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・「まだ回っている。来月も別のところから借りて返せば、何とかなるはずだ」
・「限界まで借金をしたのは自分のせい。もう打てる手は残っていない」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、借りて返す状態は、努力や気持ちと関係なく、法律の仕組みでどこかで必ず止まります。そして、止めたあとの手順も法律で用意されています。弁護士などに依頼して書面の通知が届くと、貸金業者は正当な理由なく本人に返済を要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらずさらに要求することを禁じられます(貸金業法21条1項9号)。
とはいえ、返す見込みが立たないまま借入れを重ねると、多重債務に陥り、最後は裁判所の手続きまで進んでいくのも事実です。
本記事では、自転車操業の借金が限界のときに、借りて返す状態から抜ける手順について紹介します。
すでに返済のために借りている人はもちろんのこと、「今月はまだ回っている」という人も、借りて返す状態がどこで止まり、止めたあとに何ができるのかをしっかりと理解しておきましょう。
眠れない・もう無理だと感じている方へ(先にお伝えします)
借金のことで追いつめられているときは、借金の相談の前に使える、厚生労働省が案内している電話の相談窓口があります。無料で、話すだけでも構いません。
- #いのちSOS 0120-061-338(24時間365日・フリーダイヤル)
- よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応・フリーダイヤル)
- いのちの電話 0120-783-556(毎日16時から21時まで〔毎月10日は午前8時から翌日午前8時まで〕・フリーダイヤル)
- こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(ナビダイヤルのため通話料がかかります。対応の曜日・時間は都道府県によって異なります)
出典:厚生労働省「まもろうよ こころ」電話相談窓口。借金の問題には、法律で決まった止め方があります。限界まで借りたことと、相談してよいかどうかは関係ありません。

半年くらい、返済日の前に別のカードで借りて返しています。まだ回っているので大丈夫ですよね。

いいえ、その状態は長くは続きません。貸金業者からの借入れは年収の3分の1が上限で、借り足せる枠は法律で決まっています。

限界まで借りたのは自分です。こんな状態で相談なんてしていいんでしょうか。

相談していいです。金融庁も、ほかの借金を返すためにローンを使うことを「転落への第一歩」と書いています。個人の性格の話ではありません。

でも、借りるのをやめたら今月の返済ができません。

そこで使うのが受任通知です。弁護士などに依頼すると、貸金業者からの直接の取立てを法律で止める仕組みがあります。
🔎 30秒でわかる結論
- ★借りて返す状態は、仕組みとして必ず止まる。貸金業者からの借入れは年収の3分の1が上限(貸金業法13条の2第2項=総量規制)。銀行からの借入れは総量規制の対象外だが、上限なく借りられるという意味ではない
- ★契約中のカードローンも「三月以内」ごとに信用情報を調べられる(貸金業法13条の3第2項・施行規則10条の25第1項)。他社から借りて返していることは相手に見えている
- ★金融庁の公式教材は、借金を返すためのローンを「転落への第一歩」と書いている(基礎から学べる金融ガイド)
- ★「借金以外」でしのぐ手に見える給与ファクタリングは、金融庁が「貸金業に該当します」と明言。登録のない業者なら、それはヤミ金融
- ★弁護士などに依頼して書面の通知が届けば、貸金業者は正当な理由なく本人に返済を要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらずさらに要求することを禁じられる(貸金業法21条1項9号)
- ★返し方を組み替える手続きは3つ=任意整理・個人再生・自己破産。どれが合うかは収入の見込み・残高・守りたい財産で決まる
- ★借りて返し続けただけで、自己破産の免責が認められなくなるわけではない。ただし支払不能を知りながら、だまして借りると免責不許可事由(破産法252条1項5号)に触れうる。今止めれば、その心配自体が生まれない
📖 この記事でわかること
- 自転車操業の借金とは何か、限界のサインはどこに出るか(チェック表)
- 借りて返す状態がなぜ必ず止まるのか(総量規制と3か月以内ごとの信用情報調査)
- 「借金以外」でしのぐ手に見えて、実はヤミ金融の入口になっているもの
- 借りて返すのを止めた瞬間に何が起きるか(受任通知)
- 任意整理・個人再生・自己破産の選び方の目安
- 「借りて返していたら自己破産できない」は本当か(免責不許可事由と裁量免責)
- このまま続けた場合の最終地点
- サラリーマン・収入が減った人・もう眠れない人の最短の動き方
借金返済の自転車操業とは?限界のサインをチェック

自分が自転車操業なのか、まだそこまでではないのか、よく分かりません。

返済のお金が借入れから出ているなら、自転車操業です。毎月きちんと払えていても、借金の合計は減っていません。
自転車操業とは、ある借入れの返済を、別の借入れで払っている状態を指す言い方です。返済日に遅れは出ないので、本人は「払えている」と感じます。しかし返すためのお金が借入れから出ている以上、借りている相手が入れ替わっているだけで、借金の合計は減っていません。その間も、それぞれの借入先に利息を払い続けています。
次のうち1つでも当てはまるなら、借りて返す以外の手を確認する時期です。
| 限界のサイン | その状態で起きていること |
|---|---|
| 返済日の前に、別のカードローンやキャッシング枠から引き出して返している | 返済のお金が借入れから出ている。借金の合計は減っていない |
| 1年前より借入先の数が増えた | 返す相手と返済日が増え、毎月の返済額の合計も増えている |
| 最低額しか払えず、残高がほとんど減らない | 払ったお金の多くが利息に回り、元金がほとんど動いていない |
| 新しい申込みで審査に落ちた・増額を断られた | 年収の3分の1の上限や、他社の借入残高を見た審査に当たっている可能性がある |
| 給料日の数日後には口座がほぼ空になる | 生活費そのものを借入れでまかなう月が出てくる |
| 返済のことで眠れない・仕事に手がつかない | お金の問題が体調に出ている。記事冒頭の電話相談窓口を先に使ってください |
※国や裁判所が定めた基準ではなく、相談を考える目安です。
法律上の線としては、破産法が「支払不能」を、支払能力を欠くために、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済することができない状態と定めています(2条11項)。借入れがなければ返済日を越えられない月が続いているなら、自分がこの状態に近いのかどうかを、専門家に確認してもらう段階です。
💡 ここ、勘違いされがち
これまで一度も遅れていないから大丈夫、とは限りません。借りて返している間は遅れが出ないため、信用情報の上では問題がないように見えます。遅れが出るのは、借りられなくなった月です。そのときには、借入先の数だけ返済日が同時にやってきます。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
借りて返す状態が「必ず止まる」理由

来月も、まだ枠が残っているカードで借りれば回せると思うのですが。

その枠は、法律で上限が決まっています。上限と、貸す側が定期的にあなたの他社の借入れを調べる義務。この2つで、借りて返す状態はどこかで止まります。
① 貸金業者からの借入れは「年収の3分の1」で止まる(総量規制)
貸金業法13条の2第2項は、個人が貸金業者から借りる場合の上限(基準額)を「その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額」と定め、これを超えることとなる契約を「個人過剰貸付契約」として禁止しています(同条1項)。金融庁は、総量規制について「総量規制とは、借りることのできる額の総額に制限を設ける、新しい規制のことです。この新しい規制は、平成22年6月18日から実施されています」と説明しています。
たとえば年収360万円の人が消費者金融やクレジットカードのキャッシングで借りられる合計は、原則として120万円までです。借りて返している間は、払った利息の分だけ借入残高の合計が増えていくため、上限までの残りは月ごとに縮んでいきます。
💡 ここ、勘違いされがち
総量規制は貸金業者から個人が借りる場合の規制です。金融庁は、銀行からの借入れや法人名義の借入れは対象外と説明しています。ただし、銀行なら上限なく借りられるという意味ではありません。銀行も審査をしますし、銀行で借りて貸金業者に返すのも、借りて返す状態であることに変わりはありません。
② 契約中のカードローンも「三月以内」ごとに信用情報を調べられる
カードローンのような枠取引(極度方式基本契約)について、貸金業法13条の3第2項は「貸金業者は、個人顧客と極度方式基本契約を締結している場合には、内閣府令で定める期間ごとに、指定信用情報機関が保有する当該個人顧客に係る信用情報を使用して、当該極度方式基本契約が基準額超過極度方式基本契約に該当するかどうかを調査しなければならない。」と定めています。その期間が、貸金業法施行規則10条の25第1項の「法第十三条の三第二項に規定する内閣府令で定める期間は、三月以内とする。」です。
つまり、契約中のカードローンでも、貸す側は3か月以内ごとに、他社の借入残高を含むあなたの信用情報を調べているということです。他社で借りて返している状態は、言わなくても相手側の記録に出ます。なお、残高の合計が10万円以下の場合などは、この定期調査の対象外とされています(施行規則10条の25第3項)。
③ 金融庁の公式教材は「転落への第一歩」と書いている
金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」は、借金を返すための借入れについて「他の借金を返すためにローンを利用する人もいます。でも、それは転落への第一歩。注意して利用することが肝要です。」と書いています。また金融庁の貸金業法Q&Aは、「一方、返済の見込みが立たないのに、新たな借入れを行うことは、多重債務に陥る可能性があります。」としたうえで、「返しきれないほどの借入れがあってお困りの場合には、お近くの多重債務相談窓口にご相談ください。」と案内しています。
✅ このセクションのまとめ
借りて返す状態は、年収の3分の1という上限と3か月以内ごとの信用情報調査で必ず止まります。止まるのを待ってから動くと、返済日が一度に重なります。止まる前に自分から止めるほうが、選べる手は多く残ります。
借りて返す状態が数か月続いているという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
「借金以外」でしのぐ手に見えて、実はヤミ金融の入口になっているもの

借金はもう増やしたくないので、給料を先にもらえるサービスを使おうか考えています。

それは使わないでください。給料を買い取るという形でも、金融庁は「貸金業に該当します」と書いています。登録のない業者なら、ヤミ金融です。
「自転車操業 借金以外」で検索すると、借金ではない形でお金を用意する方法が出てきます。その代表が給与ファクタリングです。金融庁は次のように書いています。
| 金融庁の注意喚起(逐語) | この記事の読者にとっての意味 |
|---|---|
| 「給与ファクタリングは利用しないでください!」 | 利用しないよう、金融庁がはっきり呼びかけている |
| 「「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します。」 | 「借金ではない」と言われても、法律上は貸金業。借金以外の手にはならない |
| 「貸金業登録を受けていないヤミ金融業者により、年率換算すると数百~千数百%になる手数料を支払わされたり、大声での恫喝や勤務先への連絡といった私生活の平穏を害するような悪質な取立ての被害を受けたりする危険性があります。」 | 手数料を年利に直すと、数百%から千数百%になることがある |
| 「また、高額な手数料を支払ってしまうと、本来受け取る賃金よりも少ない金額の金銭しか受け取れなくなるため、経済的生活がかえって悪化し、生活が破綻するおそれがあります。」 | 次の給料日に受け取るお金が減るので、翌月はさらに足りなくなる |
出典:金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(2026年9月時点)
金融庁は、給与以外の取引についても「しかし、近時、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者の存在が確認されています。また、ファクタリングとして行われる取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものは、貸金業に該当するおそれがあります。」と書いています。名前が「買取り」「後払い」「現金化」でも、先にお金を受け取り、あとで多く返す仕組みなら、借りて返す状態を別の形で続けているのと同じです。
💡 ポイント
借りるのを自分の意思で止めておく公的な仕組みもあります。日本貸金業協会の貸付自粛制度は、本人の申告を信用情報機関に登録し、貸金業者などが照会したときに提供される制度です。「登録期間は5年以内です。ただし、登録から3ヶ月間は撤回できません。」枠があるとつい借りてしまう状態を、自分の申告で止めておける制度です。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
借りて返すのを止めた瞬間に何が起きるか(受任通知)

借りるのをやめたら、すぐ督促の電話が何社からも来ますよね。それが怖いです。

何もせずにやめれば、そうなります。だから先に弁護士などに依頼します。依頼先から貸金業者に通知が届くと、直接の取立てを法律で止める仕組みがあります。
貸金業法21条1項9号は、債務者が弁護士や司法書士などに債務の処理を委託し、その旨の書面による通知を受けたあとに、貸金業者が正当な理由なく電話・訪問などで本人に返済を要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらず、さらに要求することを禁止しています。この書面が、いわゆる受任通知です。新しく借りるのを止めたうえで、次の順番で進みます。
| 順番 | 起きること |
|---|---|
| ① 無料相談 | 借入先・残高・毎月の返済額・収入を伝える。依頼するかどうかは話を聞いてから決められる |
| ② 依頼 | 弁護士・司法書士などに債務の処理を委託する |
| ③ 受任通知 | 依頼先から各貸金業者へ、委託した旨の書面が送られる |
| ④ 直接の取立てが止まる | 正当な理由なく本人へ返済を要求し、直接要求しないよう求められてもさらに要求することが禁止される(貸金業法21条1項9号) |
| ⑤ 返し方を組み替える | 任意整理・個人再生・自己破産のどれで進めるかを依頼先と決める |
出典:e-Gov 貸金業法21条1項9号(2026年9月時点)
借りて返す状態を自分だけで止めると、止めた月から全社の返済日に遅れが出て、督促が一度に来ます。先に依頼してから止めるという順番にすると、督促を受け止める先が本人から依頼先に移ります。「返すために借りる」を続ける理由の1つが「督促が怖い」なら、その心配は、法律の仕組みで取り除けます。
💡 ここ、勘違いされがち
この条文の対象は貸金業者(と取立てを委託された者)です。銀行や、家族・知人など貸金業者でない相手からの借入れには、この条文は直接は適用されません。借入先ごとの扱いは、相談のときに一覧で伝えて確認してください。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
任意整理・個人再生・自己破産の選び方の目安

債務整理にも種類があると聞きました。自分にはどれが合うのでしょうか。

収入の見込み・残高・守りたい財産の3つで決まります。ここでは公的な説明の範囲で目安を並べます。最終的には相談の場で決めます。
| 手続き | 向いている状況 | 押さえておく点 |
|---|---|---|
| 任意整理 | 収入は続いていて、借りなければ返済日を越えられない。対象にする借入先を選びたい | 法テラスは「任意整理とは、裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続です。」と説明。合意できるかどうかは相手の会社ごとの判断 |
| 個人再生 | 収入はあるが残高が大きい。住宅ローンを払いながら家を残したい | 将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、再生債権の総額が5,000万円を超えないことが要件(民事再生法221条1項)。給与所得者等再生という類型もある |
| 自己破産 | 収入が止まった・大きく減って、返済の見込みが立たない | 「債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。」(破産法15条1項)。財産の処分や一定の資格の制限、官報への掲載がある |
※どの手続きが取れるかは個別の事情で変わります。
借りて返している人の多くは、毎月の収入がまだある状態です。収入があるうちに相談すれば、任意整理や個人再生のように返しながら組み替える手続きも候補に残ります。収入が止まってからでは、候補が自己破産に絞られていくことがあります。
裁判所の統計でも、こうした手続きは珍しいものではありません。令和7年(2025年)の司法統計年報によると、地方裁判所が新しく受け付けた件数の合計は、自己破産83,100件、小規模個人再生10,753件、給与所得者等再生662件でした。
収入があるうちに借りて返す状態を止めたいという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
不安潰し:手続きのデメリットと「借りて返していたら自己破産できない」の本当

借りて返していた人は、自己破産しても借金が消えないと聞きました。

借り続けたことだけで、そうなるわけではありません。問題になるのは、返せないと分かっていながら、だまして借りた場合です。
先に、手続きの不利な点を挙げます。
| 起きること | 公表されている内容 |
|---|---|
| 信用情報への記録 | CICはクレジット情報の保有期間を契約中および契約終了から5年間と公表。全国銀行個人信用情報センターは、官報情報を当該決定日から7年を超えない期間と公表 |
| 官報への掲載 | 破産手続開始決定・免責決定・再生手続開始決定は官報に掲載される。任意整理は載らない |
| 保証人への影響 | 本人が手続きをしても、保証人の義務は残る(破産法253条2項) |
| 自己破産に固有の点 | 財産の処分、手続き中の一定の資格の制限がある |
出典:CIC/全国銀行協会の公表内容、法テラス、e-Gov 破産法(2026年9月時点)
一方で、借りて返す状態を続けても、いずれ遅れが出れば返済状況は同じ機関に記録されます。手続きをしなければ記録が付かない、というわけではありません。違うのは、借入先と利息が増え続けるか、いったん止めて組み替えるかです。
「借りて返していたら免責されない」は本当か
破産法252条1項は「裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。」と定め、免責が認められない事由を並べています。借りて返していた人に関係しそうなのが5号で、条文は次のとおりです。
「破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。」
この号に当たるには、①申立ての1年前から開始決定までの間に ②支払不能などの事実を知りながら ③それがないと信じさせるため ④詐術を用いて ⑤信用取引で財産を取得したことが必要です。返済のために借り続けたというだけで、この号に当たるわけではありません。問題になりうるのは、年収や他社の借入れを偽って申し込むような、相手をだます行為が加わった場合です。また2号は、破産手続の開始を遅延させる目的で著しく不利益な条件で債務を負担したことなどを挙げており、これも目的が要件になっています。
さらに252条2項は「前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。」と定めています(裁量免責)。
💡 ここ、勘違いされがち
それでも、限界に気づいたあとも借り続けるほど、返せない状態を隠して借りる場面は増えます。審査の申込みで収入や他社の借入れをどう書くかは、そのたびに問われます。今、借りて返すのをやめれば、その心配はそもそも生まれません。手続きの面でも、今止めるのがいちばん得です。
✅ このセクションのまとめ
デメリットはあります。それでも、借りて返す状態を続けるほど、借入先と利息は増えます。相談だけなら無料の窓口があり、依頼するかどうかは話を聞いてから決められます。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
このまま借りて返すを続けた場合の最終地点

もし何もせず、行けるところまで借りて返し続けたら、最後はどうなりますか。

借りられなくなった月に、全社の返済が同時に止まります。その先は、裁判所からの書類に進みます。
借りて返す状態が止まるのは、総量規制の上限や審査に当たって新しく借りられなくなったときです。その月から、借入先の数だけ返済日に遅れが出ます。遅れが続くと、分割で払う約束(期限の利益)を失って残額をまとめて請求され、その次に来るのが裁判所からの書類です。
裁判所は支払督促について、「債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます。」と説明しています。強制執行には、給与や預金の差押えが含まれます。給与の差押えになれば、裁判所の書類は勤務先に届きます。
💡 ポイント
給与には差し押さえられない範囲があり、民事執行法152条1項は給付の4分の3に相当する部分を差押禁止としています(政令で定める額を超えるときはその額=毎月払いは33万円)。生活のすべてを失う仕組みではありません。ただし、差押えまで進んでから選べる手は、借りて返している今より少なくなります。
✅ このセクションのまとめ
借りて返す状態の最終地点は、一度に全社の返済が止まり、裁判所の書類に進むことです。そこに2週間という短い期限が置かれています。期限に追われる前の今が、相談の時間をいちばん取れる時点です。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
ケース別:借金が限界のときの最短の動き方

状況は人それぞれだと思います。自分の場合は、まず何をすればいいですか。

3つに分けてお伝えします。どのケースも、新しく借りるのを今日で止めるところは同じです。
① サラリーマンで収入はあるが、借りて返さないと回らない
収入が続いている人は、返しながら組み替える手続き(任意整理・個人再生)が候補に残っています。借入先・残高・毎月の返済額・手取りを一覧にして、無料相談で伝えてください。勤務先への連絡が心配な場合、貸金業法21条1項3号は、正当な理由がないのに勤務先その他の居宅以外の場所に電話・訪問などをすることを禁止しています。依頼して受任通知が届けば、督促を受け止める先は依頼先に移ります。
② 収入が減った・生活費も足りない
返済より先に、生活を立て直す公的な相談先があります。厚生労働省の自立相談支援事業は、「相談いただいた内容に応じて、どのような制度やサービスが必要かを一緒に考え、具体的な問題の解決に向けた計画を作成し、寄り添いながら支援を行います。」と説明しています。さらに家計改善支援事業の支援内容には「○債務整理に関する支援(多重債務者相談窓口との連携等)」が含まれています。問い合わせ先は、お住まいの地域の自立相談支援機関等です(分からなければ市区町村に確認できます)。
💡 ここ、勘違いされがち
生活福祉資金貸付制度は、対象とならない借入目的に「民間金融機関等への返済」が挙げられています。公的な貸付で借金を返すことはできません。借金そのものは、返し方を組み替える側で扱います。
③ 返済のことで眠れない・もう無理だと感じている
先に、記事冒頭の電話相談窓口を使ってください。#いのちSOS(0120-061-338)は24時間365日、よりそいホットライン(0120-279-338)は24時間対応です。いのちの電話(0120-783-556)は毎日16時から21時まで(毎月10日は午前8時から翌日午前8時まで)です。借金そのものの相談は、落ち着いてからで構いません。相談は無料で、依頼するかどうかは話を聞いてから決められます。
| 相談先 | 内容 | 探し方 |
|---|---|---|
| 多重債務相談窓口 | 金融庁が案内する多重債務の相談先。財務局などに窓口がある | 金融庁「多重債務についての相談窓口」 |
| 自立相談支援機関 | 生活の困りごと全般。家計改善支援事業で債務整理に関する支援も案内される | お住まいの市区町村に確認 |
| 日本貸金業協会 | 貸付自粛制度の申告。「相談や苦情処理手続の申立て、貸付自粛制度の利用については、手数料は一切かかりません。」 | 日本貸金業協会のサイト |
| 弁護士・司法書士(無料相談) | 受任通知を出して返し方を組み替える手続きを依頼できる | 下の相談窓口から探せる |
出典:金融庁/厚生労働省/日本貸金業協会(2026年9月時点)
毎月の返済を借入れでまかなっているという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
よくある質問

細かいところも気になります。聞いてもいいですか。

もちろんです。よく聞かれるところからお答えします。
Q. 自転車操業の借金を、借金以外の方法で返すことはできますか?
A. 給与ファクタリングのように借金ではないとうたうものも、金融庁は貸金業に該当すると明言しています。借金以外の手にはなりません。生活福祉資金も、民間金融機関等への返済は対象外です。借金以外で残る手は、新しく借りるのを止め、返し方そのものを組み替えることです。
Q. サラリーマンで収入があっても、借金が限界なら債務整理できますか?
A. できます。任意整理は裁判所を通さない話し合いの手続きで、収入が続いている人のほうが分割の約束を組みやすくなります。個人再生は将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあることが要件です(民事再生法221条1項)。収入があるうちは、返しながら組み替える手続きが候補に残ります。
Q. 限界まで借金をしていると、自己破産はできませんか?
A. 破産手続の開始の要件は支払不能です(破産法15条1項)。借入額が大きいことは、この要件の妨げにはなりません。免責が認められない事由は破産法252条1項に並んでおり、浪費や賭博などで著しく財産を減らしたり過大な債務を負担したりしたこと(4号)も含まれますが、該当する場合でも裁判所が一切の事情を考慮して免責を認める余地があります(同条2項)。
Q. 借金の返済が限界で返せないとき、どうすればいいですか?
A. 順番は次のとおりです。①新しく借りるのを今日で止める ②借入先・残高・返済日・収入を一覧にする ③無料相談で伝える ④依頼する(受任通知が届けば、貸金業者からの直接の取立てが止まる) ⑤返し方を組み替える。本文の「受任通知」の章の表は、このうち③から先を詳しく並べたものです。眠れないほどつらい場合は、先に記事冒頭の電話相談窓口を使ってください。
Q. 銀行のカードローンで借りて、消費者金融に返すのはどうですか?
A. 銀行からの借入れは総量規制の対象外ですが、借りて返す状態であることに変わりはありません。金融庁は、返済の見込みが立たないのに新たな借入れを行うことについて、多重債務に陥る可能性があると注意しています。借入先が1社増えるだけで、借金の合計は減りません。
Q. 家族に知られずに、借りて返す状態を止められますか?
A. 任意整理は裁判所を通さないため、官報に載りません。貸金業法21条1項5号は、借入れに関する事実など私生活に関する事実を本人以外の者に明らかにすることを禁止しています。ただし保証人がいる借入れを対象にすると、保証人に請求が及びます。知られたくない事情は、最初の相談で伝えてください。
Q. 相談にお金はかかりますか?
A. 公的な相談窓口は無料です。金融庁が案内する多重債務相談窓口、自立相談支援機関などがあります。弁護士・司法書士に依頼する場合の費用は、法テラスの立替制度(民事法律扶助)を使える場合があり、立て替えた費用は無利息で分割して返します。費用が不安なら、費用の話を最初に確認してから決めることもできます。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
まとめ
自転車操業の借金が限界のときに押さえることは、次のとおりです。
🔎 30秒でわかる結論
- 借りて返す状態は、年収の3分の1の上限(貸金業法13条の2第2項)と「三月以内」ごとの信用情報調査(13条の3第2項・施行規則10条の25第1項)で必ず止まる
- 金融庁の公式教材は、借金を返すためのローンを「転落への第一歩」と書いている
- 給与ファクタリングは貸金業。「借金以外」の手にはならない
- 弁護士などに依頼して書面の通知が届けば、貸金業者は正当な理由なく本人に返済を要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらずさらに要求することを禁じられる(貸金業法21条1項9号)
- 返し方の組み替えは任意整理・個人再生・自己破産の3つ。収入があるうちほど候補が多い
- 借り続けただけで免責が認められなくなるわけではない。ただしだまして借りると破産法252条1項5号に触れうる
- 眠れないほどつらいときは、先に#いのちSOS(0120-061-338)・よりそいホットライン(0120-279-338)
借りて返すのを止めるなら、今月がいちばん選べる手の多い時点です。来月も借りられるかどうかは、あなたではなく上限と審査が決めます。止まるのを待たずに、自分から止めてください。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」電話相談窓口(#いのちSOS 0120-061-338=24時間365日/よりそいホットライン 0120-279-338=24時間対応/いのちの電話 0120-783-556=毎日16時から21時まで・毎月10日午前8時から翌日午前8時まで/こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556=ナビダイヤル・相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なる) https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/tel/
- e-Gov 貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)13条の2第1項・2項(個人過剰貸付契約の禁止・基準額=年収の3分の1)/13条の3第2項(極度方式基本契約に係る定期的な調査)/21条1項3号・5号・9号(取立て行為の規制) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032
- e-Gov 貸金業法施行規則 10条の25第1項(「法第十三条の三第二項に規定する内閣府令で定める期間は、三月以内とする。」)・同3項(残高が少額の場合等の除外) https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040
- e-Gov 破産法 2条11項(支払不能の定義)・15条1項(破産手続開始の原因)・252条1項柱書・2号・4号・5号(免責不許可事由)・252条2項(裁量免責)・253条2項(免責は保証人に影響しない) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- e-Gov 民事再生法 221条1項(小規模個人再生の対象=将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み・再生債権の総額5,000万円以下) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- e-Gov 民事執行法 152条1項(給与等の4分の3の差押禁止) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
- e-Gov 民事執行法施行令 2条1項1号(差押禁止の政令額=毎月払い33万円) https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000230
- 金融庁「貸金業法のキホン」(総量規制の説明・平成22年6月18日実施/貸金業者から個人が借入れを行う場合に適用・銀行からの借入れや法人名義は対象外) https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html
- 金融庁「貸金業法Q&A」(A4-1「一方、返済の見込みが立たないのに、新たな借入れを行うことは、多重債務に陥る可能性があります。」) https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/qa.html
- 金融庁「基礎から学べる金融ガイド」(「他の借金を返すためにローンを利用する人もいます。でも、それは転落への第一歩。注意して利用することが肝要です。」) https://www.fsa.go.jp/teach/kou4.pdf
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(給与ファクタリングは貸金業に該当) https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html
- 金融庁「多重債務についての相談窓口」 https://www.fsa.go.jp/soudan/index.html
- 厚生労働省「各種相談窓口・融資・給付制度等」(自立相談支援事業・家計改善支援事業=「○債務整理に関する支援(多重債務者相談窓口との連携等)」/生活福祉資金貸付制度の対象とならない借入目的=「民間金融機関等への返済」等) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08152.html
- 日本貸金業協会「貸付自粛制度」(「登録期間は5年以内です。ただし、登録から3ヶ月間は撤回できません。」/手数料は一切かからない) https://www.j-fsa.or.jp/personal/trouble/way/
- 法テラス「任意整理とは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-001.html
- 法テラス よくある相談・個人再生(官報掲載=破産・再生の各決定は掲載、任意整理は掲載されない) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-003.html
- 法テラス 弁護士・司法書士費用等の立替制度(民事法律扶助)の利用の流れ https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyou.html
- 裁判所「支払督促」(受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ仮執行宣言) https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_22/index.html
- 最高裁判所事務総局「令和7年 司法統計年報 民事・行政編」(地方裁判所の新受件数の合計=自己破産83,100件・小規模個人再生10,753件・給与所得者等再生662件。リンク先の年報一覧から「令和7年」の「民事・行政編」を開いて確認できます) https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/shihotokei_nenpo/index.html
- CIC「自己破産の登録は何年間ですか?」(クレジット情報の保有期間=契約中および契約終了から5年間) https://www.cic.co.jp/faq/detail/cre/cre01/002585.html
- 全国銀行協会「全国銀行個人信用情報センター」(官報情報=当該決定日から7年を超えない期間) https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年9月時点)
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