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・「債務整理を頼んだら、銀行口座が凍結されて給料が引き出せなくなるらしい」
・「家賃も公共料金も引き落とされなくなって、生活が止まるらしい」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、預金と借金の相殺や、それに伴う入出金の制限(いわゆる口座の凍結)が問題になるのは、借入れのある銀行の口座です。消費者金融やクレジットカード会社だけからの借金なら、銀行の預金が借金と相殺されることは原則としてありません。また、借入先の銀行に口座がある場合も、受任通知の前に給料の振込口座や引き落とし口座を別の銀行に移しておけば、生活費が引き出せなくなる事態は避けやすくなります。
とはいえ、借入れのある銀行に給料が振り込まれたまま債務整理を始めると、預金が借金と相殺され、口座の入出金も制限されるおそれがあるのも事実です。
本記事では、債務整理で銀行口座が凍結される理由、いつから・いつまで続くのか、対象になる口座・ならない口座、受任通知の前にやっておく口座の準備について紹介します。
借入先に銀行のカードローンがある人はもちろんのこと、「口座が止まるのが怖くて依頼に踏み切れない」という人も、依頼の前にしっかりと確認しておきましょう。

債務整理を頼んだら、銀行口座が凍結されるって本当ですか。給料が下ろせなくなったら生活できません。

凍結が問題になるのは、借金をしている銀行の口座だけです。まず、借入先に銀行(銀行のカードローンなど)があるかを確かめましょう。

……給料が振り込まれる銀行で、カードローンも借りています。

それなら、弁護士が銀行に受任通知を出す前に、給料の振込口座を別の銀行に移すのが先です。通知を出す前に口座を移し終えておけば、生活費が引き出せなくなる事態を避けやすくなります。

口座を移す前に通知が出てしまったら、どうなるんですか。

預金が借金と相殺されたり、しばらく入出金ができなくなったりするおそれがあります。だからこそ、口座の準備をしてから動くことが大事です。順番に説明しますね。
🔎 30秒でわかる結論
- ★凍結(相殺・入出金の制限)が問題になるのは、借入れのある銀行の口座だけ。相殺は「二人が互いに」債務を負う場合の制度(民法505条1項)なので、消費者金融やカード会社だけの借金なら、銀行の預金は相殺の対象にならない
- ★凍結が起きる流れ=弁護士・司法書士の受任通知が銀行に届く→銀行の規定で借金の全額が「すぐ払う」状態になる→銀行が預金と相殺する→残りを保証会社が代わりに払う(代位弁済)。破産法の否認の事案で、弁護士が債権者一般に送った債務整理開始通知を「支払の停止」と判断した最高裁判決がある。銀行が受任通知を「支払の停止」として扱うおそれは大きい
- ★いつまで続くかは、法律に日数の定めがなく、確認した銀行の規定(三菱UFJ銀行・三井住友銀行・ドコモSMTBネット銀行)にも書かれていない。相殺や保証会社とのやり取りの進み方しだいで、銀行ごとに違う
- ★自己破産・個人再生の手続きが始まれば、銀行が支払の停止を知った後に入った預金との相殺は原則として認められない(破産法71条1項3号・民事再生法93条1項3号)。ただし例外があり、任意整理にはこの定めがない
- ★いちばん確実なのは、受任通知が銀行に届く前に、給料の振込口座と引き落とし口座を借入れのない銀行に移しておくこと
📖 この記事でわかること
- 凍結される口座・されない口座の見分け方
- なぜ債務整理で口座が凍結されるのか(判例と銀行の規定)
- 口座の凍結はいつから・いつまで続く?
- 凍結された口座に給料が入ったらどうなる?
- 受任通知の前にやっておく口座の準備
- 任意整理なら、銀行を外して凍結を避けられる?
- 口座の凍結以外のデメリットと、それでも今動く理由
- 口座の凍結が心配なときにやってはいけないこと
- 今の状況ごとに、最短でやること
凍結される口座・されない口座の見分け方

私の口座が凍結されるかどうかは、どうやって分かりますか。

「お金を借りている会社」と「預金がある銀行」が同じかどうかで決まります。借金の一覧と、口座の一覧を並べてみてください。
いわゆる口座の凍結は、口座の入出金が制限されることで、多くは銀行が預金を借金の返済にあてる「相殺」の手続きのなかで起きます。相殺について、民法505条1項は「二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。」と定めています。
預金は、銀行から見ると「預金者に返すお金(銀行の債務)」です。その銀行からカードローンなどを借りていると、銀行と預金者が互いにお金の債務を負っていることになり、相殺ができる関係になります。反対に、借金の相手が消費者金融やクレジットカード会社だけなら、銀行とのあいだに「互いに」の関係がないため、銀行の預金が相殺されることは原則としてありません。
| 借入先と口座の組み合わせ | 口座の凍結(相殺・入出金の制限) | 理由 |
|---|---|---|
| A銀行のカードローンを借りていて、A銀行に口座がある | されるおそれがある | 同じ銀行どうしで「互いに」債務を負っている |
| A銀行のカードローンを借りていて、口座はB銀行だけ | B銀行の口座は対象外 | B銀行とはお金の貸し借りがない |
| 消費者金融・クレジットカード会社だけから借りている | 銀行口座は原則として対象外 | 銀行とのあいだに借金がない |
| 銀行のグループのカード会社から借りている(例:銀行名のついたカード) | 原則として対象外(会社が別) | カード会社と銀行は別の会社。ただし契約の名義は必ず確認 |
| 家族名義の口座 | 対象外(家族が借主・保証人でない限り) | 口座の持ち主は家族で、本人の借金とは相手が違う |
※「銀行のカードローン」でも、カードを発行しているのが銀行かカード会社か、契約書の会社名で確かめてください。住宅ローン・自動車ローンなど、カードローン以外の借入れがある銀行も同じ考え方です。
出典:e-Gov 民法505条1項(2026年10月時点)
法テラスも、自己破産について「なお、自己破産をしたからといって、選挙権がなくなる、戸籍や住民票に記載される、銀行の普通預金口座も使用できなくなる、ということはありません。」と説明しています。民法505条1項の考え方と合わせると、手続きをしたこと自体で口座が使えなくなるのではなく、その銀行に借金があるかどうかが分かれ目と整理できます。
✅ このセクションのまとめ
口座が凍結されるおそれがあるのは、借入れのある銀行の口座です。借入先が消費者金融やカード会社だけなら、銀行口座の心配はほとんどいりません。
借入先に銀行があって口座のことが心配だという方は、依頼の前に弁護士などの専門家に口座の状況を伝えて相談してください。
なぜ債務整理で口座が凍結されるのか(判例と銀行の規定)

借金の返済が遅れていなくても、債務整理を頼んだだけで口座が止まるんですか。

頼んだだけでは止まりません。弁護士の受任通知が銀行に届いたあとに、止まるおそれがあります。通知が届くと、銀行の規定で借金の全額をすぐ払う状態として扱われやすく、銀行が預金との相殺に動くおそれがあるからです。
受任通知が「支払の停止」とされた最高裁判決がある
最高裁判所は、平成24年10月19日の判決で、弁護士が債権者一般に送った債務整理開始通知について、「上記各記載のある本件通知には,Aが自己破産を予定している旨が明示されていなくても,Aが支払能力を欠くために一般的かつ継続的に債務の支払をすることができないことが,少なくとも黙示的に外部に表示されているとみるのが相当である。」と述べ、通知を送った行為は「支払の停止」に当たると判断しました。事案は、給与所得者である都の職員が弁護士に債務整理を頼んだケースで、破産法162条(否認)の「支払の停止」について判断したものです。銀行の規定の「支払の停止」の意味を直接判断した判決ではありませんが、受任通知が届けば、銀行がそれを「支払の停止」として扱うおそれは大きいと考えておくべきです。
銀行の規定=支払の停止で全額が「すぐ払う」状態に
確認した銀行のカードローンの規定は、「支払の停止」を、借金の全額をすぐ払わなければならなくなる事由(期限の利益の喪失)にしています。たとえば三菱UFJ銀行のバンクイックの規定12条は、「次の各号の事由が一つでも生じた場合には、当行からの通知、催告がなくても貸越元利金等の全額について弁済期が到来するものとし、借主は直ちに貸越元利金等を支払うものとします。」とし、その事由に「支払いの停止または破産、民事再生手続開始の申し立てがあったとき、あるいは申立予定であることを当行が知ったとき。」を挙げています。三井住友銀行のカードローン規定12条も、「①支払停止または破産手続開始もしくは民事再生手続開始の申立があったとき。」を同じ扱いにしています。
全額が「すぐ払う」状態になると、銀行は預金と相殺できる
そのうえで、規定は銀行からの相殺を定めています。バンクイックの規定14条は「この契約に基づく債務を履行しなければならない場合には、当行は貸越元利金等と預金その他の当行が借主に対して負担する債務とを、その債務の期限のいかんにかかわらず、いつでも相殺することができます。この場合、書面により通知するものとします。」と定めています。三井住友銀行の規定16条も、全額を返済しなければならない借金と「借主の当行に対する預金等の債権とを、その債権の期限の如何にかかわらず、いつでも相殺することができるものとします。」としています。
さらに、ドコモSMTBネット銀行のように、期限の利益を失った場合の取引の制限を規定に書いている銀行もあります。同行のカードローン規定には、「当社は、お客さまが本条の規定により期限の利益を失った場合、お客さまが当社に開設している預金口座の入出金を禁止する等取引を制限できるものとします。」という定めがあります(同行が公表している新旧対照表の、変更前・変更後の両方の欄に記載)。三菱UFJ銀行・三井住友銀行の規定には同じ条項は見当たりませんが、預金の扱いは銀行の判断によります。こうした入出金の制限が、一般に「口座の凍結」と呼ばれている状態です。
| 順番 | 起きること | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 弁護士・司法書士が、銀行を含む借入先に受任通知を送る | ― |
| 2 | 受任通知が「支払の停止」として扱われやすく、そうなると借金の全額をすぐ払う状態になる | 各銀行のカードローン規定(支払停止の定め)。参考:最高裁平成24年10月19日判決(破産法162条の事案) |
| 3 | 銀行が、預金を借金の返済にあてる(相殺)。そのあいだ入出金が制限されることがある | 各銀行のカードローン規定(相殺)・ドコモSMTBネット銀行の規定など(取引の制限) |
| 4 | 相殺で足りない分を、保証会社が銀行に代わりに払う(代位弁済) | バンクイック規定13条ほか |
| 5 | 以後の借金の相手は保証会社に移る | 三井住友銀行の保証委託約款6条2項 |
※すべての銀行が同じ規定・同じ順番とは限りません。実際の扱いは、借りている銀行の規定で確かめてください。
代位弁済について、バンクイックの規定13条は「保証会社が借主に代わって貸越元利金等全額を当行に返済した場合は、借主は保証会社に貸越元利金等全額を返済するものとします。」と定めています。三井住友銀行の保証委託約款6条2項も「保証会社が銀行に代位弁済した場合、銀行が私に対して有していた原契約に基づく一切の権利が保証会社に承継されるものとします。」としています。
✅ このセクションのまとめ
受任通知が届くと、銀行の規定で借金の全額をすぐ払う状態として扱われやすく、そうなると銀行は預金と相殺できるようになります。凍結は、この相殺と保証会社の代位弁済を進めるあいだに起きることがあります。
借入先の銀行が受任通知をどう扱うか不安だという方は、通知を出す前に、弁護士などの専門家と口座の段取りを決めてください。
口座の凍結はいつから・いつまで続く?

凍結されるとしたら、いつからで、いつまで続くんですか。

始まりは、銀行が受任通知を受け取ったあとです。終わりは、法律にも、確認した銀行の規定にも日数が書かれていないので、「何か月」とは言い切れません。
| よくある疑問 | 公表されている事実から言えること |
|---|---|
| いつから凍結される? | 銀行が受任通知を受け取り、支払の停止を知ったあと。依頼しただけで、通知が届く前に止まるわけではない |
| いつまで続く? | 法律に日数の定めはなく、確認した銀行の規定にも記載はない。相殺や保証会社の代位弁済の手続きの進み方しだいで、銀行ごとに違う |
| 凍結されたかどうかの確認方法は? | バンクイックの規定は、相殺をしたときは「書面により通知する」としている。通知が来ていなくても、借りている銀行の口座は止まっている前提で動くのが安全 |
| 凍結が解除された後は? | 代位弁済で借金の相手が保証会社に移れば、銀行とのあいだの借金はなくなる。ただし口座をそのまま使い続けられるかは銀行の判断 |
※「凍結は数週間〜数か月」といった期間は、公的機関・銀行の公表資料では確認できません。期間を当てにせず、口座を移しておくのが確実です。
大事なのは、凍結の期間を予想することではなく、凍結されても生活費が止まらない状態を先に作っておくことです。依頼する弁護士・司法書士に、借入先の銀行と口座の使い方(給料・家賃・公共料金・携帯料金・保険料の引き落とし)を伝え、通知を出す日を相談して決めましょう。
口座が止まる時期が心配で依頼に踏み切れないという方は、通知を出すタイミングから弁護士などの専門家と一緒に決めるのがおすすめです。
凍結された口座に給料が入ったらどうなる?

もし間に合わなくて、凍結された口座に給料が振り込まれたら、全部取られてしまうんですか。

手続きしだいで、全部取られるとは限りません。自己破産・個人再生の手続きが始まれば、通知の後に入った給料との相殺は原則として認められません。任意整理には、この定めがありません。どの手続きでも、入出金が止まっているあいだはすぐに使えないことがあるので、やはり先に移しておくのが一番です。
破産法71条1項は「破産債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。」とし、その3号で「支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。」と定めています。民事再生法93条1項3号にも同じ内容の定めがあります。
銀行にとって、給料が振り込まれることは「預金者に返すお金(債務)」が増えることです。つまり、自己破産・個人再生の手続きが始まれば、銀行が受任通知で支払の停止を知った後に入った給料との相殺は、原則として認められないということになります。ただし、71条1項3号のただし書きのほか、同条2項(民事再生法93条2項)にも例外があります。また、通知の時点で銀行が相殺してしまうこと自体を、その場で止める定めではありません。一方で、通知の前からあった預金は、この禁止の対象外で、相殺されえます(破産法67条1項・民事再生法92条1項)。
| 手続き | 通知の後に入った給料との相殺 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自己破産 | 手続きが始まれば、原則として認められない(破産法71条1項3号) | ただし書き(支払の停止の時に支払不能でなかったとき)や同条2項の例外がある |
| 個人再生 | 手続きが始まれば、原則として認められない(民事再生法93条1項3号) | 同じくただし書きと同条2項の例外がある |
| 任意整理 | このような法律の定めはない | 裁判所を使わない話し合いのため、銀行の規定どおりに相殺されるおそれがある |
出典:e-Gov 破産法71条1項・民事再生法93条1項(2026年10月時点)
💡 「禁止されている」と「すぐ使える」は別
相殺が法律で禁止されていても、口座の入出金が止まっているあいだは、給料をすぐに引き出せないことがあります。家賃や公共料金の引き落としができず、滞納になるおそれもあります。「相殺されないから大丈夫」ではなく、「そもそも凍結される口座に給料を入れない」が正解です。
給料日と通知のタイミングが重なりそうだという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
受任通知の前にやっておく口座の準備

具体的には、何をどの順番でやればいいですか。

まず借入先と口座の一覧を作り、相談のときに見せてください。そのあとは、次の順番で準備します。
| 順番 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 借入先の一覧と、自分の口座の一覧を作る | 借入先に銀行があるか、その銀行に口座があるかを確認する |
| 2 | 借入れのない銀行に、新しい口座を作る | 借入先の銀行は避ける。同じグループの銀行も、契約の相手が分かりにくければ避けておくと安心 |
| 3 | 勤務先に、給料の振込口座の変更を届け出る | 会社によっては反映まで1回分以上かかることがある。締め日を確認 |
| 4 | 家賃・公共料金・携帯料金・保険料などの引き落とし口座を移す | 変更が間に合わない分は、振込やコンビニ払いに切り替える |
| 5 | 預金をどうするかは、弁護士・司法書士の指示に従う | 自己破産では預金も財産として申告する。自己判断で動かさない |
| 6 | 準備が整ってから、受任通知を出してもらう | 通知の日を、弁護士・司法書士と相談して決める |
※給料の振込口座の変更方法や反映の時期は、勤務先の手続きしだいです。
受任通知には、借入先からの督促を止める効果もあります。法テラスは「弁護士や司法書士が債務整理(任意整理・自己破産・個人再生等)の依頼を受け、貸金業者に対してその旨の通知を行った場合、通常、貸金業者からの連絡は止まります。」と説明し、銀行などについても、直接の連絡が止まる場合が「ほとんど」だと説明しています。口座の準備に時間をかけすぎると、そのぶん督促や遅延損害金が続きます。準備と通知のタイミングは、相談の場で一緒に決めてしまうのが早道です。
口座の準備を何から始めればいいか分からないという方は、借金と口座の一覧を持って、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
任意整理なら、銀行を外して凍結を避けられる?

銀行のカードローンだけ外して、ほかを任意整理することはできますか。

任意整理なら、対象にする借入先を選ぶことはできます。ただ、外した銀行には今までどおり返し続ける必要があります。自己破産と個人再生では、選ぶことはできません。
法テラスは、任意整理を「任意整理とは、裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続です。」と説明しています。私的な話し合いなので、銀行を対象から外し、銀行には受任通知を送らないという進め方もできます。この場合、銀行の借金はそのまま残るので、約束どおりの返済を続けることが前提です。
一方で、自己破産では、裁判所に債権者一覧表を出す必要があり(破産法20条2項)、うその債権者名簿を出すことは免責不許可事由になります(破産法252条1項7号=「虚偽の債権者名簿」)。個人再生も、借入先を原則としてすべて同じ基準で扱う裁判所の手続きです(住宅ローンには住宅資金特別条項という特例があります)。カードローンの銀行だけを外すことはできないので、口座の準備で対応します。
| 手続き | 銀行を対象から外せるか | 口座への対応 |
|---|---|---|
| 任意整理 | 外せる(外した銀行には返し続ける) | 外さない場合は、口座を移してから通知 |
| 個人再生 | 外せない(住宅ローンには特例あり) | 口座を移してから申立ての準備 |
| 自己破産 | 外せない(債権者一覧表に載せる) | 口座を移してから申立ての準備 |
任意整理で銀行を外すかどうか迷っているという方は、家計の状況を持って、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
口座の凍結以外のデメリットと、それでも今動く理由

口座のほかに、困ることはありますか。

あります。先に全部お伝えしますね。そのうえで、準備しておけば避けられるものと、手続きを選べば小さくできるものに分けて考えましょう。
| デメリット | 事実 | どう備えるか |
|---|---|---|
| 借入先の銀行の預金が相殺される | 通知の前からある預金は、相殺の対象になりうる | 預金の扱いは、依頼前に弁護士・司法書士と相談して決める |
| 信用情報に記録が残る | (CICの場合)クレジット情報を「契約期間中および契約終了後5年間」保有するとしている | 新しい借入れ・カードはしばらく作りにくい |
| 借入先の銀行で、新しい借入れやカードの利用ができなくなる | 代位弁済の後は、保証会社が借金の相手になる | 生活の口座は、借入れのない銀行に移しておく |
| 自己破産では一定の財産を手放す・官報に載る | 手続きの種類によって違う | 任意整理なら官報には載らない |
| 保証人がいる借金は、保証人に請求が行く | 自己破産の免責は保証人には及ばない(破産法253条2項) | 保証人の有無を、相談のときに伝える |
出典:CIC「CICが保有する信用情報」(2026年10月時点)
一方で、返せない借金をそのままにしておけば、遅れた分の損害金がふくらみ、裁判を起こされて給料や預金を差し押さえられるおそれがあります。差押えは、口座を移しても勤務先や新しい口座に届きうるもので、銀行の相殺よりも逃げ場がありません。口座の凍結は、準備をすれば避けやすいデメリットです。それを理由に動かずにいるほうが、打てる手は減っていきます。
口座のことが気になって、借金の整理を先延ばしにしているという方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
口座の凍結が心配なときにやってはいけないこと

凍結されないように、何かしておいたほうがいいことはありますか。

あります。借入れのない銀行へ、給料と引き落としの口座を移す準備です。ただし、預金そのものを自己判断で動かすのは危ないので、やってはいけないことを表にまとめますね。
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 凍結を避けるために、銀行の借金だけ先に全部返す | 返せなくなった後に、その事情を知っている特定の借入先だけに返すと、自己破産では破産管財人に否認されて取り戻されるおそれがある(破産法162条1項) |
| 預金を家族の口座に移す・隠す | 自己破産では、財産を隠すことは免責不許可事由になる(破産法252条1項1号) |
| 口座の準備をしないまま、受任通知を出してもらう | 給料が入る口座が止まり、家賃や公共料金の引き落としもできなくなるおそれ |
| 新しい口座を作るついでに、新しく借りる | 借金が増えるだけで、返済できない前提で借りると問題になりうる |
| 借入先の銀行に、自分で「債務整理します」と伝える | 支払の停止を伝えることになり、口座の準備の前に相殺が進むおそれ |
破産法252条1項1号は、免責不許可事由として「債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。」を挙げています。口座を移すこと自体は問題ありませんが、預金をどう扱うかは、必ず依頼した弁護士・司法書士の指示どおりにしてください。
口座や預金の扱いで迷ったら、動く前に、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
今の状況ごとに、最短でやること

私の場合は、何からすればいいですか。

借入先と口座の組み合わせで分けて考えましょう。
| 今の状況 | 最短でやること |
|---|---|
| 借入先は消費者金融・カード会社だけ | 銀行口座の心配はほとんどいらない。そのまま相談へ |
| 給料の振込口座がある銀行で、カードローンも借りている | 借入れのない銀行に口座を作り、給料・引き落としを移す段取りを、相談のときに弁護士・司法書士と決める |
| すでに受任通知が出ていて、借入先の銀行の口座が止まった | 依頼している弁護士・司法書士にすぐ連絡。給料日と引き落とし日を伝え、振込先の変更や支払方法の切り替えを急ぐ |
| 住宅ローンを借りている銀行に、カードローンもある | どの借入れをどの手続きで扱うかで、口座への影響が変わる。住宅を残したいなら個人再生も含めて相談 |
| 銀行のカードローンだけ外して任意整理したい | 外した銀行に返し続けられるかを家計で確かめてから、対象を決める |
借入先に銀行があって、どの順番で動けばいいか迷っているという方は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
よくある質問
Q. 債務整理をすると、すべての銀行口座が凍結されますか。
A. いいえ。相殺は、銀行と預金者が互いに債務を負っている場合の制度です(民法505条1項)。凍結のおそれがあるのは、借入れのある銀行の口座です。借入れのない銀行の口座は、原則として対象になりません(その銀行が保証人・保証会社になっている、借金を譲り受けた、といった場合を除きます)。
Q. 口座の凍結はいつまで続きますか。
A. 法律に日数の定めはなく、確認した銀行の規定にも記載はありません。相殺や保証会社の代位弁済の進み方しだいで、銀行ごとに違います。期間を当てにせず、受任通知の前に給料・引き落としの口座を移しておくのが確実です。
Q. 凍結された口座から、お金を引き出すことはできますか。
A. 入出金が制限されているあいだは、引き出せないことがあります。自己破産・個人再生の手続きが始まれば、銀行が支払の停止を知った後に入ったお金との相殺は原則として認められませんが(破産法71条1項3号・民事再生法93条1項3号。例外あり)、すぐに使えるとは限りません。依頼している弁護士・司法書士に相談してください。
Q. 任意整理でも口座は凍結されますか。
A. 借入先の銀行を任意整理の対象にして受任通知を送れば、凍結されるおそれがあります。任意整理は対象を選べるので、銀行を外す進め方もありますが、その場合は銀行への返済を続ける必要があります。
Q. 年金や児童手当が振り込まれる口座はどうなりますか。
A. 借入れのある銀行の口座なら、給料と同じく凍結や相殺の影響を受けるおそれがあります。振込先の変更には手続きと時間がかかるので、相談のときに振込口座の一覧も見せて、移す順番を決めてください。
Q. 家族の口座も凍結されますか。
A. 家族が借主や保証人になっていない限り、家族名義の口座は本人の借金の相殺の対象になりません。ただし、自己破産で預金を家族の口座に移すと、財産隠しを疑われるおそれがあります(破産法252条1項1号)。
まとめ
債務整理と銀行口座の凍結について押さえておくことは、次のとおりです。
🔎 30秒でわかる結論
- 凍結(相殺・入出金の制限)のおそれがあるのは、借入れのある銀行の口座だけ(民法505条1項)
- 受任通知を「支払の停止」と判断した最高裁判決(破産法の否認の事案)があり、銀行の規定では支払の停止で全額をすぐ払う状態になって、銀行が預金と相殺できるようになる
- いつまで続くかの日数は、法律にも、確認した銀行の規定にも書かれていない
- 自己破産・個人再生の手続きが始まれば、通知の後に入った預金との相殺は原則として認められない(例外あり)。任意整理にはこの定めがない
- 受任通知が銀行に届く前に、給料の振込口座と引き落とし口座を、借入れのない銀行に移しておく
借入先の一覧と、給料・引き落としに使っている口座の一覧を持って相談すれば、口座をどう移すか、通知をいつ出すかを決めてから動けます。口座が止まるのが怖いからこそ、準備の段取りから一緒に考えてもらってください。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov 民法(明治二十九年法律第八十九号)505条1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- e-Gov 破産法(平成十六年法律第七十五号)20条2項・67条1項・71条1項・162条1項・252条1項1号・7号・253条2項 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- e-Gov 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)92条1項・93条1項・2項 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
- 最高裁判所第二小法廷 平成24年10月19日判決(平成23年(受)第462号 否認権行使請求事件) https://www.courts.go.jp/hanrei/82647/detail2/index.html
- 最高裁判所 同判決 全文PDF https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-82647.pdf
- 三菱UFJ銀行「バンクイック ローン規定」(12条・13条・14条) https://www.bk.mufg.jp/regulation/banquic_loan.html
- 三井住友銀行「カードローン規定」(12条・16条・保証委託約款6条) https://www.smbc.co.jp/kojin/cardloan/pdf/kitei.pdf
- ドコモSMTBネット銀行「カードローン規定(旧ネットローン規定)新旧対照表」(期限の利益の喪失・取引の制限) https://www.netbk.co.jp/contents/company/userules/netloan.html
- 法テラス よくある相談「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-002.html
- 法テラス よくある相談「任意整理とは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-001.html
- 法テラス よくある相談「弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、貸金業者からの連絡が止まるのですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-004.html
- CIC「CICが保有する信用情報」(保有期間) https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年10月時点)
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