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・「収入が少ないと、任意整理は断られる」
・「業者が応じてくれなかったら、もう打つ手がない」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、任意整理が難しくなる理由は、主に「支払原資」と「債権者の了解」の2つです。法テラスは任意整理のデメリットとして「債権者の了解と支払原資が必要になる」ことを挙げています。そして、どちらかが欠けても、特定調停・個人再生・自己破産という別の手続きが用意されています。
とはいえ、任意整理は債権者の了解と支払原資がそろって初めて成り立つ話し合いで、条件が欠ければ成立しないのも事実です。法テラスは住宅ローンについても、「延滞が長期にわたるときには、任意整理が困難になる場合もあります」と説明しています。
本記事では、任意整理ができないケース・できない人の条件と、和解できないときの次の手について紹介します。
現在すでに返済が遅れている人はもちろんのこと、「自分はどうせ任意整理できない」と相談をためらっているという人も、任意整理ができる条件としっかりと向き合っておきましょう。

パートで収入が少ないんです。こんな私でも任意整理はできますか?

「この人はできない」と決めた法律の線はありません。分かれ目は、毎月払えるお金(支払原資)があるかと、相手が合意するかの2つです。

もし業者が「応じない」と言ったら、そこで終わりですか?

終わりではありません。裁判所を使う特定調停・個人再生・自己破産があります。自己破産は、債権者が同意することが開始の条件ではありません。
🔎 30秒でわかる結論
- 任意整理が難しくなる理由は主に2つ=①支払原資がない ②債権者の了解が得られない(法テラス「債権者の了解と支払原資が必要になる」)
- 任意整理は「裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続」。返していく手続きなので「原資の確保や家計管理が必要」(法テラス)
- 住宅ローンは任意整理「できます」が、延滞が長期にわたると困難になる場合がある(法テラス)。家を残すなら個人再生の住宅ローン特則も候補
- 債権者が応じないときの次の手=特定調停(裁判所が「調停に代わる決定」を出すことがある)/個人再生(小規模個人再生は不同意が半数未満かつ額が2分の1以下なら可決とみなす)/自己破産(支払不能なら開始)
- 収入の見込みがなければ個人再生も使えない(民事再生法221条1項)。その場合は自己破産を含めて検討。法テラスの立替制度は生活保護を受給していても使える
- 税金・国民健康保険料は、金融業者との話し合い(任意整理)で減らす対象ではない。破産しても免責されない(破産法253条1項1号)ので、役所の猶予・分納の制度で相談する
- どの手続きが合うかは面談で判定される。日司連の指針は「安易に任意整理の手続を選択してはならない」と定めている=「自分はできない」と自己判定せず、無料相談で確かめるのが最短
📖 この記事でわかること
- 任意整理ができない・難しい2つの理由
- 「できない人」ではなく「任意整理が向かない人」
- 「任意整理に応じない会社」があったらどうなる?
- 「利息カットできない」「和解できない」と言われる理由
- 住宅ローン・車・保証人付きの借金・税金はどうなる?
- 不安潰し:任意整理できなかったときのデメリットと、それでも今動く理由
- 放置するとどうなるか
- よくある質問
任意整理ができない・難しい2つの理由

そもそも、どういう人が任意整理できないんですか?

法テラスの説明を読むと、必要なものは2つだとわかります。「毎月払うお金」と「相手の了解」です。
法テラスは任意整理を「裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続」と説明し、続けて「自己破産などと異なり、支払をしていくことが必要な債務整理手続ですので、そのための原資の確保や家計管理が必要です」としています。さらに、任意整理の主なデメリットとして「自己破産と異なり、債権者との合意に基づき、支払をしていく手続のため、債権者の了解と支払原資が必要になる」ことを挙げています。
日弁連の「債務整理事件処理の規律を定める規程」10条も、任意整理の典型的な事務として「主に債務者の将来の収入を弁済原資として、債権者との間で分割弁済の交渉をして裁判外で和解をすること」を挙げています。つまり、任意整理はこれからの収入から分割で返していくことが前提の手続きです。
| 難しくなるケース | 欠けているもの | 根拠 | 次の手(候補) |
|---|---|---|---|
| 収入がない・毎月払える額がほとんどない | 支払原資 | 法テラス「任意整理とは」「メリット・デメリット」 | 自己破産を含めて検討(生活保護の相談も) |
| 払える額では完済の見通しが立たない(借金が大きい) | 支払原資 | 日司連 指針7条3項 | 個人再生・自己破産 |
| 債権者が話し合いに応じない・条件が折り合わない | 債権者の了解 | 法テラス「メリット・デメリット」 | 特定調停・個人再生・自己破産 |
| 住宅ローンの延滞が長期にわたっている | 債権者の了解(合意が困難) | 法テラス「住宅ローンについても、任意整理することができますか。」 | 個人再生の住宅ローン特則など |
💡 ここ、勘違いされがち
法テラスの説明にも、日弁連・日司連のルールにも、「年収いくら以下は任意整理できない」「この職業は任意整理できない」といった線は書かれていません。できるかどうかは、あなたの家計(毎月いくら払えるか)と、相手との話し合いで決まります。だから、ネットの「できない人リスト」で自分を当てはめて諦める必要はありません。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
「できない人」ではなく「任意整理が向かない人」

無職だったり、生活保護だったりすると、やっぱりダメですか?

任意整理は「毎月払う」手続きなので、向かないことはあります。でもそれは「債務整理ができない」という意味ではありません。
① 収入がない人(無職・収入の見込みがない)
毎月の支払原資がなければ、任意整理は成り立ちにくくなります。さらに、個人再生も民事再生法221条1項により「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」が必要です(小規模個人再生では、この見込みがないことが231条2項1号の不認可事由にもなります)。大分地方裁判所の「債務整理の方法についてのQ&A」は、アルバイトやパートでも継続的に勤務していれば個人再生を利用できる一方、「主婦,失業者(就職が内定している場合は除く。)は,継続的な収入がないので利用できません」と説明しています。この場合は自己破産を含めて検討することになります。
② 生活保護を受給している人
生活保護を受けている間は、任意整理の前提である毎月の支払原資をどう確保するかが問題になり、任意整理が向かないことがあります。ただ、専門家への依頼そのものが閉ざされているわけではありません。法テラスの「立替制度に関するよくあるご質問」は、「生活保護を受給している場合でも、法テラスの立替制度はご利用いただけます」と明記し、「生活保護を受給中の間は、返済は猶予されます」としています。生活保護と借金の整理の関係は、別の記事で詳しく解説しています。
③ 借金が大きく、分割では完済の見通しが立たない人
日司連の「債務整理事件の処理に関する指針」7条3項は、司法書士に対して「破産手続・民事再生手続の申立てを選択することが適切であるにもかかわらず、安易に任意整理の手続を選択してはならない」と定めています。払える額に対して借金が大きすぎる場合は、任意整理にこだわらず、元本を減らせる個人再生や自己破産を比べるのが筋です。
✅ このセクションのまとめ
「任意整理が向かない」=「借金の整理ができない」ではありません。向かない理由がはっきりすれば、合う手続きもはっきりします。その判定は、収入・生活費・財産を面談で出せば専門家が行います(日弁連 規程3条)。
収入が少ない・仕事がないことで、自分には手がないと思い込んでいるという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
「任意整理に応じない会社」があったらどうなる?

「◯◯社は任意整理に応じない」とネットで見ました。本当ですか?

どの会社が応じる・応じないという公的な発表はありません。確かなのは、任意整理が相手の了解を前提にした話し合いだということです。
任意整理は1社ごとの話し合いです。法テラスの説明では、任意整理はまず債権者に債務総額や取引履歴の開示を求め、その後に支払額や支払方法を交渉する流れで、「債権者の合意が得られれば、以後は、合意した支払額・支払方法で支払をしていくことになります」とされています。和解は1社ごとに結ぶので、ある1社と折り合わなくても、他の会社との話し合いは別に進められます。そして、合意できない相手が残ったときのために、裁判所を使う手続きがあります。
| 手続き | 債権者の同意との関係 | 根拠 |
|---|---|---|
| 特定調停 | 裁判所の調停委員のもとで話し合う。合意できなければ成立しないが、裁判所が「調停に代わる決定」を出すことがあり、債権者が異議を申し立てなければ調停成立と同様の効力が生じる | 法テラス「特定調停とは何ですか。」/大分地裁Q&A |
| 小規模個人再生 | 書面で決議し、同意しない旨の回答が議決権者総数の半数に満たず、かつ議決権額の2分の1を超えなければ、可決があったものとみなされる | 民事再生法230条6項 |
| 給与所得者等再生 | 裁判所が届出再生債権者の意見を聴き、その意見を考慮して認可・不認可を決定する | 民事再生法240条1項/大分地裁Q&A |
| 自己破産 | 債務者が支払不能にあるときは、裁判所が申立てにより破産手続を開始する(債権者の同意は開始の条件として定められていない) | 破産法15条1項 |
大分地裁のQ&Aは、特定調停について「調停は,あくまで話合いの手続ですので,相手方である債権者の合意を得られなければ,調停を成立させることはできません」と説明したうえで、合意に至らなくても「債務額やあなたの支払原資から検討した結果,調停に代わる決定を出す場合もあります」としています。異議が出た場合は「別の解決方法(個人再生や自己破産など)を考えなければならない場合もあります」とも書かれています。
また法テラスは、任意整理をした後に支払いの継続が難しくなった場合について、家計の状況を前提に「自己破産、個人再生、再度の任意整理、特定調停のいずれかの手続をとることが考えられます」と案内しています。一度つまずいても、選択肢は残っています。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
「利息カットできない」「和解できない」と言われる理由

任意整理をすれば、利息は必ずなくなるんですよね?

必ずではありません。公的な説明は「支払額や支払方法について合意をする手続」までで、利息の扱いも話し合いで決まります。
法テラスは、特定調停と任意整理の違いを説明するなかで、どちらも「貸金業者との交渉により、返済総額の減額・返済期間の延長などを目的とする手続」だとしています。ただし、和解後の利息をどう扱うかを保証する公的な説明はありません。「任意整理なら利息は必ずゼロ」と言い切る情報は、公的な裏付けがないと考えてください。
一方で、取引の中身を見直す手順はルールで決まっています。日弁連の規程10条は、任意整理の事務として、取引履歴の開示を求めること、「利息制限法が定める利息の利率による引直し計算を行うこと」、その計算方法を債権者と交渉することなどを挙げています。利息制限法1条の上限(元本10万円未満は年2割、10万円以上100万円未満は年1割8分、100万円以上は年1割5分)を超えて払っていた期間があれば、計算し直して残高が変わることがあります。
💡 「和解しない」も、あなたを守る判断のことがある
日司連の指針7条4項は、司法書士に対して「依頼者の経済的利益を損なうような安易な和解を行ってはならない」と定めています。「和解できない」と言われる背景には、相手の出す条件があなたに不利すぎるため、あえて合意しないという判断が含まれることもあります。その場合も、前の章の手続きに切り替える道があります。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
住宅ローン・車・保証人付きの借金・税金はどうなる?

住宅ローンや車のローンがあると、任意整理はできないんですか?

住宅ローンも任意整理は「できます」と法テラスは説明しています。ただ、借金の種類ごとに気をつける点があります。
| 借金の種類 | 任意整理での扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 住宅ローン | 任意整理は「できます」。ただし相手方と合意する必要があり、延滞が長期にわたるときには困難になる場合もある。家を残して他の借金を減らすなら、個人再生の住宅ローン特則も候補 | 法テラス「住宅ローンについても、任意整理することができますか。」「個人再生のメリット・デメリットは何ですか。」 |
| ローンが残っている車 | 割賦販売などでは、売主が自動車の所有権を留保している場合がある。そのローンを対象に含めるかどうかは、依頼前に専門家と相談して決める | 国民生活センター「国民生活」2023年5月号(所有権留保の記載) |
| 保証人がいる借金 | 保証人は「主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う」。対象にすると保証人に請求が行き得る | 民法446条1項 |
| 税金・国民健康保険料 | 金融業者との話し合い(任意整理)で減らす対象ではない。破産しても免責されない | 破産法253条1項1号・国税徴収法47条1項 |
任意整理は1社ごとの話し合いなので、車のローンや保証人付きの借金を対象から外して進める方法を検討できる場合があります。ただし、外した借金は今までどおり払い続ける必要があります。外し方と注意点は、別の記事で詳しく解説しています。
💡 税金・国民健康保険料は別の窓口へ
税金は、国税徴収法47条1項1号により、督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、徴収職員が「その財産を差し押えなければならない」と定められています。破産法253条1項1号は、租税等の請求権を免責の対象から外しています。日弁連の規程も日司連の指針も、債務整理を金融業者などに対する債務の整理として定めており、税金・国民健康保険料の相談先は役所の納税窓口です。猶予や分納の制度があります。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
不安潰し:任意整理できなかったときのデメリットと、それでも今動く理由

相談して「任意整理は無理」と言われたら、もっと怖いことになりそうで……。

隠さずに言うと、手続きごとに負担は違います。そのうえで、早く知るほうが得な理由を示します。
① 任意整理でも、合意の内容は保証されない
任意整理は相手との合意で決まるため、「必ずこの条件になる」とは誰にも言えません。だからこそ、合意できない場合の手続きまで含めて、最初に見通しを聞いておくことが大切です。日弁連の規程4条は、受任する弁護士に事件処理の方針と見通し、弁護士費用、不利益事項の説明を求めています。
② 個人再生・自己破産は官報に載る
法テラスは、任意整理のメリットとして「自己破産のように、官報に、住所や氏名等が記載されることがない」ことを挙げる一方、個人再生のデメリットとして「官報に、住所や氏名等が記載される」ことを挙げています。大分地裁のQ&Aは、破産手続や個人再生手続を利用しても「いずれの場合も戸籍に記載されることはありません」としています。
③ どの手続きでも信用情報に登録される
JICC(株式会社日本信用情報機構)は、取引事実に関する情報として「債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等」を挙げ、2019年10月1日以降の契約では「契約継続中及び契約終了後5年以内」登録されるとしています。全国銀行個人信用情報センターは、官報に公告された破産・民事再生手続開始決定を「当該決定日から7年を超えない期間」登録します。
✅ それでも今動く理由
法テラスは、住宅ローンについて延滞が長期にわたると任意整理が困難になる場合があると説明しています。話し合いで済む任意整理を選べるうちに動くほうが、官報や財産の処分を伴う手続きを避けられる可能性は残ります。「できないかもしれない」と待つ時間が、いちばん選択肢を減らします。デメリットを知ったうえで、今動くほうが得です。
業者に応じてもらえるか不安で、相談を先延ばしにしているという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
放置するとどうなるか
「できないかもしれない」と迷っている間にも、返済の遅れは進みます。放置した場合に起きることを、公的な根拠がある範囲で並べます。
| 起きること | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 遅延損害金 | 貸金業者からの借入れは年20%まで課され得る | 利息制限法7条1項 |
| 督促→支払督促・訴訟 | 支払督促(電子支払督促)の送達を受けた日から2週間以内に督促異議を申し立てないと、債権者の申立てにより仮執行宣言が付される | 民事訴訟法391条1項 |
| 給料の差押え | 給料は手取りの4分の1まで差し押さえられ得る(手取りが月44万円を超える場合は、33万円を超える部分の全額) | 民事執行法152条1項・施行令2条 |
| 信用情報 | 延滞の情報が登録され、決着しない限り「契約終了後5年」のカウントが始まらない | JICC「信用情報の内容と登録期間」 |
出典:e-Gov法令検索「利息制限法」「民事訴訟法」「民事執行法」/JICC(2026年9月時点)
一方、弁護士・司法書士に依頼して受任の通知が届くと、法テラスは「通常、貸金業者からの連絡は止まります」と案内しています。貸金業法21条1項9号が、弁護士等への委託を書面で通知された後、正当な理由なく電話・訪問などで本人に弁済を要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらずさらに要求することを禁じているためです。任意整理で進むか、別の手続きに切り替えるかの検討は、督促が止まった状態で進められます。
💡 ここ、勘違いされがち
「できるかどうか」は、自分で判定しなくていいです。借入先ごとの残高・毎月の返済額・手取りと生活費・延滞の有無——この4つをメモして相談すれば、任意整理ができるか、できないなら何が合うかがその場で見えてきます。依頼するかどうかは、話を聞いてから決められます。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
よくある質問
Q. 収入が少ないと、任意整理はできませんか?
A. 収入の額で線を引いた公的な基準はありません。法テラスが挙げる条件は「債権者の了解と支払原資」で、少ない収入でも毎月払える額があれば話し合いの前提になります。払える額に比べて借金が大きければ、個人再生や自己破産のほうが合うこともあります。
Q. 任意整理に応じない会社はどこですか?
A. どの会社が応じる・応じないかを示す公的な情報はありません。任意整理は1社ごとの話し合いで、合意できない相手が残った場合は、特定調停・個人再生・自己破産を検討します。個別の会社の対応は、依頼した弁護士・司法書士の交渉の中で明らかになります。
Q. 一度任意整理をしたのに、また払えなくなりました。
A. 法テラスは、家計の状況を前提に「自己破産、個人再生、再度の任意整理、特定調停のいずれかの手続をとることが考えられます」と案内しています。和解した条件のまま延滞を続けるより、早めに依頼先へ相談してください。
Q. 家族に内緒で任意整理はできますか?
A. 法テラスは「基本的には可能と思われますが、何かの機会に発覚してしまうことがあります」と説明し、家族の生活にかかわることなので家族と相談のうえで整理することを勧めています。
Q. ギャンブルでつくった借金でも任意整理できますか?
A. 借金の理由が問題になる「免責不許可事由」(破産法252条1項4号の浪費・賭博など)は、自己破産で免責を受けるときの条文です。任意整理は裁判所を使わない話し合いなので、この条文の対象ではありません。ただし、話し合いには支払原資が必要なことに変わりはありません。
Q. 住宅ローンがあると任意整理はできませんか?
A. 法テラスは住宅ローンについても任意整理は「できます」としたうえで、「延滞が長期にわたるときには、任意整理が困難になる場合もあります」と説明しています。住宅ローン以外の借金だけを整理したい場合や、家を残したい場合は、進め方を専門家と相談してください。
まとめ:「できない」の正体は2つ。ダメでも次の手がある
任意整理が難しくなる理由は、法テラスが挙げる「債権者の了解と支払原資」の2つです。収入の額や職業で「この人はできない」と決めた公的な線はありません。住宅ローンも任意整理は「できます」が、延滞が長期にわたると困難になる場合があります。
債権者が応じないときは、特定調停(調停に代わる決定)・個人再生(小規模個人再生は不同意が半数未満かつ額が2分の1以下なら可決とみなす)・自己破産(支払不能なら開始)という次の手があります。収入の見込みがなければ個人再生も使えないため、自己破産を含めて検討します。税金・国民健康保険料は任意整理の対象ではなく、役所の猶予・分納の制度で相談します。
日司連の指針は「安易に任意整理の手続を選択してはならない」と定め、どの手続きが合うかは面談で判定されます。「自分はどうせできない」と決めつける前に、家計のメモを持って話を聞くほうが、選べる道は多く残ります。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- 法テラス よくある相談「任意整理とは何ですか。」(任意整理とは、裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続です。自己破産などと異なり、支払をしていくことが必要な債務整理手続ですので、そのための原資の確保や家計管理が必要です) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-001.html
- 法テラス よくある相談「任意整理のメリット・デメリットは何ですか。」(自己破産のように、官報に、住所や氏名等が記載されることがない/自己破産と異なり、債権者との合意に基づき、支払をしていく手続のため、債権者の了解と支払原資が必要になる) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-002.html
- 法テラス よくある相談「任意整理の手続について教えてください。」(債権者に対して債務総額や取引履歴の開示を求め、その後支払額や支払方法を交渉/債権者の合意が得られれば、以後は、合意した支払額・支払方法で支払をしていくことになります) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-003.html
- 法テラス よくある相談「弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、貸金業者からの連絡が止まるのですか。」(通常、貸金業者からの連絡は止まります) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-004.html
- 法テラス よくある相談「家族に内緒で任意整理をすることはできますか。」(基本的には可能と思われますが、何かの機会に発覚してしまうことがあります) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-006.html
- 法テラス よくある相談「住宅ローンについても、任意整理することができますか。」(できます。ただし、任意整理の性質上相手方と合意する必要があります。したがって、延滞が長期にわたるときには、任意整理が困難になる場合もあります) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-007.html
- 法テラス よくある相談「任意整理をしましたが、支払いの継続が困難です。どうすればいいですか。」(自己破産、個人再生、再度の任意整理、特定調停のいずれかの手続をとることが考えられます) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-008.html
- 法テラス よくある相談「特定調停とは何ですか。」(裁判所の指定する調停委員のもとで、債権者と債務者が話合いをし、債務の削減、分割払い等について合意ができれば、調書に記載されます) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-006.html
- 法テラス よくある相談「特定調停と任意整理には、どのような違いがありますか。」(いずれも、貸金業者との交渉により、返済総額の減額・返済期間の延長などを目的とする手続) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-007.html
- 法テラス よくある相談「個人再生のメリット・デメリットは何ですか。」(住宅ローン特則を用いることにより、住宅を失わずに債務整理ができる/官報に、住所や氏名等が記載される) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-003.html
- 法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」(生活保護を受給している場合でも、法テラスの立替制度はご利用いただけます/生活保護を受給中の間は、返済は猶予されます) https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/tatekaeqa.html
- 大分地方裁判所「債務整理の方法についてのQ&A」(PDF。特定調停=調停は,あくまで話合いの手続ですので,相手方である債権者の合意を得られなければ,調停を成立させることはできません/調停に代わる決定を出す場合もあります・債権者が異議申立をすると決定は効力を失うが、そうでない場合は調停成立と同様の効力/別の解決方法(個人再生や自己破産など)を考えなければならない場合もあります/個人再生=主婦,失業者(就職が内定している場合は除く。)は,継続的な収入がないので利用できません/給与所得者等再生の場合は,債権者に再生計画案について意見を求め,その意見を考慮して裁判所が認可あるいは不認可の決定/いずれの場合も戸籍に記載されることはありません) https://www.courts.go.jp/oita/vc-files/oita/file/R1.10.1saimuseiri-q-a.pdf
- e-Gov法令検索「民事再生法」(221条1項=将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み/240条1項=給与所得者等再生では、裁判所は再生計画案を認可すべきかどうかについての届出再生債権者の意見を聴く旨の決定をする/230条6項=再生計画案に同意しない旨を回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ、その議決権の額が議決権者の議決権の総額の二分の一を超えないときは、可決があったものとみなす/231条2項1号=小規模個人再生では収入を得る見込みがないとき不認可) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- e-Gov法令検索「破産法」(15条1項=債務者が支払不能にあるときは、裁判所は申立てにより破産手続を開始する/252条1項4号=浪費又は賭博その他の射幸行為による財産の減少等/253条1項1号=租税等の請求権は免責の対象外) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- e-Gov法令検索「国税徴収法」(47条1項1号=滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないときは、徴収職員は財産を差し押えなければならない) https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147
- e-Gov法令検索「民法」(446条1項=保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 国民生活センター「国民生活」2023年5月号「契約の基礎知識─自動車編─」(PDF。割賦販売等で売主が自動車の所有権を留保している場合は使用者) https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202305_06.pdf
- 日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」(会規第93号・PDF。2条1号=債務者は金融業者に対して債務を負担する個人等/3条=受任予定の弁護士が自ら面談して聴取/4条=事件処理の方針及び見通し、弁護士費用、不利益事項の説明/10条1項2号=取引履歴の開示要求・利息制限法による引直し計算・主に債務者の将来の収入を弁済原資として分割弁済の交渉をして裁判外で和解) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_093.pdf
- 日本司法書士会連合会「債務整理事件の処理に関する指針」(PDF。2条1号=金銭の貸付けを業とする者、立替払いを業とする者、信用供与を業とする者又はこれらに類する者に対して債務を負担する者の債務整理事件/7条3項=安易に任意整理の手続を選択してはならない/7条4項=依頼者の経済的利益を損なうような安易な和解を行ってはならない) https://www.shiho-shoshi.or.jp/association/info_disclosure/statement_list/uploads/eef60054829e003e2c157ee6edde90442d7e2ec8.pdf
- e-Gov法令検索「利息制限法」(1条=元本10万円未満 年2割・10万円以上100万円未満 年1割8分・100万円以上 年1割5分/7条1項=営業的金銭消費貸借の賠償額の予定は年2割を超える部分が無効) https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100
- e-Gov法令検索「貸金業法」(21条1項9号=弁護士等に委託した旨の書面通知後、正当な理由なく本人へ直接弁済を要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらずさらに要求することの禁止) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032
- e-Gov法令検索「民事訴訟法」(391条1項=電子支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は債権者の申立てにより仮執行の宣言をしなければならない) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
- e-Gov法令検索「民事執行法」(152条1項=給料等はその支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分(政令で定める額を超えるときは政令額)は差し押さえてはならない)/民事執行法施行令2条1項1号=毎月払いは33万円 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
- JICC「信用情報の内容と登録期間」(取引事実に関する情報=債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等/契約日2019年10月1日以降=契約継続中及び契約終了後5年以内) https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration
- 全国銀行個人信用情報センター「センターの概要」(官報情報=官報に公告された破産・民事再生手続開始決定/当該決定日から7年を超えない期間) https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年9月時点)
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