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「自己破産をしたら、今の暮らしはどうなるのか」——手続きの中身より先に、手元に何が残るのかが気になっている方も多いのではないでしょうか。

自己破産をしたら、家も車も全部取り上げられてしまうんでしょうか。今の暮らしに必要なものまで無くなったら、生活できません。

ご安心ください。自己破産をしても、生活に必要な最低限の財産(自由財産=手元に残せる財産)は残せます。すべてを失うわけではありません。

でも、持ち家や車が具体的にどうなるのか、ちゃんと知っておきたいです。

この記事では、持ち家・車の扱いと「残せる財産」の範囲を、裁判所・法テラス・法令(e-Gov)などの公的情報だけを根拠に整理していきますね。

専門的な話も多そうで、正直ちょっと不安です…。

難しく感じるところは、一緒に整理していきましょう。まずは結論からお伝えしますね。
🔎 30秒でわかる結論
- 持ち家:自己破産では原則として処分の対象。自宅を残したいなら「個人再生の住宅ローン特則」を検討する(自己破産では守れない)。
- 車:ローン返済中は所有権留保でローン会社に引き上げられることが多い。完済済みでも価値が高ければ換価対象、価値が乏しければ残せる場合がある(裁判所の運用による)。
- 残せる財産=自由財産:目安として99万円以下の現金や生活に欠かせない家財などは手元に残せる(破産法34条)。
- 財産処分・手続き中の資格制限・官報掲載などのデメリットは必ず伴う。保証人がいる借金は保証人に請求が及ぶ。
📖 この記事でわかること
- 持ち家・車が自己破産でどう扱われるか
- 残せる財産(自由財産)の範囲と「99万円」の意味
- 自己破産のデメリット(資格制限・官報・保証人・信用情報)
- 費用の目安と法テラスの立替制度
- 自己破産が向いている人・慎重に検討すべき人
自己破産で「処分される財産」と「残せる財産(自由財産)」の基本

そもそも、自己破産をすると財産はどう扱われるんですか?

一定額を超える財産はお金に換えて(換価して)配当に回されます。ただ、生活を立て直せるように「自由財産」として残せる財産も、法律できちんと定められているんですよ。
自己破産(管財事件)では、原則として一定額を超える財産はお金に換えて(換価して)債権者への配当に回されます。一方で、破産した人が生活を立て直せるよう、法律は手元に残せる財産=「自由財産」を定めています。裁判所の説明でも、破産手続は「財産を換価・配当し、免責許可決定で残った債務の支払義務を免れる」制度と整理されています(松江地方裁判所「破産手続のあらまし」)。
| 残せる可能性が高いもの(自由財産) | 処分の対象になりやすいもの |
|---|---|
| 99万円以下の現金 | 持ち家(住宅ローンの有無を問わず) |
| 生活に欠かせない家財道具 | 価値の高い車・バイク |
| 仕事に必要な最低限の道具など | 預貯金・保険の解約返戻金・有価証券など(一定額超) |
※何が自由財産に当たるかは事案・裁判所の運用によります。上表は一般的な傾向であり、個別の可否は専門家にご確認ください。
持ち家はどうなる?(住宅ローンの有無で変わる)

家だけは、なんとか残せないでしょうか…。

正直にお伝えすると、自己破産では持ち家は原則として処分の対象になります。ただ、別の手続きで残せる可能性もありますよ。
自己破産では、持ち家は原則として処分の対象になります。住宅ローンが残っている場合は、金融機関が設定した抵当権により競売や任意売却で処分され、ローンを完済している場合でも「資産」として換価の対象になります。自己破産で自宅を守ることはできません。
「どうしても自宅を残したい」という場合に検討されるのが、個人再生の住宅ローン特則です。住宅ローンはそのまま払い続けながら、それ以外の借金を減らす方法で、自己破産とは別の手続きです。詳しくは個人再生とは?任意整理・自己破産との違いをご覧ください。どちらが向いているかは、収入や資産の状況によって変わります。
💡 ポイント
自宅を残したいときの選択肢は「個人再生の住宅ローン特則」です。自己破産の中では自宅を守ることはできません。
車はどうなる?(ローンの有無・所有権留保)

車はどうですか?通勤などで必要なので、できれば残したいです。

ローンが残っているかどうかで扱いが変わります。順番に見ていきましょう。
車の扱いは、ローンが残っているかどうかで大きく変わります。
- ローン返済中の車:ローン会社が車の所有権を「留保」している(所有権留保)ことが多く、自己破産をするとローン会社に引き上げられるのが一般的です。
- ローンを完済した車:自分の財産として扱われます。価値が高ければ換価の対象となり、価値が乏しければ生活に必要なものとして手元に残せる場合があります(残せるかどうかは車の価値と裁判所の運用によります)。
💡 ここ、勘違いされがち
「必ず○万円以下なら残せる」と断定する情報も見かけますが、具体的な基準は裁判所や事案によって異なります。当サイトでは公的機関が明示していない金額基準は断定せず、「価値によって扱いが変わる/個別判断」とお伝えします。
残せる財産=自由財産の範囲(「99万円」の意味)

さっき出てきた「99万円」って、何を根拠にした金額なんですか?

破産法という法律で定められている金額なんです。条文の内容を分かりやすくご説明しますね。
破産法では、破産手続開始後に得た財産(新得財産)や、差押えが禁止される財産に加えて、99万円までの現金を自由財産として認めています。これは、破産法34条3項1号が民事執行法131条3号の金額(標準的な世帯の2か月分の必要生計費)を基準とし、その1.5倍にあたる金額を残せるとしているためです(根拠条文はe-Govで確認できます)。
さらに、破産法34条4項では、裁判所が個別の事情に応じて自由財産の範囲を広げる「自由財産の拡張」を認めています。生活に本当に必要な財産については、裁判所の判断で手元に残せる余地があるということです。何を残せるかは事案によって異なるため、必ず弁護士・司法書士に確認してください。
自己破産のデメリット(必ず確認)

良いことばかりでなく、デメリットもきちんと知っておきたいです。

もちろんです。大事なことなので、一つずつ確認していきましょう。
- 一定額を超える財産は処分される:持ち家、価値の高い車、預貯金・保険の解約返戻金などは換価・配当の対象になり得ます。
- 手続き中の資格制限:生命保険外務員・警備員など一部の職業は、手続き期間中に就けなくなります。ただし制限は手続き中のみで、免責許可決定の確定により復権します。選挙権は失いません(松江地裁・法テラス)。
- 官報に掲載される:破産手続開始決定・免責許可決定は官報に住所氏名等とともに載ります。ただし戸籍・住民票には記載されません(法テラス)。
- 保証人への影響:主債務者が自己破産しても、保証人・連帯保証人の支払義務は残り、債権者は保証人に請求できます(大分地裁Q&A)。
- 信用情報への登録:いわゆるブラックリスト。目安として5年程度、新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなります(機関により差。詳細は下記)。
費用の目安(裁判所実費・法テラス)

手続きにかかる費用も心配です…。

弁護士費用は事務所ごとに違いますが、公的に確認できる実費や、費用を立て替えてくれる制度もありますよ。
弁護士・司法書士の報酬に公的な一律料金表はなく、事務所ごとに異なります。公的に確認できるのは、裁判所に納める実費と法テラスの立替基準です。松江地方裁判所の申立書式資料では、財産が乏しく手続きを簡略化できる同時廃止で予納金など合計11,859円、財産がある管財事件では20万円〜の予納金が例として示されています(裁判所により異なります)。
費用の準備が難しい場合は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助で着手金・実費を立て替えてもらい、無利息で分割返済できる制度があります(資力基準などの要件あり)。費用面は債務整理の費用が払えないときの選択肢で詳しく解説しています。
信用情報への影響(いわゆるブラックリスト)

いわゆる「ブラックリスト」というのも、どのくらいの期間なのか気になります。

信用情報機関ごとに、登録期間の目安をまとめました。
| 信用情報機関 | 登録期間の目安 |
|---|---|
| CIC | 自己破産は免責決定を確認した会社の報告日から5年 |
| JICC | 契約内容・返済状況は契約終了後5年以内(2019/10/1以降の契約) |
| KSC(全国銀行協会) | 官報情報(破産・民再の開始決定)は決定日から7年を超えない期間 |
登録期間中は新規のローンやクレジットカードの審査が通りにくくなりますが、期間が経過すれば情報は消え、再び利用できるようになります。自分の登録状況は各機関に開示請求して確認できます(CIC・JICC・KSC。KSCはインターネットで800円・最短3〜5営業日)。
自己破産が向いている人・慎重に検討すべき人

自分の場合、自己破産が向いているのか、正直まだよく分かりません。

一般的な目安を表にまとめました。ご自身に近い方を参考にしてみてください。
| 向いている人 | 慎重に検討すべき人 |
|---|---|
| 収入や資産から見て返済の見込みが立たない | どうしても残したい持ち家がある |
| 残せる財産(自由財産)で生活を立て直したい | 手続き中に制限される資格・職業で働いている |
| 督促を止めて再スタートを切りたい | 保証人に迷惑をかけたくない(別の方法も比較したい) |
よくある質問(FAQ)

最後に、よくある疑問をいくつか聞いてもいいですか?

もちろんです。よく寄せられる質問をまとめました。
Q. 賃貸住まいでも自己破産で追い出されますか?
持ち家と異なり、賃貸物件は「所有する財産」ではないため、自己破産そのものを理由に退去を迫られるわけではありません。ただし家賃の滞納がある場合は別の問題になります。個別の事情は専門家にご確認ください。
Q. 家族名義の家や車も処分されますか?
処分の対象になるのは、原則として破産する本人名義の財産です。家族名義の財産がそのまま換価されるわけではありません。ただし名義や資金の出所によっては問題になる場合があるため、正確な判断は専門家に相談してください。
Q. 現金が99万円を超えていたら全部取られますか?
99万円は自由財産として残せる現金の目安です。超える部分は原則として換価の対象になり得ますが、破産法34条4項の「自由財産の拡張」により、事情に応じて残せる範囲が広がることもあります。
まとめ

なんとなく全体像がつかめました。最後にもう一度、要点を教えてください。

はい。最後にまとめておきますね。ご自身の状況は、ぜひ専門家と一緒に確認してみてください。
✅ このセクションのまとめ
自己破産をしても、生活に必要な最低限の財産(自由財産)は残せます。目安として99万円以下の現金や生活必需品などは手元に残る一方、持ち家は原則処分の対象、ローン中の車は引き上げられるのが一般的です。自宅を残したい場合は個人再生の住宅ローン特則など別の方法も選択肢になります。財産処分・資格制限・官報掲載・保証人への影響といったデメリットもあるため、自分の資産と生活の優先順位を踏まえて、どの手続きが最適かを専門家と一緒に判断することが大切です。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov法令検索「破産法」(34条=自由財産・252条=免責):https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- 松江地方裁判所「破産手続のあらまし」(同時廃止・管財の実費例):裁判所PDF
- 法テラス「自己破産をすると財産はどうなりますか?」:houterasu.or.jp
- 法テラス「官報掲載・戸籍への影響」ほか:houterasu.or.jp
- 大分地方裁判所・簡易裁判所「債務整理Q&A」(保証人への影響):裁判所PDF
- CIC「信用情報の登録期間」:cic.co.jp
- JICC「信用情報の登録内容と登録期間」:jicc.co.jp
- 全国銀行協会(KSC)「本人開示・登録情報について」:zenginkyo.or.jp
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年8月時点)

