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・「個人再生は自己破産より費用が高いと聞いた。総額でいくらになるのか分からない」
・「個人再生委員の報酬まで払うと、とても用意できないのではないか」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、裁判所に納めるお金は公表されていて、東京地裁の場合は3万円ほどです。東京地方裁判所民事第20部は、個人再生の申立てにかかる費用について「1 申立手数料 1万円(収入印紙) 2 官報公告費用 1万5120円(中目黒庁舎で現金納付する場合は1万6000円)」と公表しています。
とはいえ、個人再生委員の報酬は「裁判所が定める」と条文に書かれているだけで、具体的な金額はどの公式ページにも載っていないのも事実です(民事再生法223条9項)。さらに法テラスは「なお、民事再生事件の予納金については、生活保護の受給の有無にかかわらず、立替えの対象とはなりません。」と明示しています。
本記事では、個人再生の費用が何に分かれていて、どこまでが公表されているのかと、履行テストの積立が費用とどう違うのかについて紹介します。
すでに個人再生を決めている人はもちろんのこと、「自己破産と比べて決めたい」という人も、公表されている額と、裁判所ごとに変わる額の境目をしっかりと理解しておきましょう。

個人再生を考えています。費用の総額はいくらになりますか。

公表されている部分と、そうでない部分があります。裁判所に納めるお金は公表されていますが、個人再生委員の報酬は「裁判所が定める」までしか決まっていません。

では、いくら用意すればいいのか分からないということですか。

申立てをする裁判所と代理人に確認すれば分かります。東京地裁は全件で個人再生委員を選任する運用を公表しているので、見立ては立てられます。

毎月の積立もあると聞きました。あれも費用ですか。

いいえ、二重にはなりません。手続きが始まると債権者への返済は止まります。あれは計画どおりに払えるかを試す「履行テスト」で、払う練習です。
🔎 30秒でわかる結論
- ★個人再生の費用は「3つ+1つ」=①裁判所に納めるお金②個人再生委員の報酬 ③弁護士・司法書士の費用 +④履行テストの積立(性質が違う)
- ★裁判所に納めるお金は公表されている=東京地裁は申立手数料1万円(収入印紙)+官報公告費用1万5120円(中目黒庁舎で現金納付する場合は1万6000円)+予納郵便切手(令和7年11月1日以降適用)
- ★個人再生委員の報酬額は公表されていない。条文は「個人再生委員は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。」まで(民事再生法223条9項)=裁判所の運用で変わる
- ★東京地裁は「全件につき個人再生委員を選任」と公表している(=東京地裁で申し立てるなら、個人再生委員が付くことを前提に考える)
- ★履行テスト=「また、分割弁済の履行テストとして、計画弁済予定額を個人再生委員の指定する口座に毎月申立人から振り込むことになります。決して振込漏れのないようにしてください。」(東京地裁)。積み立てた金銭の取扱いは公表資料に書かれていないので、返ってくるかどうかを確認するのは代理人と裁判所
- ★法テラスの立替えは「なお、民事再生事件の予納金については、生活保護の受給の有無にかかわらず、立替えの対象とはなりません。」=弁護士費用の立替えと予納金は別に考える
- 個人再生は住宅ローンを除く借金などの総額が5,000万円を超えない、将来の継続的な収入がある個人が使える手続き(東京地裁)
📖 この記事でわかること
- 個人再生の費用が分かれている「3つ+1つ」
- 裁判所に納めるお金はいくらか(東京地裁の公表額)
- 個人再生委員は何をする人で、報酬はいくらなのか
- 毎月の積立(履行テスト)は費用なのか
- 弁護士・司法書士の費用と、法テラスの立替えが届く範囲
- それぞれ「いつ」払うのか
- 費用が用意できないときに考える順番(自己破産との比較を含む)
個人再生の費用が分かれている「3つ+1つ」

ネットの記事に書いてある総額が、まったくそろっていません。

公表されている額と、そうでない額を混ぜているからです。分けて見れば、どこを確認すればいいかがはっきりします。
個人再生で出ていくお金は、次のように分かれます。①だけが公表された固定額で、②③は運用・契約で変わり、④はそもそも費用ではありません。
| どこに払うか | 中身 | 金額が決まる仕組み |
|---|---|---|
| ① 裁判所 | 申立手数料(収入印紙)・裁判所予納金(官報公告費用)・予納郵便切手 | 裁判所が公表している固定額 |
| ② 個人再生委員 | 個人再生委員の報酬 | 「裁判所が定める」(民事再生法223条9項)。公表された金額はなく、選任するかどうかも含めて裁判所の運用による |
| ③ 弁護士・司法書士 | 着手金・実費・報酬金(契約による) | 依頼先との契約による。法テラスの立替制度を使える場合がある |
| ④ 履行テストの積立(分割予納金) | 再生計画どおりに払えるかを試すために毎月振り込むお金 | 計画弁済予定額=自分の再生計画案の毎月の返済額。費用ではなく「払う練習」 |
※④の積み立てた金銭がどう取り扱われるか(返還されるか、②の報酬に充てられるか)は、公表されている資料には書かれていません。申立てをする裁判所と代理人に確認してください。
💡 ここ、勘違いされがち
「個人再生の費用は総額◯円」という一つの答えはありません。②が裁判所の運用で変わり、③が契約で変わるからです。逆に言えば、①だけは今この場で確認できます。まず①を押さえ、②③は申立てをする裁判所と代理人に当てるのが順番です。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
裁判所に納めるお金はいくらか(東京地裁の公表額)

裁判所に払う分は、どこで確認できますか。

各地の裁判所が公表しています。件数の多い東京地裁の額でご説明しますが、裁判所ごとに違います。
東京地方裁判所民事第20部が公表している個人再生の手続費用は次のとおりです(「個人再生手続の申立てに当たって」令和7年11月1日以降適用)。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 申立手数料 | 1万円(収入印紙) | 申立書に収入印紙を貼って納付 |
| 裁判所予納金(官報公告費用) | 1万5120円 | 中目黒庁舎で現金納付する場合は1万6000円 |
| 予納郵便切手 | 1990円分(140円×6枚、110円×5枚、20円×20枚、10円×20枚) | このほか110円切手×3枚、140円切手×2枚×再生債権者数が必要 |
| 宛名ラベル | 実費(自分で用意する) | 再生債務者代理人宛て5枚、再生債権者宛ては各債権者分(2組分) |
出典:東京地裁民事第20部「個人再生手続の申立てに当たって」(令和7年11月1日以降適用)(2026年9月時点)
💡 ポイント
固定で決まっている分を足すと、1万円+1万5120円+1990円=27,110円です(東京地裁の場合)。これに110円切手×3枚と、140円切手×2枚×再生債権者数が加わるため、債権者の数によって2万7千円台〜3万円台になります。自己破産の同時廃止事件(東京地裁で19,496円)との差は約7千〜8千円で、申立手数料が1万円(自己破産は1,500円)である点と、官報公告費用が別項目で立っている点の両方が効いています。
東京地裁の「よくある質問」にも同じ額が載っています。「1 申立手数料 1万円(収入印紙) 2 官報公告費用 1万5120円(中目黒庁舎で現金納付する場合は1万6000円) 3 郵便切手 郵便料金の改定に伴う変更があります。」
💡 ここ、勘違いされがち
予納金の額と運用は裁判所ごとに違います。申立てをする裁判所の公表資料を必ず確認してください。特に個人再生委員を全件で選任するかどうかは地裁で運用が分かれる論点です。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
個人再生委員は何をする人で、報酬はいくらなのか

個人再生委員というのは、こちらの味方なんでしょうか。

裁判所の補助機関です。財産と収入を調べて、裁判所に意見を出す立場です。報酬は裁判所が定めます。
民事再生法223条1項は、裁判所が「必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、一人又は数人の個人再生委員を選任することができる。」と定めています。ただし同項ただし書は「ただし、第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価の申立てがあったときは、当該申立てを不適法として却下する場合を除き、個人再生委員の選任をしなければならない。」としています。
個人再生委員の職務は、同条2項で次の3つから指定されます。
| 個人再生委員の職務として指定される事項(民事再生法223条2項) |
|---|
| 一 再生債務者の財産及び収入の状況を調査すること。 |
| 二 第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価に関し裁判所を補助すること。 |
| 三 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をすること。 |
出典:e-Gov 民事再生法223条2項(2026年9月時点)
肝心の報酬については、同条9項が「個人再生委員は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。」と定めるだけです。報酬の金額は法律で決まっておらず、裁判所が事件ごとに定めます。2026年9月時点で、東京地裁をはじめ公式ページに具体的な報酬額を掲げているものは確認できませんでした。
一方で、選任するかどうかの運用は公表されています。東京地裁民事第20部は「当部では、申立書を審査したうえで全件につき個人再生委員を選任しています。個人再生委員は、裁判所の補助機関として再生債務者の財産及び収入の状況を調査し、手続開始について意見を述べますので、裁判所から個人再生委員を選任した連絡があった場合は、申立書等の副本を早急に個人再生委員に直送してください。」と案内しています。
💡 ここ、勘違いされがち
ここは「相場」で判断しないほうがよい論点です。報酬額は条文でも公表資料でも定められておらず、選任するかどうかも裁判所の運用で分かれます。ネット上の「個人再生委員の報酬は◯万円」という数字は、特定の裁判所の運用を指しているか、出典のない伝聞です。申立てをする裁判所の運用を代理人に確認するのが唯一確実な方法です。
✅ このセクションのまとめ
個人再生委員は裁判所の補助機関で、財産・収入の調査と再生計画案への勧告を担います。報酬は「裁判所が定める」(223条9項)までしか決まっていません。東京地裁は全件で選任と公表しているので、東京で申し立てるなら付くものとして見積もるのが安全です。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
毎月の積立(履行テスト)は費用なのか

手続き中に毎月お金を振り込むと聞きました。二重に払うことになりませんか。

それは費用ではありません。再生計画どおりに払えるかを見る「履行テスト」です。払う練習として、毎月同じ額を振り込みます。
東京地裁民事第20部は「また、分割弁済の履行テストとして、計画弁済予定額を個人再生委員の指定する口座に毎月申立人から振り込むことになります。決して振込漏れのないようにしてください。」と案内しています。
申立ての案内書面にも「個人再生委員から分割予納金の振込口座の通知がありますので、再生債務者は、計画弁済予定額を、個人再生委員の指定した期限までに振り込んでください。」と書かれています。つまり振り込む額は自分の再生計画案の毎月の返済予定額であり、手続きのために新しく上乗せされるお金ではありません。
💡 ポイント
履行テストには、読者にとって有利な面があります。手続き中は債権者への返済が止まっている一方で、毎月「返済したつもりの額」を振り込むことになるため、認可後に本当に払えるかを自分で確かめられます。逆に振込が滞ると、計画どおりに払えないと判断される材料になります。
💡 ここ、勘違いされがち
積み立てたお金がどう扱われるかは、公表資料に書かれていません。「返ってくる」「個人再生委員の報酬に充てられる」といった説明を見かけますが、2026年9月時点で東京地裁・法テラスの公表ページにその記載は確認できませんでした。取扱いは申立てをする裁判所と代理人に確認してください。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
弁護士・司法書士の費用と、法テラスの立替えが届く範囲

弁護士費用も払えません。法テラスは使えますか。

使えます。ただし範囲に注意です。立替えは弁護士などへの費用が対象で、民事再生の予納金は対象外と明示されています。
法テラスの立替制度は、公式に「借金や離婚などの問題の解決のために、調停、訴訟などの裁判手続きや相手方との示談交渉、裁判所に提出する書類の作成を弁護士や司法書士に依頼をした場合の費用(着手金・実費など)を法テラスが立て替え、分割で法テラスに返済していただく制度です。」と説明されています。利用の条件は「1 収入や資産が一定基準以下であること 2 勝訴の見込みがないとはいえないこと 3 民事法律扶助の趣旨に適すること」の3つです。
💡 ここ、勘違いされがち
予納金は立替えの対象外です。法テラスは「なお、民事再生事件の予納金については、生活保護の受給の有無にかかわらず、立替えの対象とはなりません。」と明示しています。自己破産では「生活保護を受給している方を除き」という例外がありますが、民事再生(個人再生)では生活保護を受給していても予納金は対象外です。
なお法テラスは事件類型ごとに費用の目安を公表していますが、2026年9月時点で公表されているのは自己破産・任意整理・離婚等請求の3つで、個人再生の目安額のページは確認できませんでした。個人再生の立替額は審査で決まるものとして、申込みのときに確認するのが確実です(審査では「援助開始決定の有無や、弁護士や司法書士に支払う着手金や実費の金額、立替金の支払い方法や月額を決定します。」とされています)。
司法書士に依頼する場合は、代理権の範囲に注意が必要です。認定司法書士が代理できるのは簡易裁判所の手続と、紛争の目的の価額が140万円を超えない裁判外の和解などに限られます(司法書士法3条1項6号7号・裁判所法33条1項1号)。個人再生は地方裁判所の手続きなので、申立ての代理人になれるのは弁護士です。司法書士は裁判所に提出する書類の作成という形で関わります。
費用の見通しが立たないという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
それぞれ「いつ」払うのか

お金が必要になるタイミングを知りたいです。

裁判所の分は申立てのときです。弁護士費用は依頼のとき、履行テストの積立は手続き中に毎月です。
| 支出項目 | いつ | 性質 |
|---|---|---|
| 申立手数料・予納郵便切手 | 申立てのとき(収入印紙・切手を提出) | 固定・実費 |
| 裁判所予納金(官報公告費用) | 申立てのときに裁判所へ納める | 固定 |
| 弁護士・司法書士の費用 | 依頼のとき(契約による) | 法テラスの立替えを使えば、法テラスへ分割返済 |
| 履行テストの積立(分割予納金) | 手続き中、毎月(個人再生委員の指定した期限までに振込) | 費用ではなく「計画弁済予定額を払う練習」 |
| 個人再生委員の報酬 | 裁判所が定める(時期・方法は裁判所の運用による) | 公表額なし |
※手続きが開始されると債権者への返済は禁止されます(東京地裁「なお、手続が開始されると再生債権者に対する弁済は禁止されますので、ご注意ください。」)。その間の支出は上の表のものになります。
💡 ポイント
手続き中は債権者への返済が止まります。東京地裁も「なお、手続が開始されると再生債権者に対する弁済は禁止されますので、ご注意ください。」と案内しています。毎月の支出は履行テストの積立に置き換わる形になるため、「費用のために生活費が二重に削られる」構造ではありません。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
費用が用意できないときに考える順番(自己破産との比較を含む)

それでも足りないときは、どうすればいいですか。

順番があります。①立替えが使えるか ②予納金だけ別に考える ③そもそも個人再生でよいかを見直す、の3段です。
① 弁護士・司法書士の費用=法テラスの立替えを確認する
収入と資産が基準以下なら、着手金と実費を立替えて分割で返す形にできます。審査の期間は「通常申込みから決定まで2週間程度かかります。」とされています。
② 裁判所に納めるお金は立替えの対象外=自分で用意する
東京地裁の場合、申立手数料1万円+官報公告費用1万5120円+予納郵便切手1990円分で27,110円(これに債権者数に応じた切手が加わる)です。金額としては、ここが手続きに入る最低ラインになります。
③ そもそも個人再生でよいのかを見直す
個人再生は住宅を残しながら返済を組み替えたい人に向いた手続きです。東京地裁は個人再生手続を「住宅ローンを除く借金などの総額が5000万円を超えない、将来の継続的な収入がある個人の方が、その収入から借入金などを分割返済する計画(原則3年以上5年以内)を立て、生活の立て直しを図るための手続です。」と説明しています。守りたい財産がなく、収入の見込みも立たないなら、自己破産のほうが費用も手続きも軽くなることがあります。
個人再生を選ぶ理由がある人
- 住宅ローンを払いながら家を残したい(住宅資金特別条項)
- 職業や資格の制限を避けたい事情がある
- 将来において継続的な収入の見込みがある
自己破産と比べ直したほうがよい人
- 残したい財産が特にない
- 収入の見込みが立っていない(計画弁済ができない)
- 同時廃止で終わる見込みがある(東京地裁の裁判所費用は19,496円)
なお、自己破産では「また、生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とはなりません。」と、生活保護受給者には例外が置かれています。個人再生(民事再生)にはこの例外がありません。生活保護を受けている場合は、この点も含めて手続きを選ぶ必要があります。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
不安潰し:書類でつまずくと手続きが終わる、という現実

費用を節約するために、自分で申し立てるのはどうですか。

裁判所自身が専門家への相談を勧めています。書類が作れないと、手続きが廃止で終わると明記されています。
東京地裁民事第20部は「個人再生手続は債権者一覧表や再生計画案が作成できないと手続が進められず、最終的には手続が廃止により終了することになります。個人再生手続を選択することも含め、弁護士等の専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。」と案内しています。
しかも個人再生には、やり直しが効かない部分があります。同部は債権者一覧表について「そのため、再生手続開始後は、一覧表の訂正が一切認められなくなります。」と注意しており、誤記があると「適正な再生計画案が作成できず手続が廃止されることもありますので、ご留意ください。」としています。
不利な点も先に挙げます。
| 起きること | 内容 |
|---|---|
| 信用情報への記録 | CICはクレジット情報の保有期間を「契約期間中および契約終了後5年間」と公表。全国銀行個人信用情報センター(KSC)は官報情報を当該決定日から7年を超えない期間保有すると公表 |
| 官報への掲載 | 再生手続開始決定・再生計画案の決議・認可決定はいずれも官報に公告される |
| 手続き中の弁済禁止 | 手続が開始されると再生債権者に対する弁済は禁止される |
| 小規模個人再生は否決されうる | 再生計画案に同意しない旨を書面で回答した議決権者が議決権者総数の半数以上、または不同意の議決権の額が総額の2分の1を超えると可決されない(民事再生法230条6項の裏返し) |
| 住宅ローンは減らない | 住宅資金特別条項を使う場合、住宅ローン自体は減額されない |
出典:CIC/全国銀行協会の公表内容、東京地裁民事第20部「よくある質問」、e-Gov 民事再生法(2026年9月時点)
✅ このセクションのまとめ
個人再生は、書類の精度で結果が変わる手続きです。費用を削って自分で進めた結果、手続きが廃止で終われば納めたお金も時間も戻りません。まず「自分の場合いくらで、どの手続きが合うのか」を無料の相談で確定させるのが、いちばん損の少ない順番です。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
よくある質問

細かいところを聞いてもいいですか。

どうぞ。費用まわりでよく聞かれる点を並べます。
Q. 個人再生の費用は総額でいくらですか?
A. 公表されている部分だけを足すと、東京地裁の場合申立手数料1万円+官報公告費用1万5120円+予納郵便切手(1990円分+債権者数に応じた切手)=27,110円(債権者数に応じた切手が加わる)です。これに個人再生委員の報酬(金額は裁判所が定める)と弁護士・司法書士の費用(契約・審査で決まる)が加わります。「総額◯円」と言い切れないのは、後の2つが公表された固定額ではないからです。
Q. 個人再生委員の報酬はいくらですか?
A. 民事再生法223条9項は「個人再生委員は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。」と定めるだけで、金額を決めていません。2026年9月時点で、具体的な報酬額を掲げた公式ページは確認できませんでした。申立てをする裁判所の運用を代理人に確認してください。なお東京地裁は「全件につき個人再生委員を選任しています。」と公表しています。
Q. 履行テストで積み立てたお金は返ってきますか?
A. 公表資料に記載がないため、断定できません。東京地裁が公表しているのは「また、分割弁済の履行テストとして、計画弁済予定額を個人再生委員の指定する口座に毎月申立人から振り込むことになります。決して振込漏れのないようにしてください。」という運用までです。積み立てた金銭の取扱い(返還されるのか、報酬に充てられるのか)は申立てをする裁判所と代理人に確認してください。
Q. 裁判所に納める費用を分割にできますか?
A. 公表されている費用一覧に分割の定めはありません。申立手数料は収入印紙、予納郵便切手は切手で、いずれも申立てのときに提出します。官報公告費用も申立てのときに納める扱いです。分割の相談ができるのは、弁護士・司法書士に払う費用のほうで、法テラスの立替えを使えば法テラスへの分割返済になります。
Q. 法テラスで個人再生の費用の目安を見られますか?
A. 2026年9月時点で、法テラスが費用の目安を公表しているのは自己破産事件・任意整理事件・離婚等請求事件で、個人再生の目安額のページは確認できませんでした。立替額は審査で決まり、審査では「援助開始決定の有無や、弁護士や司法書士に支払う着手金や実費の金額、立替金の支払い方法や月額を決定します。」とされています。
Q. 生活保護を受けていても個人再生はできますか?費用はどうなりますか?
A. 立替制度そのものは生活保護を受給していても利用できます。ただし「なお、民事再生事件の予納金については、生活保護の受給の有無にかかわらず、立替えの対象とはなりません。」と明示されています。また個人再生は将来の継続的な収入から分割返済する計画を立てる手続きなので、収入の見込みが立たない状況では成り立ちにくくなります。その場合は自己破産を含めて比べ直すことになります。
Q. 司法書士に個人再生を頼めますか?
A. 認定司法書士が代理できるのは簡易裁判所の手続と、紛争の目的の価額が140万円を超えない裁判外の和解などです(司法書士法3条1項6号7号・裁判所法33条1項1号)。個人再生は地方裁判所の手続きなので、申立代理人になれるのは弁護士です。司法書士は裁判所に提出する書類の作成という形で関与します。
Q. 費用の相談だけしてもいいですか?
A. はい。「自分の場合いくらかかるのか」を聞くだけの相談もできます。公的な窓口は無料で、法テラスの無料法律相談や、金融庁・日本貸金業協会などの多重債務相談窓口があります。依頼するかどうかは、金額と見通しを聞いてから決められます。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
まとめ
個人再生の費用は、次のように整理できます。
🔎 30秒でわかる結論
- 費用は①裁判所に納めるお金 ②個人再生委員の報酬 ③弁護士・司法書士の費用 +④履行テストの積立に分かれる
- ①は公表されている=東京地裁は申立手数料1万円+官報公告費用1万5120円+予納郵便切手(令和7年11月1日以降適用)
- ②は「裁判所が定める報酬」(民事再生法223条9項)で公表額がない。東京地裁は全件で個人再生委員を選任
- ④は費用ではなく計画弁済予定額を毎月振り込む「履行テスト」。積み立てた金銭の取扱いは公表資料に記載がない
- 法テラスの立替えは弁護士等の費用が対象で、民事再生の予納金は生活保護の受給の有無にかかわらず対象外
- 書類が作れないと手続が廃止で終わる=裁判所自身が専門家への相談を勧めている
「総額が分からないから決められない」は、相談で解けます。公表されている額はこの記事のとおりで、残りは申立てをする裁判所の運用と、依頼先との契約で決まります。その2つを確定させるのが、無料相談でできることです。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- 東京地方裁判所民事第20部「個人再生手続の申立てに当たって」(令和7年11月1日以降適用)=申立手数料1万円(収入印紙)/裁判所予納金1万5120円(官報公告費用・中目黒庁舎で現金納付は1万6000円)/予納郵便切手1990円分ほか/分割予納金=「計画弁済予定額を、個人再生委員の指定した期限までに振り込んでください。」 https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/20_kojinsaiseiq2_kojinsaiseitetudukinomousitateniatatteR0710.pdf
- 東京地方裁判所民事第20部「よくある質問」(個人再生手続について)=手続の定義(住宅ローンを除く借金などの総額が5,000万円を超えない、将来の継続的な収入がある個人が、原則3年以上5年以内の分割返済計画を立てる手続)/費用/「弁護士等の専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。」/「当部では、申立書を審査したうえで全件につき個人再生委員を選任しています。」/「また、分割弁済の履行テストとして、計画弁済予定額を個人再生委員の指定する口座に毎月申立人から振り込むことになります。」/「再生手続開始後は、一覧表の訂正が一切認められなくなります。」/「なお、手続が開始されると再生債権者に対する弁済は禁止されますので、ご注意ください。」 https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html
- e-Gov 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)223条1項(個人再生委員の選任)・223条2項1〜3号(職務)・223条9項(「費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。」)・230条6項(小規模個人再生の可決要件)・231条2項(不認可事由)・241条2項(給与所得者等再生の不認可事由) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- 法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」=立替制度の定義・利用の3条件・審査で「立替金の支払い方法や月額を決定します。」・「通常申込みから決定まで2週間程度かかります。」・「なお、民事再生事件の予納金については、生活保護の受給の有無にかかわらず、立替えの対象とはなりません。」・「また、生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とはなりません。」 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/tatekaeqa.html
- 法テラス「自己破産 費用の目安」(比較のため=債権者1〜10社155,000円ほか。個人再生の目安額のページは2026年9月時点で確認できず) https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/jikohasanhiyo.html
- 東京地方裁判所民事第20部「破産事件の手続費用一覧」(令和8年1月1日現在・比較のため)=申立手数料1,500円/同時廃止事件の予納金13,046円/予納郵券4,950円 https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/min20_hasanq4_hasantetudukihiyouitiran_R080101.pdf
- e-Gov 司法書士法 3条1項6号・7号(認定司法書士の代理権) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000197
- e-Gov 裁判所法 33条1項1号(簡易裁判所の事件=訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000059
- CIC「CICが保有する信用情報」(クレジット情報の保有期間=契約期間中および契約終了後5年間) https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
- 全国銀行協会「全国銀行個人信用情報センター」(官報情報=当該決定日から7年を超えない期間) https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/
- 金融庁「多重債務についての相談窓口」 https://www.fsa.go.jp/soudan/index.html
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年9月時点)
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