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・「任意売却をすれば、住宅ローンの残りはなくなる」
・「任意売却の業者に任せれば、あとは何もしなくていい」
こんなふうに考えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、家を売っても住宅ローンを払い切れなければ、残ったローン(残債)の返済義務は残ります。住宅金融支援機構も、任意売却の案内で「破産免責となっている方を除き、お客さまの残債務の返済義務は残りますが、」と書いています(続けて、返済計画は生活状況等を踏まえて決めていく、としています)。カードやカードローンの借金も重なっているなら、家を売ったあとに、残債と他の借金がそのまま残ることになります。
とはいえ、何もしないまま競売に進むと、引渡しの時期を自分で調整しにくくなり、選べる手が減っていくのも事実です。
本記事では、任意売却と競売の違い、任意売却の流れと買い手がつかない場合、売った後に残ったローンの扱いと自己破産・個人再生との関係について紹介します。
すでに任意売却をすすめられている人はもちろんのこと、住宅ローンの滞納が続いて先が見えないという人も、売買の契約をする前にしっかりと確認しておきましょう。

住宅ローンの滞納が続いていて、任意売却をすすめられました。家を売れば、借金は終わりますか。

売ったお金でローンを払い切れなければ、残りの返済は続きます。任意売却は「家をできるだけ良い条件で売る方法」であって、借金そのものをなくす手続きではありません。

残ったローンに、カードの借金まで残ったら、とても払えません……。

そこで考えるのが、自己破産などの債務整理です。それに、家を残したい気持ちがあるなら、売る前に個人再生で残せないかを確かめる手もあります。家の売り方と借金の片付け方は、セットで考えてください。

業者さんに任せておけば、そこまで考えてくれますか。

そこまでは期待できません。不動産の仲介業者が扱うのは、家の売却です。残った借金をどう整理するかは、弁護士などの専門家に相談する話です。契約書にサインする前に、一度確認しておきましょう。
🔎 30秒でわかる結論
- ★任意売却は、競売によらずに、通常の不動産取引として家を売る方法。売却代金はローンの残りに充てられる(法テラス)。売るには、抵当権を持つ金融機関の同意(抵当権を外すことへの応諾)が必要
- ★売ってもローンを払い切れなければ、残債の返済義務は残る。住宅金融支援機構は、破産免責となっている人を除き返済義務は残るとし、連帯保証人も同じとしている
- ★残債と他の借金をまとめて片付けるなら、自己破産などの債務整理。免責許可の決定が確定すれば、残債も含めて支払う責任を免れる(破産法253条1項・税金など一部を除く。免責が認められるかは裁判所が判断)。ただし保証人への請求には影響しない(同条2項)
- ★家を残したいなら、売る前に個人再生の住宅ローン特則を確認する。売ってしまってからでは使えない
- ★買い手がつかないと競売に進むことがある。機構は「初回媒介契約締結日から6か月を経過しても購入希望者が現れない場合」などを挙げている
📖 この記事でわかること
- 任意売却とは?競売との違い
- 任意売却の流れと期間(住宅金融支援機構の場合)
- 売った後に残ったローン(残債)はどうなる?
- 残債と他の借金は、自己破産・個人再生・任意整理でどうなる?
- 任意売却をすると信用情報はどうなる?
- 任意売却のデメリットと、それでも今動く理由
- 何もしないとどうなるか(競売の流れ)
- 今の状況ごとに、最短でやること
任意売却とは?競売との違い

そもそも、任意売却と競売は何が違うんですか。

どちらも家を売ってローンの返済に充てる点は同じです。違うのは、裁判所の手続きで強制的に売られるか、ふつうの不動産取引として売るかです。
法テラスは、任意売却を次のように説明しています。
「自宅の任意売却とは、裁判所の競売手続によらずに、通常の不動産取引として住宅を売却する手続のことです。売却代金は、住宅ローンの残額に充てられますが、競売手続よりも高い金額での取引が期待できるため、抵当権者も応じてくれる場合があります。」
一方の競売について、裁判所は「債権者が、債務者が所有している不動産に抵当権などの担保権※を有しているときに、担保権を実行して当該不動産を売却して債権を回収する手続です。」と説明しています。
| 任意売却 | 競売(担保不動産競売) | |
|---|---|---|
| どう売るか | 通常の不動産取引として、仲介業者を通じて買い手を探す | 裁判所の手続きで売却される(第1回は期間入札が一般的) |
| 売れる値段 | 競売より高い金額での取引が期待できる(法テラス・機構)。必ず高く売れるわけではない | 裁判所が売却基準価額を定め、その10分の2を差し引いた額(買受可能価額)以上での入札で売られる |
| 引渡しの時期 | 機構は「ご自宅の引渡時期についての調整がしやすく」としている | 買受人が代金を納めた後、明渡しを求められる |
| 売るための条件 | 抵当権を持つ金融機関が、抵当権を外すことに応じること | 債権者(金融機関・保証会社)の申立てで進む |
※任意売却の欄は、法テラスと住宅金融支援機構の説明によります。機構以外の金融機関・保証会社の扱いは各社によります。
出典:裁判所「担保不動産競売」(2026年10月時点)
住宅金融支援機構は、任意売却をすすめる理由として、次の3つを挙げています。
「(1) 通常の不動産取引として売買されるため、一般的に競売より高値で売却できることが期待され、お客さまの負債の縮減につながります。」
「(2) このパンフレットに定める手続にご協力いただける場合、お客さまの状況により売却代金から不動産仲介手数料、抹消登記費用等を控除してお渡しできる場合があり、また、お客さまの残債務の状況等により延滞損害金減額のご相談に応じられる場合があります。」
「(3) 裁判所による手続である競売と比べると、ご自宅の引渡時期についての調整がしやすく、ご自宅退去後の生活設計が立てやすくなります。」
💡 ここ、勘違いされがち
(1)は「期待され」、(2)は「場合があります」という書き方で、(3)も競売と比べた一般的な見通しです。任意売却なら必ず高く売れる、費用が必ず差し引かれる、という意味ではありません。また、これは機構の融資の場合の説明で、銀行など他の金融機関や保証会社がどう扱うかは、それぞれに確認が必要です。
✅ このセクションのまとめ
任意売却は「競売より良い条件で売れる可能性がある売り方」。ただし、金融機関が抵当権を外すことに応じなければ成り立たず、売ったお金でローンを払い切れなければ借金は残ります。
任意売却を検討している、またはすすめられているという方は、売買の契約の前に、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
任意売却の流れと期間(住宅金融支援機構の場合)

任意売却は、どうやって進むんですか。どのくらいかかりますか。

機構が債権回収会社に業務を委託する場合、申出書を出してから委託まで通常3か月程度、買い手が見つかってから抵当権を外せるかの通知まで2週間程度とされています。手順も公表されているので見てみましょう。家を売る値段は、自分と業者だけでは決められないのがポイントです。
| 順番 | やること |
|---|---|
| ① | 原則として自分で仲介業者を選び、機構に「任意売却に関する申出書」を出す |
| ② | 物件の調査・価格の査定 |
| ③ | 機構(または委託先の債権回収会社)が売出価格を確認する |
| ④ | 仲介業者と媒介契約を結び、販売活動をする |
| ⑤ | 買い手が見つかったら、機構が抵当権を外すことに応じられるかを審査(通知まで2週間程度) |
| ⑥ | 売買契約→代金の決済・抵当権の抹消 |
※①の「原則として」と⑤の「2週間程度」は、住宅金融支援機構「任意売却パンフレット」(令和8年4月)によります。
出典:住宅金融支援機構「融資住宅等の任意売却」(2026年10月時点)
機構は、仲介業者について「任意売却の手続に入る前に、お客さま自らが仲介業者を選定し、当方へ「任意売却に関する申出書」をご提出いただきます。」としています。さらに「なお、当方が確認していない価格での売出により購入希望者を見つけていただいても、抵当権抹消に応じることができない場合がありますのでご注意願います。」とも書いています。
期間については、パンフレットに「「任意売却に関する申出書」の提出後、債権回収会社への委託までに通常3か月程度を要します。」(機構が債権回収会社に業務を委託する場合)、買い手が見つかった後は「抵当権抹消の可否についての通知までには、2週間程度の期間をいただきます。」とあります。
買い手がつかないとき・任意売却ができないとき
任意売却は、いつまでも続けられるわけではありません。機構のパンフレットは、次のいずれかにあたる場合、「任意売却を断念し競売手続に着手し、又はお客さまに仲介業者の変更を促す等の対応を取らせていただく場合があります。」としています(一部を抜粋)。
| 機構が挙げる場合(抜粋) |
|---|
| ア 必要書類を速やかにご提出いただけない場合 |
| ウ 初回媒介契約締結日から6か月を経過しても購入希望者が現れない場合 |
| エ 当方において売却予定価格及び控除費用の額を審査した結果、抵当権抹消に応じることができないと判断した場合 |
| カ その他、任意売却を行うことが困難又は不適当と当方が判断した場合 |
※機構の運用基準です。法律で決まった期限ではなく、他の金融機関・保証会社の基準は各社によります。
出典:住宅金融支援機構「任意売却パンフレット」(2026年10月時点)
💡 契約してからでは戻れないことがある
国民生活センターは、自宅の売却について「消費者が所有する自宅を不動産業者に売却した場合、クーリング・オフはできません。」と注意を呼びかけています(高齢者の自宅売却トラブルの注意喚起)。また「よくわからないことや納得できないことがあったら、解決するまで契約はしない」とも書いています。任意売却で買い手が業者の場合も、契約の前に、残る借金の片付け方まで確認しておくのが安全です。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
売った後に残ったローン(残債)はどうなる?

家を売っても足りなかった分は、どうなるんですか。

返済義務は残ります。ただ機構は、返済計画を「お客さまとともに」決めていくと書いています。機構の書き方を、そのまま見てみましょう。
住宅金融支援機構のパンフレットは、残債について次のように書いています。
「任意売却による返済金が債権額に満たない場合、破産免責となっている方を除き、お客さまの残債務の返済義務は残りますが、任意売却後の返済計画は、お客さまの生活状況等を踏まえてお客さまとともに返済可能な金額を決定していきます。」
連帯保証人についても、「任意売却後に債務が残る場合、債務者及び連帯保証人(いずれも破産免責となっている方を除きます。)は、その残債務についての返済義務は残りますが、」と書かれています。家を売っても、連帯保証人への請求がなくなるわけではありません。
| よくある思い込み | 機構の説明 |
|---|---|
| 家を売れば、ローンは終わる | 売却代金で足りなければ、残債の返済義務は残る(破産免責となっている人を除く) |
| 残りは一括で払えと言われる | 機構は、任意売却後の返済計画を「生活状況等を踏まえて」「返済可能な金額を決定」していくとしている(個別の返済額は機構と協議) |
| 連帯保証人は関係ない | 連帯保証人にも、残債の返済義務は残る(破産免責となっている人を除く) |
| 延滞損害金は全部払うしかない | 残債務の状況等により「延滞損害金減額のご相談に応じられる場合があります」 |
※いずれも住宅金融支援機構の融資の場合の説明です。月々いくらになるかの基準は公表されていません。他の金融機関・保証会社の扱いは各社によります。
出典:住宅金融支援機構「任意売却パンフレット」(2026年10月時点)
残債の月々の額について、機構のパンフレットには具体的な金額の基準は書かれていません。カードやカードローンの返済も続いている人は、残債の返済が上乗せされると家計が回らなくなりやすいので、売る前に、借金全体をどう片付けるかを決めておくことが大切です。
家を売ったあとに残るローンを払っていける見通しが立たないという方は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
残債と他の借金は、自己破産・個人再生・任意整理でどうなる?

残ったローンと、カードの借金。どうやって片付ければいいんでしょう。

家を手放すのか、残したいのかで、選ぶ手続きが変わります。3つの手続きと家・残債の関係を、法律の書き方で確認しましょう。
自己破産:残債も含めて、支払う責任を免れる道
破産法253条1項は、「免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。」と定めています(税金など、ただし書に挙げられたものを除きます)。免責が認められれば、任意売却の後に残った住宅ローンも、カードやカードローンの借金も、まとめて対象になります(免責が認められるかは裁判所が判断します)。機構のパンフレットが「破産免責となっている方を除き」と書いているのは、このためです。
ただし同条2項は、「免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。」としています。連帯保証人がいる場合、本人が免責されても、保証人への請求は残ります。
家に抵当権がついている場合、抵当権を持つ金融機関は、破産の手続きとは別に権利を使えます(破産法65条1項「別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。」)。同条2項は「破産管財人による任意売却」にも触れており、機構のパンフレットも、売却代金から差し引くことを承諾できる費用として「不動産仲介手数料、抹消登記費用、破産財団組入金などがあります。」と書いています。つまり、任意売却は、自己破産の手続きの中で行われることもあります。自分で先に売るのか、破産の手続きの中で売るのかは事案によるので、売買の契約をする前に弁護士に相談してください。
個人再生:家を残したいなら、売る前に検討
個人再生には、住宅ローンを払い続けながら他の借金を減らす「住宅ローン特則」があります。ただし、家を売ってしまった後では、家を残すための特則は使えません。保証会社がローンを代わりに全部払った後でも、その日から6か月以内に申し立てれば特則を定められる場合がある(民事再生法198条2項)ので、「もう売るしかない」と決める前に、残せる道がないかを確かめてください。
なお、個人再生でも抵当権は手続きの外で使える(民事再生法53条2項「別除権は、再生手続によらないで、行使することができる。」)ため、特則を使わない場合は、家を競売や任意売却で手放すことになる可能性が高くなります。その場合、売っても払い切れなかったローンの残りは、他の借金と同じく再生債権(個人再生で減額の対象になる借金)として扱われます(申立て前に売って残った分は民事再生法84条1項、手続きの開始後に抵当権が実行されて足りなかった分は88条)。
任意整理:住宅ローンも対象にできるが、合意が要る
法テラスは「住宅ローンについても、任意整理することができますか。」という問いに、「できます。ただし、任意整理の性質上相手方と合意する必要があります。したがって、延滞が長期にわたるときには、任意整理が困難になる場合もあります。」と答えています。滞納が長引いて任意売却の話が出ている段階では、任意整理で住宅ローンを立て直すのは難しくなっている場合もあります。早めに弁護士へ相談してください。
| 手続き | 家 | 任意売却の後の残債 | 他の借金 |
|---|---|---|---|
| 自己破産 | 手放す(任意売却・競売で売られる) | 免責が確定すれば支払う責任を免れる(253条1項) | 同じく対象(税金などを除く) |
| 個人再生(住宅ローン特則あり) | 残せる可能性がある(売る前に検討) | —(売らない前提) | 減額の対象(住宅ローン自体は減らない) |
| 個人再生(特則なし) | 手放すことになる可能性が高い | 売っても払い切れなかった部分は再生債権として扱われる(84条1項・88条) | 減額の対象 |
| 任意整理 | 住宅ローンも対象にできるが相手方との合意が必要 | 相手方との合意しだい | 合意した相手の分を分割で払う |
※自己破産(破産法253条2項)・個人再生(民事再生法177条2項)では、連帯保証人への請求は残ります。任意整理は合意の内容しだいです。どれが使えるかは収入・財産・借金の内容によります。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
任意売却をすると信用情報はどうなる?

任意売却をしたら、ブラックリストに載りますか。

任意売却そのものより前に、滞納の段階ですでに記録されていることが多いです。CICの説明で確認しましょう。
CICは、「異動」にあたるものとして「返済日より61日以上または3ヵ月以上の支払遅延(延滞)があるものまたはあったもの」「返済ができなくなり保証契約における保証履行が行われたもの」「裁判所が破産を宣告したもの(破産手続開始の決定がされたもの)」を挙げています。借入先がCICに情報を登録している場合、任意売却の話が出るころには、延滞や、保証会社による代わりの支払い(保証履行)で、すでに異動が記録されていることが多いのです。
クレジット情報の保有期間について、CICは「契約期間中および契約終了後5年間」としています。なお、CICの資料には「任意売却」という項目そのものはありません。どの信用情報機関に登録されるかは借入先によるので、気になるときは開示請求で確認できます。
✅ このセクションのまとめ
「任意売却をするとブラックになる」というより、任意売却に至るまでの延滞や保証履行で記録されている、と考えるのが実態に近いです。記録を気にして動かずにいると、競売に進んで選べる手が減ります。
信用情報への記録が気になって動けずにいるという方は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
任意売却のデメリットと、それでも今動く理由
任意売却には、先に知っておくべき弱点があります。
任意売却で期待できること(機構の説明)
- 競売より高値で売れることが期待できる
- 仲介手数料・抹消登記費用などを売却代金から差し引ける場合がある
- 延滞損害金の減額の相談に応じられる場合がある
- 引渡しの時期を調整しやすく、退去後の生活設計が立てやすい
任意売却の弱点
- 家は手放すことになる
- 売ったお金で足りなければ、残債の返済義務は残る(連帯保証人も)
- 金融機関が抵当権を外すことに応じなければ売れない
- 買い手がつかないと、競売に進むことがある
- 業者に自宅を売る契約は、クーリング・オフできない
家を手放すことや、買い手がつかない可能性は、任意売却を選ぶ以上なくせません。でも、残債や他の借金に関わる弱点は、売る前に借金全体の片付け方(自己破産で残債も含めて整理するのか、個人再生で家を残すのか)を決めておくことで備えられます。
家を売るかどうかを決める前、つまり今が、一番多くの選択肢を比べられる時期です。競売の手続きが進むほど、任意売却の時間も、家を残す道も細っていきます。
家を売るかどうか迷って決められずにいるという方は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
何もしないとどうなるか(競売の流れ)
任意売却もせず、相談もしないまま滞納が続くと、抵当権を持つ金融機関や保証会社が、裁判所に担保不動産競売を申し立てることがあります。裁判所が公表している流れは、次のとおりです。
| 段階 | 裁判所の説明(要約・抜粋) |
|---|---|
| 開始決定・差押え | 裁判所が競売を始め、不動産を差し押さえることを宣言する |
| 売却の準備 | 評価人の評価に基づいて売却基準価額を定める。入札は「売却基準価額から、その10分の2に相当する額を差し引いた価額(買受可能価額)以上の金額でしなければなりません」 |
| 売却の実施 | 「第1回目の売却方法としては、定められた期間内に入札をする期間入札を行うことが一般的です。」 |
| 明渡し | 権利のない人が住んでいる場合、買受人は明渡しを求めることができ、応じないときは代金を納付してから6か月以内(抵当権者に対抗できない賃貸借で住んでいる人がいる場合は9か月)であれば、裁判所に申し立てて、明渡しを命じる引渡命令を出してもらうことができる |
| 配当 | 「裁判所が、差押債権者や配当の要求をした他の債権者に対し、法律上の順位に従って売却代金を分配する手続です。」 |
申立てから売却までの期間は、裁判所のページに一律の数字はありません。
出典:裁判所「担保不動産競売」(2026年10月時点)
競売は、売却代金を債権者に分配(配当)する手続きです。配当で足りなければ、残りのローンの返済義務は残ります。競売に任せても、残債の問題は消えません。家の売り方と借金の片付け方を一緒に決めるために、競売の通知が届く前に動いてください。
競売の通知が届いている、または届きそうな方は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
今の状況ごとに、最短でやること
| 今の状況 | 最短でやること |
|---|---|
| 滞納が続いているが、まだ任意売却の話は出ていない | 家を残したいなら、個人再生の住宅ローン特則が使えないかを先に相談。借入先にも返済方法の変更を相談 |
| 任意売却をすすめられている | 売買の契約の前に、残債と他の借金の片付け方(自己破産・個人再生)を弁護士に相談 |
| 保証会社から代位弁済の通知が来た | 保証会社が全額を代わりに払った日(代位弁済の日)を確認。家を残すなら、その日から6か月以内に個人再生を申し立てる必要がある(ほかの要件もある) |
| 競売の開始決定が届いた | 任意売却の時間が残っているか、自己破産・個人再生のどれが合うかを至急相談 |
| 任意売却が終わり、残債の請求が来ている | 残債と他の借金の合計で、払っていけるかを確認。難しければ自己破産などの債務整理を相談 |
家を手放すことになりそうで、誰にも相談できずにいるという方は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
よくある質問
Q. 任意売却とは何ですか。
A. 法テラスは「裁判所の競売手続によらずに、通常の不動産取引として住宅を売却する手続」と説明しています。売却代金は住宅ローンの残りに充てられます。抵当権を持つ金融機関が抵当権を外すことに応じる必要があります。
Q. 任意売却をすれば、住宅ローンの残りはなくなりますか。
A. 売却代金で払い切れなければ、残りの返済義務は残ります。住宅金融支援機構は、破産免責となっている人を除き、本人と連帯保証人の返済義務は残るとしています。残債と他の借金をまとめて片付けるなら、自己破産などの債務整理を検討することになります。
Q. 任意売却の後に自己破産はできますか。
A. できます。任意売却の後に残ったローンも、自己破産の対象になります(免責許可の決定が確定すれば、税金などを除き支払う責任を免れる=破産法253条1項。免責が認められるかは裁判所が判断します)。任意売却を自己破産の手続きの中で行うこともあるため、どちらを先にするかは、売買の契約の前に弁護士に相談してください。保証人への請求は残ります(同条2項)。
Q. 任意売却で買い手がつかないと、どうなりますか。
A. 住宅金融支援機構は、初回の媒介契約から6か月たっても購入希望者が現れない場合などに、任意売却をあきらめて競売の手続きに入ったり、仲介業者の変更を促したりすることがあるとしています。これは機構の運用基準で、他の金融機関の扱いは各社によります。
Q. 任意売却をすると、信用情報(ブラックリスト)に載りますか。
A. 任意売却だけで載るわけではありません。CICの資料に「任意売却」という項目はありません。ただ、61日以上または3か月以上の延滞や、保証会社による代わりの支払い(保証履行)は「異動」として記録されるため、任意売却の話が出る段階ではすでに記録されていることが多いです。
Q. 離婚することになり、住宅ローンが残っている家を売りたいです。
A. 離婚で家を売る場合も、売却代金でローンを払い切れなければ、残りの返済は続きます。機構は、残債の返済義務は連帯保証人にも残るとしています。ローンの契約の形(単独で借りたのか、夫婦の一方が連帯保証人になっているのか など)と、残債をどう払っていくかを、売る前に確認しておきましょう。
Q. 家を残す方法はもうありませんか。
A. まだ残せる場合があります。他の借金も重なっているなら、個人再生の住宅ローン特則で家を残しながら他の借金を減らせる場合があります。保証会社が代わりに全部払った後でも、その日から6か月以内に申し立てれば特則を定められる場合があります(民事再生法198条2項)。売ってしまってからでは使えないので、先に相談してください。
まとめ
任意売却を考え始めたときに押さえておくことは、次のとおりです。
🔎 30秒でわかる結論
- 任意売却は、競売によらず通常の不動産取引として家を売る方法。抵当権を持つ金融機関の同意が必要
- 競売より高く売れることが期待できる(必ずではない)。引渡しの時期も調整しやすい(機構)
- 売ったお金で払い切れなければ、残債の返済義務は残る(破産免責となっている人を除く。連帯保証人も)
- 残債と他の借金をまとめて片付けるなら自己破産(免責が認められれば支払う責任を免れる・保証人への請求は残る)
- 家を残したいなら、売る前に個人再生の住宅ローン特則を確認する
- 買い手がつかないと競売に進むことがある。業者に自宅を売る契約はクーリング・オフできない
ローンの残高が分かる書類と、他の借入の一覧を持って相談すれば、家を売った後に何が残り、どの手続きが合うかを見立てやすくなります。売買の契約をする前に、まず確かめてください。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- 住宅金融支援機構「融資住宅等の任意売却」(手続の流れ・仲介業者の選定・売出価格の確認) https://www.jhf.go.jp/hensai/baikyaku.html
- 住宅金融支援機構「任意売却パンフレット」令和8年4月(任意売却をお勧めする理由・残債務の返済義務・競売に着手する場合・控除できる費用) https://www.jhf.go.jp/files/topics/5253_ext_99_0.pdf
- 法テラス よくある相談「住宅ローンの支払が困難です。自宅の任意売却という方法はどのようなものですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-sonota-011.html
- 法テラス よくある相談「住宅ローンについても、任意整理することができますか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-007.html
- 裁判所「担保不動産競売」(売却基準価額・買受可能価額・期間入札・引渡命令・配当) https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_03/index.html
- e-Gov 破産法(平成十六年法律第七十五号)65条1項・2項(別除権)・253条1項・2項(免責許可の決定の効力等) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- e-Gov 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)53条2項(別除権)・84条1項(再生債権となる請求権)・88条(別除権者の手続参加)・177条2項(再生計画の効力範囲)・198条2項(保証会社が保証債務を履行した場合) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- CIC「開示報告書の項目説明」(異動=61日以上または3ヵ月以上の支払遅延・保証履行・破産) https://www.cic.co.jp/mydata/report/documents/kaijishosai.pdf
- CIC「CICが保有する信用情報」(保有期間=契約期間中および契約終了後5年間) https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
- 国民生活センター「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」(2021年6月24日公表・クーリング・オフはできません) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210624_1.html
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年10月時点)
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