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・「個人再生って、結局いくら減って、月々いくら払うことになるの?」
・「3年で払いきれる自信がない。途中で無理になったらどうしよう」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、個人再生の月々の返済額は、交渉や感覚で決まるものではありません。返すことになる総額の下限は民事再生法で決まっており、それを返済回数で割れば月々の目安が出せます。期間についても、原則3年、特別の事情があるときは5年を超えない範囲までと条文で定められています。
とはいえ、計算どおりの額を払い続ける見通しが立たないと、そもそも再生計画が認可されないのも事実です。
本記事では、個人再生をすると月々いくらになるのか、借金額別の計算と3年・5年の分かれ目を紹介します。
現在すでに任意整理では減り方が足りないと感じている人はもちろんのこと、「家だけは残したい」という人も、月々の決まり方をしっかりと理解しておきましょう。

個人再生をすると、月々いくら払うことになるんですか?

計算の順番は①返すことになる総額を決める→②返済回数で割るです。回数は原則3年(36回)なので、総額を36で割った額が目安になります。

総額はどうやって決まるんですか?

民事再生法231条2項が下限を定めています。たとえば借金の総額が100万円以上500万円以下なら、下限は100万円です。36回で割ると月々約27,777円になります。

借金が300万円でも500万円でも、同じ100万円なんですか?

条文の下限としては同じです。ただし持っている財産の価値や、手続きの種類によっては可処分所得の2年分が上回れば、そちらが基準になります。順番に見ていきましょう。
🔎 30秒でわかる結論
- 個人再生の月々=計画弁済総額 ÷ 返済回数。回数は原則36回(3年)、特別の事情があるときは5年を超えない範囲(民事再生法229条2項2号)
- 計画弁済総額の下限は条文で決まっている。基準債権の総額が3,000万円以下なら「基準債権の総額の五分の一又は百万円のいずれか多い額」(総額が100万円を下回るときは総額、5分の1が300万円を超えるときは300万円)=民事再生法231条2項4号
- 基準債権の総額が3,000万円超5,000万円以下なら総額の十分の一(同項3号)
- つまり借金100万〜500万円なら下限100万円=36回で月々約27,777円、1,000万円なら200万円=月々約55,555円が計算上の目安
- 物差しは3つある。①条文の下限 ②清算価値(財産を処分した場合の額を上回る必要がある)③給与所得者等再生では可処分所得の2年分(241条2項7号)。一番高いものが基準になるため、財産があるほど月々は上がる
- 住宅ローンは減らない。住宅ローン特則を使う場合は「再生計画の月々+住宅ローン」の両方を払う
- 使えるのは「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり」、住宅ローン等を除く再生債権の総額が5,000万円を超えない人(民事再生法221条1項)
- 自分の場合の確定額は、財産と収入の資料がないと出ない。残高と家計の一覧を持って無料相談で計算してもらうのが最短
📖 この記事でわかること
- 個人再生の月々は「計画弁済総額 ÷ 返済回数」で決まる
- いくら返すことになるか:3つの物差し
- 借金額別・月々いくらになるかの早見表
- 3年か5年か:期間が延びる条件
- 住宅ローンがある人は「再生計画の月々+住宅ローン」
- 個人再生を使えるのはどんな人か
- 不安潰し:個人再生のデメリットと、それでも今動く理由
- 放置するとどうなるか
- よくある質問
個人再生の月々は「計画弁済総額 ÷ 返済回数」で決まる

計算って、素人にもできるものなんですか?

目安までは出せます。決まっているのは総額の下限と回数の2つだけだからです。
法テラスは個人再生を次のように説明しています。
💡 個人再生の骨組み
「債務の支払が困難となった個人が利用する民事再生手続のことです。返済総額を少なくし、その少なくなった後の金額を原則3年間で分割して返済する再生計画を立て、債権者の意見を聞いたうえで裁判所が認めれば、その計画どおりの返済をすることによって、残りの債務(養育費・税金など一部の債務を除く)などが免除されるという手続です(ただし、養育費・税金など一部の債務は免除されません。)。」(法テラス「個人再生とは何ですか。」)
ここから分かるのは、月々の返済額が「少なくなった後の総額」を「分割の回数」で割ったものだということです。条文では、少なくなった後の総額を計画弁済総額と呼びます。
月々の計算式
💡 覚えるのはこれだけ
月々の返済額 = 計画弁済総額 ÷ 返済回数(原則36回)
このうち、計画弁済総額の下限は民事再生法231条2項が定めています。返済回数は原則3年(36回)で、特別の事情があるときは5年を超えない範囲まで延ばせます(229条2項2号)。
💡 ここ、勘違いされがち
ここで出るのはあくまで下限からの目安です。実際には次章の「清算価値」「可処分所得の2年分」が上回ればそちらが基準になり、月々は上がります。自分の確定額は、財産と収入の資料を見ないと出ません。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
いくら返すことになるか:3つの物差し

下限って、どうやって決まるんですか?

条文にそのまま書いてあります。読みにくいので、表に直します。
物差し①:条文が定める下限(民事再生法231条2項)
民事再生法231条2項は、計画弁済総額が一定額を下回っているときは再生計画を認可しない、という形で下限を定めています。該当の号は次のとおりです。
| 号 | 条文(逐語・抜粋) |
|---|---|
| 231条2項3号 | 「…無異議債権の額及び評価済債権の額の総額が三千万円を超え五千万円以下の場合においては、当該無異議債権及び評価済債権(…以下「基準債権」という。)に対する再生計画に基づく弁済の総額(以下「計画弁済総額」という。)が当該無異議債権の額及び評価済債権の額の総額の十分の一を下回っているとき。」 |
| 231条2項4号 | 「…無異議債権の額及び評価済債権の額の総額が三千万円以下の場合においては、計画弁済総額が基準債権の総額の五分の一又は百万円のいずれか多い額(基準債権の総額が百万円を下回っているときは基準債権の総額、基準債権の総額の五分の一が三百万円を超えるときは三百万円)を下回っているとき。」 |
出典:e-Gov法令検索「民事再生法」(2026年9月時点)
この2つの号を、借金の総額(基準債権の総額)ごとに並べ替えると次のようになります。
| 基準債権の総額 | 計画弁済総額の下限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 100万円未満 | 総額の全額 | 231条2項4号のかっこ書き |
| 100万円以上〜500万円以下 | 100万円 | 5分の1より100万円のほうが多い(同4号) |
| 500万円超〜1,500万円以下 | 総額の5分の1 | 5分の1のほうが多い(同4号) |
| 1,500万円超〜3,000万円以下 | 300万円 | 5分の1が300万円を超えるため上限300万円(同4号かっこ書き) |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 総額の10分の1 | 231条2項3号 |
※民事再生法231条2項3号・4号の条文から整理したものです。基準債権には、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権などは含まれません。
物差し②:清算価値(財産を処分した場合の額を上回ること)
もうひとつの物差しが清算価値です。裁判所は個人再生について次のように説明しています。
💡 財産があるほど月々は上がる
「…再生計画の内容は、原則として3年間で債務の一定割合を分割して返済するもので、その返済総額が、債務者が自分の財産を処分して返済に当てる場合の額(清算価値)を上回らなければなりません。」(裁判所「個人再生」)
条文上は、民事再生法174条2項4号が「再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。」を不認可の事由としており、この考え方が上の説明にあたります。つまり持ち家・車・保険の解約返戻金など、財産の価値が大きい人ほど返す総額は増え、月々も上がります。
物差し③:可処分所得の2年分(給与所得者等再生の場合)
個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。後者を選ぶ場合は、さらに次の要件が加わります。
💡 これが「可処分所得の2年分」
「計画弁済総額が、次のイからハまでに掲げる区分に応じ、それぞれイからハまでに定める額から再生債務者及びその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用の額を控除した額に二を乗じた額以上の額であると認めることができないとき。」(民事再生法241条2項7号)
裁判所も「給与所得者等再生では、返済する総額が、債務者の手取収入額から生活に必要な費用を控除した額(いわゆる可処分所得額。政令の定めに従って計算される額です。)の2年分以上である必要があります」と説明しています。なお、控除される1年分の費用の額は「再生債務者及びその扶養を受けるべき者の年齢及び居住地域、当該扶養を受けるべき者の数、物価の状況その他一切の事情を勘案して政令で定める。」とされています(241条3項)。
✅ このセクションのまとめ
3つの物差しのうち一番高い額が、実際に返すことになる総額です。条文の下限だけで決まるわけではないため、「自分はいくらか」は財産と収入の資料を見て計算するしかありません。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
借金額別・月々いくらになるかの早見表

自分の金額だと、いくらになるのか知りたいです。

条文の下限で計算した場合の目安を出します。清算価値や可処分所得が上回るときは、この額より上がります。
借金の総額(基準債権の総額)ごとに、条文の下限を36回(3年)と60回(5年)で割った金額です。1円未満は切り捨てて表示しています。
| 借金の総額 | 計画弁済総額の下限 | 36回(3年) | 60回(5年) |
|---|---|---|---|
| 80万円 | 80万円(全額) | 約22,222円 | 約13,333円 |
| 100万円 | 100万円 | 約27,777円 | 約16,666円 |
| 300万円 | 100万円 | 約27,777円 | 約16,666円 |
| 500万円 | 100万円 | 約27,777円 | 約16,666円 |
| 600万円 | 120万円 | 約33,333円 | 約20,000円 |
| 1,000万円 | 200万円 | 約55,555円 | 約33,333円 |
| 1,500万円 | 300万円 | 約83,333円 | 約50,000円 |
| 2,000万円 | 300万円 | 約83,333円 | 約50,000円 |
| 3,000万円 | 300万円 | 約83,333円 | 約50,000円 |
| 3,500万円 | 350万円 | 約97,222円 | 約58,333円 |
| 5,000万円 | 500万円 | 約138,888円 | 約83,333円 |
※民事再生法231条2項3号・4号の下限を返済回数で割った計算上の目安です。清算価値・可処分所得の2年分が上回る場合はこの額より高くなります。住宅ローンは別に払います。
💡 ここ、勘違いされがち
表を見て気づくのは、借金100万円の人も500万円の人も、条文の下限は同じ100万円という点です。減る割合は金額によって大きく変わります。500万円の人は下限どおりなら5分の1になりますが、100万円の人は減りません。金額が小さいほど、個人再生より任意整理のほうが合うことがあるのはこのためです。
たとえば借金300万円なら、任意整理で元金を36回に分けた場合の月々は約83,333円です。個人再生で条文の下限どおりなら約27,777円まで下がります。ただし個人再生は裁判所の手続きなので費用と期間がかかり、官報にも掲載されます。どちらが合うかは金額だけでは決まりません。
任意整理では月々が下がりきらないという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
3年か5年か:期間が延びる条件

3年だと厳しいです。5年に延ばせるんですか?

条文に書かれています。ただし「特別の事情」が必要です。
民事再生法229条2項2号は、再生計画の弁済期について次のように定めています。
💡 原則3年・例外5年の根拠
「最終の弁済期を再生計画認可の決定の確定の日から三年後の日が属する月中の日(特別の事情がある場合には、再生計画認可の決定の確定の日から五年を超えない範囲内で、三年後の日が属する月の翌月の初日以降の日)とすること。」(民事再生法229条2項2号)
原則は3年で、5年まで延ばせるのは特別の事情がある場合に限られます。延ばせば月々は下がりますが、払い続ける期間が長くなるため、途中で家計が崩れるリスクも長く抱えることになります。
| 36回(3年) | 60回(5年) | |
|---|---|---|
| 下限100万円のとき | 約27,777円 | 約16,666円 |
| 下限200万円のとき | 約55,555円 | 約33,333円 |
| 下限300万円のとき | 約83,333円 | 約50,000円 |
| 払い続ける期間 | 3年 | 5年 |
※どちらで組めるかは「特別の事情」の有無によります。判断は裁判所が行います。
なお、この229条2項の規定は、民事再生法244条により給与所得者等再生にも準用されます(「第二百二十一条第三項から第五項まで、第二百二十二条から第二百二十九条まで、第二百三十二条から第二百三十五条まで及び第二百三十七条第二項の規定は、給与所得者等再生について準用する。」)。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
住宅ローンがある人は「再生計画の月々+住宅ローン」

家を残したいんです。住宅ローンも減りますか?

住宅ローンは減りません。ここは最初にはっきりお伝えします。
法テラスは、個人再生のメリットのひとつとして住宅ローン特則を挙げつつ、次のように注記しています。
💡 住宅ローンは減額の対象外
「住宅ローン債務がある場合は、住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)を用いることにより、住宅を失わずに債務整理ができる(ただし、住宅ローンについての返済総額は、他の借金などのように少なくすることはできない。)。」(法テラス「個人再生のメリット・デメリットは何ですか。」)
したがって、住宅ローン特則を使う場合の毎月の支出は次のようになります。
💡 月々の見積もりは2本立てで
毎月の支出 = 再生計画の月々の返済額 + 住宅ローンの月々の返済額
たとえば住宅ローン以外の借金が1,000万円で下限どおり200万円なら、36回で約55,555円。ここに住宅ローンの返済額がそのまま乗ります。
家を残せるかどうかは、この合計を毎月払い続けられるかで決まります。住宅ローン特則の要件は、住宅の所有や抵当権の状況によって細かく定められているため、使えるかどうかの判断は資料を見ないとできません。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
個人再生を使えるのはどんな人か

そもそも、私は個人再生を使えるんでしょうか。

条文の入口は2つだけです。収入の見込みと、借金の総額です。
民事再生法221条1項は、小規模個人再生の要件を次のように定めています。
💡 入口の2条件
「個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。」(民事再生法221条1項)
ポイントは、5,000万円の計算から住宅ローンの額が除かれることです。住宅ローンが大きい人でも、それ以外の借金が5,000万円以下なら入口に立てます。
もうひとつの類型については、裁判所が次のように説明しています。
💡 2つの類型
「個人再生手続は、通常再生手続を簡素化した手続ですが、①将来において継続的に収入を得る見込みがあって、無担保債務の総額が5000万円以下の人が申し立てることのできる小規模個人再生や、②①の中でも、給与所得者など将来の収入を確実で簡単に把握することが可能な人が申立てることができる給与所得者等再生があります。」(裁判所「個人再生」)
✅ このセクションのまとめ
入口は「継続的・反復的な収入の見込み」と「借金5,000万円以下」。該当しそうなら、次に決めるのはどちらの類型で、月々いくらになるかです。ここから先は資料が要ります。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
不安潰し:個人再生のデメリットと、それでも今動く理由

デメリットもちゃんと知っておきたいです。

隠しません。法テラスが挙げているものをそのまま出します。
| 法テラスが挙げる個人再生のデメリット(逐語) |
|---|
| 「自己破産と異なり、債務が全て支払わなくて良くなるわけではない。」 |
| 「官報に、住所や氏名等が記載される。」 |
| 「信用情報を取り扱う機関に登録されることにより、数年間は、借入れやクレジットカードの作成が難しくなる。」 |
出典:法テラス「個人再生のメリット・デメリットは何ですか。」(2026年9月時点)
官報に載ることは、任意整理との大きな違いです。ただし信用情報機関の扱いは別で、CICは官報情報について平成21年4月1日より収集・保有を中止しており、現在は保有していません。全国銀行協会(KSC)は官報情報を当該決定日から7年を超えない期間保有するとしています。
そのうえで、今動いたほうがよい理由は3つあります。
| 今動いたほうがよい理由 | 根拠 |
|---|---|
| ① 督促の電話やハガキが止まる | 受任通知の後、正当な理由なく本人へ直接弁済を要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらずさらに要求することは禁じられる(貸金業法21条1項9号)。法テラスも「通常、貸金業者からの連絡は止まります」と説明 |
| ② 家を残す選択肢が残っているうちに動ける | 住宅ローン特則は「住宅を失わずに債務整理ができる」(法テラス)。滞納が長引くほど選べる余地は狭まる |
| ③ 差押えの前に手が打てる | 差押命令は債務者及び第三債務者に送達される(民事執行法145条3項)。給与差押えまで進むと勤務先にも届く |
※費用や進め方は事務所によって異なります。どの手続きが合うかは面談で決まります。
数字を出してもらうまでは、選べるかどうかも分からないというのが実際のところです。残高と収入、持っている財産の一覧があれば、月々の見込みはその場で計算できます。
任意整理では足りないかもしれないという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
放置するとどうなるか

もう少し、自分で頑張ってみようかとも思うんです…

その「もう少し」の間に、選べる手続きが減っていきます。
支払いが止まったまま時間が経つと、督促から裁判、そして強制執行へと段階が進みます。督促手続については、民事訴訟法391条1項が次のように定めています。
💡 2週間の期限
「債務者が電子支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、電子支払督促に手続の費用額を併せて記録して仮執行の宣言をしなければならない。ただし、その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、この限りでない。」(e-Gov法令検索「民事訴訟法」391条1項)
仮執行宣言まで進むと、強制執行が可能になります。給与が差し押さえられる場合、民事執行法152条1項は給料等の「支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分」を差押禁止としていますが、政令で定める額を超えるときはその額が基準となり、民事執行法施行令2条1項1号は毎月払いの場合を33万円と定めています。つまり手取りが月44万円を超える場合は、33万円を超える部分が全額差押えの対象になります。
✅ このセクションのまとめ
個人再生は「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」が入口の要件です(221条1項)。収入が途切れてからでは、この入口自体に立てなくなります。働けているうちが、いちばん選択肢が多い時期です。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
よくある質問
Q. 借金500万円だと、個人再生で月々いくらになりますか?
A. 条文の下限で計算すると、計画弁済総額は100万円です(基準債権の総額が3,000万円以下の場合、下限は「基準債権の総額の五分の一又は百万円のいずれか多い額」=民事再生法231条2項4号)。36回なら約27,777円、60回なら約16,666円が目安です。ただし清算価値や可処分所得の2年分が上回る場合は、その額が基準になります。
Q. 財産を持っていると月々は上がりますか?
A. 上がることがあります。裁判所は再生計画について「その返済総額が、債務者が自分の財産を処分して返済に当てる場合の額(清算価値)を上回らなければなりません。」と説明しています。持ち家・車・保険の解約返戻金などの価値が大きいほど、返す総額は増えます。
Q. 5年(60回)にすれば、誰でも月々を下げられますか?
A. いいえ。民事再生法229条2項2号は、5年まで延ばせるのを「特別の事情がある場合」に限っています。判断は裁判所が行うため、希望すれば必ず通るわけではありません。
Q. 住宅ローンも減りますか?
A. 減りません。法テラスは住宅ローン特則について「ただし、住宅ローンについての返済総額は、他の借金などのように少なくすることはできない。」と明記しています。住宅ローン特則を使う場合、毎月の支出は再生計画の返済額+住宅ローンの合計になります。
Q. 借金が100万円しかないのですが、個人再生で減りますか?
A. 減りません。民事再生法231条2項4号は、基準債権の総額が100万円を下回っているときの下限を基準債権の総額(=全額)としており、100万円以上500万円以下の場合も下限は100万円です。金額が小さい場合は、将来の利息を止める任意整理のほうが合うことがあります。
Q. パートやアルバイトでも個人再生を使えますか?
A. 民事再生法221条1項の要件は「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり」であって、雇用の形を限っていません。ただし、給与所得者等再生については、裁判所が「給与所得者など将来の収入を確実で簡単に把握することが可能な人が申立てることができる」と説明しており、どちらの類型が使えるかは収入の安定性によります。実際の判断は面談で確認してください。
Q. 個人再生と自己破産は何が違いますか?
A. 個人再生は減らしたうえで払い続ける手続きで、法テラスもデメリットとして「自己破産と異なり、債務が全て支払わなくて良くなるわけではない。」を挙げています。一方で「自己破産のように、財産を失うことがない」というメリットがあり、住宅ローン特則も使えます。払い続けられる収入があるかどうかが、分かれ目のひとつです。
まとめ:月々は「下限 ÷ 36回」から。上振れさせるのは財産と収入
個人再生の月々は計画弁済総額 ÷ 返済回数で決まります。回数は原則36回で、特別の事情があるときは5年を超えない範囲まで延ばせます(民事再生法229条2項2号)。計画弁済総額の下限は条文で定まっており(231条2項3号・4号)、借金100万〜500万円なら100万円=36回で月々約27,777円、1,000万円なら200万円=月々約55,555円が計算上の目安です。
ただし実際の金額は、清算価値と、給与所得者等再生なら可処分所得の2年分が上回ればそちらが基準になります。住宅ローンは減らないため、住宅ローン特則を使う場合は再生計画の月々+住宅ローンを払い続けることになります。
入口の条件は「継続的・反復的な収入の見込み」と「借金5,000万円以下」です(221条1項)。働けているうちが、いちばん選択肢が多い時期です。残高・収入・財産の一覧があれば、月々の見込みは面談で計算できます。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov法令検索「民事再生法」(221条1項=個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額…を除く。)が五千万円を超えないもの/229条2項2号=最終の弁済期を再生計画認可の決定の確定の日から三年後の日が属する月中の日(特別の事情がある場合には、…五年を超えない範囲内で…)とすること/231条2項3号=総額が三千万円を超え五千万円以下の場合において計画弁済総額が総額の十分の一を下回っているとき/231条2項4号=総額が三千万円以下の場合において計画弁済総額が基準債権の総額の五分の一又は百万円のいずれか多い額(基準債権の総額が百万円を下回っているときは基準債権の総額、五分の一が三百万円を超えるときは三百万円)を下回っているとき/174条2項4号=再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき/241条2項7号=計画弁済総額が…最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用の額を控除した額に二を乗じた額以上の額であると認めることができないとき/241条3項=前項第七号に規定する一年分の費用の額は…政令で定める/244条=第二百二十一条第三項から第五項まで、第二百二十二条から第二百二十九条まで…の規定は、給与所得者等再生について準用する) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- 裁判所「個人再生」(「①将来において継続的に収入を得る見込みがあって、無担保債務の総額が5000万円以下の人が申し立てることのできる小規模個人再生や、②①の中でも、給与所得者など将来の収入を確実で簡単に把握することが可能な人が申立てることができる給与所得者等再生があります。」/「再生計画の内容は、原則として3年間で債務の一定割合を分割して返済するもので、その返済総額が、債務者が自分の財産を処分して返済に当てる場合の額(清算価値)を上回らなければなりません。」/「給与所得者等再生では、返済する総額が、債務者の手取収入額から生活に必要な費用を控除した額(いわゆる可処分所得額。政令の定めに従って計算される額です。)の2年分以上である必要があります。」) https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_18/index.html
- 法テラス よくある相談「個人再生とは何ですか。」(「返済総額を少なくし、その少なくなった後の金額を原則3年間で分割して返済する再生計画を立て、債権者の意見を聞いたうえで裁判所が認めれば、その計画どおりの返済をすることによって、残りの債務(養育費・税金など一部の債務を除く)などが免除されるという手続です」) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-001.html
- 法テラス よくある相談「個人再生のメリット・デメリットは何ですか。」(メリット=「自己破産のように、財産を失うことがない。」「住宅ローン債務がある場合は、住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)を用いることにより、住宅を失わずに債務整理ができる(ただし、住宅ローンについての返済総額は、他の借金などのように少なくすることはできない。)。」/デメリット=「自己破産と異なり、債務が全て支払わなくて良くなるわけではない。」「官報に、住所や氏名等が記載される。」「信用情報を取り扱う機関に登録されることにより、数年間は、借入れやクレジットカードの作成が難しくなる。」) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-003.html
- 法テラス よくある相談「弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、貸金業者からの連絡が止まるのですか。」(「通常、貸金業者からの連絡は止まります」) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-004.html
- CIC よくあるご質問「自己破産の登録は何年間ですか?」(クレジット情報=契約中および契約終了から5年間/官報情報は平成21年4月1日より収集・保有を中止) https://www.cic.co.jp/faq/detail/cre/cre01/002585.html
- 全国銀行協会「全国銀行個人信用情報センター」(取引情報=契約期間中および契約終了日から5年を超えない期間/官報情報=当該決定日から7年を超えない期間) https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/
- e-Gov法令検索「貸金業法」(21条1項9号=弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ…当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求することの禁止) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032
- e-Gov法令検索「民事執行法」(145条3項=差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない/152条1項=給料等はその支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分は差し押さえてはならない)/民事執行法施行令2条1項1号=毎月払いは33万円 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
- e-Gov法令検索「民事訴訟法」(391条1項=債務者が電子支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより…仮執行の宣言をしなければならない) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年9月時点)
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