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・「過払い金があると、自己破産できない」
・「自己破産したら、過払い金は全部取られて損をする」
こんな話を聞いて、長く返済を続けてきた借金があるのに、自己破産に踏み切れずにいる人も多いのではないでしょうか?
しかし、過払い金があることを理由に自己破産ができない、という決まりはありません。それどころか千葉地裁は、決められたとおりに長く返してきた人について「借金の残高が大幅に少なくなって破産状態ではなくなっていることもあります」として、申立ての準備の前に払い過ぎを確かめるよう勧めています。
とはいえ、過払い金は破産の手続きでは財産として扱われ、申告が必要で、金額によっては破産管財人が選ばれる「管財事件」になりうるのも事実です。
本記事では、自己破産をすると過払い金がどうなるか、管財事件か同時廃止かの分かれ目、破産の前に回収した場合の注意、借金との相殺、個人再生での扱い、時効について紹介します。
昔から消費者金融やカードのキャッシングで借りてきた人はもちろんのこと、「自己破産と過払い金請求、どちらが先?」と迷っている人も、時効で請求できなくなる前にしっかりと確認しておきましょう。

2008年ごろから、消費者金融で借りては返してを続けてきました。もう返せないので自己破産を考えているんですが、過払い金があると破産できないって聞いて……。

過払い金があっても、自己破産はできます。ただ、順番が大事です。長く返してきた人は、計算し直すと借金が大きく減っていたり、払い過ぎたお金を取り戻せたりすることがあります。自己破産を決める前に、まず払い過ぎがないかを確かめましょう。

もし過払い金があったら、それは自分で使えるんですか?

自由に使えるとは限りません。自己破産をする場合、過払い金は財産として裁判所に申告します。金額や裁判所によっては、破産管財人が選ばれて、債権者への配当に回ることもあります。一方で、計算し直して借金が十分に減れば、自己破産をせずに済むこともあります。どちらが得かは、計算してみないとわかりません。
🔎 30秒でわかる結論
- ★過払い金があっても自己破産はできる。ただし過払い金は財産として申告する(松江・高知地裁の破産の申立書の書式に「過払金」の欄があり、千葉地裁も財産に含まれると説明している)
- ★長く返してきた人は、破産の前に「引き直し計算」で確かめる。千葉地裁は、取引の内容によるとしつつ、決められたとおりに返した期間が「5~7年以上」なら過払い金が発生している可能性が高く、「破産状態ではなくなっていることもあります」と説明している
- ★管財事件か同時廃止かは裁判所ごとの基準で決まる。過払い金を「20万円以上の資産」の判断に入れると明記しているのは水戸地裁(平成31年の基準)。全国一律の線はない
- ★破産の前に回収した過払い金も、現金・預金として申告の対象になる(千葉地裁の個人再生の書式は受け取った時期・額・使い道まで書かせる)。一部の債権者や家族にだけ返すと、免責の判断で問題になることがある(破産法252条1項3号)
- ★過払い金には時効がある(法テラス:知った時から5年・取引が終わった時から10年。改正民法の施行前に生じた分は従前の例)。確かめるのは早いほど得
📖 この記事でわかること
- 過払い金とは?長く返してきた人ほど確かめる価値がある
- 自己破産の前に過払い金を確かめるべき理由
- 自己破産したら、過払い金は誰のものになる?
- 過払い金があると管財事件になる?同時廃止との分かれ目
- 破産の前に過払い金を回収した場合の注意
- 過払い金のある会社に借金が残っている場合(相殺)
- 個人再生では、過払い金はどう扱われる?
- 過払い金の時効と、破産の後に気づいた場合
- 債務整理のデメリットと、それでも今動く理由
- 今の状況ごとに、最短でやること
過払い金とは?長く返してきた人ほど確かめる価値がある

そもそも、過払い金ってどういうお金なんですか。

法律で決められた上限を超えて払った利息のことです。昔は、この上限を超える金利で貸していた会社が多かったんです。
法テラスは、「過払金とは、利息制限法で認められている利息(年15~20%)を超えて払いすぎた金銭のことです。」と説明しています。払い過ぎた利息は元本の返済に回したものとして計算し直され、元本がなくなった後に払ったお金は、返してもらえることがあります。
| 借りた元本 | 利息制限法の上限金利 |
|---|---|
| 10万円未満 | 年20% |
| 10万円以上100万円未満 | 年18% |
| 100万円以上 | 年15% |
出典:利息制限法1条・法テラス(2026年10月時点)
金融庁によると、貸金業者は以前、利息制限法の上限と出資法の上限(改正前は29.2%)の間の、いわゆる「グレーゾーン金利」で貸すことがありました。この金利帯は、平成22年(2010年)6月18日以降、出資法の上限金利が20%に引き下げられ、撤廃されています。
📄 千葉地方裁判所「破産・免責手続について-よくあるご質問・お問い合わせ-」Q9
「取引の内容によって違うので一概にはいえませんが,決められたとおりに返済した期間が5~7年以上であれば,過払金返還請求権が発生している可能性が高いといえます。」
✅ このセクションのまとめ
過払い金は、利息制限法の上限を超えて払った利息から生まれます。長く返済を続けてきた人ほど、払い過ぎが残っている可能性があります。
昔から借りていて、払い過ぎがあるかもしれないという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
自己破産の前に過払い金を確かめるべき理由

過払い金があってもなくても、どうせ自己破産するなら同じじゃないですか?

同じではありません。計算し直すと借金が大きく減って、自己破産をしなくても返せる額になることがあるからです。
千葉地裁は、長く返してきた人について「借金の残高が大幅に少なくなって破産状態ではなくなっていることもありますので,申立ての準備をする前に弁護士や司法書士に相談してお金を払い過ぎていないか確認することをお勧めします。」と書いています。同じ資料のQ7でも、「利息制限法で定められた利率で計算し直すと,借金の残額が大幅に減少したり,さらには,払い過ぎになっていて,お金の返還を請求できることがあります。」と説明しています。
さらに千葉地裁は、債権者が一定の金融業者の場合について「申立てには「利息制限法の利率に計算し直した計算書」が必要です。」としています。どのみち申立てで求められることがある計算なので、先に済ませておけば、自己破産・個人再生・任意整理のどれが合うかを正しく選べます。
| 計算し直した結果 | 考えられる進め方 |
|---|---|
| 借金がなくなり、払い過ぎが残っている | 過払い金の返還を請求する。自己破産が要らなくなることもある |
| 借金が大きく減った | 任意整理や個人再生で返していけるかを検討する |
| 借金はあまり減らない | 自己破産を含めて検討する。過払い金があれば財産として申告する |
✅ このセクションのまとめ
自己破産を決める前に払い過ぎを確かめると、もっと負担の軽い方法で済むことがあります。千葉地裁も、申立ての準備の前に確かめるよう勧めています。
長く返済を続けてきて、自己破産と過払い金請求のどちらが先か迷っているという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
自己破産したら、過払い金は誰のものになる?

自己破産したら、過払い金はどうなるんですか。

破産の手続きでは、過払い金を取り戻す権利も財産として扱われます。破産管財人が選ばれる手続きでは、その財産を管理するのは破産管財人です。
破産法34条1項は、「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。」と定めています。破産財団とは、お金に換えて債権者への配当にあてる財産のことです。
条文に「過払金」という言葉は出てきませんが、裁判所は過払い金を財産として扱っています。千葉地裁は破産の「よくある質問」で、「財産」に入るものとして「金融業者に対する過払金請求権」を挙げ、松江地裁の財産目録には「過払いによる不当利得返還請求権の有無について記載し、該当がある場合は、相手方、回収見込額、回収予定年月を記載してください。」という欄があります。
破産管財人が選ばれた場合、破産法78条1項により「破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。」とされています。つまり、過払い金を取り戻して配当に回すかどうかは、破産管財人が手続きの中で進めます。
⚠️ 過払い金は隠さず申告する
過払い金を申告せずに隠すと、免責(借金の支払義務をなくすこと)の判断で問題になるおそれがあります。破産法252条1項1号は、財産の「隠匿」などを免責不許可事由に挙げています。法テラスも、免責が認められない例として「裁判所に一部の財産を申告しなかったり、虚偽の書類を提出する。」を挙げています。
✅ このセクションのまとめ
過払い金を取り戻す権利は、破産の手続きでは財産として申告します。破産管財人が選ばれれば、管財人が管理して配当に回します。
過払い金があるかもしれない状態で自己破産を考えているという方は、申告の仕方も含めて、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
過払い金があると管財事件になる?同時廃止との分かれ目

過払い金があると、費用の高い「管財事件」になるんですか?

金額と、申し立てる裁判所の基準しだいです。全国で一律の線はありません。
自己破産には、破産管財人が選ばれる管財事件と、財産が少なく管財人を選ばずに終わる同時廃止があります。破産法216条1項は、「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」に同時廃止の決定をすると定めているだけで、金額の線は法律にはありません。
| 裁判所 | 管財事件になる目安(公表資料) | 過払い金の扱い |
|---|---|---|
| 東京地裁 | 33万円以上の現金/20万円以上の換価対象資産(預貯金、保険の解約返戻金、未払報酬・賃金など) | 「よくある質問」などの案内に「過払」の記載なし |
| 水戸地裁 | 33万円以上の現金/項目ごとに20万円以上の資産 | 「その他破産管財人の調査によっては回収が可能となる財産(過払金,否認権行使の対象となる財産など)」として20万円の判断に入れる |
| 高知地裁 | 財産の合計金額が40万円を超える場合など | 財産目録に「過払金」の欄 |
東京地裁は、管財事件か同時廃止かは「裁判所の専決事項です。」としています。大阪地裁も「破産を申し立てた人が希望したからといって,必ず同時廃止事件として破産手続が進められるわけではありません。」と書いています。
費用も大きく変わります。千葉地裁の案内では、管財人が要らない場合は印紙・切手代を含めて約1万5,000円、管財人が必要な場合は「破産管財人の費用として50万円(弁護士が選任されている場合は減額されることがあります)程度必要です。」とされています(同じ資料の申立費用の欄では、管財人が必要な場合の予納金は「20万円~50万円程度(財産の額によってさらに増えることがあります。)」)。
✅ このセクションのまとめ
過払い金があると管財事件になるかは、金額と裁判所の基準で決まります。どの裁判所に申し立てることになり、過払い金がいくらありそうかを、申立て前に弁護士と確かめるのが確実です。
過払い金があるかもしれず、手続きの費用がどれくらいになるか不安という方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
破産の前に過払い金を回収した場合の注意

先に過払い金を取り戻して、そのお金で一部の借金を返してから自己破産する、というのはダメですか?

一部の借入先や家族にだけ返すのは危ないです。返す相手と時期によっては、免責の判断で問題にされたり、破産管財人に取り戻されたりすることがあります。取り戻したお金の使い方は、必ず弁護士と決めてからにしてください。
破産法252条1項3号は、免責不許可事由として「特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。」を挙げています。また破産法162条1項は、支払不能になった後などの返済を、一定の場合に破産管財人が取り消せる(否認できる)と定めています。
松江地裁も、「自分から任意に一部の債権者(知人や親族等を含む。)だけに片寄った返済をすると、債権者が平等に債務の弁済を受けるという破産手続の本来の目的に反することとなり、免責手続の際に問題とされることがありますので、注意してください。」と注意しています。ただし、こうした事情があっても裁判所が事情を考えて免責を認めることはあります(破産法252条2項)。
受け取った過払い金は、手元に残っていれば現金・預金として申告の対象です。使い道まで問われることもあり、例えば千葉地裁の個人再生の申立書の書式は、過去2年間に「過払金の回収等によって取得した現金について、受領時期、受領額、使途を記載してください。」としています。水戸地裁は、申立て直前に資産を現金にした場合も「原則として現金として扱い」、弁護士に預けたお金も「原則として現金と同視する。」としています。
| 過払い金の使い方 | 注意点 |
|---|---|
| 一部の借入先・家族・知人にだけ返す | 免責の判断で問題になりうる(破産法252条1項3号)。管財人に否認されることもある(162条) |
| 受け取ったまま手元に置く | 現金・預金として申告する。裁判所の基準によっては管財事件になる |
| 使い道を決める前に | 受け取る前から弁護士と使い方を決めておく |
✅ このセクションのまとめ
破産の前に過払い金を取り戻した場合も、現金・預金として申告の対象になり、使い道を問われることもあります。一部の相手にだけ返すのは避け、使い方は弁護士と決めてください。
過払い金を取り戻した、または取り戻す予定で、使い道に迷っているという方は、使う前に弁護士などの専門家に相談してください。
過払い金のある会社に借金が残っている場合(相殺)

過払い金がある会社に、まだ借金が残っているんです。これはどうなるんですか。

引き直し計算をすると、残っている借金そのものが減ったり、なくなったりすることがあります。破産の手続きの中で、貸した側から相殺が主張されることもあります。
払い過ぎた利息は元本の返済に回したものとして計算し直されるので(法テラス:「利息制限法に違反して支払った利息は、順次元本に充当されます。」)、まず同じ会社の残高が減ります。そのうえで別の取引に過払い金が残る場合などに、相殺の問題が出てきます。
破産法67条1項は、「破産債権者は、破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで、相殺をすることができる。」と定めています。一方で71条1項は、破産手続開始の後に負担した債務などについて相殺を禁止しています。過払い金と借金をどう差し引くかは、取引の内容と時期で変わります。確認した裁判所・法テラス・法務省の資料には、まとめて説明したものは見当たりません。
✅ このセクションのまとめ
過払い金のある会社に借金が残っていても、引き直し計算で残高が減ることがあります。差し引きの扱いは取引ごとに違うので、取引履歴を取り寄せて弁護士に計算してもらうのが確実です。
過払い金のある会社に借金が残っていて、どう差し引かれるかわからないという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
個人再生では、過払い金はどう扱われる?

自己破産じゃなくて個人再生にした場合、過払い金はどうなりますか。

個人再生では、取り戻せる過払い金は「清算価値」に入ります。清算価値が大きくなると、返す額が増えることがあります。
個人再生では、返す額が、もし自己破産したら債権者に配当される額(清算価値)を下回ってはいけないとされています(民事再生法174条2項4号「再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき」は不認可)。
📄 千葉地方裁判所 小規模個人再生手続開始申立書(財産目録14)
「* 現存していなくとも、回収が可能な財産(未回収の過払金等)は、清算価値に計上されます。」
小規模個人再生の返す額は、清算価値と、借金の額に応じた最低限の額(民事再生法231条2項4号:住宅ローンなどを除いた借金〔基準債権〕の総額の5分の1または100万円のいずれか多い額。上限300万円など)を比べて決まります。過払い金がいくら取り戻せるかで、返す額が変わることがあるということです。
✅ このセクションのまとめ
個人再生では、取り戻せる過払い金も清算価値に入ります。返す額にどう響くかは、過払い金の額と借金の額で決まります。
個人再生を考えていて、過払い金で返す額が変わるか知りたいという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
過払い金の時効と、破産の後に気づいた場合

過払い金って、いつまででも請求できるんですか。

時効があります。完済してから時間がたっている会社ほど、早く確かめる必要があります。
法テラスは、「借主が過払金の返還を請求することができることを知った時から5年、または、借金の返済を終えた時(貸金業者との取引が終了した時)から10年を経過すると、時効によって消滅します。」と説明しています。この説明は令和2年(2020年)4月1日に施行された改正民法などに基づくもので、施行日より前に生じた債権の時効期間は、改正法の附則で「なお従前の例による。」とされています。自分の取引がどちらに当たるかは、取引履歴で確かめます。
破産の手続きが終わった後に過払い金に気づいた場合の扱いを、まとめて説明した公的な資料は、確認した範囲では見当たりません。破産法215条は、管財事件で配当をした後に新たな財産が見つかったときの「追加配当」を定めていますが、同時廃止で終わった事件にそのまま当てはまる規定ではありません。だからこそ、申し立てる前に過払い金の有無を確かめておくのが確実です。
✅ このセクションのまとめ
過払い金には時効があります。破産の後に気づいても扱いがはっきりしないので、申立ての前に確かめておくのがいちばん確実です。
完済した会社や昔の借入れがあって、時効が気になるという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
債務整理のデメリットと、それでも今動く理由

自己破産も過払い金請求も、デメリットはありますよね……。

先にお伝えしますね。デメリットはあります。そのうえで、確かめずに放っておくと、過払い金が時効で消えたり、払わなくてよかった返済を続けたりすることがあります。
| デメリット | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 自己破産では財産を失う | 「生活に必要な家財道具等の一定の財産以外は、失うことになる。(ただし、99万円以下の現金は手元に残せる。)」 | 法テラス |
| 管財事件では費用が増える | 「資産の額に応じて、裁判所に数十万円~数百万円の予納金を納める必要があります。」(全国向けの一般的な説明) | 法テラス |
| 過払い金を回収すると報酬がかかる | 法テラスの自己破産の費用でも「過払金を回収できた場合、報酬金が発生します。」 | 法テラス |
| 借入れ・カードが作りにくくなる(任意整理の例) | 「信用情報を取り扱う機関に登録されることにより、数年間は、借入れやクレジットカードの作成が難しくなる。」(任意整理) | 法テラス |
一方で、法テラスは「自己破産をしたからといって、選挙権がなくなる、戸籍や住民票に記載される、銀行の普通預金口座も使用できなくなる、ということはありません。」と書いています。
長く返してきた借金は、計算し直すと借金が大きく減っていることがあります。それを確かめないまま返し続けたり、自己破産を申し立てたりするのは、取り戻せるお金や軽く済む方法を見落とすことになります。取引履歴を取り寄せて計算するところから、専門家に任せるのが近道です。
✅ このセクションのまとめ
債務整理にはデメリットがありますが、過払い金を確かめないまま進めるほうが損をすることがあります。時効で消える前に、まず計算してもらいましょう。
長く返済を続けていて、払い過ぎがないか気になっているという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
今の状況ごとに、最短でやること
| 今の状況 | 最短でやること |
|---|---|
| 平成22年(2010年)より前から借りていて、今も返している | 取引履歴を取り寄せて引き直し計算。自己破産を決める前に相談する |
| すでに完済した会社がある | 時効に注意。完済から10年(請求できると知った時からは5年。2020年4月より前に生じた分は従前の例)がたつ前に確かめる |
| 自己破産を考えていて、過払い金があるかもしれない | 申立て前に過払い金の有無と額を確かめ、管財事件になるかを弁護士と見通す |
| 過払い金を取り戻した・取り戻す予定 | 一部の借入先や家族に返さない。使い道を弁護士と決める |
| 個人再生を考えている | 取り戻せる過払い金が清算価値に入る前提で、返す額を計算してもらう |
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
よくある質問
Q. 過払い金があると、自己破産はできませんか。
A. できます。過払い金があることを理由に自己破産ができない、という定めはありません。過払い金は財産として申告し、金額や裁判所の基準によっては管財事件になります。ただし千葉地裁は、計算し直すと「破産状態ではなくなっていることもあります」として、申立ての前に確かめるよう勧めています。
Q. 自己破産したら、過払い金は戻ってきませんか。
A. 管財事件になった場合、過払い金は破産財団の財産として破産管財人が管理し、債権者への配当に回るのが原則です(破産法34条1項・78条1項)。管財事件になるかは、金額と裁判所の基準しだいです。ただし、破産財団から外す財産の範囲を裁判所が広げる「自由財産の拡張」という仕組みもあります(34条4項)。どこまで認められるかは裁判所の判断です。
Q. 過払い金を隠して自己破産したらどうなりますか。
A. 財産の隠匿は免責不許可事由とされています(破産法252条1項1号)。法テラスも、裁判所に一部の財産を申告しないことを免責が認められない例に挙げています。過払い金は、あるかもしれない段階で弁護士に伝えてください。
Q. 同時廃止で破産したあとに過払い金に気づきました。どうなりますか。
A. 同時廃止の後に見つかった過払い金の扱いを、まとめて説明した公的な資料は、確認した範囲では見当たりません。時効もあるので、早めに破産を担当した弁護士か、別の専門家に相談してください。
Q. 過払い金の請求にも費用はかかりますか。
A. かかります。法テラスの自己破産・任意整理の費用の目安には、どちらも「過払金を回収できた場合、報酬金が発生します。」と書かれています。額は依頼先で違うので、相談のときに確認してください。
まとめ
自己破産・個人再生と過払い金について押さえておくことは、次のとおりです。
🔎 30秒でわかる結論
- 過払い金があっても自己破産はできる。過払い金は財産として申告する(松江・高知地裁の書式・千葉地裁のよくある質問)
- 長く返してきた人は、破産の前に引き直し計算。千葉地裁は「破産状態ではなくなっていることもあります」と説明している
- 管財事件になるかは裁判所ごとの基準。過払い金を20万円の判断に入れると明記しているのは水戸地裁(平成31年の基準)
- 回収した過払い金を一部の相手にだけ返さない(破産法252条1項3号・162条)。使い道は弁護士と決める
- 個人再生では、取り戻せる過払い金が清算価値に入る(千葉地裁の書式・民事再生法174条2項4号)
- 時効がある(知った時から5年・取引が終わった時から10年。改正前に生じた分は従前の例)
借入先の一覧と、いつから借りているかのメモを持って相談すれば、取引履歴の取り寄せから引き直し計算まで任せられ、自己破産・個人再生・任意整理のどれが合うかを決めやすくなります。時効で消える前に、まず相談してください。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov 破産法(平成十六年法律第七十五号)34条1項・4項・67条1項・71条1項・78条1項・162条1項・215条1項・216条1項・252条1項1号・3号・2項 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- e-Gov 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)174条2項4号・231条1項・2項4号 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- e-Gov 民法 166条1項・附則(平成二九年六月二日法律第四四号)10条4項 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- e-Gov 利息制限法 1条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100
- 法務省「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」(令和2年4月1日施行) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html
- 金融庁「貸金業法のキホン」(グレーゾーン金利の撤廃・平成22年6月18日) https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html
- 東京地方裁判所 民事第20部「よくある質問」(破産Q2・Q3) https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html
- 水戸地方裁判所「同廃・管財振り分けの運用について」(平成31年4月1日実施) https://www.courts.go.jp/mito/vc-files/mito/file/31.4.1hasankijyun.pdf
- 水戸地方裁判所 お知らせ(同廃・管財振り分けの運用) https://www.courts.go.jp/mito/about/osirase/douhaikanzai/index.html
- 千葉地方裁判所「破産・免責手続について-よくあるご質問・お問い合わせ-」(Q4・Q6・Q7・Q9・計算書) https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/file/setsumeisho.pdf
- 千葉地方裁判所 小規模個人再生手続開始申立書(令和6年3月1日版・財産目録10・14) https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/2024/minji/saisei/02_2_20240426.pdf
- 松江地方裁判所「破産手続のあらまし・申立書記入要領」(財産目録6 過払金・偏頗行為の注意) https://www.courts.go.jp/matsue/vc-files/matsue/2023/20240115_hasanzikensyosiki/1_hasantetudukinoaramashi_moushitateshokinyuuyouryou.pdf
- 高知地方裁判所 破産申立書の記載例(財産目録11 過払金) https://www.courts.go.jp/kouchi/vc-files/kouchi/file/hasan1-2_20190701.pdf
- 高知地方裁判所 破産手続の案内(財産の合計金額40万円) https://www.courts.go.jp/kouchi/vc-files/kouchi/file/1001hasan1-1.pdf
- 大阪地方裁判所 第6民事部(倒産部) https://www.courts.go.jp/osaka/saiban/minjibu6/index.html
- 法テラス よくある相談「過払金とは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-kabarai-001.html
- 法テラス よくある相談(利息制限法の上限金利) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-kabarai-002.html
- 法テラス よくある相談「過払金返還請求権の時効は何年ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-kabarai-005.html
- 法テラス よくある相談「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-002.html
- 法テラス よくある相談「自己破産の手続について教えてください。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-003.html
- 法テラス よくある相談「自己破産する場合、どの程度の費用がかかりますか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-006.html
- 法テラス よくある相談(免責が認められない場合) https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-011.html
- 法テラス よくある相談「任意整理のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-002.html
- 法テラス 自己破産事件 費用の目安 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/jikohasanhiyo.html
- 法テラス 任意整理事件 費用の目安 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/seirihiyou.html
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年10月時点)
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