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・「お金がないから、弁護士に頼まず自分で債務整理をすればいい」
・「自分でやれば、専門家に払う分だけ安くなるはずだ」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、これは誤解です。裁判所が公表している書式と費用の一覧を見れば、本人でも手続ができること自体は事実で、千葉地方裁判所の申立書には「本人申立用の書式は,裁判所で交付しています」と明記されています。
とはいえ、個人再生の予納金が本人申立てだと上乗せされる運用や、自己破産が管財事件になった場合の予納金に別の基準が適用されることなど、費用面で変わる点があるのも事実です。
本記事では、債務整理を本人でやると具体的に何が変わるのかを、条文と裁判所が公表している金額だけで紹介します。
現在すでに費用が払えず相談をためらっている人はもちろんのこと、これから本人での申立てを検討しているという人も、本人申立てと専門家依頼の違いについてしっかりと理解しておきましょう。

お金がないから債務整理をしたいのに、その債務整理にお金がかかるって、おかしくないですか……。

そのお気持ち、よく分かります。だからこそ、「何にいくらかかるのか」を分けて見るのが大事なんです。裁判所に納めるお金と、専門家に払う報酬は別のものですよ。

じゃあ、自分でやれば裁判所の分だけで済むということですか?

そこが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。実は、自分でやると裁判所に納める金額のほうが上がる場合があります。
🔎 30秒でわかる結論
- 本人申立ては制度として存在する。千葉地方裁判所の申立書には「本人申立用の書式は,裁判所で交付しています」と明記されている
- ただし取立てが止まる条文の”主体”が違う。貸金業法21条1項9号は「弁護士等に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合」と定めている
- 個人再生は、専門家に依頼していない申立人には個人再生委員が選任される運用があり、その分の予納金が上乗せされる(鹿児島地裁の説明書で公表)
- 自己破産が管財事件になった場合、本人申立事件は別表が適用される。東京地裁の費用一覧では、代理人がついた自己破産申立事件の個人管財が最低20万円なのに対し、本人申立事件は自然人・負債総額5000万円未満で50万円
- 任意整理を自分で交渉すること自体は禁じられていない。禁じられているのは「報酬を得る目的」で他人の債務整理を業として行うこと(弁護士法72条)
- 費用が払えないことは、それ自体が相談できる論点。法テラスの立替制度を使えば費用を立て替えてもらい分割で返せる。生活保護を受給中は返済が猶予される
📖 この記事でわかること
- 「自分でできる」は本当か(裁判所が公表していること)
- 違い①:取立てが止まる条文の”主体”が違う
- 違い②:個人再生は本人申立てだと個人再生委員が付く
- 違い③:管財事件になったときの予納金が変わる
- 費用の内訳(裁判所に納める実費と、専門家の報酬は別物)
- 家族や知人に代わりにやってもらうのはなぜダメなのか
- 費用が払えないときに使える公的な仕組み
- デメリットと注意点(自分でやるのに向いている場合/向いていない場合)
「自分でできる」は本当か(裁判所が公表していること)

そもそも、本人が裁判所に申し立てることってできるんですか?

できます。裁判所の資料に、本人申立て用の書式があることが書かれています。
千葉地方裁判所が公開している破産手続開始・免責許可申立書のPDFには、冒頭に「*これは弁護士専用です。本人申立用の書式は,裁判所で交付しています。」と記載されています。つまり、裁判所は本人が申し立てることを前提に、その書式を用意しているということです。
また、破産・個人再生とも、裁判所の手続案内ページには「申立てに必要な書類 裁判所ごとに異なりますので、申立先の裁判所へ確認してください。」と書かれています。全国共通のひな形が用意されているわけではなく、申立先の裁判所に確認するのが正しい進め方です。
⚠ 裁判所は相談窓口ではない
ただし、裁判所は手続の相談相手にはなりません。東京地方裁判所民事第20部(倒産部)は、「個人又は法人の代表者の方で、破産、個人再生、民事再生等の倒産手続をお考えの方は、まずは弁護士に相談をしてください。裁判所は、中立的な立場で手続を進める必要がありますので、債務整理や倒産手続の申立てに関する相談に応じることはできません。また、弁護士を紹介することもできません。」と明記しています。なお同ページは「無資格者への債務整理の依頼はしないよう、くれぐれもご注意ください。」とも書いています。
つまり、「できる/できない」で言えばできる。ただし、書類の作り方を教えてくれる人が制度の中にいない——これが出発点です。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
違い①:取立てが止まる条文の”主体”が違う

よく「弁護士に頼むと督促が止まる」って聞きます。あれは自分で連絡しても同じですか?

ここが、いちばん大きな違いです。条文に「誰からの通知か」が書かれているんです。
貸金業者からの取立てを制限しているのは、貸金業法21条1項9号です。条文はこう書かれています。
💡 条文が定めている2つの経路
「債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士、弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ……当該債務を弁済することを要求し……更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。」(貸金業法21条1項9号)
読むと分かるとおり、この条文が想定しているのは①弁護士等に委託して、弁護士等から書面の通知があった場合と、②その処理のため必要な裁判所の手続をとって、裁判所から書面の通知があった場合の2つです。
⚠ ここが決定的な非対称
したがって、本人が自分で「もう払えません」と書面を送っただけでは、この条文が定める場面には当たりません。本人が保護を受けるには、実際に裁判所の手続をとり、裁判所から書面の通知が出される必要がある、という条文の作りになっています。ここは、費用の話とは別の次元の違いです。
法テラスも「弁護士や司法書士が債務整理(任意整理・自己破産・個人再生等)の依頼を受け、貸金業者に対してその旨の通知を行った場合、通常、貸金業者からの連絡は止まります。」と説明しています。主語が「弁護士や司法書士が」である点に注目してください。
✅ このセクションのまとめ
取立てが止まる条文は、通知の主体を「弁護士等」または「裁判所」としている。本人が自分で書面を出すことは、この条文が定める場面ではない。
違い②:個人再生は、本人申立てだと個人再生委員が付く
個人再生には「個人再生委員」という仕組みがあります。民事再生法223条1項は、裁判所が「必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、一人又は数人の個人再生委員を選任することができる」と定めています。条文上は「できる」=裁量の規定です。
ただし、運用は裁判所によって異なります。東京地方裁判所民事第20部は「当部では、申立書を審査したうえで全件につき個人再生委員を選任しています。」と公表しています。
そして、専門家に依頼しているかどうかで予納金が変わることを明記している裁判所があります。鹿児島地方裁判所の個人再生手続説明書には、次のように書かれています。
| 申立ての形 | 予納金(公告費用、個人再生委員報酬等に要する費用) |
|---|---|
| 弁護士や司法書士に依頼して申立てをする場合 | 2万円程度 |
| その他の場合(=本人申立て) | 15万円程度 |
出典:鹿児島地方裁判所「個人再生手続説明書」(2026年8月時点)
同説明書は、その理由も書いています。「弁護士や司法書士に依頼して申立てをする場合とそうでない場合とで,予納金が違うのは,弁護士や司法書士に依頼していない申立人に対しては,個人再生委員が選任されることになっており,その報酬分があるからです。」
💡 ここ、勘違いされがち
金額の水準や運用は裁判所ごとに違います。上の表は鹿児島地裁が公表している額であり、全国どこでも同じ金額という意味ではありません。申立先の裁判所の公表資料で必ず確認してください。
なお同じ説明書には、「個人再生手続は申立人が主体となって手続を進めて行かねばならず,それができなかった場合のデメリットがありますので,法律の専門家でない一般の方が一人で行うことはかなり困難だといえます。」という記載もあります。裁判所自身の評価です。個人再生を考えている場合は、依頼する場合としない場合の予納金・負担の差を、早い段階で確認しておくと判断しやすくなります。
個人再生を考えていて予納金の負担を減らしたいという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
違い③:自己破産が管財事件になったときの予納金

自己破産なら、裁判所に払うのは1万円ちょっとだと聞きました。

それは同時廃止という類型になった場合の額です。管財事件になると、けた違いに変わります。
東京地方裁判所民事第20部が公表している「破産事件の手続費用一覧(令和8年1月1日現在)」は、次のようになっています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 申立手数料(個人自己破産及び免責申立て) | 1,500円 |
| 予納金基準額 ① 同時廃止事件 | 13,046円(中目黒庁舎で「現金」納付する場合は14,000円) |
| 予納金基準額 ② 管財事件(自己破産申立事件) | 個人管財事件=最低20万円 及び 個人1件につき20,397円 |
| 予納金基準額 ③ 管財事件(債権者破産申立事件及び本人申立事件) | 別表による。自然人・負債総額5000万円未満=50万円(5000万〜1億円未満=80万円、1億〜5億円未満=150万円…)+個人1件につき20,397円 |
| 予納郵券(自己破産申立) | 4,950円 |
出典:東京地方裁判所民事第20部「破産事件の手続費用一覧(令和8年1月1日現在)」(2026年8月時点)
💡 ポイント
この一覧が示しているのは、管財事件になった場合、②(代理人がついた自己破産申立事件)と③(本人申立事件)で適用される基準が違うということです。同じ東京地裁で、個人の管財事件が最低20万円と、負債総額5000万円未満の自然人で50万円という差になります。なお同PDFには「※予納金額は、事案に応じて変更される場合があります。」との注記もあります。
⚠ 「本人=必ず高い」ではない
誤解しないでいただきたいのは、「本人申立てなら必ず50万円」ではないことです。同時廃止になれば13,046円です。同時廃止か管財かは、財産の内容や事情によって裁判所が判断します。ただし、管財になったときに、費用を抑えるつもりの本人申立てのほうが高くつく可能性がある、という構図は知っておく価値があります。
費用の内訳(裁判所に納める実費と、専門家の報酬は別物)
債務整理の費用は、大きく2つに分かれます。この2つを混ぜて考えると、判断を誤ります。
| 費用の種類 | 払う相手 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 裁判所に納める実費 | 裁判所 | 申立手数料(収入印紙)、予納金(官報公告費用・管財人や個人再生委員の報酬等)、予納郵券。本人でやってもかかる |
| ② 専門家の報酬 | 弁護士・司法書士 | 着手金・報酬金など。本人でやればかからない |
参考として、個人再生の申立てにかかる裁判所の費用も東京地裁が公表しています。「1 申立手数料 1万円(収入印紙) 2 裁判所予納金 1万5120円(官報公告費用)【注意】中目黒庁舎の出納窓口で納付する場合は1万6000円となります。」(令和7年11月1日以降適用)。
②の報酬については、日本弁護士連合会が上限のルールを公表しています。日弁連の説明では、「解決報酬金 1社あたり2万円以下が原則。商工ローンは5万円以下。」「減額報酬金 減額分の10%以下。」「過払金報酬金 訴訟によらない場合回収額の20%以下。訴訟による場合回収額の25%以下。」とされています。
💡 ここ、勘違いされがち
ただし同ページには「非事業者等任意整理事件=消費者や零細事業者の任意整理事件の報酬規制が主になっています。※破産事件、民事再生事件などは報酬規制の対象外です。」と書かれています。つまりこの上限は任意整理についてのルールで、自己破産・個人再生には適用されません。見積りは必ず事前に確認してください。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
家族や知人に代わりにやってもらうのは、なぜダメなのか

法律に詳しい知り合いがいるので、お礼を払って頼もうと思っていました。

それは法律で禁じられている行為に当たる可能性があります。頼んだ側も巻き込まれるので、ここは慎重に。
弁護士法72条は次のように定めています。「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。」
罰則もあります。弁護士法77条は「次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。(略)三 第七十二条の規定に違反した者」と定めています。
一方で、自分の借金について、自分で債権者と話をすること自体は禁じられていません。法テラスは任意整理を「裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続です。自己破産などと異なり、支払をしていくことが必要な債務整理手続ですので、そのための原資の確保や家計管理が必要です。」と説明しています。
💡 ポイント
整理すると——自分の分を自分でやる=可能/他人の分を、報酬を得る目的で業として代わりにやる=弁護士法72条違反。なお認定を受けた司法書士は、司法書士法3条1項7号により、紛争の目的の価額が裁判所法33条1項1号の額(140万円)を超えない範囲で裁判外の和解を代理できます。
費用が払えないときに使える公的な仕組み
「頼みたいけれど費用が払えない」——これは相談を止める最大のブレーキのひとつですが、そのための制度が用意されています。
法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助では、一定の条件を満たす場合に、弁護士・司法書士の費用を立て替えてもらい、分割で返していくことができます。同じ問題について3回まで無料の法律相談を受けられる仕組みもあります。
金額の目安も公表されています。例えば自己破産事件では、「代理援助 債権者10社の自己破産申立 実費23,000円 着手金132,000円 立替額合計155,000円」という例が示されています。
⚠ 立て替えてもらえない部分がある
ただし、予納金は立替えの対象外です。法テラスは「また、生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とはなりません。なお、民事再生事件の予納金については、生活保護の受給の有無にかかわらず、立替えの対象とはなりません。」と明記しています。ここは見落としやすいので、必ず確認してください。ただし、同時廃止で終わる事案であれば、予納金自体は本文で見た13,046円程度に収まります。管財事件や個人再生になりそうかどうかを早めに確認しておけば、立て替えの対象外になる金額の見通しも立てやすくなります。
くわしくは債務整理の費用が払えない…分割・後払いや法テラスの立替制度にまとめています。費用がまったく分からないまま迷い続けるより、今の状況で概算を聞くほうが、動けない時間は短くなります。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
デメリットと注意点
本人申立てを選ぶかどうかにかかわらず、債務整理そのものにデメリットがあります。併せて確認してください。
| 起きること | 内容 |
|---|---|
| 信用情報への登録 | CIC・JICCは契約継続中および契約終了後5年以内、KSCは取引情報が契約終了日(未完済の場合は完済日)から5年を超えない期間、官報情報は決定日から7年を超えない期間 |
| 手続中の借入れ・カード | 新たな借入れやクレジットカードの利用・作成は難しくなります |
| 自己破産の場合 | 一定の財産の処分、資格・職業の制限、官報への掲載があります |
| 保証人への影響 | 免責の効力は保証人には及びません(破産法253条2項) |
| 本人申立て特有の負担 | 書類の収集・作成をすべて自分で行い、裁判所とのやり取りも自分で対応します。裁判所は手続の相談には応じません |
| 減額の程度 | どれだけ減るか・そもそも減るかは事案によります。保証されるものではありません |
こう並べると腰が引けるかもしれませんが、①裁判所に納める実費は本人でも専門家でも変わらず、②専門家の報酬だけが「本人でやれば浮く」部分です。負担の中身を先に分けて把握しておけば、無理な選択は避けられます。
本人申立てを検討する余地がある場合
- 財産関係が単純で、同時廃止になる見込みが立てやすい
- 債権者の数が少なく、取引の経過が自分で追える
- 平日の日中に裁判所へ出向く時間が確保できる
- 取立ての連絡が現時点で落ち着いている
専門家に相談したほうがよい場合
- 取立ての連絡が続いていて、まず止めたい
- 個人再生を考えている(個人再生委員の予納金が上乗せされる運用がある)
- 不動産・保険・車など、処分の判断が要る財産がある
- 保証人がいる、給与の差押えがすでに始まっている
専門家に相談したほうがよい場合に当てはまるなら、まず費用の見通しだけでも無料相談で確認するのが最短です。
よくある質問
Q. 本人申立てだと、裁判所に不利に扱われますか?
A. 裁判所が本人申立てを理由に不利に扱うという公表はありません。むしろ千葉地裁の申立書には「本人申立用の書式は,裁判所で交付しています」と書かれており、制度として想定されています。ただし東京地裁民事第20部は「即日面接は、弁護士である申立代理人への信頼を基礎としており、申立代理人が事前に十分な調査を行っていることを前提に、裁判官が、問題点等について、申立代理人に口頭で確認しています。」と説明しており、代理人がいることを前提にした運用が存在することは事実です。
Q. 自分で内容証明を送れば、督促は止まりますか?
A. 貸金業法21条1項9号が定めているのは、「弁護士等に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合」です。本人が自分で書面を送ることは、この条文が定める場面には当たりません。なお同条1項1号は、内閣府令で定める時間帯の電話・訪問等を禁じており、取立ての方法自体には別途ルールがあります。
Q. 司法書士と弁護士は、どちらに頼めばいいですか?
A. 扱える範囲が違います。司法書士法3条1項7号は、認定司法書士が代理できる裁判外の和解を「紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの」に限っています。裁判所法33条1項1号の額は140万円です。この点は債務整理とは?4つの方法と選び方の「弁護士と司法書士では、扱える範囲が違う」の節でくわしく解説しています。
Q. 費用を安くしたいのですが、どこに頼めばよいですか?
A. 日弁連は任意整理について報酬の上限ルールを公表していますが、破産事件・民事再生事件はその規制の対象外です。費用が心配な場合は、まず法テラスの無料法律相談(同一の問題につき3回まで)を検討してください。公的な相談窓口の一覧は借金の相談はどこにすればいい?にまとめています。
Q. 債務整理の手続を、家族に代わりにやってもらうことはできますか?
A. 家族が「報酬を得る目的」で業として行えば弁護士法72条に触れます。書類の記入を手伝う、郵便を出す、といった事実上の手助けと、本人に代わって債権者と交渉することは別です。判断に迷う場合は、無料の相談窓口で確認してください。
Q. 相談する前に、自分で準備できることはありますか?
A. あります。借入先・残高・毎月の返済額の一覧をつくること、信用情報の開示請求で自分の登録内容を確かめることの2つは、本人でも今日から進められます。開示請求の手順は信用情報の開示請求のやり方で解説しています。
費用が分からないまま身動きが取れなくなるリスクが生じる前に、まずは無料相談で現状を話してみてください。
まとめ
「債務整理は自分でできるか」——答えは「制度としてはできる。ただし、条文と費用の面で変わることがある」です。
取立てを止める条文(貸金業法21条1項9号)は、通知の主体を「弁護士等」または「裁判所」と定めています。個人再生は、専門家に依頼していない申立人に個人再生委員が選任される運用があり、鹿児島地裁の説明書では予納金が2万円程度と15万円程度に分かれています。自己破産が管財事件になった場合、東京地裁の費用一覧では本人申立事件に別表が適用され、自然人・負債総額5000万円未満で50万円とされています。
つまり、「費用を抑えるために自分でやる」が、必ずしも安くならないということです。一方で、費用が払えないこと自体は法テラスの立替制度で扱える論点です。決めるのは自分でかまいません。ただ、決める前に金額の見通しを知っておくことをおすすめします。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- 千葉地方裁判所「破産手続開始・免責許可申立書」(*これは弁護士専用です。本人申立用の書式は,裁判所で交付しています。) https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/file/1hasanmensekimousitate.pdf
- 裁判所「破産」(申立てに必要な書類 裁判所ごとに異なりますので、申立先の裁判所へ確認してください。) https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_16/index.html
- 裁判所「個人再生」(申立てに必要な書類 裁判所ごとに異なりますので、申立先の裁判所へ確認してください。) https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_18/index.html
- 裁判所「破産手続で使う書式」 https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_hasan/hasan/index.html
- 東京地方裁判所「民事第20部(倒産部)」(まずは弁護士に相談をしてください/裁判所は…債務整理や倒産手続の申立てに関する相談に応じることはできません/無資格者への債務整理の依頼はしないよう、くれぐれもご注意ください) https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/index.html
- 東京地方裁判所民事第20部「よくある質問」(当部では、申立書を審査したうえで全件につき個人再生委員を選任しています/即日面接は、弁護士である申立代理人への信頼を基礎としており…) https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html
- 東京地方裁判所民事第20部「破産事件の手続費用一覧(令和8年1月1日現在)」(申立手数料1,500円/同時廃止事件13,046円/管財事件〔自己破産申立事件〕個人管財 最低20万円及び個人1件につき20,397円/管財事件〔債権者破産申立事件及び本人申立事件〕は別表=自然人 負債総額5000万未満50万円・5000万〜1億未満80万円・1億〜5億未満150万円・5億〜10億未満250万円/予納郵券4,950円/※予納金額は、事案に応じて変更される場合があります) https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/min20_hasanq4_hasantetudukihiyouitiran_R080101.pdf
- 東京地方裁判所「個人再生手続の申立てに当たって(令和7年11月1日以降適用)」(申立手数料1万円/裁判所予納金1万5120円/中目黒庁舎の出納窓口で納付する場合は1万6000円) https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/a_kojinsaiseiq2_kojinsaiseitetudukinomousitateniatatte_071101.pdf
- 鹿児島地方裁判所「個人再生手続説明書」(予納金=弁護士や司法書士に依頼して申立てをする場合2万円程度/その他の場合15万円程度/…個人再生委員が選任されることになっており,その報酬分があるからです/法律の専門家でない一般の方が一人で行うことはかなり困難だといえます) https://www.courts.go.jp/kagoshima/vc-files/kagoshima/file/20304001.pdf
- 貸金業法 第21条第1項第9号(弁護士等に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合)・同項第1号(内閣府令で定める時間帯の電話・訪問等の禁止)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032
- 民事再生法 第223条第1項(個人再生委員の選任=必要があると認めるときは…選任することができる)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- 弁護士法 第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)・第77条第3号(二年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205
- 司法書士法 第3条第1項第7号(紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000197
- 裁判所法 第33条第1項第1号(訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000059
- 破産法 第253条第2項(免責の効力は保証人に及ばない)(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- 法テラス「弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、貸金業者からの連絡が止まるのですか。」(弁護士や司法書士が債務整理の依頼を受け、貸金業者に対してその旨の通知を行った場合、通常、貸金業者からの連絡は止まります。) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-004.html
- 法テラス「任意整理とは何ですか。」(裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続です) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-001.html
- 法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」(生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とはなりません。なお、民事再生事件の予納金については、生活保護の受給の有無にかかわらず、立替えの対象とはなりません。) https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/tatekaeqa.html
- 法テラス「民事法律扶助業務」(代理援助 債権者10社の自己破産申立 実費23,000円 着手金132,000円 立替額合計155,000円) https://www.houterasu.or.jp/site/about-houterasu/minjihouritsufujo.html
- 法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」(同一の問題につき、3回まで無料で相談できます) https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyounonagare.html
- 日本弁護士連合会「債務整理の弁護士報酬のルールについて」(解決報酬金1社あたり2万円以下が原則/減額報酬金 減額分の10%以下/過払金報酬金 訴訟によらない場合回収額の20%以下・訴訟による場合25%以下/※破産事件、民事再生事件などは報酬規制の対象外です) https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/legal_aid/saimuseiri.html
- CIC「CICが保有する信用情報」(クレジット情報=契約期間中および契約終了後5年間) https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
- JICC「信用情報の内容と登録期間」 https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration
- 全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター「センターの概要」 https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年8月時点)
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
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