかにならない方法で) https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040
- 金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」 https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/
- 金融庁「貸金業法のキホン」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html
- 日本貸金業協会「貸金業相談・紛争解決センター」(0570-051-051) https://www.j-fsa.or.jp/personal/trouble/
- 法テラス「サポートダイヤル」(0570-078374) https://www.houterasu.or.jp/site/soudanmadoguchi-houseido/support-dial.html
- 法テラス「弁護士・司法書士費用等の立替制度のご利用の流れ」 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyou.html
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」(よりそいホットライン0120-279-338/#いのちSOS 0120-061-338/こころの健康相談統一ダイヤル0570-064-556) https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/tel/
- 消費者庁「消費者ホットライン188」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
- 裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」(支払督促を受けた場合の異議申立書の出し方・和解・特定調停・140万円の管轄) https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html
- 裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」(訴訟上の救助/民事法律扶助による立替制度) https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html
- 東京簡易裁判所(墨田庁舎)「督促異議申立書」の書き方(記載例・「言い分」欄は空欄での提出も可能/分割払いの話合いを希望する場合の書き方) https://www.courts.go.jp/tokyo-s/vc-files/tokyo-s/file/7-35igi_rei.pdf
- 千葉簡易裁判所「支払督促」手続リーフレット(訴訟手続移行時の手数料の納付義務は原告=債権者) https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/file/kansai-siharaitokusoku.pdf
- 裁判所「手数料」(申立手数料が必要な手続の一覧) https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/tesuuryou/index.html
- 法務省「督促手続・少額訴訟Q&A」(督促異議の2回の機会/仮執行宣言後の強制執行停止の申立て/確定後の請求異議の訴え=民事執行法35条1項) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji68-3.html
- 法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」(訴えられた側の利用・利用の3条件) https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/tatekaeqa.html
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年8月時点)
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