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・「管財事件になったら、通帳も郵便物も全部調べられる」
・「管財人は厳しくて、費用も高く、何か月も長引く」
こんな話を聞いて、自己破産に踏み切れずにいる人も多いのではないでしょうか?
しかし、破産管財人は裁判所が選ぶ人で、調べるための権限は破産法に書かれています(74条1項・83条1項など)。調べる方法として条文に明記されているのは、説明の請求と、帳簿や書類などの検査です。ほかに、郵便物を開いて見ることや免責についての調査も定められています。どれも、財産を管理して債権者に公平に分けるためと、免責の判断に必要な事情を調べるためのものです。費用と期間も、裁判所の資料に目安が出ています。
とはいえ、管財事件では郵便物が管財人に届くことがあり、調査にうその説明をすると免責を受けられないことがあるのも事実です。
本記事では、管財人がつく・つかない場合、どこまで調べるか、面談の内容、郵便物、期間と費用、厳しいと言われる理由について紹介します。
すでに弁護士から「管財事件になりそう」と言われた人はもちろんのこと、「管財人が怖くて、自己破産を言い出せない」という人も、管財人が何をする人なのかをしっかりと理解しておきましょう。

弁護士さんに「管財事件になるかもしれない」と言われました。管財人って、借金の理由を問い詰めてくる怖い人なんですか?

いいえ、問い詰めるのが仕事ではありません。借金の経緯を確認されることはありますが、管財人は裁判所が選ぶ人で、仕事は大きく2つ。財産を管理してお金に換え、債権者に公平に分けること、そして免責の判断に必要な事情を調べることです。大阪地裁は、管財人は「ほとんどの場合,弁護士から選ばれます。」と説明しています。

でも、通帳や郵便物まで見られるんですよね……。隠したいことがあると、やっぱりまずいですか?

まずいのは「見られること」ではなく「隠すこと」です。管財人には説明する義務があり、うそをついたり協力しなかったりすると、免責を受けられないことがあります。逆に、先に依頼した弁護士に全部話して、管財人にも正直に説明すれば、調査は手続きの一部として進みます。
🔎 30秒でわかる結論
- ★破産管財人は裁判所が選ぶ(破産法74条1項)。財産の管理と処分の権利は管財人に移る(78条1項)。大阪地裁は「ほとんどの場合,弁護士から選ばれます。」と説明
- ★管財事件か同時廃止かは「裁判所の専決事項」(東京地裁)。東京地裁は、33万円以上の現金・20万円以上の換価対象資産・資産調査や免責調査が必要な場合などを管財事件の例に挙げる
- ★調べる方法は条文に書かれている=基本は説明を求める・帳簿や書類などを検査する(83条1項)。ほかに郵便物の開披(82条1項)、免責についての調査(250条1項)。破産者には説明義務がある(40条1項)
- ★費用と期間は裁判所の資料に目安がある。東京地裁の個人管財事件は、管財人に引き継ぐ予納金が最低20万円、別に官報公告費用等が20,397円(令和8年1月1日現在)。期間は、大分地裁(令和元年10月版)の資料が管財事件を「通常は6か月以上」としている
- ★怖いのは管財人ではなく、隠すこと。説明義務違反や不正な妨害は免責不許可事由になりうる(252条1項9号・11号)。ただし裁量免責もある(252条2項)
📖 この記事でわかること
- 破産管財人とは?誰が選び、何をする人か
- 管財人がつく場合・つかない場合
- 管財人はどこまで調べる?
- 管財人との面談(打合せ)の内容・オンライン
- 裁判官との面談(面接・審尋)と債権者集会
- 管財人と郵便物・引っ越し
- 自己破産の期間はどのくらい?管財事件は長い?
- 管財人の費用(予納金)はいくら?
- 管財人は厳しい?怖いと言われる理由と、本当に避けること
- 管財事件のデメリットと、今の状況ごとに最短でやること
破産管財人とは?誰が選び、何をする人か

管財人は、私が依頼した弁護士さんとは別の人なんですか?

別の人です。あなたが依頼する弁護士は「申立代理人」で、あなたの味方として書類を作り、手続きに付き添います。破産管財人は裁判所が選ぶ人で、財産を管理して債権者に公平に分ける役目を負っています。
破産法74条1項は「破産管財人は、裁判所が選任する。」と定め、31条1項は、裁判所が「破産手続開始の決定と同時に、一人又は数人の破産管財人を選任し」と定めています。78条1項は、「破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。」としています。
大阪地裁は、管財人の仕事を「破産管財人は,債務者の財産を管理してお金に換えていき(このため,債務者は自分の財産を自由に使用・処分することはできなくなります。),そのお金を、法律が定める優先順位にしたがって,債権者に平等に配当(分配)します。」と説明しています。また、破産法250条1項により、裁判所は管財人に、免責を認めてよいかどうかの事情を調べさせ、書面で報告させることができます。
| 申立代理人(あなたが依頼する弁護士) | 破産管財人 | |
|---|---|---|
| 選ぶ人 | あなた | 裁判所(破産法74条1項) |
| 主な仕事 | 申立書などの作成、債権者との対応、裁判官との面接への立会いなど(千葉地裁) | 財産の管理・換価と債権者への配当(大阪地裁)。免責についての調査と報告(250条1項) |
| 費用の出どころ | あなたが払う弁護士費用 | 予納金から報酬などが支払われる(松江地裁・大分地裁) |
高知地裁の資料(平成25年10月改訂)も、管財人が行う手続きを「①財産の調査,②財産の売却,③債権の調査,④債権者への配当,⑤免責を認めるべきかどうかの調査」と並べています。
✅ このセクションのまとめ
破産管財人は裁判所が選ぶ人で、あなたが依頼する弁護士とは別人です。仕事は財産の管理・換価・配当と、免責についての調査です。
管財人が自分にどう関わってくるのか不安という方は、申し立てる前に、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
管財人がつく場合・つかない場合

管財人がつかない自己破産もあると聞きました。どうなったら管財人がつくんですか?

一定以上の財産がある場合や、財産・借金の経緯を調べる必要がある場合に、管財人がつきます。財産がほとんどなく、調べる必要もない場合は、管財人がつかない「同時廃止」です。ただ、どちらになるかを決めるのは裁判所で、本人が希望して選べるものではありません。
東京地裁は「破産法では、破産管財人が選任される「管財事件」として手続を進めるのが原則とされています。」としたうえで、財産が極めて少ない場合には管財人を選ばずに終わる「同時廃止事件」があると説明し、「管財事件となるか同時廃止事件となるかは、裁判所の専決事項です。」としています。大阪地裁も「破産を申し立てた人が希望したからといって,必ず同時廃止事件として破産手続が進められるわけではありません。」と書いています。
法テラスは同時廃止を、「換価する一定の財産がなく、債務・財産の調査や免責相当であるかを判断するための調査も不要な場合は、破産管財人を選任せずに、破産手続開始と同時に破産手続が終了します(同時廃止事件)。」と説明しています。条文では、破産法216条1項が、財産が手続の費用に足りないと認めるときに同時廃止とすることを定めています。
| 裁判所 | 管財事件になる例(資料の記載から) |
|---|---|
| 東京地裁 | 33万円以上の現金がある/20万円以上の換価対象資産がある(預貯金、保険の解約返戻金、未払報酬・賃金など)/資産調査が必要/法人の代表者または個人事業者/免責調査を経ることが相当 |
| 千葉地裁(令和元年9月改訂の資料) | 一定以上の財産がある/財産の状況や債務を負った原因に調査の必要がある。「使途不明の借入金や不自然な支出がある場合など」も管財人を選んで調査することがある |
| 松江地裁 | 不動産がある(時価より相当多額の担保権が付いている場合を除く)。法人、法人の代表者、自営業者は原則として同時廃止を認めていない |
| 水戸地裁(平成31年4月1日実施の基準) | 33万円以上の現金/預貯金・保険の解約返戻金・自動車などを項目ごとに合計して20万円以上/資産調査や免責調査が必要な場合など |
※基準は裁判所ごとに違い、資料の時点も違います。自分の住所地の裁判所でどうなるかは、依頼する弁護士に確認してください。
💡 財産がなくても管財人がつくことがある
千葉地裁の資料は、特に価値のある財産がない人でも、「使途不明の借入金や不自然な支出がある場合など、破産に至る経緯が明らかでないときには、破産管財人を選任して、財産の調査等を行わなければならないこともあります。」としています。財産が少ないから同時廃止になる、とは限りません。借金の使い道を説明できるよう、早めに整理しておくことが大切です。
✅ このセクションのまとめ
管財人がつくかどうかは裁判所が決めます。財産の額だけでなく、調査の必要(使い道の分からない借入れなど)や、事業をしていることでも、管財事件になることがあります。
自分が管財事件になるか知りたいという方は、申し立てる前に、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
管財人はどこまで調べる?

管財人は、どこまで調べるんですか?家族の通帳も見られますか?

家族名義の通帳でも、実質的にあなたの財産なら対象になるとする裁判所があります。説明する義務を負う人として条文に挙がっているのは破産者などで、家族は挙がっていません。調べる方法は条文に書かれていて、基本は、あなたに説明を求めること、そして財産に関する帳簿や書類などを確かめることです。ほかに、郵便物を開いて見ることや、免責についての調査もあります。ただ、確認した範囲では「これを必ず見る」という公的な一覧は見当たりません。
破産法83条1項は、「破産管財人は、第四十条第一項各号に掲げる者及び同条第二項に規定する者に対して同条の規定による説明を求め、又は破産財団に関する帳簿、書類その他の物件を検査することができる。」と定めています。40条1項は、破産者などが「破産管財人若しくは第百四十四条第二項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。」としています。
お金に換える財産について、松江地裁は「換価の対象となる財産には、土地・建物などの不動産、自動車、預貯金、保険の解約返戻金、退職金、賃貸借契約の敷金(保証金)、貸付金、売掛金など様々なものが含れます。」と書いています(原文のまま)。続けて「実質的には破産者の財産であれば、その名義が他人になっていても換価・配当の対象となり」としています。
申立ての段階で通帳の提出を求める裁判所もあります(札幌地裁など)。札幌地裁の申立書の書き方(令和6年1月版)は、「提出する通帳のコピーに、申立前1年以上の記帳があることのほか、支払不能を認識した時期の前後の記帳があることを確認してください。」としています。また、自分の資産や収入を元手にした親族名義の預貯金は、自分名義と同じように書くよう求め、自分と同居者名義のすべての預貯金口座について、記帳されている全ページのコピーの提出を求めています。
| 管財人の調査の根拠 | 内容 |
|---|---|
| 説明を求める | 破産者などに破産に関し必要な説明を求められる(83条1項・40条1項) |
| 帳簿・書類などの検査 | 破産財団に関する帳簿、書類その他の物件を検査できる(83条1項) |
| 郵便物 | 裁判所が必要と認めると管財人に届き、管財人は開いて見ることができる(81条1項・82条1項) |
| 免責についての調査 | 裁判所が管財人に調べさせ、書面で報告させることができる。破産者は協力しなければならない(250条1項・2項) |
⚠️ 申立て前に財産を動かさない
水戸地裁の振り分け基準(平成31年4月1日実施)は、「申立直前に資産を現金化した場合においても,原則として現金として扱い」としています。申立ての前に預金を下ろしたり、物を売ったりしても、扱いが軽くなるとは限りません。財産を動かす前に、弁護士に相談してください。
✅ このセクションのまとめ
管財人が調べる方法として条文に明記されているのは、説明を求めること、帳簿や書類などを検査することです(83条1項)。ほかに郵便物の開披(82条1項)、免責についての調査(250条1項)もあります。名義が他人でも実質的にあなたの財産なら対象になりえます(松江地裁)。確認した範囲では調べる範囲の公的な一覧は見当たらないので、持っているものは全部弁護士に伝えましょう。
どの財産を申告すればいいかわからないという方は、財産を動かす前に、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
管財人との面談(打合せ)の内容・オンライン

管財人との面談では、何を聞かれるんですか?何回くらいあって、何を着ていけばいいでしょう?

東京地裁の資料では、原則として開始決定日までに、本人も交えて管財人と打合せをするとされています。中身は、事案の概要や手続きの進め方、予納金の引継ぎ方などです。確認した範囲では、回数・時間・服装を決めた公的な資料は見当たりません。東京地裁の運用では、依頼した弁護士が打合せの段取りをするので、事前に弁護士と打合せをしておくと進めやすくなります。
東京地裁民事第20部の「管財手続の進行要領(通常管財係)」(令和8年5月21日)は、申立代理人に向けて、裁判官との面接の後、「直ちに破産管財人候補者と連絡を取って」次の手続をするよう求めています。その一つが、「原則として開始決定日までに、破産者本人を交えて破産管財人候補者と事案の概要・手続の進行、引継予納金の引継時期・方法等について破産管財人候補者と相談のうえ、適宜の方法(対面方式のほか、インターネット等の通信手段の利用など)で打合せを行ってください。」です。
また同じ資料は、「破産管財人から、手続の進行のために必要な協力の要請(事実関係の補充調査など)があれば、ご対応をお願いします(破産規則26条2項参照)。」としています。最初の打合せのあとも、必要に応じて管財人から確認が来ることがあるということです。
| よくある疑問 | 公的資料でわかること |
|---|---|
| 面談の内容 | 事案の概要・手続の進行・引継予納金の引継時期や方法など(東京地裁) |
| いつ | 原則として開始決定日までに(東京地裁) |
| 誰が出る | 破産者本人を交えて行う。段取りは申立代理人(東京地裁) |
| オンライン | 対面のほか、インターネット等の通信手段の利用も「適宜の方法」に含まれる(東京地裁) |
| 回数・時間・服装 | 確認した範囲では公的資料に定めは見当たらない。依頼した弁護士に確認する |
💡 面談の前にやっておくこと
確認した範囲では、質問される内容の一覧を示した公的資料は見当たりません。東京地裁の資料が打合せの中身として挙げているのは、事案の概要、手続の進行、引継予納金の引継時期・方法などです。申立書の内容を弁護士と一緒に読み返し、事案の概要を自分の言葉で説明できるようにしておくと安心です。
✅ このセクションのまとめ
東京地裁では、原則として開始決定日までに、本人を交えて管財人と打合せをします。オンラインも「適宜の方法」に含まれます。回数・時間・服装の定めは確認した範囲の公的資料に見当たらないので、弁護士に確認しましょう。
管財人との面談で何を聞かれるか不安という方は、一人で悩まずに、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
裁判官との面談(面接・審尋)と債権者集会

裁判官とも面談があるんですか?裁判所に行って、大勢の前で話さないといけないんでしょうか……。

東京地裁では、申立て直後の裁判官との面接は、裁判官と申立代理人の弁護士が行い、原則として電話です。あなたが裁判所に出向くのは、管財事件では債権者集会(免責審尋を兼ねる)です。債権者の出席は任意なので、必ず大勢の債権者がいるわけではありません。
東京地裁は、申立代理人の弁護士が管財手続を希望して申し立てた場合も、「申立日及びその翌日から起算して3開庁日以内に、申立代理人と裁判官が面接を行う運用としています。」と説明しています。面接の方法については、「令和2年から、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、即日面接を原則として電話で行うようになりました。」とあります。裁判官はこの面接で事案の内容を聞き、「当該事案に適した破産管財人候補者を速やかに選定します。」としています。破産手続開始決定は、「原則として、面接した日の翌週の水曜日午後5時付けでなされます。」(管財手続の進行要領)。
ほかの裁判所では、本人が裁判官と話す場面を設けているところもあります。大分地裁の資料(令和元年10月版)は、同時廃止の流れに「破産審尋 ・・・裁判所で裁判官との面談」と書き、免責審尋でも裁判官との面談があるとしています。高知地裁の資料(平成25年10月改訂)は「免責についての審尋(裁判官との面談)が行われることもあります。」としています。千葉地裁の資料(令和元年9月改訂)は、弁護士に依頼した場合、弁護士が「裁判官との面接への立会いなどを行います。」としています。
| 場面 | 東京地裁の場合 | 本人の出頭 |
|---|---|---|
| 申立て直後の面接 | 裁判官と申立代理人が面接(原則は電話) | 本人ではなく弁護士が対応 |
| 管財人との打合せ | 原則として開始決定日までに、本人を交えて行う | 必要(対面のほか通信手段も可) |
| 債権者集会 | 管財人が、破産に至った経緯・管財業務の内容・破産財団の現状などを説明・報告する。免責審尋期日も兼ねる | 必要。正当な理由で出頭できない場合は、管財人に報告・打合せのうえ、事前に上申書を出す |
| 同時廃止の免責審尋 | 毎週火曜日、中目黒庁舎の法廷で行う | — |
※東京地裁「管財手続の進行要領(通常管財係)」(令和8年5月21日)・「即日面接進行要領 ~同時廃止の場合について~」(令和8年5月1日改訂)・「よくある質問」から。ほかの裁判所の運用は違うことがあります。
東京地裁は、債権者集会について「債権者集会では、主に破産管財人から、破産者が破産に至った経緯、行った管財業務の内容や破産財団の現状等について説明・報告があります。」とし、債権者の出席は「出席は任意ですので、そのような希望がなければ出席する必要はありません。」としています。裁判所のQ&Aは、「破産者、管財人及び届出をした破産債権者について、裁判所が相当と認めるときは、ウェブ会議システムを利用して債権者集会等の期日に出頭することができます。」としていますが、「必ずウェブ会議システムを利用した出頭が認められるものではなく、これが認められるかは、事案ごとの判断になります。」とも書いています。
✅ このセクションのまとめ
東京地裁では、申立て直後の裁判官との面接は弁護士が原則として電話で行います。本人が出るのは、管財人との打合せと債権者集会(免責審尋を兼ねる)です。ほかの裁判所では本人が裁判官と面談することもあります。
裁判所によって面談の運用は違うので、自分の住所地の裁判所でどうなるかは、少しでも早めに弁護士などの専門家に確認してください。
管財人と郵便物・引っ越し

郵便物が管財人に届くって、本当ですか?家族あての手紙も見られますか?いつまで続くんでしょう。

管財事件では、あなたあての郵便物が管財人に届くことがあります。管財人は開いて見られますが、財産に関係ない郵便物は、渡してもらうよう求めることができます。そして、手続きが終わったら転送は取り消されます。何か月と決めた期間は、条文にはありません。
破産法81条1項は、裁判所が「破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは」、「破産者にあてた郵便物」などを「破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。」と定めています。82条1項は「破産管財人は、破産者にあてた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。」とし、82条2項は、破産者が管財人に対して「当該郵便物等で破産財団に関しないものの交付を求めることができる。」としています。
81条2項は、裁判所が「破産者の申立てにより又は職権で、破産管財人の意見を聴いて」この嘱託を取り消したり変更したりできるとし、81条3項は「破産手続が終了したときは、裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。」としています。対象は破産者あての郵便物です。家族あての郵便物は条文の対象として書かれていません。
引っ越しについて、破産法37条1項は「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。」と定めています。東京地裁は、住所を変える場合は「事前に破産管財人の同意を得た上で」、転居後に裁判所へ上申書を出すよう求めています。法テラスも、「破産手続が終了するまでの間、職業・転居・長期の旅行等について、一定の制限を受ける場合がある。」と説明しています。一方、松江地裁は、同時廃止には「住居制限や郵便配達上の制限はありません。」と書いています。
| 管財事件 | 同時廃止 | |
|---|---|---|
| 郵便物 | 管財人に届くことがあり、開いて見られる(81条1項・82条1項)。財産に関係ないものは交付を求めることができる(82条2項) | 制限なし(松江地裁) |
| 郵便物の転送はいつまで | 期間の定めは条文にない。手続きが終われば取り消される(81条3項) | — |
| 引っ越し・長期の旅行 | 法律上は、居住地を離れるには裁判所の許可が要る(37条1項)。東京地裁の運用では、住所を変えるときは事前に管財人の同意を得て、転居後に上申書を出す | 制限なし(松江地裁) |
✅ このセクションのまとめ
管財事件では、破産者あての郵便物が管財人に届くことがありますが、財産に関係ないものは渡してもらうよう求めることができ、手続きが終われば転送は取り消されます。居住地を離れるには、法律上は裁判所の許可が要ります(37条1項)。長期の旅行等も制限を受ける場合があるとされています(法テラス)。実際の手続きは裁判所ごとに違うので、動く前に弁護士に確認しましょう。
郵便物の転送や引っ越しの許可が不安という方は、申し立てる前に、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
自己破産の期間はどのくらい?管財事件は長い?

管財事件になると、何年も終わらないんですか?

大分地裁の資料(令和元年10月版)では、管財事件は「通常は6か月以上」です。何年も、とは書かれていません。同じ資料は同時廃止を「少なくとも4か月くらい」としていて、管財事件のほうが長くなっています。期間は事案や裁判所によって違います。
大分地裁の資料(令和元年10月版)は、「破産申立てから免責許可決定が確定するまで少なくとも4か月くらいかかります。破産管財人を選任するケースだと通常は6か月以上の期間を必要とします。」としています(前の文は同時廃止の場合)。千葉地裁の資料(令和元年9月改訂)は、「この手続がすべて終わるまで(借金を法律上払わなくてよくなるまで)は、概ね最短で3、4か月程度です。ただし、個人の事情によって、かかる期間は異なります。」としています。この数字は、管財事件の場合の数字とは書かれていません。
| 裁判所の資料 | 期間の記載 |
|---|---|
| 大分地裁(令和元年10月版) | 同時廃止=申立てから免責許可決定の確定まで少なくとも4か月くらい/管財事件=通常は6か月以上 |
| 千葉地裁(令和元年9月改訂) | 手続がすべて終わるまで概ね最短で3、4か月程度(管財事件の場合の数字とは書かれていない) |
| 東京地裁(管財) | 開始決定は原則として面接した日の翌週の水曜日。管財人候補者と債権者集会の期日は、面接後おおむね当日中に連絡される |
| 東京地裁(同時廃止) | 免責の決定は問題のない事案で通常、免責審尋期日後1週間程度。確定は不服の申立てがなければ決定日から約1か月後 |
※東京・大阪・松江の資料には、管財事件の全体の期間を示す記載は見当たりません。
💡 期間は事案しだい
管財事件では、管財人が財産をお金に換えて債権者に配当します(手続の流れは大阪地裁の説明のとおり)。売る財産が多い、調べることが多いといった事情があれば、期間は長くなりうると考えておきましょう。資料を早めにそろえておけば、そのぶん手続きの準備は進めやすくなります。
✅ このセクションのまとめ
本記事で確認した資料のうち、管財事件の期間を明記しているのは大分地裁(令和元年10月版)で、管財事件は「通常は6か月以上」です。千葉地裁の「最短で3、4か月程度」は、管財事件の場合の数字とは書かれていません。
手続きにかかる期間の見通しが不安という方は、申し立てる前に、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
管財人の費用(予納金)はいくら?

管財人の費用は、どれくらいかかるんですか?分割にできますか?

東京地裁の個人管財事件では、管財人に引き継ぐ予納金が最低20万円です。別に、官報公告費用等として20,397円を裁判所に納めます。分割できるかは裁判所によって違い、東京地裁は面接のときに裁判官と打合せをします。弁護士に依頼したほうが予納金の下限が低い裁判所もあります(弁護士費用は別にかかります)。
東京地裁民事第20部の「破産事件の手続費用一覧」(令和8年1月1日現在)は、予納金基準額を「個人管財事件 最低20万円 及び 個人1件につき20,397円」としています。内訳は管財手続の進行要領で分かれていて、「引継予納金(破産管財人に直接引き継いでいただく手続費用)」が最低20万円、これとは別に「官報公告費用等」として個人事件は「2万397円」を裁判所に納めます。進行要領は申立代理人(弁護士)に向けた文書で、引継予納金最低20万円はその手続の額です。同じ一覧で、「本人申立事件」の区分は負債総額で決まり、自然人で5,000万円未満でも50万円(加えて個人1件につき20,397円)です。
| 裁判所 | 管財事件の費用の記載 |
|---|---|
| 東京地裁(令和8年1月1日現在) | 個人管財事件=引継予納金が最低20万円+官報公告費用等20,397円。「本人申立事件」の区分の管財事件=自然人で負債5,000万円未満なら50万円(加えて20,397円) |
| 大阪地裁 | 弁護士に依頼して申し立てる場合=最低20万円。本人が申し立てる場合=最低50万円(このほか手数料・郵便切手・官報の費用として合計2万円程度) |
| 千葉地裁(令和5年4月改訂の手続費用一覧表) | 少額管財A(非招集型)・少額管財B(集会型)=管財人引継分20万円(官報公告費用は別)。通常管財=基準表(自然人で負債5,000万円未満は50万円)をもとに裁判官が個別に算定し、官報公告費用を加えた額。予納金の分割納付は取り扱っていない |
| 千葉地裁(令和元年9月改訂のQ&A・当時の記載) | 破産管財人の費用として50万円(弁護士が選任されている場合は減額されることがある)程度 |
| 札幌地裁(令和6年1月版) | 本人で申し立てても管財人が選ばれた場合は、最低でも20万円以上(一括払いのみ) |
| 松江地裁 | 管財事件の予納金は概ね20万円以上 |
| 大分地裁(令和元年10月版) | 自分で申し立てる場合の説明として、管財人の選任が必要と判断されれば最低20万円程度(官報公告費用は含まれていない)。弁護士に頼むと別に弁護士報酬が必要 |
※予納金は事案に応じて変わることがあります(東京地裁)。法テラスは、管財事件では資産の額に応じて「数十万円~数百万円の予納金」が必要としています。
予納金の使い道について、松江地裁は「予納金は財産の管理に伴う費用、破産管財人の報酬、官報公告費用などの手続費用に充てるため、予め納めていただく現金です。」とし、大分地裁は「お金は破産管財人への報酬などに当てられます。」としています。破産法87条1項は「破産管財人は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。」と定めており、報酬は事件ごとに裁判所が決めます。一律の額は、確認した範囲の公的資料では見当たりません。
分割について、東京地裁の進行要領は、引継予納金を「法人と関連個人、あるいは個人と同一世帯の関連個人を合わせて最低20万円です。」としたうえで、「予納金の具体的な金額、分割の可否・回数等については、面接時に裁判官と打ち合わせてください。」としています。なお、法テラスは「また、生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とはなりません。」としています。弁護士費用は立替えの対象になりえますが、予納金は自分で用意する前提で考えましょう。
💡 「少額管財」の呼び方は裁判所によって違う
東京地裁の手続費用一覧には、「少額管財」という区分名は見当たりません。東京地裁では「個人管財事件」として扱われ、管財人に引き継ぐ予納金は最低20万円です。一方、千葉地裁の手続費用一覧表(令和5年4月改訂)は「少額管財A(非招集型)」「少額管財B(集会型)」を区分として載せ、「少額管財は、申立代理人である弁護士と管財人との適切な役割分担という枠組みを利用することで管財人の負担軽減が可能という点に着目し、予納金の低額化を図ったものです。」と説明しています。呼び方と扱いは裁判所ごとに違うので、お住まいの裁判所での扱いは弁護士に確認してください。
✅ このセクションのまとめ
管財人に引き継ぐ予納金は、東京地裁の個人管財事件で最低20万円です(別に官報公告費用等20,397円)。東京では「本人申立事件」の区分、大阪では本人が申し立てる場合に、下限が50万円になります。予納金は原則として法テラスの立替えの対象外です。
予納金をどう用意すればいいかわからないという方は、申し立てる前に、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
管財人は厳しい?怖いと言われる理由と、本当に避けること

ネットで「管財人は厳しい」と見て、怖くなりました。借金の理由がギャンブルなんです……。

確認した範囲では、「管財人は厳しい」と書いた公的な資料は見当たりません。厳しく感じるのは、説明する義務や郵便物の扱いなど、管財人に権限があるからです。本当に避けるべきなのは、うそをつくこと、隠すこと、協力しないことです。ギャンブルが理由でも、正直に話したうえで裁判所が免責を認める道があります。
破産者には、管財人の求めに応じて説明する義務があり(40条1項)、管財人が行う免責についての調査に協力する義務もあります(250条2項)。これに反すると、免責不許可事由になりえます。破産法252条1項は、9号で「不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。」、11号で「第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。」を挙げています。8号は、「破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。」です。
大阪地裁は、免責不許可事由の例として「破産管財人の調査にうその回答をしたりしたこと」を挙げています。松江地裁の資料にも、「破産管財人に協力しない破産者は、免責を許可されなかったり、刑罰を受けることがあります。」とあります。
一方で、破産法252条2項は、免責不許可事由に当たる場合でも、「破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。」としています(裁量免責)。大阪地裁も、裁判所が破産管財人の意見を聴くなどしたうえで相当と認める場合には、裁量によって免責を許可できると説明しています。千葉地裁の資料(令和元年9月改訂)は、「大切なのは、申立書の作成や裁判官との面接の際、裁判所に対して本当の事実を明らかにすることです。」としています。
| やってはいけないこと | 問題になる理由 |
|---|---|
| 管財人の質問に答えない・ごまかす | 説明義務(40条1項)違反=免責不許可事由に当たりうる(252条1項11号)。大阪地裁は「破産管財人の調査にうその回答」を例に挙げる |
| 不正な手段で管財人の仕事を妨害する | 免責不許可事由に当たりうる(252条1項9号) |
| 裁判所の調査でうそを言う・説明を拒む | 免責不許可事由に当たりうる(252条1項8号) |
| 財産を隠す・名義を移す | 債権者を害する目的の隠匿などは免責不許可事由に当たりうる(252条1項1号)。名義が他人でも実質的に破産者の財産なら対象になりうる(松江地裁) |
✅ このセクションのまとめ
確認した範囲では、「管財人は厳しい」という公的な記載は見当たりません。避けるべきは、うそ・隠しごと・非協力です。ギャンブルや浪費が理由でも、正直に話すことで裁量免責の道が残ります。
借金の理由を管財人にどう話せばいいか不安という方は、申し立てる前に、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
管財事件のデメリットと、今の状況ごとに最短でやること

管財事件になるくらいなら、もう少し自分で返し続けたほうがいいでしょうか……。

返し続けるのが苦しいなら、自己判断で続けるより先に弁護士に相談してください。管財事件になるかどうかに関係なく、早く相談したほうが準備を整えやすくなります。デメリットも先にお伝えしますね。
| 管財事件のデメリット | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 費用 | 個人管財事件で、管財人に引き継ぐ予納金が最低20万円+官報公告費用等20,397円(東京地裁)。予納金は原則として法テラスの立替えの対象外 | 東京地裁・法テラス |
| 期間 | 管財事件は通常は6か月以上(令和元年10月版) | 大分地裁 |
| 財産 | 財産の管理・処分の権利が管財人に移る | 破産法78条1項 |
| 郵便物 | 管財人に届き、開いて見られることがある | 破産法81条1項・82条1項 |
| 引っ越し・長期の旅行 | 法律上は、居住地を離れるには裁判所の許可が要る(東京地裁の運用では、転居は事前に管財人の同意を得て、転居後に上申書) | 破産法37条1項・東京地裁 |
一方で、東京・大阪の裁判所では、弁護士が申立代理人になる場合の予納金の下限が、「本人申立事件」の区分(大阪は本人が申し立てる場合)より低く設定されています(東京地裁=申立代理人向けの進行要領で引継予納金最低20万円、「本人申立事件」の区分は自然人で負債5,000万円未満なら50万円/大阪地裁=弁護士に依頼すると最低20万円、本人申立ては最低50万円)。ただし、弁護士費用は別にかかります。大阪地裁も「なお,弁護士に破産の申立てを依頼する場合には,別途,依頼した弁護士への報酬等を支払う必要があります。」と書いています。また、東京地裁では裁判官との面接を弁護士が行い、管財人との打合せも弁護士が段取りします。千葉地裁も、弁護士が裁判官との面接に立ち会うとしています。
自己判断で預金を下ろしたり物を売ったりしても、扱いが軽くなるとは限らず(水戸地裁は申立直前の現金化も原則として現金として扱う)、その経緯を管財人から聞かれることがあります。管財人の調査を怖がって先延ばしにするより、財産と借金の経緯をそのまま弁護士に話すほうが、管財人への説明も整理しやすくなります。
| 今の状況 | 最短でやること |
|---|---|
| これから自己破産を考える | 通帳(1年分以上)・給与明細・借入先の一覧・保険証券・車検証などを集めて、弁護士に相談する |
| 弁護士から「管財事件になりそう」と言われた | 予納金の額と納め方(分割できるか)を弁護士に確認し、用意できる額を伝える |
| 借金の使い道に説明しにくいものがある | ギャンブルや浪費も含めて隠さず弁護士に伝える。管財人に何をどう説明するか一緒に整理する |
| 財産を家族名義にしたことがある | 時期と経緯を弁護士に正直に伝える。これ以上は動かさない |
| 管財人との打合せや債権者集会が近い | 申立書の内容を弁護士と読み返し、日程が合わなければすぐ弁護士に伝える |
※札幌地裁は、申立てで提出する通帳のコピーに「申立前1年以上の記帳」があることを確認するよう求めています。必要な期間や書類は裁判所によって違います。
✅ このセクションのまとめ
管財事件には費用・期間・郵便物・引っ越しの制限がありますが、弁護士に依頼すると予納金の下限が低い裁判所があり(弁護士費用は別)、面接や打合せも弁護士が段取りします。管財人を怖がって先延ばしにせず、早めに相談しましょう。
よくある質問
Q. 管財人との面談は何回ありますか。時間や服装の決まりはありますか。
A. 確認した範囲では、回数・時間・服装を定めた公的な資料は見当たりません。東京地裁の進行要領は、原則として開始決定日までに、破産者本人を交えて管財人候補者と打合せをするよう求めています。そのあとも、管財人から事実関係の補充調査などの協力を求められることがあります。くわしくは依頼した弁護士に確認してください。
Q. 管財人との面談や債権者集会は、オンラインでできますか。
A. 東京地裁の進行要領は、管財人候補者との打合せの方法として「対面方式のほか、インターネット等の通信手段の利用など」を挙げています。債権者集会などの期日も、裁判所が相当と認めるときはウェブ会議システムで出頭できますが、裁判所のQ&Aは「必ずウェブ会議システムを利用した出頭が認められるものではなく、これが認められるかは、事案ごとの判断になります。」としています。
Q. 管財人に家族の財産まで調べられますか。
A. 家族自身は、説明する義務を負う人として条文に挙がっていません(挙がっているのは破産者や破産者の代理人など=破産法40条1項)。ただし、松江地裁は「実質的には破産者の財産であれば、その名義が他人になっていても換価・配当の対象となり」としています。札幌地裁は、申立ての段階で、自分と同居者名義のすべての預貯金口座の通帳コピーの提出を求めています。
Q. 「少額管財」とは何ですか。
A. 裁判所によって扱いが違います。千葉地裁の手続費用一覧表(令和5年4月改訂)は「少額管財A(非招集型)」「少額管財B(集会型)」を区分として載せ、管財人引継分を20万円(官報公告費用は別)としています。東京地裁の「破産事件の手続費用一覧」(令和8年1月1日現在)には「少額管財」という区分名は見当たらず、「個人管財事件」として、管財人に引き継ぐ予納金は最低20万円です。お住まいの裁判所での扱いは弁護士に確認してください。
Q. 予納金を用意できないと、どうなりますか。
A. 札幌地裁は、本人で申し立てて管財人が選ばれた場合について「費用が予納されない場合、申立てが却下される場合があります。」としています。法テラスは、生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金を立替えの対象としていません。用意できる額と時期を、申し立てる前に弁護士と相談してください。東京地裁では、分割の可否・回数も面接時に裁判官と打合せをするとされています。千葉地裁の手続費用一覧表(令和5年4月改訂)は「予納金の分割納付の取扱いはしていません。」としています。
Q. 債権者集会には、仕事を休んで出なければいけませんか。
A. 東京地裁では、債権者集会は免責審尋期日も兼ねているため、破産者本人の出頭が必要とされています。正当な理由で出頭できない場合は、管財人に報告・打合せのうえ、事前に理由を書いた上申書を裁判所に出すよう求めています。日程は面接後おおむね当日中に連絡されるので、早めに職場の予定を調整しましょう。
Q. 管財人は、私が依頼した弁護士の知り合いが選ばれるのですか。
A. 管財人は裁判所が選びます(破産法74条1項)。東京地裁は、裁判官が面接で事案の内容を聞き、「当該事案に適した破産管財人候補者を速やかに選定します。」と説明しています。申立てをする側が選ぶものではありません。
まとめ
自己破産の破産管財人について、押さえておくことは次のとおりです。
🔎 30秒でわかる結論
- 破産管財人は裁判所が選ぶ(破産法74条1項)。仕事は財産の管理・換価・配当と免責についての調査
- 管財事件か同時廃止かは裁判所の専決事項(東京地裁)。財産がなくても、使途不明の借入金などがあれば管財人がつくことがある(千葉地裁・令和元年9月改訂)
- 管財人が調べる方法として条文に明記されているのは、説明の請求と、帳簿や書類などの検査(83条1項)。ほかに郵便物の開披(82条1項)、免責についての調査(250条1項)もある。郵便物は管財人に届くことがあるが、財産に関係ないものは交付を求めることができ、手続き終了で転送は取り消される(81条・82条)
- 費用は東京地裁の個人管財事件で、管財人に引き継ぐ予納金が最低20万円+官報公告費用等20,397円(令和8年1月1日現在)。期間は大分地裁(令和元年10月版)の資料で「通常は6か月以上」
- 避けるべきはうそ・隠しごと・非協力(252条1項9号・11号)。正直に説明すれば裁量免責の道もある(252条2項)
通帳、給与明細、借入先の一覧、保険証券や車検証、借金の使い道のメモを持って相談すれば、管財事件になりそうか、予納金をどう用意するか、管財人に何をどう説明するかを、弁護士と一緒に決められます。管財人が怖くて止まっているなら、まずその不安から話してください。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov 破産法(平成十六年法律第七十五号)31条1項・37条1項・40条1項・74条1項・78条1項・81条1項〜3項・82条・83条1項・87条1項・216条1項・250条・252条1項1号・8号・9号・11号・2項 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- 東京地方裁判所民事第20部「管財手続の進行要領(通常管財係)」(令和8年5月21日) https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/20_kanzaitetuduki%EF%BC%8Dsinkouyouryou%EF%BC%88tuujyoukanzai%EF%BC%89.pdf
- 東京地方裁判所民事第20部「即日面接進行要領 ~同時廃止の場合について~」(令和8年5月1日改訂) https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/20_doujihaisi%EF%BC%8Dsinkouyouryou.pdf
- 東京地方裁判所民事第20部「よくある質問」(管財事件と同時廃止事件・即日面接・債権者集会) https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html
- 東京地方裁判所民事第20部「破産事件の手続費用一覧」(令和8年1月1日現在) https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/min20_hasanq4_hasantetudukihiyouitiran_R080101.pdf
- 大阪地方裁判所 第6民事部(倒産部)Q&A(破産管財人・費用・不利益・免責) https://www.courts.go.jp/osaka/saiban/minjibu6/index.html
- 千葉地方裁判所「破産・免責手続について-よくあるご質問-」(令和元年9月改訂) https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/2025/syoshiki/hasan-yokuarushitsumon.pdf
- 千葉地方裁判所「手続費用一覧表」(令和5年4月改訂・少額管財A/B、通常管財予納金基準表、分割納付) https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/minjisyoshiki/hasan/hasantetsuzukihiyouichiranhyou.pdf
- 松江地方裁判所「破産・免責手続のあらまし」(管財事件・予納金・免責不許可事由) https://www.courts.go.jp/matsue/vc-files/matsue/2023/20240115_hasanzikensyosiki/1_hasantetudukinoaramashi_moushitateshokinyuuyouryou.pdf
- 大分地方裁判所「債務整理の方法についてのQ&A」(令和元年10月1日版) https://www.courts.go.jp/oita/vc-files/oita/file/R1.10.1saimuseiri-q-a.pdf
- 高知地方裁判所「破産申立てについて」(平成25年10月1日改訂) https://www.courts.go.jp/kouchi/vc-files/kouchi/file/1001hasan1-1.pdf
- 水戸地方裁判所「同廃・管財振り分けの運用について」(平成31年4月1日実施) https://www.courts.go.jp/mito/vc-files/mito/file/31.4.1hasankijyun.pdf
- 札幌地方裁判所「破産・免責申立書の書き方と留意事項」(R6.1版) https://www.courts.go.jp/sapporo/vc-files/sapporo/file/hasan_saisei/R6.1_moushitatesyonokakikata.pdf
- 裁判所「民事事件Q&A」(破産・債権者集会・ウェブ会議) https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html
- 法テラス よくある相談「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」(職業・転居・長期の旅行等の制限) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-002.html
- 法テラス よくある相談「自己破産の手続について教えてください。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-003.html
- 法テラス よくある相談「自己破産する場合、どの程度の費用がかかりますか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-006.html
- 法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」(自己破産事件の予納金) https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/tatekaeqa.html
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は各資料に記載の時点のもので、2026年10月に公開資料を確認しました。最新の運用は依頼する弁護士または各裁判所に確認してください)
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