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・「カードローンが払えない。1回くらい遅れても、そこまで大きな問題にはならないだろう」
・「仕事を失って収入が止まった。もう返せる見込みがないから、連絡も取りたくない」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、1回引き落としができなかった時点で、いきなり給料や預金が差し押さえられることはありません。差押えは、裁判所の判決や仮執行の宣言を付した支払督促といった書類を取ったうえで、あらためて裁判所に申し立てて行う手続きだからです。取立てのやり方にも法律の制限があり、貸金業法は取立てにあたって「人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。」と定めています(貸金業法21条1項)。
とはいえ、返していない分には年2割までの遅延損害金が付き、やがて残額をまとめて請求され、裁判所からの書類まで進んでいくのも事実です(利息制限法7条1項・民事訴訟法391条1項ほか)。
本記事では、カードローンが払えないときに何がどの順番で起きるのかと、無職・失業で収入がないときに先に何をすればよいのかについて紹介します。
すでに引き落としができなかった人はもちろんのこと、「来月は他社から借りて返すつもりだ」という人も、借り増しがどこで止まるのかをしっかりと理解しておきましょう。

カードローンの引き落としができませんでした。今月は無理です。どうなりますか。

すぐに差押えにはなりません。ただ、遅れた分には年2割までの遅延損害金が付きます。止まっているのは返済だけで、金額は動いています。

来月、別のカードローンで借りて返すつもりです。それでしのげますか。

そこがいちばん危ないところです。貸金業者は3か月以内ごとに信用情報を調べる義務があります。他社の残高や遅れは、言わなくても見えています。

仕事も失いました。返せないなら、もう連絡を無視するしかないですか。

無視がいちばん損をします。収入が止まった人向けの公的な制度が先にありますし、取立てを法律ではっきり止められる方法も1つだけあります。
🔎 30秒でわかる結論
- ★引き落としができなかっただけでは、差押えはできない。差押えには判決や仮執行の宣言を付した支払督促などの書類(債務名義)が必要
- ★遅れた分に付く遅延損害金は年2割まで(利息制限法7条1項=営業的金銭消費貸借の賠償額の予定は「年二割」を超える部分が無効)。待っている間も金額は増える
- ★借り増しで隠すことはできない。貸金業者はカードローン(極度方式基本契約)について「三月以内」ごとに指定信用情報機関の信用情報を使って調査する義務がある(貸金業法13条の3第2項・施行規則10条の25第1項)
- ★新たな借入は年収の3分の1で止まる(貸金業法13条の2第1項が「個人過剰貸付契約」の締結を禁止し、同条2項がその基準額を年間の給与等を合算した額の3分の1と定める=総量規制)。「もう1社」で回す方法は早く尽きる
- ★収入が止まった人は、返済より先に公的制度を確認する(求職者支援制度・住居確保給付金・生活困窮者自立支援制度=厚生労働省)。生活福祉資金貸付制度は対象外の借入目的に「民間金融機関等への返済」が挙げられており、カードローンの返済には使えない
- ★取立てを法律上はっきり止める効力があるのは、弁護士等からの受任通知(貸金業法21条1項9号)。相談だけなら無料の公的窓口もある
📖 この記事でわかること
- カードローンが払えないと、何がどの順番で起きるのか(時系列の一覧)
- 遅延損害金は年何%までなのか、1か月でいくら増えるのか
- 「もう1社借りて返す」がどこで止まるのか(総量規制と3か月以内ごとの信用情報調査)
- 督促の電話・訪問で、法律違反になるのはどこからか
- 無職・失業・収入減のときに、返済より先に確認する公的制度
- 放置したまま最後まで進むと、何が起きるのか(給料はどこまで守られるか)
- 取立てを止める方法と、任意整理・個人再生・自己破産の目安
カードローンが払えないと、何がどの順番で起きるのか

払えないまま何もしないと、いつ何が来るのか分かりません。

順番はだいたい決まっています。怖いのは最後の1段だけで、その前に止められる段が何段もあります。
カードローンの返済ができなくなったあとの流れは、①引き落としができない ②電話・書面での督促 ③遅延損害金が積もる ④信用情報に記録される ⑤残額の一括請求(期限の利益の喪失) ⑥裁判所からの書類 ⑦差押えという段をたどります。各段の間には時間があり、どの段でも「止める側」に回れます。
| 段階 | 起きること | 法令・公的な根拠 |
|---|---|---|
| ① 引き落としができない | 口座から引き落とせない。再振替や入金依頼の案内が来る(時期や方法は会社ごとに違う) | 各社の契約内容による |
| ② 督促(電話・書面) | 本人の携帯や自宅に連絡が来る。時間帯・連絡先・第三者への告知には法律の制限がある | 貸金業法21条1項1号〜5号 |
| ③ 遅延損害金 | 遅れている元本に対し、年2割までの割合で日割りの損害金が加算される | 利息制限法7条1項/出資法5条2項 |
| ④ 信用情報への記録 | 返済状況が指定信用情報機関に登録される。登録内容は契約期間中および契約終了後5年間の範囲で保有される | CIC/JICCの公表内容 |
| ⑤ 一括請求 | 分割で払う約束(期限の利益)を失い、残額をまとめて請求される | 各社の契約条項(喪失事由は契約ごとに異なる) |
| ⑥ 裁判所からの書類 | 支払督促または訴状が届く。放置すると2週間ずつ2段階で確定する | 民事訴訟法382条・391条1項・393条・396条 |
| ⑦ 差押え | 確定した書類(債務名義)をもとに、給与や預金の差押えが申し立てられる。給与は原則4分の3が守られる | 民事執行法152条1項/同法施行令2条1項1号 |
※①〜⑤の時期は契約内容や会社の運用で変わります。⑥⑦の期限は法律で決まっています。
💡 ここ、勘違いされがち
「督促が来ないから、まだ大丈夫」とは限りません。②の督促がゆるやかでも、③の遅延損害金と④の信用情報への記録は連絡の有無とは関係なく進みます。止まっているのはあなたの返済だけで、金額と記録は動いています。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
遅れた分に付く「遅延損害金」は年2割まで

遅れると利息が何倍にもなると聞きました。本当ですか。

上限が法律で決まっています。営業として貸すお金の遅延損害金は、年2割を超える部分が無効です。無限に増える仕組みではありません。
利息制限法7条1項は、営業的金銭消費貸借(貸金業者などが業として行う貸付け)について「第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。」と定めています。つまり年20%が上限で、これを超える約束をしていても超過部分は無効です。
刑事罰の側からも線が引かれています。出資法5条2項は、業として金銭の貸付けを行う者が「年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めており、ここでいう利息には「債務の不履行について予定される賠償額を含む」ことが、同条1項の括弧書きで定められています。
💡 ポイント
遅延損害金は遅れている分の元本に対して日割りで計算されます。年20%なら、残高10万円で1か月おおよそ1,600円台、残高50万円で1か月8,000円台という水準です(30日・うるう年でない1年365日で計算した場合。実際の利率・計算方法・起算日は契約ごとに異なります)。金額の大小より、放置している期間だけ確実に増えるという性質が問題です。
なお、貸金業者は利息そのものについても「その利息(みなし利息を含む。第三項及び第四項において同じ。)が利息制限法(昭和二十九年法律第百号)第一条に規定する金額を超える利息の契約を締結してはならない。」とされています(貸金業法12条の8第1項)。利息制限法1条の上限は元本10万円未満で年2割、10万円以上100万円未満で年1割8分、100万円以上で年1割5分です。
✅ このセクションのまとめ
遅延損害金の上限は年2割。払わないでいる期間に比例して増えるお金であり、交渉や手続きで止まるのは「これ以上増やさない」ところからです。増えてから動くより、増える前に動いたほうが金額は小さくなります。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
「もう1社借りて返す」がどこで止まるのか

今月は別のカードローンで借りて返します。それを続ければ大丈夫では。

2つの仕組みで止まります。1つは年収の3分の1という上限、もう1つは貸す側が定期的にあなたの他社の状況を調べる義務です。
① 新たな借入は「年収の3分の1」で止まる(総量規制)
貸金業法13条の2第2項は、個人が貸金業者から借りる場合の上限を「その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額」(基準額)と定め、これを超えることとなる契約を「個人過剰貸付契約」として禁止しています(同条1項)。金融庁も総量規制について、施行は平成22年6月18日で、「貸金業者から個人が借入れを行う場合」に適用され、銀行からの借入れや法人名義の借入れは対象外であると説明しています。
そもそも申込みの審査の時点でも、貸金業者は「顧客等の収入又は収益その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力に関する事項を調査しなければならない。」とされ(貸金業法13条1項)、個人との貸付けの契約では「指定信用情報機関が保有する信用情報を使用しなければならない。」とされています(同条2項)。他社の状況を見ないで貸すことは、法律上できません。
② 契約したあとも「三月以内」ごとに信用情報を調べる義務がある
ここが多くの人に知られていない点です。カードローンのような枠取引(極度方式基本契約)について、貸金業法13条の3第2項は「貸金業者は、個人顧客と極度方式基本契約を締結している場合には、内閣府令で定める期間ごとに、指定信用情報機関が保有する当該個人顧客に係る信用情報を使用して、当該極度方式基本契約が基準額超過極度方式基本契約に該当するかどうかを調査しなければならない。」と定めています。
この条文には「ただし、当該極度方式基本契約に基づく極度方式貸付けの残高が少額である場合その他の内閣府令で定める場合は、この限りでない。」という但し書きが付いています。その「少額」は施行規則10条の25第3項1号で、極度方式貸付けの残高の合計額が十万円以下である場合と定められています(他の枠取引の残高も合算します)。残高が10万円を超えていれば、定期調査の対象だということです。
その「内閣府令で定める期間」が、貸金業法施行規則10条の25第1項で「法第十三条の三第二項に規定する内閣府令で定める期間は、三月以内とする。」と決められています。つまり契約中のカードローンについて、貸す側は3か月以内ごとに、あなたの他社の借入残高を含む信用情報を調べることが義務づけられているということです。
調査で使われる情報には、「指定信用情報機関から提供を受けた信用情報により判明した当該個人顧客に対する当該貸金業者以外の貸金業者の貸付けの残高の合計額(住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く。)」が含まれます(貸金業法13条の3第5項3号)。他社から借りて返している状態は、申告しなくても相手側の記録に現れます。
💡 ここ、勘違いされがち
さらに、この定期調査は、新たな貸付けを止めている場合には行わなくてよいとされていて、その理由の1つとして施行規則10条の25第3項3号イは「元本又は利息の支払の遅延」を挙げています。遅れが起きた契約では、そもそも新規の借入枠が止められているのが制度上の前提だということです。「遅れたけれど、また借りて返す」は想定されていません。
金融庁も、借金の返済のために借りることについて「他の借金を返すためにローンを利用する人もいます。でも、それは転落への第一歩。注意して利用することが肝要です」と注意喚起しています(「基礎から学べる金融ガイド」)。
✅ このセクションのまとめ
借り増しで乗り切る方法は、年収の3分の1という上限と3か月以内ごとの信用情報調査の2つで必ず止まります。「手が尽きてから相談する」より、止まる場所が分かった時点で相談するほうが選べる手は多く残ります。
借りて返す状態が続いているという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
督促の電話・訪問で、法律違反になるのはどこからか

毎日電話が来ます。職場にかかってこないか、家族に言われないかが怖いです。

そこは法律で制限されています。勤務先への電話や、借入れの事実を家族など第三者に明かす行為は正当な理由がなければ禁止です。
貸金業法21条1項は、取立てにあたって「人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。」と定め、具体的に次のような行為を挙げています。債権回収を委託された会社(債権回収会社を含む)も同じ制限を受けます。
| 禁止されている行為(抜粋) | 条文の位置 |
|---|---|
| 正当な理由がないのに、内閣府令で定める時間帯(夜間など)に電話・ファクシミリ・自宅訪問をすること | 21条1項1号 |
| 弁済や連絡の時期の申出があったのに、正当な理由なくその時間帯以外に電話・訪問すること | 21条1項2号 |
| 正当な理由がないのに、勤務先その他の居宅以外の場所に電話・電報・ファクシミリ・訪問をすること | 21条1項3号 |
| 退去してほしいと言われたのに、その場所から退去しないこと | 21条1項4号 |
| 貼り紙・立看板その他どんな方法でも、借入れに関する事実など私生活に関する事実を本人以外の者に明らかにすること | 21条1項5号 |
| 弁護士等から書面で通知を受けたあと、正当な理由なく本人に弁済を要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらずさらに要求すること | 21条1項9号 |
出典:e-Gov 貸金業法21条(2026年9月時点)
💡 ポイント
条文は「正当な理由がないのに」という条件付きです。本人に何度連絡しても一切つながらない場合などは「正当な理由」があると判断されることもあります。連絡を無視し続けることは、勤務先への連絡を招く側に働くという点に注意してください。
逆に、無登録の業者(ヤミ金融)はこの制限をはじめから守りません。貸金業法11条1項は「第三条第一項の登録を受けない者は、貸金業を営んではならない。」と定め、違反には47条2号で「十年以下の拘禁刑若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と重い罰則が用意されています。「払えないなら、ここで借りて」という誘いは、法律の外側にあります。
✅ このセクションのまとめ
督促には法律の線があり、勤務先への連絡や家族への告知は原則として禁止です。ただしその保護は「連絡がつく人」に働きます。出られない事情があるなら、放置ではなく相談で止めるのが順番です。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
無職・失業・収入が減ったとき、返済より先に確認する公的制度

仕事を失って収入がゼロです。返済の話をする前に生活が持ちません。

その順番で正しいです。返済の前に、家賃と生活費を止めない制度があります。使っても信用情報に傷は付きません。
収入が止まった状態で返済を優先すると、生活そのものが崩れます。国の制度は生活を先に立て直すように組まれています。主なものは次の4つです。
| 制度 | 内容(公的な説明から) | 窓口 |
|---|---|---|
| 求職者支援制度 | 厚生労働省は「求職者支援制度は、再就職、転職、スキルアップを目指す方が月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講する制度です」と説明。給付金の要件に「本人収入が月8万円以下」「世帯全体の収入が月30万円以下」「世帯全体の金融資産が300万円以下」等がある | ハローワーク |
| 住居確保給付金 | 「市区町村ごとに定める額(※)を上限に実際の家賃額を原則3か月間(延長は2回まで最大9か月間)支給します。(※)生活保護制度の住宅扶助額」 | 自立相談支援機関 |
| 生活福祉資金貸付制度 | 低所得世帯等への公的な貸付。連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は年1.5%。ただし対象とならない借入目的に「民間金融機関等への返済」が挙げられており、カードローンの返済には使えない | 市区町村の社会福祉協議会 |
| 生活困窮者自立支援制度 | 生活保護に至る前の「第2のセーフティネット」。家計改善支援事業には「債務整理に関する支援(多重債務者相談窓口との連携等)」が含まれる | 自立相談支援機関 |
出典:厚生労働省 求職者支援制度/住居確保給付金/生活支援特設ウェブサイト/生活困窮者自立支援制度(2026年9月時点)
💡 ここ、勘違いされがち
生活福祉資金は「借金の返済」には使えません。厚生労働省は対象とならない借入目的として「日常生活の継続的な生活費の補填」「民間金融機関等への返済」等を挙げています。「公的に借りてカードローンを返す」という道はありません。返済そのものを組み替えるのが、この段階で残っている手です。
借入れを自分の意思で止めておく制度もあります。日本貸金業協会の貸付自粛制度は、本人の申告を信用情報として登録し、貸金業者等の審査に反映させる仕組みです。協会は「登録手数料はかかりません。」と説明しています(登録期間は5年以内で、登録から3か月間は撤回できません)。
収入が止まっているという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
放置したまま最後まで進むと、何が起きるのか

このまま何もしなかったら、最後はどうなりますか。

裁判所からの書類が2段階で確定します。それぞれ2週間が期限です。確定してしまうと、差押えの申立てができる状態になります。
支払督促は、債権者の申立てにより簡易裁判所の裁判所書記官が発します(民事訴訟法382条)。受け取ってから2週間のうちに督促異議を申し立てなければ、債権者の申立てによって仮執行の宣言が付き(391条1項)、さらにその送達から2週間のうちに異議がなければ確定判決と同一の効力を持つ状態になります(393条・396条)。
この段階に至って初めて、給与や預金の差押えを申し立てられる状態になります。ただし給与には差押禁止の範囲があり、民事執行法152条1項は給付の4分の3に相当する部分は差し押さえられないと定めています(政令で定める額を超えるときはその政令額に相当する部分)。政令額は毎月払いの場合33万円です(民事執行法施行令2条1項1号)。
💡 ポイント
つまり、手取り24万円なら18万円は残り、手取り50万円なら33万円が残ります(一般の債権の場合)。生活のすべてを失う仕組みにはなっていません。ただし差押えは勤務先に裁判所から書類が届く手続きなので、職場に事情が伝わるのはこの段階です。
✅ このセクションのまとめ
最後まで進むと差押えに届きますが、そこまでに2週間の期限が2回あります。放置は「何もしない」ではなく、相手の言い分どおりに確定させる選択です。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
取立てを止める方法と、任意整理・個人再生・自己破産の目安

取り立てを止めてから、落ち着いて考えたいです。そんなことができますか。

できます。弁護士などに依頼すると出される受任通知が、法律上の効果として督促を止める役割を持っています。
貸金業法21条1項9号は、債務者が弁護士等に債務処理を委託した旨の書面による通知を受けたあとに、正当な理由なく本人へ弁済を要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらずさらに要求することを禁止しています。督促を法律の効果として止められるのは、この通知だけです。自分で「待ってほしい」と伝える交渉には、法律上の停止効果はありません。
そのうえで、返し方を組み替える手続きは3つあります。どれが使えるかは、収入の見込み・残高・守りたい財産で決まります。ここでは公的機関の説明にある範囲で、目安だけを整理します。
| 手続き | 向いている状況 | 押さえておく点 |
|---|---|---|
| 任意整理 | 収入は続いているが、毎月の返済額が重い。対象にする会社を選びたい | 裁判所を通さない当事者間の話し合い。合意できるかどうかは相手の会社ごとの判断で、結果を保証するものではない |
| 個人再生 | 住宅ローンを払いながら家を残したい。残高が大きく任意整理では組み替えが難しい | 将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、再生債権の総額が5,000万円を超えないことが要件(民事再生法221条1項) |
| 自己破産 | 収入が止まっており、返済の見込みが立たない | 「支払不能」が要件(破産法15条1項・2条11項)。財産の処分や資格の制限、官報への掲載がある |
※どの手続きが取れるかは個別の事情で変わります。公的機関も手続きの選択は専門家への相談を前提に説明しています。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
不安潰し:手続きのデメリットと、それでも今動いたほうがよい理由

でも、手続きをしたらカードが使えなくなるんでしょう。それが不安です。

そこは先にお伝えします。影響はあります。ただ、延滞を続けても同じ記録が残ります。違うのは、増え続けるかどうかです。
不利な点を先に挙げます。
| 起きること | 公表されている内容 |
|---|---|
| 信用情報への記録 | CICはクレジット情報の保有期間を「契約期間中および契約終了後5年間」と公表。JICCは契約日2019年10月1日以降の契約について、契約内容・返済状況・取引事実を契約継続中および契約終了後5年以内と公表 |
| 手続き中の新たな借入 | 手続きを進めている間は、新たな借入れやカードの利用はできないものとして考える必要がある |
| 保証人への影響 | 本人が手続きをしても、保証人の義務は消えない。破産の免責決定は保証人その他共に債務を負担する者に対して有する権利に影響を及ぼさない(破産法253条2項) |
| 自己破産に固有の点 | 財産の処分、一定の資格・職業の制限、官報への掲載がある |
出典:CIC/JICC/全国銀行協会の公表内容、e-Gov 破産法253条2項(2026年9月時点)
一方で、延滞を続けた場合も返済状況は同じ機関に記録されます。「手続きをしなければ記録が付かない」わけではありません。違うのは、遅延損害金が増え続けるか、いったん止めて組み替えるかという点です。
💡 ここ、勘違いされがち
時効を待つ作戦は現実的ではありません。債権者が裁判所の手続きをとれば時効は更新され、確定判決などで確定した権利の時効期間は10年になります(民法169条1項)。一部でも支払う(承認する)と、そこから再び進み直します。放置している期間は、相手の準備期間でもあります。
✅ このセクションのまとめ
デメリットはあります。それでも、増える側に置いておくより、止めて組み替えるほうが選べる手は多いです。相談だけなら無料の窓口があり、依頼するかどうかは話を聞いてから決められます。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
よくある質問

細かいところが気になります。聞いてもいいですか。

もちろんです。よく聞かれるところからお答えします。
Q. カードローンを1回延滞しただけで、ブラックリストに載りますか?
A. CICは「ブラックリストという名のリストはありません」と説明しています。実際に登録されているのは、申込みや契約の内容と返済の状況です。1回の遅れがどう記録されるかは契約や入金の扱いで変わりますが、登録される情報の保有期間は「契約期間中および契約終了後5年間」(CIC)とされています。「載る/載らない」ではなく返済状況が残ると考えるのが正確です。
Q. 無職でも任意整理はできますか?
A. 任意整理は裁判所を通さない当事者間の話し合いなので、法律上の収入要件はありません。ただし分割で払う約束をする手続きなので、収入の見込みが立たない状態では成り立ちにくくなります。その場合は自己破産(要件は「支払不能」=破産法15条1項)や、収入の回復を待つ選択も含めて、相談の場で組み立てることになります。
Q. 返済を待ってもらうことはできませんか?
A. 会社によっては、支払期日や支払方法の相談を受け付けている場合があります。ただし「待ってもらえる」と法律で保証されているものではありません。待ってもらえた場合も、遅延損害金や利息の扱いは契約どおりです。公的機関が法律上の効果として認めているのは、弁護士等からの受任通知による取立ての制限(貸金業法21条1項9号)だけです。
Q. 銀行のカードローンも総量規制の対象ですか?
A. いいえ。金融庁は総量規制について「貸金業者から個人が借入れを行う場合」に適用されると説明しており、銀行からの借入れや法人名義の借入れは対象外です。ただし全国銀行協会は「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」で、「銀行カードローンが改正貸金業法による総量規制の対象外であることや、高額の借り入れであっても年収証明書が不要であることを強調するなど、銀行による貸付けがお客さまにとって過剰な借り入れとならないための配慮に欠けた表示等を行わないよう努める」としています。対象外であることは「借りて大丈夫」という意味ではありません。
Q. 勤務先に電話されたら、どう対応すればよいですか?
A. 貸金業法21条1項3号は、正当な理由がないのに勤務先その他の居宅以外の場所へ電話・電報・ファクシミリ・訪問をすることを禁止しています。また5号は、借入れに関する事実など私生活に関する事実を本人以外の者に明らかにすることを禁止しています。該当すると考えられる場合は、金融庁の相談窓口や日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターに相談できます。まず本人に連絡がつく状態を作ることが、勤務先への連絡を避ける現実的な道です。
Q. 延滞している分だけ払えば、一括請求は避けられますか?
A. 遅れている分を入れることで分割の約束が続くかどうかは、契約の条項と会社の判断によります。契約には、支払を怠った場合に分割で払う約束(期限の利益)を失う条項が置かれているのが一般的です。条項の内容は会社ごとに違うため、自分の契約の条文を確認するのが先です。一括請求の通知が届いてしまったあとの動き方は、別記事で詳しく整理しています。
Q. 家族に知られずに手続きできますか?
A. 任意整理は裁判所を通さないため、官報に掲載されません。また貸金業法21条1項5号は、借入れに関する事実を本人以外の者に明らかにすることを禁じています。ただし保証人がいる借入れを対象にすると、保証人には請求が及びます(破産法253条2項も、免責は保証人に影響しないと定めています)。知られたくない事情がある場合は、その事情を最初に相談で伝えるのが実務的です。
Q. 相談にお金はかかりますか?
A. 公的な相談窓口は無料です。金融庁の多重債務相談窓口、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター、各都道府県の多重債務相談窓口などがあります。弁護士・司法書士に依頼する場合の費用については、法テラスの立替制度(民事法律扶助)を使える場合があります。費用面が不安な場合は、費用の話を最初に確認してから決めることもできます。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
まとめ
カードローンが払えないときに起きることは、次の順番で決まっています。
🔎 30秒でわかる結論
- 引き落としができなかっただけでは差押えはできない。差押えには判決や仮執行の宣言を付した支払督促などの書類が必要
- 遅れた分の遅延損害金は年2割まで(利息制限法7条1項)。放置した期間だけ増える
- 借り増しで隠すことはできない。貸金業者はカードローンについて「三月以内」ごとに指定信用情報機関の信用情報を使って調査する義務がある(貸金業法13条の3第2項・施行規則10条の25第1項)
- 新たな借入は年収の3分の1で止まる(貸金業法13条の2第1項・2項)
- 収入が止まったときは、返済より先に公的制度(求職者支援・住居確保給付金・生活困窮者自立支援)。生活福祉資金は「民間金融機関等への返済」には使えない
- 督促には法律の線がある(勤務先への連絡・第三者への告知は原則禁止=貸金業法21条1項3号・5号)。ただし保護は「連絡がつく人」に働く
- 法律の効果として取立てを止められるのは弁護士等からの受任通知(貸金業法21条1項9号)
いま動くほど、選べる手は多く残ります。遅延損害金は待っている間も付き、借り増しの道は制度上必ず止まります。「払えない」と分かった時点が、いちばん選択肢のある時点です。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov 貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)11条1項(無登録営業の禁止)/12条の8第1項(利息の制限)/13条1項・2項(返済能力の調査・指定信用情報機関の信用情報の使用)/13条の2第1項・2項(個人過剰貸付契約の禁止・基準額)/13条の3第2項(但し書き=残高が少額の場合の除外)・5項3号(極度方式基本契約に係る定期的な調査)/21条1項1〜5号・9号(取立て行為の規制)/47条2号(罰則) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032
- e-Gov 貸金業法施行規則 10条の25第1項(法13条の3第2項の「内閣府令で定める期間は、三月以内とする。」)・同3項3号イ(元本又は利息の支払の遅延) https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040
- e-Gov 利息制限法(昭和二十九年法律第百号)1条(利息の制限)・4条1項(賠償額の予定の制限)・7条1項(営業的金銭消費貸借の賠償額の予定=年二割超は無効) https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100
- e-Gov 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 5条1項・2項(高金利の処罰・利息には債務の不履行について予定される賠償額を含む) https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000195
- e-Gov 民事訴訟法 382条(支払督促)・391条1項(仮執行の宣言)・393条・396条(確定判決と同一の効力) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
- e-Gov 民事執行法 152条1項(給与等の4分の3の差押禁止) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
- e-Gov 民事執行法施行令 2条1項1号(差押禁止の政令額=毎月払い33万円) https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000230
- e-Gov 破産法 2条11項(支払不能の定義)・15条1項(破産手続開始)・253条2項(免責は保証人に影響しない) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- e-Gov 民事再生法 221条1項(小規模個人再生の対象=将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み・再生債権の総額5,000万円以下) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- e-Gov 民法 169条1項(確定判決等で確定した権利の時効期間=十年) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 金融庁「貸金業法のキホン」(総量規制の施行=平成22年6月18日/「貸金業者から個人が借入れを行う場合」に適用・銀行からの借入れや法人名義は対象外) https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html
- 金融庁「基礎から学べる金融ガイド」(「他の借金を返すためにローンを利用する人もいます。でも、それは転落への第一歩。注意して利用することが肝要です」) https://www.fsa.go.jp/teach/kou4.pdf
- 金融庁「多重債務についての相談窓口」 https://www.fsa.go.jp/soudan/index.html
- 全国銀行協会「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」(平成29年3月16日) https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news290336.pdf
- 日本貸金業協会「貸付自粛制度」(「登録手数料はかかりません。」/登録期間は5年以内・登録から3か月間は撤回できない) https://www.j-fsa.or.jp/personal/trouble/way/
- 日本貸金業協会「貸金業相談・紛争解決センター」 https://www.j-fsa.or.jp/personal/trouble/
- 厚生労働省「求職者支援制度のご案内」(「月10万円の生活支援の給付金」・支給要件) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html
- 厚生労働省 生活支援特設ウェブサイト「住居確保給付金:制度概要」(「原則3か月間(延長は2回まで最大9か月間)」) https://corona-support.mhlw.go.jp/jukyokakuhokyufukin/index.html
- 厚生労働省 生活支援特設ウェブサイト(生活福祉資金貸付制度の対象とならない借入目的=「日常生活の継続的な生活費の補填」「民間金融機関等への返済」等/家計改善支援事業=「債務整理に関する支援(多重債務者相談窓口との連携等)」) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08152.html
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000073432.html
- CIC「CICが保有する信用情報」(クレジット情報の保有期間=契約期間中および契約終了後5年間) https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
- CIC「支払いが遅れると、ブラックリストとしてCICに登録されるのですか?」(「当社が保有する信用情報に、ブラックリストという名のリストはありません。」) https://www.cic.co.jp/faq/detail/cre/cre01/002582.html
- JICC「登録内容と登録期間」(契約日2019年10月1日以降=契約継続中および契約終了後5年以内) https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration
- 裁判所「支払督促」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_22/index.html
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年9月時点)
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