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・「個人再生をすれば、借金は必ず5分の1になる」
・「自己破産より軽い手続きだから、とりあえず個人再生を選べばいい」
こんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、民事再生法231条2項が定める下限は計算の一部にすぎず、実際は条文の下限・清算価値・(給与所得者等再生なら)可処分所得2年分のうちいちばん高い額が基準になるため、必ず5分の1になるわけではありません。また個人再生は自己破産と「軽い・重い」ではなく性質が違う手続きで、3年(特別の事情があれば5年以内)払い続けられる収入が前提です。
とはいえ、収入の見込みが立たなかったり、小規模個人再生で債権者の反対が一定数を超えたりすると認可されないことがあるのも事実です。
本記事では、個人再生で「いくらまで減るのか」の決まり方、住宅資金特別条項で家を残せる条件、費用の目安、任意整理・自己破産との違いについて紹介します。
現在すでに住宅ローンが残る自宅を手放したくない人はもちろんのこと、借金の総額が大きく任意整理では返しきれないという人も、個人再生の条件についてしっかりと理解しておきましょう。
借金を整理したいのですが、今の家だけはどうしても手放したくないんです。
住宅ローンが残っていても家を残せる可能性があるのが、個人再生という手続きです。「住宅資金特別条項」という仕組みが法律に用意されています。
借金はどれくらい減るんでしょうか。ネットで「5分の1になる」と見たのですが…。
そこは慎重にお伝えします。条文が定めているのは「これを下回ると認可されない」という下限で、しかも下限を決める条件は1つではありません。順番に見ていきますね。
自己破産よりは軽い手続き、という理解でいいですか?
軽いというより「性質が違う」手続きです。減った借金を3年(事情によっては5年以内)で払い切る前提なので、続けられる収入があることが土台になります。
🔎 30秒でわかる結論
- 個人再生は、裁判所を通して借金を減らし、残りを原則3年(特別の事情があれば5年以内)の分割で払う手続きです(民事再生法229条2項2号)。
- 住宅資金特別条項を使えば、住宅ローンはそのまま払い続けて家を残し、他の借金だけを整理できる可能性があります。ただし住宅ローン自体は減りません。
- いくらまで減るかは1つの計算では決まりません。条文の下限・持っている財産の価値(清算価値)・給与所得者等再生なら可処分所得2年分、このいちばん高い額が基準になります。
- 利用するには継続的・反復的な収入の見込みと、住宅ローンを除く借金が5,000万円以下であることが必要です(民事再生法221条1項)。
- 小規模個人再生では債権者の反対で認可されないことがあります(民事再生法230条6項)。「申し立てれば必ず通る」制度ではありません。
📖 この記事でわかること
- 個人再生で「いくらまで減るのか」の決まり方(条文ベース・3つの下限)
- 小規模個人再生と給与所得者等再生のちがい
- 住宅資金特別条項で家を残せる条件と、残せないケース
- 費用の目安(東京地裁の公表額)と、法テラスで立て替えられない部分
- 個人再生できないケース(申立て前・手続き中・認可後の3つの段階)
- 任意整理・自己破産との比較、向いている人・向いていない人
- 信用情報・官報など、生活への影響が「いつまで」続くか
個人再生とは?使える条件は条文で決まっている
誰でも使える手続きなんですか?
いいえ。入口の条件が条文にはっきり書かれています。ここを最初に確認するのが近道です。
民事再生法221条1項は、小規模個人再生を利用できる人を次のように定めています。
個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。
出典:e-Gov法令検索「民事再生法」221条1項(2026年8月時点)
整理すると、入口の条件は次の2つです。
- 将来において継続的または反復して収入を得る見込みがあること(減った借金を払い続ける前提のため)
- 住宅ローンなどを除いた借金の総額が5,000万円以下であること
2つの型:小規模個人再生と給与所得者等再生
個人再生には2つの型があります。給与所得者等再生について、民事再生法239条1項は「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるもの」と定めています。会社員のように収入が安定している人向けの型です。
| 小規模個人再生 | 給与所得者等再生 | |
|---|---|---|
| 収入の条件 | 継続的または反復した収入の見込み | 定期的な収入+変動の幅が小さいこと |
| 債権者の決議 | あり(反対が一定数を超えると認可されない) | なし |
| 払う額の下限 | 条文の最低額と清算価値のうち高いほう | 上記に加えて可処分所得2年分も下限になる |
| 令和7年の新受件数 | 10,753件 | 662件 |
出典:e-Gov法令検索「民事再生法」221条・230条・231条・239条・241条/裁判所「司法統計年報」(令和7年 民事・行政編)(2026年8月時点)
💡 ここ、勘違いされがち
「会社員だから給与所得者等再生」ではありません。件数を見ると、実際に使われているのは圧倒的に小規模個人再生のほうです。給与所得者等再生には可処分所得2年分という追加の下限があるため、払う額が大きくなりやすいからです。どちらを選ぶかは、計算してみないと決まりません。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
いくらまで減るのか:下限は「3つの物差し」で決まる
「5分の1になる」という説明をよく見かけますが、本当ですか?
条文の一部分だけを取り出した説明です。実際は3つの物差しのうちいちばん高い額が下限になります。ここを知らないと、思っていた額と違うことになります。
物差し① 条文が定める最低弁済額
民事再生法231条2項は、次に当たる場合に再生計画不認可の決定をすると定めています。つまり、これを下回る計画は通りません。
- 3号:借金の総額が3,000万円超5,000万円以下の場合 → 計画で払う総額が、その総額の10分の1を下回るとき
- 4号:借金の総額が3,000万円以下の場合 → 計画で払う総額が、「基準債権の総額の5分の1」または「100万円」のいずれか多い額を下回るとき(総額が100万円を下回るときはその総額、5分の1が300万円を超えるときは300万円)
出典:e-Gov法令検索「民事再生法」231条2項3号・4号(2026年8月時点)
条文から目安を計算すると、次のようになります(あくまで条文から導いた目安で、この表そのものが公的機関に掲載されているわけではありません)。
| 借金の総額(住宅ローン等を除く) | 条文から導かれる最低弁済額の目安 |
|---|---|
| 100万円未満 | その総額(減りません) |
| 100万円以上 500万円以下 | 100万円(5分の1が100万円以下のため) |
| 500万円超 1,500万円以下 | 総額の5分の1 |
| 1,500万円超 3,000万円以下 | 300万円(5分の1が300万円を超えるため上限300万円) |
| 3,000万円超 5,000万円以下 | 総額の10分の1 |
たとえば借金300万円なら5分の1は60万円ですが、100万円のほうが多いので、目安は100万円。借金400万円でも5分の1は80万円なので、やはり目安は100万円です。借金500万円だと5分の1がちょうど100万円で、どちらの額でも100万円になります。「必ず5分の1になる」わけではありません。
物差し② 清算価値(持っている財産の価値)
裁判所は個人再生について、再生計画の内容は原則として3年間で債務の一定割合を分割して返済するものだとしたうえで、「その返済総額が、債務者が自分の財産を処分して返済に当てる場合の額(清算価値)を上回らなければなりません。」と説明しています。これが清算価値保障原則です。持ち家や解約返戻金のある保険など、財産があるほど払う額は上がります。条文の最低額が100万円でも、清算価値が300万円なら300万円が基準になります。
出典:裁判所「個人再生」(2026年8月時点)
物差し③ 可処分所得2年分(給与所得者等再生のみ)
給与所得者等再生を選ぶ場合は、さらにもう1つの下限が加わります。民事再生法241条2項7号は、収入から所得税・住民税・社会保険料を差し引いた額から、本人と扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な1年分の費用を控除し、それに2を乗じた額以上でなければ認可しないと定めています。差し引く生活費の額は、年齢・居住地域・扶養を受けるべき者の数・物価の状況その他一切の事情を勘案して政令で定められます(同条3項)。
裁判所も同じ趣旨を、「給与所得者等再生では、返済する総額が、債務者の手取収入額から生活に必要な費用を控除した額(いわゆる可処分所得額。政令の定めに従って計算される額です。)の2年分以上である必要があります。」と説明しています。
出典:裁判所「個人再生」(2026年8月時点)
💡 ポイント
払う額は、①条文の最低額 ②清算価値 ③(給与所得者等再生なら)可処分所得2年分のうち、いちばん高い額が基準になります。だから同じ借金額でも、人によって結果はまったく違います。ネットの早見表だけで自分の額を決めつけないでください。
✅ このセクションのまとめ
「5分の1になる」は条文の一部だけを切り取った表現です。財産があるほど、収入が高いほど、払う額は上がります。金額別の考え方は 借金200万・300万・500万が返せない…金額別に見る現実的な選択肢 でも解説しています。
想定と違う結果になる前に、まずは無料相談で現状を話してみてください。
住宅資金特別条項で家を残せる条件
家を残せるということは、住宅ローンも減るんですか?
いいえ、そこは大事な区別です。住宅ローンはそのまま払い続けるかわりに家を守る、という仕組みです。減るのは他の借金のほうです。
法テラスは、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)について、住宅ローンはこれまでどおり支払い、住宅を手放さずに他の借金を整理する方法だとしたうえで、住宅ローンの総額そのものが減るわけではない点を説明しています。マイホームを守る制度であって、住宅ローンを軽くする制度ではありません。
出典:法テラス「そのほかの債務整理」(2026年8月時点)
住宅側にも条件があります。鹿児島地方裁判所の個人再生手続説明書では、おおむね次の要件が示されています。
- 本人が所有し、本人の居住用であること(店舗兼住宅の場合は床面積の2分の1以上が居住用)
- 住宅ローン以外の抵当権が付いていないこと
- 土地だけに抵当権が付いている、といった形ではないこと
出典:鹿児島地方裁判所「個人再生手続説明書」(平成17年1月1日版/2026年8月に内容を確認。要件の細部は申立先の裁判所の最新の案内で確認してください)
💡 ここ、勘違いされがち
住宅ローン以外の借入れで自宅に抵当権を付けている場合、この条項は使えないことがあります。事業の運転資金のために自宅を担保に入れた、といったケースは要注意です。詳しくは 個人再生の住宅ローン特則とは?家を残して借金を減らせる条件 にまとめています。
住宅ローン以外の借入れで自宅に抵当権を付けている方は、少しでも早めに債務整理を検討するのがおすすめです。
費用の目安(裁判所に納める額と、立て替えられない部分)
裁判所は個人再生の申立てに必要な費用として、収入印紙1万円分のほか、連絡用の郵便料と予納金が必要で、郵便料等は裁判所ごとに異なるとしています。具体的な額を公表している例として、東京地方裁判所の資料を見てみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 申立手数料 | 1万円(収入印紙) |
| 裁判所予納金(官報公告費用) | 1万5,120円(中目黒庁舎の出納窓口で納付する場合は1万6,000円) |
| 予納郵便切手 | 1,990円分ほか(債権者数に応じて追加) |
| 分割予納金 | 個人再生委員が指定する口座へ、計画弁済予定額を振り込む |
出典:東京地方裁判所「個人再生手続の申立てに当たって(令和7年11月1日以降適用)」/裁判所「個人再生」(2026年8月時点)
最後の「分割予納金」は、いわば本番前の予行演習です。再生計画で払う予定の額を、手続き中から実際に振り込んでいきます。払い続けられるかどうかが、この時点で確かめられることになります。
💡 費用について、正直に知っておきたいこと
法テラスは立替えできない費用について、「民事再生事件の予納金については、生活保護の受給の有無にかかわらず、立替えの対象とはなりません」と明記しています。弁護士・司法書士費用の立替えは使えても、裁判所へ納める予納金は自分で用意する必要があります。ここは事前に確認しておくべき点です。
出典:法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」(2026年8月時点)
なお、法テラスの立替制度そのものは、①収入や資産が一定基準以下であること ②勝訴の見込みがないとはいえないこと ③民事法律扶助の趣旨に適すること、の3つを満たせば利用でき、立て替えた費用は分割で返済します。生活保護を受給している間は返済が猶予され、事件終了後も受給していれば免除の申請ができます(免除されるかどうかは申請時の状況等をあわせて審査されます)。
そのため、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
デメリットと、通らないことがある理由
申し立てれば、必ず認めてもらえるものではないんですね…。
はい。ここは先に知っておいてほしいところです。とくに小規模個人再生には、債権者の意思が関わる仕組みがあります。
① 小規模個人再生は、債権者の反対で通らないことがある
民事再生法230条6項は、再生計画案に同意しないと回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ、その議決権の額が議決権者の議決権の総額の2分の1を超えないときに、可決があったものとみなすと定めています。裏を返せば、反対がこの水準を超えると可決されません。
借入先が1〜2社に集中している場合、その1社が反対しただけで条件を満たしてしまうことがあります。「個人再生は必ず借金が減る手続き」ではありません。なお給与所得者等再生には、この決議がありません。反対が見込まれる場合は、給与所得者等再生や他の方法も含めて、早めに専門家へ相談すれば選択肢を狭めずに検討できます。
出典:e-Gov法令検索「民事再生法」230条6項(2026年8月時点)
② 収入の見込みがないと不認可になる
民事再生法231条2項1号は、再生債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがないときは再生計画不認可の決定をする、と定めています。同項2号は、借金の総額が5,000万円を超えているときも同様です。個人再生は「返せる人が、返せる額まで減らしてもらう」制度である、という前提がここに表れています。収入の見込みに不安がある場合は、自己破産など他の方法が向いていないかを含めて確認するのが最短です。
③ 信用情報に記録が残る
CIC(指定信用情報機関)は「当社が保有する信用情報に、ブラックリストという名のリストはありません。保有しているのは、客観的な取引事実を表す信用情報になります。」としています。「リストに載る」のではなく、事実が記録される仕組みです。保有期間は機関ごとに公表されています。
| 信用情報機関 | 公表されている保有期間 |
|---|---|
| CIC | クレジット情報は契約中および契約終了から5年間(官報情報は平成21年4月1日より収集・保有を中止しており現在は保有していない) |
| JICC | 2019年10月1日以降の契約は、契約内容・返済状況・取引事実(債務整理等)とも契約継続中および契約終了後5年以内 |
| KSC(全国銀行協会) | 取引情報は契約終了日から5年を超えない期間。官報情報(再生手続開始決定など)は当該決定日から7年を超えない期間 |
出典:CIC「支払いが遅れると、ブラックリストとしてCICに登録されるのですか?」/JICC「登録情報と登録期間」/全国銀行協会「全国銀行個人信用情報センターの概要」(2026年8月時点)
④ 官報に掲載される
再生手続開始の決定などは官報に掲載されます(東京地裁の予納金1万5,120円は、この官報公告の費用です)。戸籍や住民票に載ることはありません。
⑤ 保証人には効力が及ばない
個人再生をしても、保証人・連帯保証人の支払義務は別に残り、債権者は保証人に請求できます。親族が保証人になっている借金がある場合は、この点を先に確認してください。ただし住宅資金特別条項を使う場合、住宅ローンは従来どおり支払うため、住宅ローンの保証人にただちに一括請求が及ぶ形にはなりません。
⑥ 減った後も、3年(最長5年以内)払い続ける必要がある
民事再生法229条2項は、弁済期を3か月に1回以上到来する分割払いとし(1号)、最終の弁済期を再生計画認可の決定の確定の日から3年後の日が属する月中の日(特別の事情がある場合は確定日から5年を超えない範囲内)とすること(2号)を求めています。自己破産と違い、支払いが終わるわけではありません。
✅ このセクションのまとめ
個人再生は「減額される代わりに、3〜5年払い続ける」手続きです。債権者の反対や収入の見込みによって認可されないこともあります。
返済が難しく滞納が長引いてしまう場合は、少しでも早めに弁護士などの専門家に相談してください。
個人再生できないケースは?──申立て前・手続き中・認可後の3つの段階で確認

自分が「個人再生できないケース」に当てはまらないか心配です。どこを見ればいいですか。

申立ての前・手続きの途中・認可された後の3つの段階に分けて見ると、確かめやすくなります。入口の条件を満たしていても、途中や認可後につまずくことがあるからです。
① 申立ての前:そもそも利用できない人
入口の条件(継続的な収入の見込みと、住宅ローンなどを除く借金の総額が5,000万円以下)は、この記事の最初の章で条文とともに説明したとおりです。
どんな人が「継続的な収入がある」にあたるかについて、大分地方裁判所の案内は「アルバイトやパートの人は,継続的に勤務している場合は利用できますが,そうでない場合は利用できません。主婦,失業者(就職が内定している場合は除く。)は,継続的な収入がないので利用できません。」としています。雇用の形よりも、収入が続いているかどうかが見られるということです。
② 手続きの途中:計画どおりに払えるかが試される
東京地裁は、申立てを受けると全件で個人再生委員を選び、「また、分割弁済の履行テストとして、計画弁済予定額を個人再生委員の指定する口座に毎月申立人から振り込むことになります。決して振込漏れのないようにしてください。」としています。再生計画どおりに払っていけるかを、手続きの途中から実際のお金の動きで確かめる仕組みです。
小規模個人再生では、債権者の書面による反対で否決されることがある点は、前の章の①のとおりです。なお東京地裁は債権者向けの説明で「電話や口頭では、不同意の回答をしたことになりません。」としています。反対は書面で出されるもので、裁判所の手続きの中で数えられます。
③ 認可の後:払えなくなったときに起きること(条文)
東京地裁は「再生計画認可決定が確定すると、個人再生手続は終結し、再生債務者自身が再生計画どおりに分割弁済をしていくことになります。」「認可決定が確定したところで事件が終結するので、民事再生手続と異なり、弁済について裁判所の監督はありません。」としています。認可されたあとは、自分で払い続けることになります。
| 認可後に起きうること | 条文の内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 返済の期限を延ばす | やむを得ない事由で計画の遂行が著しく困難になったとき、本人の申立てで期限を延長できる。延長は最終の期限から2年を超えない範囲 | 民事再生法234条1項(給与所得者等再生は244条で準用) |
| 残りの支払いの免除(ハードシップ免責) | 本人の責めに帰することができない事由で遂行が極めて困難になり、4分の3以上の弁済を終えていることなどの要件をすべて満たすと、本人の申立てで免責の決定ができる。ただし養育費など一部の請求権や罰金等は免除されず、保証人への請求は残る(同条6項・7項) | 民事再生法235条1項(244条で準用) |
| 再生計画の取消し | 再生計画の履行を怠ったときは、再生債権者の申立てにより取消しの決定ができる。取消しが確定すると、計画で減った借金は原状に復する(債権者が計画ですでに得た権利には影響しない) | 民事再生法189条1項2号・7項 |
※189条1項2号を理由とする取消しの申立ては、計画で認められた権利の全部(履行済みの部分を除く)について裁判所が評価した額の10分の1以上にあたる権利を持ち、履行期限が来た分の全部または一部を受け取っていない再生債権者に限られます(同条3項。個人再生では232条6項で読み替え)。延長すると、当初の計画の返済期間(原則3年・最長5年)を超えることがあります。
出典:e-Gov 民事再生法(2026年10月時点)
民事再生法234条1項は「小規模個人再生においては、再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは、再生債務者の申立てにより、再生計画で定められた債務の期限を延長することができる。」と定めています。認可後に収入が減ったときも、黙って滞納するのではなく、延長の申立てができないかを先に専門家に確認するのが順番です。
✅ このセクションのまとめ
個人再生は、申立ての前(継続的な収入があるか)、手続きの途中(履行テスト・債権者の書面の反対)、認可の後(計画どおりに払えるか)の3つの段階でつまずくことがあります。どの段階でも、先に専門家に見通しを確認しておくことで、早めに気づけるものが多くあります。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
任意整理・個人再生・自己破産の違い
| 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
|---|---|---|---|
| 裁判所 | 通さない(当事者間の話し合い) | 通す | 通す |
| 元金 | 原則として残る(支払額や支払方法を話し合う) | 条文の下限まで減る可能性がある(※清算価値や可処分所得によって、これより高くなります) | 免責されれば支払義務を免れる(非免責債権を除く) |
| 対象の選択 | 選べる(保証人つきの借金を外すなど) | 選べない(すべての債権者が対象) | 選べない |
| 自宅 | 手続きの対象外にすれば維持しやすい | 住宅資金特別条項で残せる場合がある | 原則として換価の対象 |
| 収入の要否 | 合意した額を払える収入が要る | 継続・反復した収入の見込みが必要 | 必須ではない(支払不能かどうかで判断) |
| 官報 | 載らない | 載る | 載る |
| 資格制限 | なし | なし | 手続き中はあり(復権で回復) |
4つの方法の全体像は 債務整理とは?4つの方法と選び方、任意整理の詳細は 任意整理とは?メリット・デメリットと手続きの流れ、自己破産の詳細は 自己破産とは?手続きの流れと生活への影響 をご覧ください。
万が一支払いが難しい場合は、少しでも早い段階で弁護士などの専門家に相談してください。
向いている人・向いていない人
| 検討する価値がある状況 | 他の方法を先に考えたい状況 |
|---|---|
| 住宅ローンが残っている自宅を残したい | 継続的・反復的な収入の見込みが立たない |
| 利息をカットしても任意整理では返しきれない | 借入先が1社に集中しており、反対が予想される |
| 手続き中に就けなくなる資格で働いている | 保証人つきの借金だけを外して進めたい(任意整理の検討を) |
| 財産は少ないが、収入は安定している | 借金の中身が主に税金・国民健康保険料(減額の対象になりません) |
税金・保険料の扱いは 税金・国民健康保険料の滞納は債務整理で減る?分納・猶予の使い方 にまとめています。
「他の方法を先に考えたい状況」に当てはまる場合も、任意整理や自己破産を含めてどの方法が向いているかは、無料相談で具体的に確認するのが最短です。
利息をカットしても返しきれない見込みが立った時点で、まずは無料相談で現状を話してみてください。
よくある質問
残りの疑問も、まとめて聞いていいですか?
はい、よく聞かれるものからお答えしますね。
Q. 借金はどのくらい減りますか?
一律には決まりません。①民事再生法231条2項が定める最低額、②清算価値(財産を処分した場合の額)、③給与所得者等再生なら可処分所得2年分、のうちいちばん高い額が下限になります。同じ借金額でも、財産や収入によって結果は変わります。
Q. 車は残せますか?
ローンが残っていて所有権留保が付いている車は、引き上げの対象になることがあります。ローンを完済している車は財産として清算価値に算入され、払う額に影響します。詳しくは 任意整理で車は残せる?ローン中の車とローン完済の車の違い をご覧ください。
Q. 職業に制限はありますか?
個人再生には、自己破産のような手続き中の資格・職業の制限はありません。これが自己破産との実務上の大きな違いのひとつです。
Q. 過去に自己破産や個人再生をしています。また使えますか?
給与所得者等再生については、民事再生法239条5項2号が、給与所得者等再生の再生計画が遂行されたこと、同法235条1項の免責の決定が確定したこと、破産法252条1項の免責許可の決定が確定したことのいずれかから7年以内の申述を、小規模個人再生へ移す事由として定めています。事情によって扱いが変わるため、時期は必ず確認してください。
Q. 家族に知られずにできますか?
官報には掲載されますが、戸籍や住民票には載りません。一方で、同居家族への郵便物や、家計の資料の準備などで気づかれる可能性はあります。原因ごとの整理は 債務整理は家族・会社にばれる?ばれる原因とばれにくくする方法 にまとめています。
✅ まとめ
個人再生は、収入が続く見込みのある人が、家を残したまま借金を圧縮できる可能性のある手続きです。ただし減る額は3つの物差しで決まり、債権者の反対で通らないこともあります。「必ず5分の1」ではないことを前提に、自分の数字で確かめる必要があります。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。ご自身の場合にどうなるかは、話を聞いてみるだけでも構いませんよ。
借金に関する相談は、無料で受け付けている窓口が多くあります。まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。
📚 出典(公的機関・法令)を見る
- e-Gov法令検索「民事再生法」(221条・229条・230条・231条・239条・241条)
- e-Gov法令検索「破産法」(252条1項)
- 裁判所「個人再生」
- 東京地方裁判所「個人再生手続の申立てに当たって(令和7年11月1日以降適用)」
- 鹿児島地方裁判所「個人再生手続説明書」
- 裁判所「司法統計年報」(令和7年 民事・行政編)
- 法テラス「そのほかの債務整理」
- 法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」
- 法テラス「立替制度のご利用の条件・審査に必要な書類」
- CIC「支払いが遅れると、ブラックリストとしてCICに登録されるのですか?」
- JICC「登録情報と登録期間」
- 全国銀行協会「全国銀行個人信用情報センターの概要」
- 東京地方裁判所 民事第20部(倒産部)「よくある質問」(個人再生:手続の概要・個人再生委員と履行テスト・書面による不同意の回答・給与所得者等再生の意見聴取・認可後の手続) https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html
- 大分地方裁判所「債務整理の方法についてのQ&A」(個人再生手続が利用できる人) https://www.courts.go.jp/oita/vc-files/oita/file/R1.10.1saimuseiri-q-a.pdf
- e-Gov 民事再生法 189条1項2号・3項・7項(再生計画の取消し)・234条1項(再生計画の変更=期限の延長は2年を超えない範囲)・235条1項(計画遂行が極めて困難となった場合の免責)・244条(給与所得者等再生への準用) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の判断は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。(制度・数値は2026年8月時点)
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