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・「自己破産したら、車は必ず取り上げられる。通勤できなくなったら生活が終わる」
・「20万円以下の車なら残せる、ローンさえ払い続ければ守れる、と聞いたけど本当?」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、自己破産をしたら車が必ず処分される、という決まりはありません。処分の対象になるかどうかは、その車にどれだけの価値があるかで見られます。札幌地方裁判所の申立ての案内は、「製造から10年以上を経過して評価額がゼロであるとする場合」の扱いを定めています。
とはいえ、ローンが残っている車は引き揚げられることがあり、申立ての直前にローンだけ一括で払ったり名義を移したりすると、借金が免除されなくなるおそれがあるのも事実です。
本記事では、自己破産で車がどうなるのか、何年落ち・いくらまでなら残る可能性があるのか、ローン中・家族名義・仕事で必要な場合にどうなるのかについて紹介します。
通勤や仕事に車が欠かせない人はもちろんのこと、車のローンが残っているという人も、やってはいけないことをしっかりと理解しておきましょう。

自己破産を考えています。でも車がないと仕事に行けません。車は取られてしまうんですか。

必ず取られる、とは決まっていません。裁判所が見るのは、その車を売ったらいくらになるか、です。年式が古くて値段がつかない車は、処分の対象にならないことがあります。

「20万円以下なら大丈夫」と聞きました。

そうとは限りません。その数字は、東京地裁が「管財事件」にするかどうかの目安として示しているものです。車を残せるかの基準そのものではありませんし、扱いは裁判所ごとに違います。くわしくは後でお伝えしますね。

ローンがまだ残っているんです。ローンだけ払っておけば大丈夫ですよね。

それだけで車が守られるとは限らず、払い方によっては問題になります。とくに申立ての直前に一部の相手にだけまとめて払うと、借金の免除が受けられなくなることがあります。自己判断で動く前に、順番を確認しましょう。
🔎 30秒でわかる結論
- ★自己破産しても、車が必ず処分されるわけではない。見られるのは「その車にどれだけの価値があるか」。千葉地裁は「財産」の例に自動車を挙げている
- ★古い車は価値が低く見られやすい。札幌地裁は製造から10年以上で評価額ゼロとする場合に査定書の省略を認め、盛岡地裁は国産普通自動車で6年・軽自動車で4年を過ぎた車の査定書を省略できるとしている(いずれも書類の扱い。「残せる」の約束ではない)
- ★「20万円」は、東京地裁が管財事件の例に挙げる「20万円以上の換価対象資産がある場合」と結びついて語られることが多い。車が20万円以下なら必ず残る、とは書かれていない。扱いは裁判所ごとに違う
- ★ローン中の車は、引き揚げられることがある。札幌地裁は、所有権留保の付いた車について、ローンの残額と車の価値のどちらが大きいかの確認を求めている
- ★申立て前に車のローンだけ一括で払う・家族に名義を移す・安く売る、は危険。法テラスは「一定の債権者だけに偏った弁済」「財産を不当に安い対価で手放してしまう」を、免責が受けられない場合の例に挙げている
- ★仕事に車が欠かせない事情は、裁判所が考慮できる。破産法34条4項は、生活の状況や収入を得る見込みなどを考えて、手元に残せる財産の範囲を広げられると定めている
📖 この記事でわかること
- 自己破産で車が処分されるかは「車の価値」などで決まる
- 何年落ちなら残せる?「20万円以下なら大丈夫」の正体
- ローンが残っている車はどうなる?(引き揚げ)
- 家族名義の車、家族が使っている車はどうなる?
- 仕事に車が欠かせない場合
- 申立ての前にやってはいけないこと
- 自己破産のデメリットと、それでも今動く理由
- 今の状況ごとに、最短でやること
自己破産で車が処分されるかは「車の価値」などで決まる

そもそも、自己破産すると何が取られるんですか。

お金に換えられる財産は、原則として借金の返済に回されます。ただ、生活に必要なものや少額の現金は残せますし、価値がほとんどない物は、わざわざ売る意味がありません。
破産法34条1項は、「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。」と定めています。破産財団とは、借金の返済に回すために集められる財産のことです。千葉地方裁判所の案内は、この「財産」について「不動産,自動車,生命保険の解約返戻金などのほか,金融業者に対する過払金請求権,他人にお金を貸している場合の貸金請求権なども含まれます。」と説明しています。車も、財産のひとつとして見られます。
一方で、破産法34条3項は、差し押さえが禁止されている財産と、一定額の金銭を破産財団から外しています。法テラスは自己破産のデメリットの説明で「生活に必要な家財道具等の一定の財産以外は、失うことになる。」「(ただし、99万円以下の現金は手元に残せる。)」としています。この99万円は現金の話で、車そのものがこの枠に入るわけではありません(民事執行法131条3号の額=同法施行令1条の66万円に、破産法34条3項1号の2分の3を掛けた額です)。
同時廃止と管財事件の分かれ目
自己破産には、財産がほとんどないため財産を処分する手続きをしない「同時廃止」と、破産管財人が選ばれて財産を調べ、お金に換えて分ける「管財事件」があります。東京地方裁判所民事第20部(倒産部)は、次のような場合を原則として管財事件として扱う例に挙げています。
| 東京地裁が「管財事件として取り扱われる場合の例」に挙げるもの(抜粋) |
|---|
| ①債務者に、33万円以上の現金がある場合 |
| ②債務者に、20万円以上の換価対象資産がある場合(預貯金、保険の解約返戻金、未払報酬・賃金など) |
| ④債務者の資産調査が必要な場合 |
| ⑥債務者が法人の代表者又は個人事業者の場合 |
| ⑦債務者の免責調査を経ることが相当な場合 |
※③⑤は不動産・法人の項目のため省略。例示に車は挙がっていませんが、車も財産のひとつです。他の裁判所は、それぞれの運用で判断します。
出典:東京地方裁判所 民事第20部「よくある質問」(2026年10月時点)
車は財産のひとつなので、価値があればお金に換える対象になりえます。値段がつかない古い車なら、処分されずに済むことがあります。管財事件か同時廃止かについて、東京地裁は「管財事件となるか同時廃止事件となるかは、裁判所の専決事項です。」としています。車の年式・状態・ローンの有無と、申し立てる裁判所の運用で変わります。
✅ このセクションのまとめ
自己破産で車が処分されるかどうかは、「車の価値」と「申し立てる裁判所の運用」で決まります。必ず取られるわけでも、必ず残るわけでもありません。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
何年落ちなら残せる?「20万円以下なら大丈夫」の正体

結局、何年落ちなら残せるんですか。

「何年落ちなら残せる」と全国共通で決まった数字は、公開されていません。ただ、古い車をどう扱うかを書いている裁判所の資料はあります。実物を見てみましょう。
| 裁判所 | 資料に書かれていること | 意味 |
|---|---|---|
| 札幌地方裁判所 | 「評価額は、原則として自動車査定協会の査定書の添付が必要ですが、製造から10年以上を経過して評価額がゼロであるとする場合は添付を省略することもできます。ただし、その場合も査定書等の提出を求められることがあるのでご注意ください。」 | 製造から10年以上たって評価額ゼロとする場合は、査定書を省略できることがある(求められることもある) |
| 盛岡地方裁判所 | 「査定書は,初年度登録から,国産普通自動車で6年,国産軽自動車及びバイクで4年経過したものは添付を省略することができます。」 | 国産普通自動車で6年、軽自動車・バイクで4年を過ぎた車は、査定書を省略できる |
| 東京地方裁判所 | 「②債務者に、20万円以上の換価対象資産がある場合(預貯金、保険の解約返戻金、未払報酬・賃金など)」を管財事件の例に挙げる | 「20万円」は管財事件にするかどうかの目安 |
※査定書を省略できる=必ず残せる、ではありません。書類の扱いの目安です。
💡 「20万円以下なら大丈夫」は全国共通のルールではない
ネットでよく見る「車は20万円以下なら残せる」は、東京地裁が示す20万円以上の換価対象資産があれば管財事件という目安と結びついた説明です。今回確認した裁判所の公開資料に、「車が20万円以下なら必ず手元に残る」と書いたものはありませんでした。扱いは裁判所ごとに違い、細かい基準は公開されていないことも多いです。自分の車がどう扱われるかは、申立てを頼む弁護士に、車検証と査定額を見せて聞くのが確実です。
なお、管財事件になると、東京地裁では裁判所に納める予納金の基準額が「個人管財事件最低20万円及び個人1件につき20,397円」とされています(令和8年1月1日現在の一覧)。「20万円」という数字は予納金の基準額にも出てくるので、車の扱いの話と混同しないよう注意してください。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
ローンが残っている車はどうなる?(引き揚げ)

車のローンが残っています。取られてしまいますか。

ローン会社や販売店に「所有権留保」が付いていると、車が引き揚げられることがあります。車検証の「所有者」の欄を見てください。自分ではなくローン会社や販売店の名前になっていたら、その可能性があります。
ローンで買った車は、払い終わるまで、ローン会社や販売店が所有者になっていることがあります(所有権留保)。札幌地方裁判所の申立ての案内は「所有権留保が付されている自動車については、被担保債権額及びオーバーローンであるか否かを確認してください。」としています。ローンの残りが車の価値より大きい(オーバーローン)かどうかを確かめる、という意味です。
盛岡地方裁判所の案内は、「自動車やバイクについては,ローンの返済途中で,販売会社等に所有権の留保がされている場合でも,あなたの財産と認められることがあります。」としています。留保が付いていても自分の財産として扱われることがあり、一律には決まりません。だからこそ、まず車検証で所有者を確認します。
また札幌地方裁判所は、「過去1年間に自動車が処分又は引き揚げられた場合も、その内容が分かる資料及び処分・引揚げ済みの自動車検査証又は登録事項等証明書のコピーを提出してください。」としています。申立ての前に車が引き揚げられることは、裁判所も想定しているということです。
| 車の状態 | 起こりうること |
|---|---|
| ローン完済・名義が自分 | 財産として価値が見られる。値段がつかない古い車なら、処分されないことがある |
| ローン中・所有者がローン会社や販売店 | ローン会社が車を引き揚げることがある(所有権留保) |
| ローン中・車検証の所有者が自分 | 所有権留保による引き揚げとは別に、車は財産として価値を見られることが多い。契約の内容の確認が必要 |
※実際の扱いは契約の内容と申し立てる裁判所の運用で変わります。
どうしても車を手放せない事情があるなら、自己破産以外の手続きも比べる道があります。任意整理なら車のローン会社を手続きから外せる場合があり、個人再生は財産を手放さずに済む場合があります(ただし財産の価値は返済額に影響します)。自己破産を選ぶ場合は、申立ての直前に車のローンだけを払う行動に注意が要ります(後の章で説明します)。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
家族名義の車、家族が使っている車はどうなる?

車は妻の名義です。それでも調べられますか。

車検証のコピーは、名義が家族でも出すように求める裁判所があります。本当の所有者が誰かを確認するためです。
札幌地方裁判所の案内は「使用する自動車が同居者又は他人名義であっても所有者を確認するため、車検証等のコピーを提出してください。」としています。名義が家族でも、所有者を確認するために車検証の提出を求められます。一方で、申立ての前に自分の車を家族の名義に移すのは別の話です。
法テラスは、自己破産で免責決定がされない場合の例として「(1)財産を隠したり、壊したりする。」「(2)財産を不当に安い対価で手放してしまう。」を挙げています。破産法252条1項1号も、「債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。」を免責不許可の事由にしています。車を守るつもりの名義変更が、借金そのものの免除を失う原因になりかねません。
💡 申立て前に処分した車も調べられる
売ったり手放したりした車は、過去の分まで申告します。札幌地裁は、自動車について「過去1年間に処分した分も含みます。」とし、盛岡地裁は過去2年以内に処分した場合に売買契約書と「代金の使途報告書(代金を何にいくら使ったかを書いた書面)」を求めています。隠して申し立てても、売買契約書などの書類で確認されます。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
仕事に車が欠かせない場合

地方なので、車がないと仕事に行けません。それでも処分されますか。

仕事に車が必要だという事情は、裁判所が考慮できる仕組みがあります。「自由財産の拡張」という制度です。ただし、認められるかは裁判所の判断です。
破産法34条4項は、裁判所は「破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。」と定めています。通勤や仕事に車が欠かせないこと、車がないと収入を得られないことは、この「生活の状況」「収入を得る見込み」に関わる事情です。家族の通院の送迎なども、生活の状況として伝えておくべき事情です。
ただし、この拡張は破産手続開始の決定から、その確定後1か月までの間に、申立てまたは裁判所の職権で決められるもので、同じ条文の5項は「裁判所は、前項の決定をするに当たっては、破産管財人の意見を聴かなければならない。」としています。価値の高い車をそのまま残せる、という制度ではありません。車が必要な事情は、申立ての準備の段階で弁護士に伝えておくことが大事です。
💡 車を残したいなら、手続きの選び方から相談する
自己破産のほかに、個人再生(借金を減らして分割で払う手続き。財産は手放さずに済む場合があるが、その価値は返済額に影響する)や任意整理(車のローン会社を手続きから外せることがある)という選択肢もあります。車を残したい気持ちが強いなら、どの手続きが合うかを最初の相談で比べてもらいましょう。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
申立ての前にやってはいけないこと

車を守るために、今のうちにやっておいたほうがいいことはありますか。

自己判断で「車のために動く」ことが、一番危ないです。やってはいけないことを先にまとめます。
| やりがちなこと | なぜ危ないか | 根拠 |
|---|---|---|
| 申立ての直前に車のローンだけ一括で払う | 申立て直前に特定の相手にだけ全額払うのは「偏った弁済」として免責不許可になることがある。毎月の返済を続けてよいかは事情次第 | 法テラスFAQ(免責不許可の例(4))/新潟地裁の案内 |
| 申立て前に家族へ名義を移す | 財産を隠す・不当に安く手放す行為として、免責不許可のおそれ | 法テラスFAQ(1)(2)/破産法252条1項1号 |
| 車を安く売って現金を手元に置く | 「財産を不当に安い対価で手放してしまう」にあたるおそれ。売ったお金の使い道も申告が要る | 法テラスFAQ(2)/盛岡地裁(代金の使途報告書) |
| 車を申告しない | 裁判所に一部の財産を申告しない・虚偽の書類を出すのは免責不許可の例 | 法テラスFAQ(5) |
法テラスは、免責決定がされない場合の例として「(4)他の債権者に支払いができないのに、家族や親友、一定の債権者だけに偏った弁済をする。」を挙げています。新潟地方裁判所の案内も、「申立直前に特定の債権者に全額支払うなど,偏った弁済を行うと免責不許可になることがあります。」としています。とくに申立ての直前に車のローンを一括で払うような行動は、これにあたるおそれがあります。毎月の返済を続けてよいかは事情によって変わるので、依頼する弁護士に確認してください。
ただし、裁判所は事情によって免責を認めることもあり(破産法252条2項の裁量免責)、すでに払ってしまったから終わり、というわけではありません。どこまでが問題になるかは個別の事情で変わるので、払う・払わないを決める前に、弁護士に確認してください。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
自己破産のデメリットと、それでも今動く理由
デメリットは先にお伝えします。法テラスは自己破産のデメリットとして、次の点を挙げています。
| デメリット(法テラスの説明) | どう考えるか |
|---|---|
| 「破産手続が終了するまでの間、職業・転居・長期の旅行等について、一定の制限を受ける場合がある。」 | 制限は手続き中のもの。対象は一定の職業に限られる |
| 「官報に、住所や氏名等が記載される。」 | 戸籍や住民票に載るわけではない(法テラス) |
| 「信用情報を取り扱う機関に登録されることにより、数年間は、借入れやクレジットカードの作成が難しくなる。」 | 新しい車のローンも数年は組みにくくなる。だからこそ今ある車の扱いを先に確かめる |
出典:法テラス「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」(2026年10月時点)
一方で法テラスは、「なお、自己破産をしたからといって、選挙権がなくなる、戸籍や住民票に記載される、銀行の普通預金口座も使用できなくなる、ということはありません。」としています。
車が心配で相談を先延ばしにしている間にも、督促や裁判の手続きは進むことがあります。車検証と査定額(年式)を見せれば、弁護士がどの手続きが合うかを一緒に見立ててくれます。「車を残せるか」を確かめるためにこそ、今のうちに相談するのが得です。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
今の状況ごとに、最短でやること
| 今の状況 | 最短でやること |
|---|---|
| 年式がかなり古い車(10年以上など)・ローンなし | 車検証を用意し、値段がつくかどうかを相談で確かめる。処分されずに済むことがある |
| 年式が新しい・値段がつきそうな車 | 管財事件になる可能性を前提に、自己破産以外(個人再生・任意整理)も比べてもらう |
| ローンが残っている | 車検証の「所有者」欄を確認。ローンだけ払う前に相談する |
| 家族名義の車を使っている | 名義と、実際に誰がお金を出したかを整理して伝える。名義を移す前に相談する |
| 仕事や家族の通院に車が欠かせない | 必要な事情(通勤距離・公共交通の有無など)をまとめて、最初の相談で伝える |
車のことが不安で動けずにいるという方は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
よくある質問
Q. 自己破産したら、車は必ず処分されますか。
A. 必ず処分されるわけではありません。車は財産として価値を見られ、値段がつかない古い車なら処分されないことがあります。扱いは申し立てる裁判所の運用と、車の年式・状態・ローンの有無で変わります。
Q. 何年落ちなら残せますか。
A. 全国共通の年数は公開されていません。札幌地裁は製造から10年以上で評価額をゼロとする場合に査定書の省略を認め、盛岡地裁は国産普通自動車で6年・軽自動車とバイクで4年を過ぎた車の査定書を省略できるとしています。いずれも書類の扱いの目安で、残せることの約束ではありません。
Q. 車が20万円以下なら残せるというのは本当ですか。
A. 東京地裁は「20万円以上の換価対象資産がある場合」を管財事件の例に挙げていますが、「車が20万円以下なら必ず手元に残る」とは書いていません。今回確認した他の裁判所の公開資料にも、そう書いたものはありませんでした。
Q. ローン中の車は、自己破産したら引き揚げられますか。
A. 車検証の所有者がローン会社や販売店になっている(所有権留保)場合は、引き揚げられることがあります。車検証の所有者が自分の場合は、所有権留保による引き揚げとは別に、財産として価値を見られることが多くなります。契約の内容を確認してください。
Q. 車のローンだけ払い続ければ、車は守れますか。
A. それだけで守れるとは限らず、払い方によっては問題になります。法テラスは「他の債権者に支払いができないのに、家族や親友、一定の債権者だけに偏った弁済をする。」を、免責が受けられない場合の例に挙げ、新潟地裁は申立直前に特定の債権者に全額支払うことを例に挙げています。払う前に弁護士に確認してください。
Q. 家族名義の車はどうなりますか。
A. 札幌地裁のように、名義が家族でも所有者を確認するため車検証のコピーを求める裁判所があります。申立ての前に自分の車を家族名義へ移すのは、免責不許可のおそれがあるのでやめてください。
Q. 自己破産したあと、車をローンで買えますか。
A. ローンを組むのは、信用情報に記録が残る間は難しくなります(法テラスは「数年間は、借入れやクレジットカードの作成が難しくなる。」としています)。
まとめ
自己破産で車がどうなるのか、押さえておくことは次のとおりです。
🔎 30秒でわかる結論
- 自己破産しても車が必ず処分されるわけではない。見られるのは車の価値と、申し立てる裁判所の運用
- 古い車は価値が低く見られやすい。札幌地裁=製造10年以上・盛岡地裁=国産普通6年/軽4年で査定書省略の目安(残せることの約束ではない)
- 「20万円以下なら残せる」は全国共通のルールではない。東京地裁が示すのは「20万円以上の換価対象資産」で管財事件、という目安
- ローン中で所有権留保が付いた車は、引き揚げられることがある
- 申立て前に車のローンだけ一括で払う・名義を移す・安く売るは、免責不許可のおそれ。動く前に相談する
- 仕事に車が欠かせない事情は、裁判所が考慮できる(破産法34条4項)。個人再生・任意整理も含めて比べる
車検証と査定額(年式)を見せれば、車をどうするかを弁護士と一緒に見立てられます。自己判断で動いて取り返しのつかない形にする前に、まず確かめてください。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov 破産法(平成十六年法律第七十五号)34条1項(破産財団の範囲)・3項1号・2号(破産財団に属しない財産)・4項・5項(自由財産の範囲の拡張・破産管財人の意見聴取)・252条1項1号(免責不許可事由)・2項(裁量免責) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- e-Gov 民事執行法 131条3号(差押禁止動産=標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
- e-Gov 民事執行法施行令 1条(差押えが禁止される金銭の額=六十六万円) https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000230
- 東京地方裁判所 民事第20部「よくある質問」(破産手続について:管財事件として取り扱われる場合の例) https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html
- 東京地方裁判所 民事第20部「破産事件の手続費用一覧」(令和8年1月1日現在・個人管財事件の予納金基準額) https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/min20_hasanq4_hasantetudukihiyouitiran_R080101.pdf
- 札幌地方裁判所「破産・免責申立書の書き方と留意事項」((4)自動車・バイク・船舶・ジェットスキーなど①〜⑤) https://www.courts.go.jp/sapporo/vc-files/sapporo/file/hasan_saisei/R6.1_moushitatesyonokakikata.pdf
- 盛岡地方裁判所「資料3 破産申立てに必要な費用と書類など(個人用)」((3)自動車・バイク) https://www.courts.go.jp/morioka/vc-files/morioka/file/siryou3.pdf
- 千葉地方裁判所 民事第4部・破産係「破産・免責手続について -よくあるご質問・お問い合わせ-」(Q6「財産」には,どのようなものが入るのですか?) https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/file/setsumeisho.pdf
- 新潟地方裁判所「自己破産申立について(説明と書き方)」(令和3年2月改訂)(偏った弁済) https://www.courts.go.jp/niigata/vc-files/niigata/file/30205001.pdf
- 法テラス よくある相談「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-002.html
- 法テラス よくある相談「自己破産で免責決定がされないのは、どういう場合ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-011.html
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年10月時点)
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