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・「自己破産したら、分割で買ったスマホを取り上げられる」
・「電話番号が使えなくなったら、仕事も家族との連絡もできなくなる」
こんな不安から、自己破産に踏み切れずにいる人も多いのではないでしょうか?
しかし、ドコモ・au・ソフトバンクの約款は、いずれも端末の所有権は引渡しのときに購入者に移ると定めています。完済するまで携帯会社が端末の所有権を持つ、という条項は見当たりません。分割中だから端末はまだ携帯会社のもの、というわけではありません。
とはいえ、自己破産を申し立てると端末代の残りは一括払いの扱いになり、会社によっては契約を解除できる定めや、回線の契約に響く定めがあるのも事実です。
本記事では、自己破産・個人再生・任意整理で、分割中の端末と回線がどうなるか、端末代を払い続けてはいけない理由、破産後の新しい契約について紹介します。
スマホを分割で買っている人はもちろんのこと、「スマホが使えなくなるのが怖い」と債務整理をためらっている人も、自己判断で端末代だけ払い続ける前にしっかりと確認しておきましょう。

スマホをまだ分割で払っています。自己破産したら、スマホを返さないといけないんですか。

返すよう明記した条項は、大手3社の約款に見当たりません。3社とも、端末の所有権は受け取ったときに購入者に移ると定めています。ただし、ドコモとソフトバンクには、申立てなどを理由に会社が分割払いの契約を解除できる定めもあるので、「絶対に返さなくていい」とまでは言えません。ただ、端末代の残りがどうなるか、回線が使えるかは別の問題なので、分けて考えましょう。

端末代の残りだけでも払い続ければ、スマホも電話番号もそのまま使えますよね。

そうとは言い切れません。自己破産では、端末代だけを払い続けないのが原則です。返せなくなった後に特定の借入先にだけ返すと、あとから取り消されたり、免責の判断で問題になったりすることがあります。そのかわり、回線や端末をどうするかは、申し立てる前に弁護士と準備できます。順番に説明しますね。
🔎 30秒でわかる結論
- ★ドコモ・au・ソフトバンクの約款は、いずれも端末の所有権は引渡しのときに購入者に移ると定めている。完済まで会社が所有権を持つ条項は見当たらない。ただし、ドコモ・ソフトバンクには、申立てなどを理由に会社が分割払いの契約を解除できる定めもある
- ★端末代の残りは、破産・民事再生の申立てや、支払いの停止で一括払いの扱いになる(3社の約款の期限の利益の条項)。回線を解約しても、端末代の支払義務は残る
- ★自己破産では、端末代も債権者一覧表に載せ、支払いを止める(札幌地裁)。端末代だけ払い続けるのは「偏った弁済」になりうる(新潟地裁)
- ★回線の扱いは会社で違う。au(5G)の約款は、破産の申立てなどを知ったときに回線契約を解除することがあると定めている。auの分割払いの約款には、回線の利用を「一時休止した場合であっても」端末代の支払いを怠ったときは回線契約を解除するという定めもある。ドコモ・ソフトバンクの5G約款に、破産を理由とする解除の条項は見当たらない。3社とも、代金が払われていない端末の通信を制限することがある
- ★契約解除後に料金不払いのある人の情報交換(電気通信事業者協会=TCA)には、「自己破産等により免責が決定している方」は含まれない(TCAの注記は免責が決定している方を除くとしているので、決定前は対象になりうる)
📖 この記事でわかること
- 分割中のスマホは、返さないといけない?
- 端末代の残りは、どうなる?
- 回線(電話番号)は使い続けられる?
- 個人再生・任意整理なら、どうなる?
- 自己破産した後、スマホの新しい契約はできる?
- 債務整理のデメリットと、それでも今動く理由
- 今の状況ごとに、最短でやること
分割中のスマホは、返さないといけない?

分割が残っているスマホは、まだ携帯会社のものなんじゃないですか。

大手3社の約款では、受け取った時点で自分のものになっています。車のローンのように、完済まで会社が所有権を持つ条項は見当たりません。
3社の分割払いの約款は、端末の所有権について次のように定めています。
| 会社 | 分割払いの契約 | 所有権の定め(原文) |
|---|---|---|
| ドコモ | 割賦販売契約(ドコモが売主) | 「指定商品の現実の引渡しが完了したときに指定商品の所有権が当社から契約者に移転するものとします。」(割賦販売契約約款6条。個別信用購入あっせん契約約款6条も同じ趣旨で、販売店から契約者に移転) |
| au | 個別信用購入あっせん契約(KDDIが販売店に立替払い) | 「商品の現実の引渡しが完了したときに商品の所有権が販売店から購入者に移転するものとします。」(個別信用購入あっせん契約約款5条) |
| ソフトバンク | 割賦購入契約(個品割賦購入約款) | 「商品は、本契約成立後、直ちに購入者に引渡され、引渡し時に所有権が移転するものとします。」(個品割賦購入約款2条) |
※各社の約款(2026年10月時点で確認)。約款は改定されることがあります。
つまり、分割が残っていても、端末そのものは購入した人の持ち物です。3社の約款に、破産したときに端末を返すよう明記した条項は見当たらず、裁判所の公開資料にも、分割中の端末を返すよう求める記載は見つかりませんでした。
💡 「返さなくていい」と「必ず残る」は別の話
ただし、ドコモとソフトバンクの約款には、期限の利益を失う事由(破産の申立てなど)にあたったときに、会社が分割払いの契約を解除できる定めがあります(ドコモ割賦販売契約約款11条3項・ソフトバンク個品割賦購入約款8条)。売買の契約が解除されれば、端末の返還が問題になることもありえます。また、自己破産では、手続開始のときに持っている財産は原則として破産財団となり、管財人が管理してお金に換えます(破産法34条1項。差押えが禁止された財産などは除く)。「絶対に手元に残る」とまでは言い切れません。端末の機種と残りの額を、申立ての前に弁護士に伝えておきましょう。
✅ このセクションのまとめ
ドコモ・au・ソフトバンクの約款は、端末の所有権は引渡しのときに購入者に移ると定めています。返すよう明記した条項は見当たりませんが、ドコモ・ソフトバンクには会社が契約を解除できる定めもあり、財産の扱いは事案によります。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
端末代の残りは、どうなる?

端末代の残りは、自己破産したらどうなるんですか。

ほかの借金と同じく、債権者一覧表に載せて支払いを止めます。3社の約款では、破産の申立てをすると残りは一括払いの扱いになりますが、免責が許可されれば、支払う責任を免れます。
3社の約款は、期限の利益(分割で払ってよいという約束)を失う事由として、「破産、民事再生、特別清算、会社更生その他裁判上の倒産処理手続の申立てを受けたとき又は自らこれらの申立てをしたとき。」を挙げています(ドコモ割賦販売契約約款11条1項4号・au個別信用購入あっせん契約約款10条1項4号。ソフトバンク個品割賦購入約款6条も同じ趣旨で、表記は「申し立て」)。申立てをすると、当然に残額を一括で払う扱いになるということです。3社とも、「一般の支払いを停止したとき」も同じく期限の利益を失う事由にしているので、弁護士に依頼して支払いを止めた時点で一括の扱いになることもあります。
また、3社とも、回線を解約しても端末代の支払義務は残ると定めています(ドコモ割賦販売契約約款8条・au個別信用購入あっせん契約約款7条1項・ソフトバンク個品割賦購入約款3条)。auの重要事項の書面は「au/UQ mobile通信サービスを解約などされた場合でも、全額完済するまで分割支払金のお支払いは必要です。」と案内しています。
自己破産の申立書をどう書くかについて、札幌地裁の「破産・免責申立書の書き方と留意事項」は次のように説明しています。
📄 札幌地裁「破産・免責申立書の書き方と留意事項」(8 家計表 (2)各論⑨)
「携帯電話代は、利用明細書を確認して記載してください。利用明細書に携帯電話機種代金の分割支払がある場合には、その支払を止めるとともに、その代金債務について債権者一覧表に記載してください。また、キャリア決済(d払い、まとめて支払など)については、信用取引となるため、破産・免責申立てに対する決定があるまで使用しないでください。」
端末代だけを払い続けて、ほかの借入先には払わないのは、特定の債権者にだけ返す「偏った弁済」になりえます。支払不能になった後(または破産の申立て後)の返済は、借入先がそのことを知っていた場合などに、破産手続が始まった後で取り消される(否認される)ことがあります(破産法162条1項1号)。新潟地裁の説明書も「申立直前に特定の債権者に全額支払うなど,偏った弁済を行うと免責不許可になることがあります。」と注意しています。
| やってはいけないこと | 根拠 |
|---|---|
| 端末代だけを払い続けて、ほかの借入先には払わない | 破産法162条1項1号(特定の債権者に対する担保の供与等の否認)。一括返済など義務に属しない返済を、特定の債権者に特別の利益を与える目的などでした場合は252条1項3号(免責不許可事由) |
| 端末代の分割を債権者一覧表に載せない | 破産法252条1項7号(虚偽の債権者名簿) |
| 申立て前後にキャリア決済で買い物を続ける | 札幌地裁「信用取引となるため、破産・免責申立てに対する決定があるまで使用しないでください。」 |
出典:e-Gov 破産法・札幌地裁(2026年10月時点)
✅ このセクションのまとめ
端末代の残りは、破産・民事再生の申立てや支払いの停止で一括払いの扱いになります。自己破産では債権者一覧表に載せて支払いを止め、端末代だけを払い続けないのが原則です。
スマホの端末代を分割で払っていて自己破産を考えているという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
回線(電話番号)は使い続けられる?

端末代を止めたら、電話番号も使えなくなりますか。仕事で使っているので困ります。

会社によって違います。au(5G)の約款は、破産の申立てなどを知ったときに回線契約を解除することがあると定めています。auは、回線を一時休止している場合も含めて、端末代の支払いを怠ったときの回線契約の解除も定めています。ドコモとソフトバンクの5G約款には、破産を理由に解除する条項は見当たりません。ただ、3社とも、代金が払われていない端末の通信を制限することがあるので、端末の用意は先に考えておく必要があります。
| 会社 | 端末代の不払い・破産と回線の関係(約款の定め) |
|---|---|
| au | au(5G)通信サービス契約約款17条3項は、破産法の適用の申立てなどを「知ったときは、直ちにその一般5G契約を解除することがあります。」。個別信用購入あっせん契約約款7条2項は、回線の利用を一時休止した場合でも端末代の支払いを怠ったときは回線契約を解除すると定める(あらかじめ通知) |
| ドコモ | 5G約款の利用停止の事由は、通信の料金その他の債務の不払いなど。端末の分割払いの不払いは事由として書かれていない。破産を理由とする解除の条項は見当たらない |
| ソフトバンク | 5G通信サービス契約約款の利用停止の事由は、通信の料金その他の債務の不払いなど。「割賦」「端末代金」の語は利用停止の条項にない。破産を理由とする解除の条項は見当たらない |
| 3社共通 | 代金が払われていない端末を登録して、その端末の通信を制限する措置をとることがある(ドコモ5G約款41条6項1号・au5G約款53条・ソフトバンク5G約款34条2項1号) |
※各社の約款(2026年10月時点で確認)。auの17条3項は5G契約の約款の定めで、4Gなど5G以外の契約は別の約款です。実際の扱いは各社の判断によります。
ここで分けて考えたいのは、回線(電話番号の契約)と端末(スマホ本体)です。回線が残っても、代金が払われていない端末は通信を制限されることがあります。逆に、端末が使えなくなっても、別の端末にSIMを差し替えれば回線を使える場合があります。
仕事や家族との連絡でスマホが欠かせない人ほど、申し立てる前に「どの会社の回線か」「端末代がいくら残っているか」を弁護士に伝えて、端末と回線の準備の順番を決めておくことが大切です。利用明細を見れば、端末代の残りと月々の通信料の内訳がわかります。
💡 通信料と端末代は別の項目
月々の通信料(回線の料金)と、端末代(分割払い)は、明細の中で別の項目です。ドコモ・ソフトバンクの約款では、回線の利用停止の事由に、通信の料金などの不払いが含まれます。どちらをどう扱うかで回線への影響が変わるので、明細を持って相談し、自己判断で支払いを止めたり、端末代だけ払い続けたりしないようにしましょう。
✅ このセクションのまとめ
回線への影響は会社で違います。au(5G)の約款は破産の申立てなどを知ったときに解除することがあると定めていますが、ドコモ・ソフトバンクの5G約款に破産を理由とする解除の条項は見当たりません。3社とも、代金が払われていない端末の通信を制限することがあります。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
個人再生・任意整理なら、どうなる?

自己破産じゃなくて、個人再生や任意整理なら、スマホの分割は払い続けられますか。

個人再生では、端末代だけを今までどおり払い続けることは原則できず、ほかの借金と同じく再生計画に従って払う扱いになります。任意整理は裁判所を使わない話し合いなので、端末代を対象から外して払い続けられるかも含めて、依頼先と決めて進めます。
個人再生では、民事再生法85条1項が「再生債権については、再生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。」と定めています。端末代の残りも、原則として再生計画に従って払う借金になります。3社の約款では、民事再生の申立ても期限の利益を失う事由です。
任意整理について、法テラスは「裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続です。」と説明しています。裁判所の手続きではないので、端末代の分割を話し合いの対象に含めるかどうかは、依頼する弁護士と相談して決めます。ただし、法テラスは任意整理について「債権者の了解と支払原資が必要になる。」とも説明しています。
| 自己破産 | 個人再生 | 任意整理 | |
|---|---|---|---|
| 端末代の残り | 債権者一覧表に載せて支払いを止める(札幌地裁)。免責されれば支払う責任を免れる | 原則、再生計画に従って払う(民事再生法85条1項) | 対象に含めるかを依頼先と決める |
| 期限の利益(3社の約款) | 申立てや支払いの停止で失う=残額一括の扱い | 申立てや支払いの停止で失う=残額一括の扱い | 支払いを止めれば「支払いを停止したとき」にあたりうる |
| 回線 | 会社の約款しだい(auは破産の申立てで解除することがある定めあり) | 会社の約款しだい | 端末代を対象にするかどうかで変わる。依頼先と確認 |
✅ このセクションのまとめ
個人再生では、端末代も原則として再生計画に従って払う借金になります。任意整理は裁判所を使わない話し合いなので、端末代を対象に含めるかを依頼先と決めて進めます。
スマホを残したまま借金を整理したいという方は、自分にどの手続きが合うかを、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
自己破産した後、スマホの新しい契約はできる?

自己破産したあと、スマホの新しい契約はできますか。

破産したこと自体を契約を断る理由と定めた条項は、3社の5G約款に見当たりません。ただし、料金などの支払いを現に怠っている、または怠るおそれがあるときは断られることがあり、auでは過去に契約を解除されたことがある場合も断られることがあります。また、端末を分割で買うときは信用情報を確認されるので、しばらくは端末を一括で用意するのが現実的です。
CICは、「皆さまがクレジットカードを契約したり、スマートフォンを分割払いで購入するとき、カード会社や携帯電話会社は、皆さまの信用情報を確認しています。」と説明しています。CICが保有するお支払状況の情報には「異動(延滞・保証履行・破産)の有無」があり、クレジットの情報の保有期間は「契約期間中および契約終了後5年間」です。
通信料金の不払いの情報は、別の仕組みで交換されています。電気通信事業者協会(TCA)は、契約解除後に料金不払いのある人の情報を携帯電話会社の間で交換し、加入審査に使っています(交換期間は契約解除後5年以内)。ただし、TCAは対象について次のように注記しています。
📄 電気通信事業者協会(TCA)「不払者情報の交換について」
「自己破産等により免責が決定している方、係争中(料金不払いのあった事業者と料金不払いに関して訴訟が行われており、判決が確定するまでの間を言います。)の方は含まれません。」
| 仕組み | 中身 | 期間 |
|---|---|---|
| CIC(信用情報) | 分割払いの支払状況・「異動(延滞・保証履行・破産)の有無」など。スマホを分割払いで買うときに携帯会社が確認 | 契約期間中および契約終了後5年間 |
| TCA(不払者情報の交換) | 契約解除後の料金不払い。「自己破産等により免責が決定している方」は含まれない(TCAの注記は免責が決定している方を除くとしているので、決定前は対象になりうる) | 契約解除後5年以内 |
※「5年」は情報を保有・交換する期間で、「5年間は契約できない」という意味ではありません。契約できるかは各社の審査によります。
端末を一括で用意すれば、分割払いの審査を通る必要はありません。中古の端末や型落ちの端末を選べば、一括でも負担を抑えられます。
✅ このセクションのまとめ
3社の5G約款に、破産したことそのものを契約を断る理由として定めた条項は見当たりませんが、支払いを怠っている・怠るおそれがあるときなどは断られることがあります。端末の分割払いは信用情報を確認されるので、しばらくは一括で用意するのが現実的です。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
債務整理のデメリットと、それでも今動く理由

スマホのことはわかりました。でも、債務整理そのもののデメリットも気になります。

大事なところなので、先にお伝えしますね。デメリットはあります。そのうえで、延滞を続けて回線を止められるほうが、スマホを失いやすいんです。
| デメリット | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 端末の分割払いが当面難しくなる | 信用情報に「異動(延滞・保証履行・破産)の有無」が載り、分割払いの審査で確認される | CIC |
| 自己破産では財産を債権者に分配する | 「一定の財産を債権者に平等に分配した上で、債務を支払わなくてよい状態にする(免責)裁判所における手続」 | 法テラス |
| 任意整理には相手の了解と原資が要る | 「債権者の了解と支払原資が必要になる。」 | 法テラス |
| キャリア決済が使えない時期がある | 「破産・免責申立てに対する決定があるまで使用しないでください。」 | 札幌地裁 |
一方で、何もしないまま通信料の延滞が続けば、回線は利用停止になりえます。ドコモ・ソフトバンクの約款も、通信の料金などを支払期日を過ぎても払わないときは、利用を停止することがあると定めています。そのときは、いつ止まるかを自分で選べません。
債務整理なら、申し立てる前に、端末の用意と回線の扱いを弁護士と決めてから動けます。スマホを失うのが怖い人ほど、延滞で止められる前に相談したほうが、選べる手段が多く残ります。
✅ このセクションのまとめ
債務整理にはデメリットがありますが、延滞を続けて回線を止められるほうが、スマホを失いやすくなります。止められる前に、端末と回線の準備を決めて動くのが近道です。
スマホの料金や端末代の支払いが遅れ始めているという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
今の状況ごとに、最短でやること
| 今の状況 | 最短でやること |
|---|---|
| 自己破産を考えていて、スマホを分割で払っている | 利用明細(端末代の残りと通信料の内訳)を持って相談。端末代だけ払い続けない |
| 仕事でスマホと電話番号が欠かせない | どの会社の回線かを伝え、申し立てる前に端末と回線の準備の順番を決める |
| auの回線で、端末も分割で払っている | au(5G)の約款には、破産の申立てなどを知ったときに解除することがある定めがあり、端末代の不払いでの回線解除の定めもある。申し立てる前に回線の扱いを相談する |
| 個人再生・任意整理も考えている | スマホを残せるかを含めて、手続きを比べて相談する |
| すでに通信料や端末代を延滞している | 回線が止まる前に、今すぐ相談して借金そのものの整理を始める |
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
よくある質問
Q. 自己破産したら、分割中のスマホは没収されますか。
A. 返すよう明記した条項は見当たりませんが、必ず手元に残るとも言い切れません。ドコモ・au・ソフトバンクの約款は、端末の所有権は引渡しのときに購入者に移ると定めています。一方、ドコモ・ソフトバンクには、申立てなどを理由に会社が分割払いの契約を解除できる定めがあります。自己破産では、手続開始のときに持っている財産は原則として管財人が管理してお金に換えるので、端末の機種と残りの額は、申立ての前に弁護士に伝えてください。
Q. 端末代の残りだけ、家族に払ってもらえば大丈夫ですか。
A. 大丈夫とは言い切れません。自己破産では、端末代も債権者一覧表に載せる必要があります(札幌地裁)。誰がどう払うかによっては、特定の債権者だけを有利に扱うことにならないかが問題になるので、自己判断で動かず、依頼する弁護士に相談してから決めてください。
Q. 家族名義の契約のスマホを使っています。自己破産したら影響しますか。
A. 家族が契約者なら、端末代を払う責任を負うのは原則として家族なので、自分の自己破産で直接の影響は受けにくいと考えられます。分割払いの約款は、契約者(購入者)が代金を支払うと定めています。ただし、家族の口座から自分の借金を返していた、などの事情があれば扱いが変わることがあるので、相談のときに伝えてください。
Q. 自己破産すると、電話番号は変わりますか。
A. 破産を理由に電話番号を変えるよう定めた条項は、3社の約款に見当たりません。ただし、au(5G)の約款は、破産の申立てなどを知ったときに回線契約を解除することがあると定めています。auは端末代の支払いを怠ったときの回線契約の解除も定めています。回線を残したい場合は、申し立てる前に相談してください。
Q. 自己破産した後、何年たてばスマホを分割で買えますか。
A. 何年たてば買えるかを定めた公式の基準はありません。CICのクレジットの情報の保有期間は「契約期間中および契約終了後5年間」で、分割払いの審査では携帯会社が信用情報を確認します(ほかの信用情報機関の保有期間は別です)。審査に通るかは各社の判断なので、しばらくは端末を一括で用意するのが現実的です。
まとめ
自己破産と分割中のスマホについて押さえておくことは、次のとおりです。
🔎 30秒でわかる結論
- ドコモ・au・ソフトバンクの約款は、端末の所有権は引渡しのときに購入者に移ると定めている。返すよう明記した条項は見当たらないが、ドコモ・ソフトバンクには会社が契約を解除できる定めもある
- 端末代の残りは、破産・民事再生の申立てや支払いの停止で一括払いの扱いになる。自己破産では債権者一覧表に載せて支払いを止める(札幌地裁)
- 端末代だけを払い続ける・一括で返すのは「偏った弁済」になりうる(破産法162条・252条1項3号・新潟地裁)
- 回線の扱いは会社で違う。au(5G)の約款には、破産の申立てなどで解除することがある定めがある。auは端末代の支払いを怠ったときの回線契約の解除も定めている。3社とも、代金が払われていない端末の通信を制限することがある
- 個人再生では、端末代も再生計画に従って払う。任意整理は、端末代を対象に含めるかを依頼先と決める
- 契約解除後に料金不払いのある人の情報交換(TCA)には「自己破産等により免責が決定している方」は含まれない(TCAの注記は免責が決定している方を除くとしているので、決定前は対象になりうる)。分割払いの審査ではCICの信用情報を確認される
スマホの利用明細(端末代の残りと通信料の内訳)と借入先の一覧を持って相談すれば、端末と回線にどう備えるか、どの手続きを選ぶかを弁護士と一緒に決められます。延滞で回線を止められる前に、まず相談してください。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- NTTドコモ「割賦販売契約約款」(6条 所有権・8条・11条1項2号・4号・3項 期限の利益の喪失と解除) https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/disclosure/agreement/d25.pdf
- NTTドコモ 契約約款(5Gサービス契約約款 37条 利用停止・41条6項1号) https://www.docomo.ne.jp/corporate/disclosure/agreement/
- KDDI「個別信用購入あっせん契約(分割払い)にあたって」・個別信用購入あっせん契約約款(5条・7条・10条1項2号・4号) https://www.kddi.com/extlib/files/corporate/kddi/kokai/keiyaku_yakkan/pdf/kobetusinyo.pdf
- KDDI「au(5G)通信サービス契約約款」(17条3項・53条) https://www.kddi.com/extlib/files/corporate/kddi/kokai/keiyaku_yakkan/pdf/honbun_kddi_5G.pdf
- ソフトバンク「割賦購入契約について」(個品割賦購入約款 2条・3条・6条・8条) https://online-shop.mb.softbank.jp/ols/html/pepper/html/memo/pc/kohin_yakkan_fr.html
- ソフトバンク「5G通信サービス契約約款」(29条 利用停止・34条2項1号) https://www.softbank.jp/mobile/set/data/legal/articles/pdf/5g_003.pdf
- e-Gov 破産法(平成十六年法律第七十五号)34条1項・162条・252条1項3号・7号 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- e-Gov 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)85条1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- 札幌地方裁判所「破産・免責申立書の書き方と留意事項」(8 家計表 (2)各論⑨) https://www.courts.go.jp/sapporo/vc-files/sapporo/file/hasan_saisei/R6.1_moushitatesyonokakikata.pdf
- 新潟地方裁判所「自己破産申立について(説明と書き方)」 https://www.courts.go.jp/niigata/vc-files/niigata/file/30205001.pdf
- 電気通信事業者協会(TCA)「不払者情報の交換について」 https://www.tca.or.jp/mobile/nonpayment.html
- CIC「はじめての方へ」 https://www.cic.co.jp/guide/beginners/
- CIC「CICが保有する信用情報」(登録内容・保有期間) https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
- 法テラス よくある相談「自己破産とは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-001.html
- 法テラス よくある相談「任意整理とは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-001.html
- 法テラス よくある相談「任意整理のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-002.html
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年10月時点)
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