個人再生の住宅ローン特則とは?家を残して借金を減らせる条件を解説

債務整理の基礎知識

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「借金は整理したい。でも、やっと手に入れた家だけは絶対に手放したくない」。住宅ローンを払いながら、カードローンなどの返済で首が回らなくなると、「債務整理=家を失う」と思い込んで動けなくなる方はとても多いです。でも、個人再生には「住宅ローン特則」というしくみがあり、条件を満たせば家を残したまま他の借金を減らせる可能性があります。この記事では、裁判所や法テラスなど公的機関の情報をもとに、そのしくみと条件をやさしく整理します。

相談者

借金を整理したいけど、持ち家があります。債務整理をしたら、家って必ず取られてしまうんですよね…?

あかり

「必ず」ではないんですよ。個人再生の住宅ローン特則を使えば、住宅ローンはこれまでどおり払い続けて、家を残しながら他の借金だけを軽くできる場合があるんです。

相談者

家を残せる方法があるんですね…。どんな条件なら使えるのか、知りたいです。

🔎 30秒でわかる結論

  • 住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を使うと、住宅ローンはそのまま払い続け、家を残しながら他の借金だけを圧縮できる(法テラス)。
  • ただし住宅ローンそのものは減らせない。減らせるのは住宅ローン以外の借金(カードローン等)です。
  • 個人再生は、継続的な収入があり、住宅ローンを除く借金が5,000万円以下の人が利用対象(裁判所)。
  • 他の借金は法律で決まる最低弁済額を下回らない範囲まで圧縮し、原則3年(最長5年)で返済。
  • 使える住宅には要件(自分名義・自己居住用・住宅ローン以外の抵当権がない等)があります。条件に合うかは無料相談で確認できます。

📖 この記事でわかること

  • 個人再生と住宅ローン特則の基本のしくみ
  • 家を残せる条件(住宅・抵当権の要件)
  • 借金がどこまで減るのか(最低弁済額の目安)
  • デメリット・注意点(住宅ローンは減らない・信用情報など)
  • 放置するとどうなるか・向いている人

住宅ローン特則とは?家を残して借金を減らすしくみ

相談者

なぜ、家だけ残せるんですか?借金を整理するのに矛盾しない…?

個人再生は、裁判所を通して借金を大きく減らし、残りを原則3年(最長5年)で分割返済していく手続きです。このとき、住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)を利用すると、住宅ローンだけは今までどおりのルールで払い続けられます。法テラスは次のように説明しています。

💡 法テラスの説明

「住宅ローン債務がある場合は、住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)を用いることにより、住宅を失わずに債務整理ができる」。ただし「住宅ローンについての返済総額は、他の借金などのように少なくすることはできない」とされています。

ふつう、借金が払えなくなって住宅ローンを滞納すると、家は競売にかけられてしまいます。住宅ローン特則は、住宅ローンだけは特別扱いで払い続けることを認め、その代わり家を守るしくみだと考えると分かりやすいです。減らせるのは、あくまで住宅ローン以外の借金(カードローン・消費者金融など)です。

✅ このセクションのまとめ

住宅ローン特則=「住宅ローンはそのまま払う→家を残す」+「他の借金は個人再生で圧縮する」。ただし住宅ローン自体の総額は減りません。

誰が使える?借金はどこまで減る?(最低弁済額)

あかり

まず、個人再生そのものを使える人の条件と、借金がどこまで減るのかを見てみましょうね。

個人再生は、将来にわたって継続的または反復して収入を得る見込みがあり、住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下の人が利用できます。手続きには2つの種類があります。

① 小規模個人再生

個人事業主や会社員など、継続的な収入が見込める人が広く使える基本の型です。

② 給与所得者等再生

給与所得者など、収入が安定していて金額の変動が小さい人向けの型です。この型では、上記に加えて「可処分所得(手取りから必要生活費を引いた額)の2年分」以上を返済する必要があります。

小規模個人再生では、借金の総額に応じて「最低これだけは返す」という最低弁済額が法律で決められています(目安は下表)。

借金の総額(住宅ローン等を除く)最低弁済額の目安
100万円未満全額
100万円以上 500万円以下100万円
500万円超 1,500万円以下総額の5分の1
1,500万円超 3,000万円以下300万円
3,000万円超 5,000万円以下総額の10分の1

出典:e-Gov法令検索「民事再生法」231条2項3号・4号(上の表は条文から導いた目安です。条文は、基準債権(住宅ローンなどを除いた再生債権)の総額が3,000万円以下の場合と、3,000万円超5,000万円以下の場合とに分けて、それぞれ下限額を下回る再生計画は認可しない、という書き方をしています/2026年8月時点)

💡 勘違いされがち:「清算価値」以上は返す

最低弁済額の表だけでなく、手持ちの財産の価値(清算価値)以上は返すという原則もあります。たとえば財産が多い人は、表の金額より返済額が上がることがあります。実際にいくら返すことになるかは、財産の内容によって変わるため、個別の確認が必要です。

住宅ローン特則が使える「家」の条件

相談者

どんな家でも残せるわけじゃないんですね。どんな条件があるんですか?

裁判所の説明資料などによると、住宅ローン特則を使うには、おおむね次のような要件を満たす必要があります。

🏠 住宅・抵当権の主な要件

  • 本人が所有する建物で、自分が住むための住宅であること。
  • 店舗と住居が一体の建物(店舗兼居宅)の場合は、床面積の2分の1以上が居住用であること。
  • その住宅に、住宅ローン以外の借金のための抵当権などが設定されていないこと。
  • 住宅の建設・購入・改良のための資金の借入(住宅資金貸付債権)で、住宅に抵当権が設定されていること。

出典:鹿児島地方裁判所「個人再生手続説明書」(PDF・2026年8月時点)

たとえば、住宅ローンを組んだ家に、別のローンのための抵当権がついていると使えないことがあります。また、土地だけに抵当権が設定されているようなケースも対象外とされています。すでに保証会社が住宅ローンを代わりに支払っている(代位弁済)場合でも、一定の期間内であれば特則を利用できる余地があるとされますが、期限は保証会社が代位弁済した日から6か月以内(民事再生法198条2項)と法定されているため、早めに専門家へ確認することが大切です。

💡 保証人への影響

住宅ローン特則を使って住宅ローンを従来どおり払い続ける場合、住宅ローンの保証人が突然一括請求を受けることは基本的にありません。一方、住宅ローン以外の借金に保証人・連帯保証人がついている場合は、その保証人に請求がいくことがあります。

デメリット・注意点(必ず確認)

あかり

家を残せるのは大きなメリットですが、いいことばかりではありません。デメリットも正直にお伝えしますね。

  • 住宅ローン自体は減らない:軽くなるのは住宅ローン以外の借金だけ。住宅ローンの返済総額はそのまま残ります。
  • 信用情報に事故情報が登録される:いわゆるブラックリストの状態になり、一定期間は新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなります。目安は下表のとおりです。
  • 官報に掲載される:個人再生の開始決定などは官報に載ります(住民票や戸籍には載りません)。
  • 手続きが複雑・時間がかかる:書類が多く、裁判所を通すため数か月〜半年程度かかることがあります。
信用情報機関登録期間の目安
CIC契約終了後5年
JICC契約終了後5年以内(2019年10月以降の契約)
KSC(全国銀行協会)官報の情報(破産・民事再生の開始決定)は決定日から7年を超えない期間

出典:CICJICC全国銀行協会(KSC)(2026年8月時点)

放置するとどうなる?滞納が続くと競売で家を失う

住宅ローンやその他の借金を滞納したまま何もしないでいると、住宅ローンの「期限の利益」を失い、残額の一括返済を求められます。それでも払えなければ、家は競売にかけられ、結局は住まいを失うことになりかねません。

個人再生の住宅ローン特則は、こうした事態になる前だからこそ選べる手段です。滞納が深刻になる前に動くほど、家を残せる可能性は高まります。「まだ払えている」うちに、選択肢だけでも確認しておくことが大切です。

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向いている人・向いていない人

向いている人

  • 持ち家を残したまま、住宅ローン以外の借金を整理したい
  • 継続的な収入があり、住宅ローンは今後も払い続けられる
  • 住宅ローン以外の借金が大きく、任意整理では追いつかない

向いていない・使えないことがある人

  • 安定した収入がなく、返済を続ける見込みがない
  • 家に住宅ローン以外の抵当権がついている
  • 家を手放してもよく、借金を大幅に免除したい(自己破産の検討も)

よくある質問(FAQ)

相談者

住宅ローンの支払いが、今よりきつくなったりしませんか?

あかり

住宅ローンは原則これまでどおりです。他の借金が軽くなる分、家計全体としては楽になる方が多いですよ。返済計画は個別に組み立てます。

Q. 家族に知られずに手続きできますか?

A. 個人再生の開始決定などは官報に載りますが、官報を日常的に見る人は多くありません。ただし家計が同じ家族には気づかれやすい面もあります。心配な点は相談時に伝えておくと、進め方を一緒に考えてもらえます。

Q. 住宅ローンをすでに滞納していても間に合いますか?

A. 滞納があると使えないわけではありませんが、保証会社の代位弁済からの期間など、時間の制約が出ることがあります。滞納が始まっている人ほど、早めに相談することが大切です。

Q. 自己破産とはどう違いますか?

A. 自己破産は原則として持ち家などの財産を手放す代わりに、借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。個人再生(住宅ローン特則)は、家を残しつつ借金を減らして返していく点が大きな違いです。

✅ まとめ

個人再生の住宅ローン特則を使うと、住宅ローンはそのまま払い続けて家を残しながら、住宅ローン以外の借金だけを圧縮できます。ただし住宅ローン自体は減らず、信用情報や官報などのデメリットもあります。使える住宅の要件(自己居住用・抵当権など)もあるため、自分のケースで使えるかは早めに無料で相談して確認しましょう。滞納が深刻になる前ほど、家を残せる可能性が高まります。

📚 出典(公的機関・法令)を見る
  • 裁判所「個人再生」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_18/index.html
  • 鹿児島地方裁判所「個人再生手続説明書」(PDF) https://www.courts.go.jp/kagoshima/vc-files/kagoshima/file/20304001.pdf
  • 法テラス「個人再生・その他の債務整理」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-003.html
  • 法テラス「個人再生のメリット・デメリット」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/sonotanosaimuseiri.html
  • 民事再生法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
  • CIC「信用情報の登録期間」 https://www.cic.co.jp/faq/detail/cre/cre01/002585.html
  • JICC「信用情報の登録内容と登録期間」 https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration
  • 全国銀行協会(KSC)「登録情報の種類と登録期間」 https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/

本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年8月時点)

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