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・「自己破産したら、何年も積み立ててきたNISAもiDeCoも全部取られる」
・「老後のお金まで失うくらいなら、借金を返し続けるしかない」
こんな不安から、債務整理に踏み切れずにいる人も多いのではないでしょうか?
しかし、iDeCo(個人型確定拠出年金)や会社の企業型確定拠出年金は、給付を受ける権利の差押えが法律で禁止されています(確定拠出年金法32条1項)。破産法は、差し押さえることができない財産を「破産財団に属しない」と定めています(34条3項2号)。NISAも、自己破産以外の手続きを選べば、手放さずに済む道があります。
とはいえ、NISA口座の株や投資信託は自己破産では財産として扱われ、手続きの選び方を間違えると積み立てを失うおそれがあるのも事実です。
本記事では、自己破産・個人再生・任意整理で、NISA・iDeCo・財形貯蓄がそれぞれどう扱われるか、手続きの前にやってはいけないこと、破産後のNISA口座について紹介します。
NISAやiDeCoで積み立てをしている人はもちろんのこと、「積み立てを失いたくない」と債務整理をためらっている人も、自己判断で売ったり解約したりする前にしっかりと確認しておきましょう。

NISAとiDeCoで毎月積み立てています。でも借金が返せなくて……。自己破産したら、積み立ては全部なくなりますか。

全部なくなるとは限りません。iDeCoは、差押えが法律で禁止されています。破産法は、差し押さえることができない財産は破産財団(借金の返済に充てる財産)に入らないと定めています。NISAは扱いが違うので、分けて考えましょう。

NISAは取られてしまうんですか。

自己破産では、取られる(お金に換えられる)可能性があります。NISA口座の株や投資信託も財産として扱われるためです。ただ、個人再生や任意整理なら、手放さずに済む道があります。どの手続きを選ぶかで結果が変わるので、売ったり解約したりする前に相談してくださいね。
🔎 30秒でわかる結論
- ★iDeCo・企業型確定拠出年金は、給付を受ける権利の差押えが禁止(確定拠出年金法32条1項。iDeCoには73条で準用)。差し押さえることができない財産は破産財団に属しない(破産法34条3項2号)
- ★NISA口座の株・投資信託は、自己破産では財産として扱われる(破産法34条1項「一切の財産」)。札幌地裁の申立ての案内も、証券会社の口座や株の保有を確認して書くよう求めている
- ★個人再生なら、NISAを手放さずに済む。ただし財産の額は返す額の下限(清算価値)に入る。千葉地裁の書式は、確定拠出年金を「清算価値に計上する必要はありません」と明記
- ★任意整理は、裁判所を使わない話し合い(法テラス)。財産を手放す手続きではない
- ★手続きの前に、NISAを売って特定の借入先に返す・家族の名義に移す・申立書に書かないのはNG。免責が認められない理由(破産法252条1項1号・3号・8号)になりうる
📖 この記事でわかること
- 自己破産したらNISAはどうなる?
- 自己破産したらiDeCo・企業型確定拠出年金はどうなる?
- 財形貯蓄・積立はどうなる?
- 個人再生・任意整理なら、NISAはどうなる?
- 手続きの前にやってはいけないこと
- 自己破産した後でも、NISA口座は作れる?
- 債務整理のデメリットと、それでも今動く理由
- 今の状況ごとに、最短でやること
自己破産したらNISAはどうなる?

NISAは税金がかからないだけで、中身は普通の株や投資信託ですよね。

そのとおりです。NISAは税金の優遇を受けるための口座の仕組みで、中にあるのは株や投資信託です。NISAを特別に守る法律の定めは見当たらないので、自己破産では普通の株や投資信託と同じく財産として扱われると考えてください。
破産法34条1項は、「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。」と定めています。破産財団とは、債権者への配当に充てるために、管財人が管理してお金に換える財産のことです。NISA口座の株や投資信託も、この「一切の財産」に入ります。
申立書には、株などの有価証券を書く欄があります。札幌地裁の「破産・免責申立書の書き方と留意事項」は、申立てをする人に向けて、有価証券の欄について次のように案内しています。
📄 札幌地裁「破産・免責申立書の書き方と留意事項」 (8) 有価証券(株券・ゴルフ会員権・出資金など)
「証券会社等に口座を開設しているかどうかを確認し、現在の有価証券の保有や過去の有価証券の売買内容、代金の使途等を確認してください。」
つまり、NISA口座を黙っておくことはできません。今の保有だけでなく、過去に売った内容とお金の使い道まで確認して書くよう求められています。
| NISA口座の株・投資信託 | |
|---|---|
| 自己破産での扱い | 財産として扱われる(破産法34条1項)。申立書の「有価証券」の欄に書く |
| 申立てで確認して書くこと(札幌地裁の案内) | 証券会社の口座の有無、今の保有、過去の売買と代金の使い道 |
| 残せる基準 | 株・投資信託を自由財産の拡張で残せる金額の基準は、確認できた裁判所の公開資料には記載がなく、事案ごとの判断になる |
なお、財産の額は手続きの進み方にも関わります。たとえば水戸地裁は、平成31年4月1日から実施している運用として、預貯金・積立金・保険の解約返戻金・株券などの項目ごとの合計が20万円以上かどうかで、管財人が付く手続き(管財事件)に振り分けるかを判断すると公開しています。基準は裁判所ごとに違うので、自分の場合は相談のときに確かめてください。
✅ このセクションのまとめ
NISA口座の株や投資信託は、自己破産では財産として扱われ、申立書にも書く必要があります。どこまで残せるかを示す公開の基準は確認できず、事案によります。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
自己破産したらiDeCo・企業型確定拠出年金はどうなる?

iDeCoのほうはどうですか。老後のために、ずっと掛金を払ってきました。

iDeCoは、法律で差押えが禁止されています。会社の企業型確定拠出年金も同じです。そして、差し押さえることができない財産は、破産財団に入らないと破産法が定めています。
確定拠出年金法32条1項は、次のように定めています。
📄 確定拠出年金法32条1項(受給権の譲渡等の禁止等)
「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、老齢給付金及び死亡一時金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。」
この32条は企業型確定拠出年金の給付の規定で、iDeCo(個人型)の給付にも73条で準用されています。ただし書きのとおり、例外は国税の滞納処分(その例による処分を含む)です。借入先(カード会社や消費者金融など)からの差押えは、この例外に当たりません。
破産法34条3項2号は、「差し押さえることができない財産」は破産財団に属しないと定めています。差押えが禁止された財産は、破産しても債権者への配当に回す財産には入らない、という仕組みです。なお、同号にはただし書があり、差押えが許されたものなどは除かれます。
個人再生でも、千葉地裁の書式では、確定拠出年金は返す額(清算価値)の計算に入れないとされています。千葉地裁の小規模個人再生の申立書は、次のように書いています。
📄 千葉地裁 小規模個人再生手続開始申立書(財産目録)
「確定拠出年金、確定給付企業年金、中小企業退職金共済、小規模企業共済、社会福祉施設職員等退職金手当共済など、差押が禁止されているものについては、清算価値に計上する必要はありませんが、下記の欄に記載し、種類を明記してください。」
ただし、千葉地裁の書式では、計上はしなくても、申立書に書く必要があります。自己破産の申立書の書式で確定拠出年金の扱いを明記したものは、確認できませんでした。申立書への書き方も含めて、裁判所と事案ごとに確かめてください。
💡 iDeCoは「解約して返す」ことができない
iDeCoは、原則として60歳になるまで引き出せません。iDeCo公式サイトは「加入後は、原則、60歳以降の受給年齢に到達するまで、資産を引き出すことができません。」と案内しています。例外の脱退一時金は、60歳未満であること、iDeCoに加入できない人であること、通算拠出期間が5年以下又は資産が25万円以下であることなど、要件をすべて満たした場合に限られます。「iDeCoを解約して返済に回す」ことは、原則としてできません。
✅ このセクションのまとめ
iDeCo・企業型確定拠出年金の給付を受ける権利は、差押えが禁止されています(確定拠出年金法32条1項)。差し押さえることができない財産は破産財団に属しません(破産法34条3項2号)。申立書への書き方は裁判所ごとに確かめてください。
iDeCoや企業型確定拠出年金があって自己破産をためらっているという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
財形貯蓄・積立はどうなる?

会社の財形貯蓄もあります。これも取られますか。

取られる可能性があります。財産として扱われるためで、申立書に「積立金」として書くことになり、残せるかは額と事案しだいです。札幌地裁は、給与明細に天引きの記載がないか確認して書くよう案内しています。
一般財形貯蓄は、厚生労働省の説明では「勤労者が、金融機関などと契約を結んで3年以上の期間にわたって、定期的に」「賃金からの控除(天引)により、事業主を通じて積み立てていく」貯蓄です。札幌地裁の「破産・免責申立書の書き方と留意事項」は、積立金の欄について次のように説明しています。
📄 札幌地裁「破産・免責申立書の書き方と留意事項」 (7) 積立金(社内積立・財形貯蓄・事業保証金など)
「給与明細の中の「社内積立」、「財形貯蓄」等の記載の有無や預貯金通帳の中の積立金(互助会等の積立を含む。)の引落しの記帳の有無を確認し、他に積立金等がないかどうか確認してください。」
| 積み立てているもの | 自己破産での扱い(目安) | 根拠 |
|---|---|---|
| NISA(株・投資信託) | 財産として扱われる。申立書の「有価証券」の欄に書く | 破産法34条1項・札幌地裁 |
| iDeCo・企業型確定拠出年金 | 給付を受ける権利は差押え禁止=破産財団に属しない財産にあたる。申立書への記載は裁判所ごとに確認 | 確定拠出年金法32条1項・73条・破産法34条3項2号 |
| 財形貯蓄・社内積立 | 財産として扱われる。申立書の「積立金」の欄に書く | 札幌地裁・松江地裁 |
| 積立型の保険 | 解約返戻金が財産として扱われる | 別記事で解説 |
※実際の扱いは、裁判所・事案・財産の額によって変わります。
✅ このセクションのまとめ
財形貯蓄や社内積立は、申立書に「積立金」として書く財産です。給与明細の天引きの記載も確認して書きます。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
個人再生・任意整理なら、NISAはどうなる?

NISAをどうしても残したいです。自己破産以外の方法なら、残せますか。

個人再生や任意整理なら、NISAを手放さずに済む道があります。ただし、個人再生ではNISAの額が返す額の下限に入りますし、任意整理は返し続けられる収入が必要です。どちらが合うかは、借金の額と収入しだいです。
個人再生は、財産を処分せずに、借金を減らした額を原則3年で返していく手続きです。裁判所は、個人再生について「その返済総額が、債務者が自分の財産を処分して返済に当てる場合の額(清算価値)を上回らなければなりません」と説明しています。NISAの株や投資信託は手元に残せますが、その時価は清算価値に入るので、NISAの額が大きいほど、返す額の下限が上がります。千葉地裁の書式も、株券などの有価証券は「証券の写しとその証券の申立時の時価を明らかにする資料」を出すよう求めています。
任意整理について、法テラスは「裁判所などの公的機関を利用せず、当事者が私的に話合いをして、支払額や支払方法について合意をする手続です。」と説明しています。裁判所に財産を申告して処分する手続きではないので、NISAもiDeCoもそのまま続けながら、借入先と返し方を話し合う道があります。ただし、法テラスは任意整理のデメリットとして「債権者の了解と支払原資が必要になる。」と説明しています。相手の了解と、返していける収入が前提です。
| 自己破産 | 個人再生 | 任意整理 | |
|---|---|---|---|
| NISA(株・投資信託) | 財産として扱われる | 手放さずに済む。ただし時価は清算価値に入る | 続けられる(相手の了解と、返していける収入が前提) |
| iDeCo・企業型確定拠出年金 | 差押え禁止=破産財団に属しない財産にあたる | 千葉地裁の書式では清算価値に計上不要(記載は必要) | 続けられる(相手の了解と、返していける収入が前提) |
| 借金 | 免責されれば支払義務がなくなる | 減額した額を原則3年で返す | 話し合いで返し方を決める |
| 向いている人 | 返せる見込みがない | 収入はあり、財産を残したい | 利息の見直しなどで返していける |
※個人再生の最低限返す額は、借金の額と清算価値などで決まります(小規模個人再生は民事再生法174条2項4号・231条2項3号・4号。給与所得者等再生は241条2項7号の可処分所得の要件もあります)。
✅ このセクションのまとめ
個人再生ならNISAを手放さずに済みますが、時価は返す額の下限(清算価値)に入ります。任意整理は裁判所を使わない話し合いなので、NISAもiDeCoもそのまま続けられますが、返していける収入が必要です。
NISAを残したまま借金を整理したいという方は、自分にどの手続きが合うかを、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
手続きの前にやってはいけないこと

自己破産する前に、NISAを売って一番うるさい借入先に返しておこうかと思っていました。

それは、やってはいけないことの代表例です。特定の借入先だけに返すと、免責が認められない理由になりえますし、返したお金を取り戻される(否認される)こともあります。売る・移す・返すは、依頼する弁護士と決めてからにしましょう。
破産法252条1項は、免責が許可されない事由を挙げています。NISAや積立に関わりやすいのは、次の3つです。
| やってはいけないこと | 破産法の定め(原文) |
|---|---|
| NISAを売ったお金を隠す・家族の名義に移す | 252条1項1号「債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。」 |
| NISAを売って、特定の借入先にだけ返す | 252条1項3号「特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。」 |
| NISA口座を申立書に書かない、裁判所の調査で聞かれても答えない・うそを言う | 252条1項8号「破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。」(書かずに隠したと扱われれば1号の問題にもなる) |
出典:e-Gov 破産法(2026年10月時点)
特定の借入先への返済は、破産法162条であとから取り消される(否認される)ことがあります。また、借りたお金で投資をしていた場合は、252条1項4号(浪費又は賭博その他の射幸行為)が問題になることがあります。
💡 売っても記録は残る
札幌地裁の案内は、今の保有だけでなく「過去の有価証券の売買内容、代金の使途等」も確認して書くよう求めています。申立ての直前に売っても、売った内容と使い道は申立書に書くことになります。自己判断で動かず、依頼する弁護士と順番を決めてからにしてください。
✅ このセクションのまとめ
手続きの前に、NISAを売ったお金を隠す・家族に移す・特定の借入先にだけ返す・申立書に書かないと、免責が認められない理由になりえます(破産法252条1項1号・3号・8号)。売る・解約するは、弁護士と決めてからにしましょう。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
自己破産した後でも、NISA口座は作れる?

破産したあと、またNISAで積み立てを始めることはできますか。

始められる見込みはあります。金融庁が示すNISA口座の開設の要件に、破産したかどうかは入っていません。ただ、口座を開くのは銀行や証券会社なので、実際の手続きは申し込む先の案内で確かめてくださいね。
金融庁のNISA特設ウェブサイトは、NISA口座について次のように説明しています。
📄 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」(NISAを利用するには)
「NISAを利用するには、銀行や証券会社などにNISA口座を開設する必要があります。」「日本国内に住んでいる18歳以上*の方ならどなたでも開設できます。」(*利用する年の1月1日時点で18歳以上の成人の方が対象。2027年1月からは「つみたて投資枠」の年齢要件が撤廃され、0歳から17歳までの未成年者もNISA口座の開設が可能になります。)「口座は1人につき1口座のみ開設可能です。」
債務整理をすると、借入れやクレジットカードは数年間作りにくくなります。たとえば法テラスは、任意整理について「信用情報を取り扱う機関に登録されることにより、数年間は、借入れやクレジットカードの作成が難しくなる。」と説明しています(CICのクレジット情報の保有期間は「契約期間中および契約終了後5年間」)。ただ、NISAは借金をする仕組みではなく、自分のお金で株や投資信託を買う仕組みです。自分のお金で積み立てる道まで閉ざされるわけではありません。
💡 再スタートは「自分のお金の範囲」で
生活を立て直す時期は、借りたお金で投資をせず、自分のお金の範囲で積み立てるようにしましょう。借金をして投資をしていた場合は、自己破産で免責が認められない事由(浪費又は賭博その他の射幸行為)が問題になることもあります(破産法252条1項4号)。
✅ このセクションのまとめ
金融庁が示すNISA口座の開設要件は「日本国内に住んでいる18歳以上」(2026年10月時点)で、破産歴は入っていません。実際の手続きは、申し込む銀行や証券会社の案内で確かめてください。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
債務整理のデメリットと、それでも今動く理由

積み立てを守れる方法があるのはわかりました。でも、債務整理そのもののデメリットも気になります。

大事なところなので、先にお伝えしますね。デメリットはあります。そのうえで、返せない借金を抱えたまま積み立てを続けるほうが、結局は積み立てを取り崩すことになりやすいんです。
| デメリット | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 自己破産では財産を失う | 「生活に必要な家財道具等の一定の財産以外は、失うことになる。(ただし、99万円以下の現金は手元に残せる。)」 | 法テラス |
| 任意整理には相手の了解と原資が要る | 「債権者の了解と支払原資が必要になる。」 | 法テラス |
| 個人再生では財産の額が返す額に響く | 返済総額が清算価値を上回らなければならない | 裁判所 |
| 借入れ・カードが作りにくくなる | 「信用情報を取り扱う機関に登録されることにより、数年間は、借入れやクレジットカードの作成が難しくなる。」(任意整理) | 法テラス |
借金を返すために積み立てを止めたり、NISAを少しずつ売ったりしていると、老後のためのお金が、高い利息の返済に消えていきます。しかも、延滞が続いて裁判を起こされると、預金や給料が差し押さえられることもあります。
債務整理なら、iDeCoは差押えが禁止された権利として扱われ、NISAは個人再生・任意整理で手放さずに済む道を検討できます。取り崩してしまう前に相談すれば、選べる手続きが広がります。
✅ このセクションのまとめ
債務整理にはデメリットがありますが、返済のために積み立てを取り崩し続けるほうが、老後のお金を失いやすくなります。手続きを選べるうちに相談するのが近道です。
積み立てを取り崩しながら返済を続けているという方は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
今の状況ごとに、最短でやること
| 今の状況 | 最短でやること |
|---|---|
| NISAの残高が大きく、手放したくない | 個人再生・任意整理で残せるかを相談。NISAの時価がわかる画面を持っていく |
| iDeCoがあり、自己破産で失うのが不安 | iDeCoは差押え禁止の権利。申立書への書き方は相談で確かめる。iDeCoの残高のお知らせを持っていく |
| 返済のためにNISAを売ろうとしている | 売る前に相談。特定の借入先にだけ返すのは避ける |
| 借りたお金で投資をしていた | 免責の見通し(252条1項4号)を含めて相談する |
| すでに延滞していて、督促が来ている | 積み立てを取り崩す前に、今すぐ相談して借金そのものの整理を始める |
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
よくある質問
Q. 自己破産したら、NISA(つみたて投資枠を含む)は強制的に解約されますか。
A. 強制的に解約されるとは限りませんが、残せるとも言い切れません。NISAの株や投資信託は、自己破産では財産として扱われます(破産法34条1項)。どう扱われるかは、財産の額や裁判所・管財人の判断によります。残したい場合は、個人再生や任意整理も含めて、手続きを選ぶ前に相談してください。
Q. iDeCoは自己破産しても残りますか。
A. iDeCoの給付を受ける権利は、確定拠出年金法32条1項(73条で準用)で差押えが禁止されています。破産法34条3項2号は、差し押さえることができない財産は破産財団に属しないと定めています。ただし、申立書への記載は裁判所の書式で異なります。扱いは裁判所と事案ごとに確かめてください。
Q. 自己破産の前にiDeCoを解約して、生活費にできますか。
A. iDeCoは原則として60歳になるまで引き出せません。例外の脱退一時金は、60歳未満であること、通算拠出期間が5年以下又は資産が25万円以下であることなど、要件をすべて満たした場合に限られます(iDeCo公式サイト)。
Q. 個人再生でも、NISAは残せますか。
A. 個人再生は財産を処分しない手続きなので、NISAを手放さずに済みます。ただし、NISAの時価は清算価値に入り、返済総額は清算価値を上回らなければなりません(裁判所)。NISAの額が大きいほど、返す額の下限が上がります。
Q. 任意整理をしたら、NISAは続けられますか。
A. 任意整理は、裁判所を使わずに借入先と返し方を話し合う手続きです(法テラス)。財産を処分する手続きではないので、NISAは続けられます。ただし、話し合いで決めた返済を続けることが前提です。積み立てと返済のどちらを優先するかは、相談のときに家計と合わせて決めましょう。
Q. NISAがあることを隠して自己破産するとどうなりますか。
A. 財産を隠すことや、裁判所の調査で虚偽の説明をすることは、免責が許可されない事由です(破産法252条1項1号・8号)。札幌地裁の案内は、証券会社の口座の有無や過去の売買まで確認して書くよう求めています。必ず申告してください。
まとめ
自己破産とNISA・iDeCoについて押さえておくことは、次のとおりです。
🔎 30秒でわかる結論
- iDeCo・企業型確定拠出年金の給付を受ける権利は、差押えが禁止(確定拠出年金法32条1項・73条)。差し押さえることができない財産は破産財団に属しない(破産法34条3項2号)
- NISA口座の株・投資信託は、自己破産では財産として扱われる。申立書に書き、過去の売買と代金の使い道も書く(札幌地裁の案内)
- 個人再生ならNISAを手放さずに済むが、時価は清算価値に入る。任意整理は裁判所を使わない話し合いで、NISAもiDeCoも続けられる(相手の了解と、返していける収入が前提)
- 手続きの前に、NISAを売って特定の借入先に返す・隠す・家族に移す・申立書に書かないのはNG(破産法252条1項1号・3号・8号)
- 金融庁が示すNISA口座の開設要件は「日本国内に住んでいる18歳以上」。破産歴は要件に入っていない
NISAとiDeCoの残高がわかる画面と、借入先の一覧を持って相談すれば、どの手続きなら積み立てを残せるか、何を申告すればいいかを弁護士と一緒に決められます。積み立てを取り崩してしまう前に、まず相談してください。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov 確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)32条1項(受給権の譲渡等の禁止等)・73条(個人型年金への準用規定)・附則3条(脱退一時金) https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000088
- e-Gov 破産法(平成十六年法律第七十五号)34条1項・3項2号・4項(破産財団の範囲)・162条(特定の債権者に対する担保の供与等の否認)・252条1項1号・3号・4号・8号(免責許可の決定の要件等) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCoの特徴|iDeCoってなに?」 https://www.ideco-koushiki.jp/guide/
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)よくあるご質問(解約・脱退一時金) https://www.ideco-koushiki.jp/faq/
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」(NISAを利用するには) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
- 札幌地方裁判所「破産・免責申立書の書き方と留意事項」((7)積立金・(8)有価証券) https://www.courts.go.jp/sapporo/vc-files/sapporo/file/hasan_saisei/R6.1_moushitatesyonokakikata.pdf
- 水戸地方裁判所「同廃・管財振り分けの運用について」(平成31年4月1日実施) https://www.courts.go.jp/mito/vc-files/mito/file/31.4.1hasankijyun.pdf
- 松江地方裁判所「破産・免責手続のあらまし」「破産申立書(個人用)等の記入要領」(積立金等・有価証券等) https://www.courts.go.jp/matsue/vc-files/matsue/2023/20240115_hasanzikensyosiki/1_hasantetudukinoaramashi_moushitateshokinyuuyouryou.pdf
- 千葉地方裁判所 小規模個人再生手続開始申立書(財産目録) https://www.courts.go.jp/chiba/vc-files/chiba/2024/minji/saisei/02_2_20240426.pdf
- 裁判所「個人再生」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_18/index.html
- 法テラス よくある相談「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-002.html
- 法テラス よくある相談「任意整理とは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-001.html
- 法テラス よくある相談「任意整理のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-002.html
- 厚生労働省「財形貯蓄制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106564.html
- CIC「CICが保有する信用情報」(保有期間) https://www.cic.co.jp/guide/credit-information/possession/
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年10月時点)
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